平安から鎌倉時代にかけて庶民の根強い「地蔵信仰」について少しばかり知りた
くて、二大聖地といわれる福智院と十輪院を訪ねました。お寺として地蔵菩薩を
本尊に祀る所や、本尊は別にあり別途地蔵堂を設えて地蔵菩薩を祀るお寺は数多
くあるようです 伝香寺や新薬師寺などがそれです。金剛山寺、帯解寺などは本
尊を地蔵菩薩とする有名寺院でしょう。
[福智院]
真言律宗のお寺で、ご本尊は地蔵菩薩坐像。
天平時期にあの僧玄ぼうがこの地にに草創したお寺の後身が今の福智院だという
由緒と、もともと興福寺大乗院の地蔵堂だったという由緒があり、鎌倉期に西大
寺中興の祖叡尊が再興したという由緒もあるそうです。なるほど旧大乗院庭園が
真近にあり、興福寺の寺域内であったかも知れず、真言律宗に属すと云うことも
叡尊がらみで説得力があるようです。理論の説得性と歴史の信頼性は別物である
とよく聞きますが、叡尊と地蔵菩薩の関係など不明な点はまだ多く残されている
ようです。
山門
本堂
独特の堂形、外観は2層造りに見えますが下層は裳階です。裳階正面に向拝、堂内
内陣正面にご本尊地蔵菩薩が坐しています。ご本尊は地蔵大仏と云われるそうで、
座高273cmの大きな古色然とした「地蔵菩薩座像」です。
境内
こじんまりとまとまった季節の花いっぱいの綺麗なお庭です。
石仏群
かなりの数の石仏が整然と並んでいます。
玄ぼう僧正の顕彰碑
あの評芳しからぬ僧玄ぼう。これほど功罪半ばの僧も珍しいのでは。法相八祖の
第四祖といい、高い入唐評価がある一方、左遷流罪の悲運、太宰府でその生涯を
閉じる、僧侶が権力を持つとこうなるのだよと云う警鐘なのでしょうか。
[十輪院]
真言宗醍醐派のお寺で、ご本尊は地蔵菩薩立像(石龕に彫られた石仏)。
なんと云ってもこのお寺はご本尊が石龕に彫られた地蔵菩薩。礼堂(本堂)の北
側覆屋に守られてその石龕はあります。明るさを落とした薄暗い礼堂からほのか
な照明に照らされた石龕は心憎い演出で感動します。このお寺の由緒はNHK大仏
開眼の主役、吉備真備の長子、 朝野宿禰魚養(あさのすくね なかい)の開基と
も伝えられていますが「沿革の詳細は明らかではありません」とお寺のHPは述べ
ていますし、南都七大寺の一つ元興寺の子院とも云われているようです。
南門
重文の簡素な構造の山門です。
本堂(礼堂)
石仏龕礼拝のために建立されたお堂で国宝です。北側が通しになって石仏龕が目
前に。お堂中央に低い須弥壇があり、石仏龕へのお花をはじめとする荘厳がなさ
れており、両廻りで石仏龕に近づけます。お堂左右には弘法大師空海、理源大師
聖宝の坐像を祀っています。
●石仏龕感動記を見仏サイトお気楽に行こう!のtoshiさんが臨場感タップリで綴
られています。下記サイトをどうぞ
http://www4.ocn.ne.jp/~yamamtso/index.html
境内には、石塔や石仏が点在。
不動明王立像
観音菩薩立像
十三重石塔
庭園
地蔵菩薩の誓願は六道救済が本分で、地獄救済の説話などで民衆を啓蒙した往生
要集の影響や法然を創とする浄土信仰と結びついて現世利益を啓蒙し民衆の心を
掴みしだいに認知されていった。のが「地蔵信仰」の一般論。しかし訪ねた両寺
の草創は奈良時代に遡るけれど、古いお寺ほど諸説紛々、当初から地蔵信仰の中
心であったかどうかは定かではないようですが、両寺に共通しているのは鎌倉中
期の「沙石集」で本尊の地蔵菩薩を霊験あらたなる地蔵の寺として取り上げてい
ることです。毎年7月23日に行われる地蔵盆会、一度伺おうかなと思っています。
5月5日この日の奈良は猛暑日。福智院、十輪院を訪ねた後5月18日から拝観停止
になる東大寺法華堂の諸仏に会いたさ見たさでフラフラボーっと今にも倒れそう
に歩きながら法華堂を訪ねました。失礼ながらそれぞれのお顔の印象は朧です。
法華堂からどの道通って近鉄奈良へたどり着いたか定かではありません。
法華堂礼堂正面
くて、二大聖地といわれる福智院と十輪院を訪ねました。お寺として地蔵菩薩を
本尊に祀る所や、本尊は別にあり別途地蔵堂を設えて地蔵菩薩を祀るお寺は数多
くあるようです 伝香寺や新薬師寺などがそれです。金剛山寺、帯解寺などは本
尊を地蔵菩薩とする有名寺院でしょう。
[福智院]
真言律宗のお寺で、ご本尊は地蔵菩薩坐像。
天平時期にあの僧玄ぼうがこの地にに草創したお寺の後身が今の福智院だという
由緒と、もともと興福寺大乗院の地蔵堂だったという由緒があり、鎌倉期に西大
寺中興の祖叡尊が再興したという由緒もあるそうです。なるほど旧大乗院庭園が
真近にあり、興福寺の寺域内であったかも知れず、真言律宗に属すと云うことも
叡尊がらみで説得力があるようです。理論の説得性と歴史の信頼性は別物である
とよく聞きますが、叡尊と地蔵菩薩の関係など不明な点はまだ多く残されている
ようです。
山門
本堂
独特の堂形、外観は2層造りに見えますが下層は裳階です。裳階正面に向拝、堂内
内陣正面にご本尊地蔵菩薩が坐しています。ご本尊は地蔵大仏と云われるそうで、
座高273cmの大きな古色然とした「地蔵菩薩座像」です。
境内
こじんまりとまとまった季節の花いっぱいの綺麗なお庭です。
石仏群
かなりの数の石仏が整然と並んでいます。
玄ぼう僧正の顕彰碑
あの評芳しからぬ僧玄ぼう。これほど功罪半ばの僧も珍しいのでは。法相八祖の
第四祖といい、高い入唐評価がある一方、左遷流罪の悲運、太宰府でその生涯を
閉じる、僧侶が権力を持つとこうなるのだよと云う警鐘なのでしょうか。
[十輪院]
真言宗醍醐派のお寺で、ご本尊は地蔵菩薩立像(石龕に彫られた石仏)。
なんと云ってもこのお寺はご本尊が石龕に彫られた地蔵菩薩。礼堂(本堂)の北
側覆屋に守られてその石龕はあります。明るさを落とした薄暗い礼堂からほのか
な照明に照らされた石龕は心憎い演出で感動します。このお寺の由緒はNHK大仏
開眼の主役、吉備真備の長子、 朝野宿禰魚養(あさのすくね なかい)の開基と
も伝えられていますが「沿革の詳細は明らかではありません」とお寺のHPは述べ
ていますし、南都七大寺の一つ元興寺の子院とも云われているようです。
南門
重文の簡素な構造の山門です。
本堂(礼堂)
石仏龕礼拝のために建立されたお堂で国宝です。北側が通しになって石仏龕が目
前に。お堂中央に低い須弥壇があり、石仏龕へのお花をはじめとする荘厳がなさ
れており、両廻りで石仏龕に近づけます。お堂左右には弘法大師空海、理源大師
聖宝の坐像を祀っています。
●石仏龕感動記を見仏サイトお気楽に行こう!のtoshiさんが臨場感タップリで綴
られています。下記サイトをどうぞ
http://www4.ocn.ne.jp/~yamamtso/index.html
境内には、石塔や石仏が点在。
不動明王立像
観音菩薩立像
十三重石塔
庭園
地蔵菩薩の誓願は六道救済が本分で、地獄救済の説話などで民衆を啓蒙した往生
要集の影響や法然を創とする浄土信仰と結びついて現世利益を啓蒙し民衆の心を
掴みしだいに認知されていった。のが「地蔵信仰」の一般論。しかし訪ねた両寺
の草創は奈良時代に遡るけれど、古いお寺ほど諸説紛々、当初から地蔵信仰の中
心であったかどうかは定かではないようですが、両寺に共通しているのは鎌倉中
期の「沙石集」で本尊の地蔵菩薩を霊験あらたなる地蔵の寺として取り上げてい
ることです。毎年7月23日に行われる地蔵盆会、一度伺おうかなと思っています。
5月5日この日の奈良は猛暑日。福智院、十輪院を訪ねた後5月18日から拝観停止
になる東大寺法華堂の諸仏に会いたさ見たさでフラフラボーっと今にも倒れそう
に歩きながら法華堂を訪ねました。失礼ながらそれぞれのお顔の印象は朧です。
法華堂からどの道通って近鉄奈良へたどり着いたか定かではありません。
法華堂礼堂正面