土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

榛原の古刹、仏隆寺から聖林寺を訪ねました。

2010年05月19日 | 奈良の古寺巡り
[仏隆寺]
真言宗室生寺派の古刹。
本山室生寺の末寺、そして南の大門として空海の高弟、賢恵の創建。それよりも
古いという異説もある古刹です。千年以上の由緒伝承が残る古刹は、確実な文書
でも発見されない限り、異説も色々出てくるのでしょう。そこが古仏や古寺古刹
を愛する人々が受ける魅力なのかも知れません。
古刹としての由緒や堂宇、古仏の著名度よりも県下最古の桜、千年桜と秋の彼岸
花、大和三名段(仏隆寺、段山神社、室生寺)のひとつ197段の参道石段とこ
ちらの方がはるかに名高い宇陀榛原の仏隆寺を15日に訪ねました。山の中、まさ
に山寺の風情。といっても道路は完ぺき、途中標示も親切、駐車場も小さいなが
ら完備しています。しかし周辺の環境は山の中です。花の季節は相当な人で溢れ
るといいます。今は緑一色、他の色はありません。

徒歩で仏隆寺を目指す方のスタート地点で「高井」バス停です。クルマはこのま
ま矢印の方向に進みます。


この道に出たらもうしめたもの。目的地はまもなくです。


参道近くに建つ石標。


石標の少しの所に参道石段が見えます。この石段こそが大和三名段の仏隆寺参道
石段です。


参道石段を少し上ると右側に県下最古の桜もちづき桜の巨木、本当に大きいです。
緑の葉のかわりにピンクの花を想像してみて下さい。


参道石段の中頃です。
秋にはこの石段左右イッパイに彼岸花が咲き乱れ、真っ赤な景観を求めて人人が
訪れるそうです。


さあ、間もなく山門に到着。


質素な山門です。
門の中央に賽銭箱が置かれて拝観料100円を入れるとチャイムが鳴ります。いっ
ぺんに興ざめ、チェックチャイムでしょうか。素通りすると鳴らないのでしょう
か、そんなことはないでしょうね。


境内は決して広くはありませんが、丹念に手は入れられているようです。石段を
上ると本堂です。ご本尊は十一面観音立像。お堂扉は閉められていましたが、お
堂拝観300円と書かれていたので寺務所に拝観のお願いに行くと冷たく指で×「今
日はダメ」とのこと。






本堂の床下。これを基礎とはまさか云わないでしょうが、これでお堂が建ってい
る不思議。


本堂への石段横に大きな長十郎梨の原木があり、桜が散るころ白い花が咲くと聞
きました。


境内に大和茶発祥伝承地の碑。
大和茶発祥の地とされているこの地は、空海が唐から持ち帰った茶種を弟子の賢
恵が育てたという由縁が伝えられています。同じく空海が持ち帰った茶臼も残っ
ているそうです。


求聞持堂。
不動明王をご本尊とするお堂。真言宗の行堂なんでしょうか。


山門に接して建てられている鐘楼。


境内は寺務所を除いて本堂と求聞持堂だけの本当に小さなお寺ですが、環境とい
い立地?といい感覚的に理想的な古刹のように思えます。ただ仏像や寺宝に会え
なかったのは残念。この日は、年輩のご夫婦連れ二組、単独の方お二人とお会い
しました。

[聖林寺]
仏隆寺を辞して近くの悟真寺を訪ねるために山道に入りましたが、山道は行き止
まり。もう一度伊勢本街道(国道369号)に戻り地元のおばさんに尋ねると同じ
道を教えられ再度アタック、又も行き着くことが出来ませんでした。不思議です。
ということで、榛原から桜井へ出て予定にはなかった聖林寺を訪ねることにしま
した。

いつも思うのですが、この場所から眺めると、とてもお寺とは思えない。山城か
堅固な砦のよう。


山門。




本堂。


さすが人気のお寺、というより十一面観音菩薩立像のスーパー人気なのか。
本堂内は人で一杯、みなさん北側の外廊に向かっておられ、外廊でムシャムシャ
の方も数名。ご本尊子安地蔵菩薩に手を合わせている方は皆無でした。写真中央
が三輪山。


本堂からの境内。




大悲殿(観音堂)への階段。


さてスーパースターの登場です。この写真の下部は、拝観者の頭だらけなのです。
この十一面観音の彷徨流転のお話は皆様良くご存じですよね。
木心乾漆造で思いきり乾漆を盛り上げているからか経時による割れが目立ち、特
にお顔に顕著、彷徨の艱難辛苦がお顔に出ているようで、ボクにはどうしても菩
薩の慈を感じることが出来ずむしろお気の毒な感じさえします。天平仏師の執念
が生んだ素晴らしいプロポーションや量感、天衣や裳の心地よい流れなどどれを
とっても一級品、しかしお顔は怒を含んで悲しげに見えます。現世をみすえた怒
りでしょうか。