(2012.04.01訪問)
三室戸駅から一駅手前の黄檗駅前の懐かしい萬福寺を訪ねました。
数十年前、会社研修で萬福寺座禅会に参加したことがありますが、殆ど忘れています。唯一覚えているのは
普茶料理、動物由来の食材を使用しない精進料理にはビックリしました。饅頭の天ぷらは今も鮮明です。
萬福寺は徹底した中国明代風のお寺で、伽藍配置も対称、中央一直線状に主要伽藍が並び、他の伽藍が対称
に配置されており見事なまでの境内構成です。各堂内の荘厳は赤と緑を中心にとにかくスゴイ感性、江戸初
期の立宗寺院なので古刹のイメージはありませんが、創建当初の姿をそのまま今に伝える寺院は他に例がな
いそうです。
[ 萬福寺 ]
●山号 黄檗山(おうばくさん)
●寺号 萬福寺(まんぷくじ)
●宗派 黄檗宗大本山
●開山 隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師
●開創 寛文元年(1661年)
●本尊 釈迦如来坐像
萬福寺縁起 (萬福寺HPから抄出)
開祖隠元禅師は中国明朝時代の臨済宗を代表する僧で、中国福建省福州府福清県にある黄檗山萬福寺のご住
職をされていました。その当時、日本からの度重なる招請に応じ、63歳の時に弟子20名を伴って1654年に
来朝されました。宇治の地でお寺を開くにあたり、隠元和尚は寺名を中国の自坊と同じ「黄檗山萬福寺」と
名付けました。宗派を黄檗宗と改宗し現在に至ります。
▼総門(重文)。
三間八脚門、瓦葺き。寛文元年(1661年)建立。
屋根が二段で中央を高く、左右が低い中国牌楼式楼門と云うそうです。
▼参道。正面右に曲がると雄大な三門があります。
▼方丈池。総門を入るとスグ右に方丈池、周囲の植栽の蕾が開き始めています。
▼方丈池のユキヤナギ。
▼三門(重文)。三間三戸八脚、重層楼門、瓦葺き。上層勾欄付き。延宝6年(1678年)建立。
▼三門扁額。開祖隠元さんの揮毫による黄檗山の山号。
▼三門から天王殿を見る。中央通路に架かる扁額萬福寺の揮毫も開祖隠元さんです。
▼天王殿(重文)。桁行5間、単層入母屋造、瓦葺。寛文8年(1668年)建立。
お寺の玄関として建てられているお堂、日本では珍しい配置だそうです。
▼天王殿前に蓮の花をかたどった手水鉢。かなり大きいです。
▼布袋尊に先ずご挨拶。
正面にキンピカの布袋さん、いわば萬福寺のメインキャラクターがボクたちを迎えてくれます。
布袋さんは弥勒菩薩の化身とされているそうです。
▼天王殿左右に四天王像。
堂内左右に四天王が祀られています。上段(左)広目天。(右)多門天。下段(左)増長天。(右)持国天。
▼天王殿後堂には韋駄天像が安置。
端正な韋駄天が布袋さんの後ろに祀られています。四天王と韋駄天は明の仏師范道生の作。
▼大雄宝殿(だいおうほうでん)萬福寺の本堂(重文)。本尊 釈迦牟尼仏坐像。
桁行5間、単層入母屋造、一見重層ですが初層は裳階、瓦葺。寛文8年(1668年)建立。
萬福寺最大の伽藍。チーク材による建立は非常に珍しいものだそうです。
▼大雄殿宝殿扁額。この扁額も開祖隠元さんの揮毫。大雄殿宝殿と書かれています。
▼大雄宝殿須弥壇。堂内中央四柱に囲まれた須弥壇、床は塼瓦敷き。
▼大雄宝殿本尊釈迦牟尼仏坐像と脇侍は十大弟子の阿難尊者と迦葉尊者。どちらがどちらか確認忘れです。
▼大雄宝殿後堂に開山祖師隠元禅師像。
▼堂内両端に十八羅漢像。
羅漢さんもこれだけ並ぶと壮観です。片側ににも同数体が並んでいます。無知ですね、殆どお名前の知らな
い方達でした。
▼大雄宝殿から法堂への回廊。諸堂間は廻廊で結ばれています。すべて塼瓦敷きの床です。
▼法堂(重文)。
桁行5間、単層入母屋造、瓦葺。寛文2年(1662年)建立。問答修行と説法のお堂です。
▼法堂勾欄の卍と卍くずしの文様。開山堂も同様の勾欄です。
▼鐘楼(重文)。重層鐘楼で二層に梵鐘。寛文8年(1668年)建立。
▼巡照版。萬福寺の一日のはじめと終わりに雲水が偈文を唱え巡照版を打ち、各お堂を回ります。
▼伽藍堂(重文)。伽藍守護神おなじみ関羽を祀るお堂。寛文9年(1669年)建立。
▼伽藍堂本尊 関聖大菩薩関羽さんです。
▼雲版。雲形の打って時を告げるもの。
▼開梆(かいぱん)。
斎堂(食堂)前廻廊に吊るされています。魚形の開梆。打って時を告げるもの。
木魚の原型になったものらしいです。
▼禅堂(重文)。坐禅堂、この日も坐禅中に付きお静かにの札がありました。寛文3年(1663年)建立。
▼祖師堂(重文)。
中国禅の祖、達磨大師を祀っています。桁行3間、単層入母屋造、瓦葺。寛文9年(1669年)建立。
▼祖師堂本尊 達磨大師坐像。ボクたちが知るダルマさんとはちょっと違いますが。
▼鼓楼(重文)。重層鼓楼で二層に太鼓。延宝7年(1679年)建立。
▼天王殿から開山堂への回廊に梵鐘、合山鐘。除夜の鐘はこの鐘を撞くそうです。
▼寿塔(重文)。隠元禅師の六角墓。寛文3年(1663年)建立。
▼開山堂通玄門。
▼開山堂(重文)。隠元禅師を祀ります。延宝3年(1675年)建立。
▼開山堂扁額。二代住持、木庵性瑫の揮毫。
▼隠元やぶ。隠元禅師により招来された孟宗竹の薮。総門の左側に茂っています。
▼萬福寺本坊。
国宝指定はないけれど伽藍23棟を含め31件が国の重要文化財に指定されているそうです。
広い境内に数多い伽藍、そのほとんどが廻廊で結ばれているこのお寺は、親切な順路表示で見易いことこの
上なし、禅寺にありがちな妙に勿体振ったところがない気持ちのイイお寺でした。