土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

鶴林寺は「播磨の法隆寺」感動的大寺です。

2014年06月17日 | 兵庫の古寺巡り



(2014.06.14訪問)


加古川の地を踏むのは、実は初めてであります。
訪ねた鶴林寺は古来より「播磨の法隆寺」と呼ばれている古刹、聖徳太子とその師恵便との関わりが、この
お寺の起源と伝わり、歴史伝承の多彩なお寺。仁王門前に建つ「聖徳皇太子御霊跡」と刻された大石柱は、
図らずもこのお寺の性格と古からの太子信仰が連綿と続く大寺を表すモニュメント。初めてその前に立ち、
衰えない太子への思慕と信仰の強さに感動されつつ仁王門を潜りました。


▼本堂。





[ 鶴林寺 ]
●山号 刀田山 (とたさん)
●寺号 鶴林寺 (かくりんじ)
●開創 伝用明天皇二年 (587年)
●開基 伝聖徳太子
●宗派 天台宗
●本尊 薬師如来 (重文) 
▲兵庫県加古川市加古川町北在家424 TEL.079-454-7053
▲拝観料 500円 宝物館拝観料500円 セット券800円 御朱印300円
▲拝観時間 9:00~16:30
▲HP http://www.kakurinji.or.jp/mainpage/top-kakurinji.htm 
▲JR加古川駅下車徒歩25分 かこバス加古川駅前南3番乗り場から「鶴林寺」下車スグ


         ▼聖徳皇太子御霊蹟石柱。





鶴林寺縁起 (鶴林寺パンフから抄出)
六世紀末、高句麗の僧恵便法師が排仏派物部氏の迫害を逃れ播磨隠棲の時、聖徳太子がその教えを受けるた
め播磨に来訪、秦川勝に命じ精舎を建立し「刀田山四天王寺聖霊院」と名付けたのが当寺の前身。養老二年
(718年) 太子遺徳を顕彰するため七堂伽藍を建立、寺号も刀田山四天王寺と改められた。
その後慈覚大師円仁が入唐時立ち寄り薬師如来を刻して国家安泰を祈願、以後天台宗に改宗。
天永三年 (1112年) 鳥羽天皇から勅額を賜り「鶴林寺」と寺号を改めた。太子信仰の高まりとともに、鎌倉、
室町時代に鶴林寺は全盛期を迎えた。織豊時代の戦乱弾圧、江戸期の宗教政策、明治の廃仏毀釈と云った困
難機を乗り越え、今や「播磨の法隆寺」と呼ばれ、人々の太子信仰厚く、多くの文化財とともに心の安らぎ
の場となっている。


         ▼三重塔と寺標石柱。





▼仁王門。三間一戸、重層楼門、入母屋造、本瓦葺。階上が坐禅堂になってるそうです。
 惜しいことに階上公開は日曜日なんです。





         ▼阿形金剛力士。





         ▼吽形金剛力士。両玉眼が失われています。





▼仁王門から境内、正面本堂。





▼手水舎。





         ▼加古川のシンボルタワー三重塔。





▼三重塔本尊、大日如来坐像。





         ▼三重塔。





▼常行堂(重文)。桁行3間、梁間4間、寄棟造、本瓦葺。





▼行者堂(重文)。
 元は鶴林寺の鎮守社。面白い社殿造りで、前面春日造、背面入母屋造。応永十三年 (1406年) 建立。
 初めて見ましたこんな構造、ユニークです。





▼新薬師堂。





▼新薬師堂本尊薬師三尊。薬師如来を中尊に左脇侍日光菩薩、右脇侍月光菩薩。



(須弥壇上の右、左は本尊から見ての表示です)



         ▼中尊薬師如来坐像。
          半眼にも関わらず目の印象が強く、螺髪が大きめ、安定感のある
          薬師さんです。





         ▼左脇侍、日光菩薩立像。





         ▼右脇侍、月光菩薩立像。





▼須弥壇両脇に十二神将が並んでいます。





左近のなんとか、右近のなんとかを意識してるのでしょうか。
▼本堂前向かって左に菩提樹の大木。鈴なりで今盛り、落花も今盛り!





▼右に沙羅双樹の可憐な白の咲き始め。(お寺は沙羅双樹と云ってますが、夏ツバキです)





▼本堂 (国宝)。桁行七間、梁間六間、入母屋造、本瓦葺。応永四年 (1397年) 建立。鶴林寺最大の堂宇です。



本尊は内陣奥深く宮殿と云うお厨子の中秘仏薬師如来 (重文) と五体のお像が祀られているそうです。
外陣から見る内陣にはそれはそれは立派な宮殿(くうでん)が置かれ、本堂はまるで覆屋の感がします。



▼本堂外陣での法話。





▼本堂から境内を見ると、どんどん参拝者の姿が。





▼古色の中の五色幕、きれいに揺れてました。





▼袴腰の重厚な鐘楼 (重文)。桁行三間、梁間二間、入母屋造、本瓦葺。応永十四年 (1407年) 建立。





▼太子堂 (国宝)。四方三間、宝形造、檜皮葺。四周濡縁。天永三年 (1112年) 建造。



屋根の右張り出しを縋破風(すがるはふ)と云い、実に美しい造形 です。正堂に礼堂をくっ付けたものらしい
です。



▼太子堂本尊釈迦三尊 釈迦如来を中尊に左脇侍普賢菩薩、右脇侍文殊菩薩。



写真の三尊はレプリカ、実像は宝物館で見ることができます。(写真は鶴林寺HPからお借りしました)



▼太子堂背面から。





▼観音堂。本尊観音菩薩立像 (秘仏)。





▼観音堂外陣から内陣。欄間から天井には千社札だらけ。少し光って見えるのはお前立ち像です。





▼護摩堂 (重文)。四方三間、入母屋造、本瓦葺。永禄六年 (1563年) 建立。





         ▼護摩堂本尊不動明王坐像。
          前面格子にへばりついて撮らせてもらいました。





▼地蔵堂。





▼地蔵堂本尊子安地蔵坐像。石のお地蔵さんです。





▼境内北端の塔頭寺院の前、小さいながらも掘割りになっています。





▼睡蓮はまだですが、亀ちゃんが咲いてました。





▼掘割り。





▼講堂。





▼経蔵。





▼西国三十三カ所札所巡りが出来ますよ。境内西端に観音さんが並んでます。





         ▼仏足石。





▼東門。相当酷いことになっています。





▼西門。





▼御朱印です。周辺の黄色いものは菩提樹の落花です。





         特別フロク

         ▼聖観音菩薩立像。



この観音像を拝する限り本家法隆寺の「夢違観音」を彷彿とさせてくれます。制作年代など専門的にはボク
などサッパリですが、白鳳期仏として非常に似ている印象を持ち、法隆寺との繋がりが何となく判るような
気がしました。愛らしい観音さんです。
宝物館に展示されています。 (写真は鶴林寺HPからお借りしました)


整然と並んだ堂宇伽藍の重厚さにも関わらずなんとオープンなお寺と云う印象、僧侶方、寺方の参拝者への
接し方など実に気持ちがいい、堂宇で往時の現存建物はありませんが、しかし太子哲学や精神は1400年の
時空を超えて今なお生きているのかなと思いつつ、そして参拝者の多さもナットクできる鶴林寺でした。
素晴らしいお寺でした!!


ついでに
黒田官兵衛正室光さんの実家がこの加古川市志方にあったそうで、鶴林寺宝物館では、光さんや一族の宝物
が今月イッパイ展示されていますヨ。





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