土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

仁和寺、宇多天皇が過ごした雅の美とは……。

2016年12月05日 | 京都の古寺巡り





(2016.12.03訪問)


真に紺碧の空、濃紺の深い空の色、一点の雲もナシ。これほどの上質なお天気に恵まれて、今日は京の都の北きぬかけの路、雅と寂
を代表する仁和寺と龍安寺にやってまいりました。仁和寺には御室桜の時期は訪ねたことはないんですが、逆に錦秋の都心寺院も訪
ねた記憶はあまりありません。紅葉情報も終わりに近づき、ぼつぼつ人出もそれなりに、と云う考えが甘かった。京の都はどこもか
しこも人で溢れ返っています。そんな中とりあえず、最高皇族が過ごした生活空間、平安の雅世界の象徴を偲んでみようと仁和寺へ。




▼仁王門 (重文)。重層楼門、五間三戸、入母屋造、本瓦葺、高さ18.7m。徳川三代将軍家光の寄進。






            [ 仁和寺 ]
            ●山号 大内山 (おおうちさん)
            ●寺号 仁和寺 (にんなじ)
            ●開基 光孝天皇 (こうこうてんのう)
            ●開山 宇多天皇 (うだてんのう)
            ●開創 仁和四年 (888年)
            ●宗派 真言宗御室派
            ●本尊 阿弥陀如来坐像
            ●世界文化遺産 古都京都の文化財として平成六年(1994年)登録
            ▲京都府京都市右京区御室大内335 TEL.075-461-1155
            ▲拝観料 境内自由 御殿500円 霊宝館500円 御朱印300円
            ▲拝観時間 9:00~17:00 12月~2月 9:00~16:30
            ▲HP http://ninnaji.jp/ 
            ▲JR京都駅より市バス26番にて御室仁和寺下車スグ。
             JR京都駅より嵯峨野線(31/32/33番のりば)→JR花園駅下車、徒歩約15分。 
             嵐電北野線 御室仁和寺駅下車 徒歩約2分。 




            ▼門前の寺号石柱。






仁和寺縁起 (仁和寺HPから抄出)
仁和二年 (886年) 第五十八代光孝天皇によって「西山御願寺」と称する一寺の建立を発願されたことに始まります。光孝天皇は志半
ばにして崩御、第五十九代宇多天皇が遺志を継がれ、仁和四年 (888年) に完成。寺号も元号から仁和寺となりました。宇多天皇は寛
平九年 (897年) 譲位、出家し仁和寺第一世 宇多法皇となり、皇室出身者が代々門跡 (住職) を務め、平安~鎌倉期には門跡寺院として
最高の格式を保ちました。応仁の乱で、仁和寺は一山のほとんどを兵火で焼失。そんな中、本尊の阿弥陀三尊をはじめ什物、聖教な
どは仁和寺院家の真光院に移され、法燈とともに伝えられていきました。 応仁の乱から約160年後の寛永十一年 (1635年) 仁和寺第
二十一世覚深法親王は、幕府三代将軍家光に仁和寺再興を申し入れ、承諾されるのです。慶長度の御所造替とも重なり、御所から紫
宸殿 (金堂) 清涼殿 (御影堂) など多くの建造物が下賜され、正保三年(1646年) 伽藍の再建完了。創建時の姿に戻ることが出来ました。




▼仁王門右脇の阿形金剛力士。







▼吽形金剛力士。







▼寺景観のためにも石段下のタクシーはどうかと思いますがネ。







▼仁王門からの境内参道。







▼参道と云うよりも広場ですネ。













▼珍しやピンクの中門です。三間一戸、シンプルと云えども八脚門、切妻造、本瓦葺。






            ▼中門右に四天王のお一人持国天立像。






            ▼左に多聞天立像が睨んでいます。






▼名勝御室桜園です。これから冬に向い来春の開花パワーを溜め込んでいるのでしょうか。






            ▼五重塔 (重文)。立派な塔です。
             総塔高36.18m、一辺5.91m、寛永二十一年 (1644年) 建立。
             塔内部には大日如来、その周りに四方仏が安置されています。






▼五重塔扁額は梵字でアーク、胎蔵界大日如来を表しています。






            ▼五重塔。                          
















▼金堂への参道脇の紅葉。仁和寺は楓は少ない中で、この樹は頑張ってます。







▼金堂 (国宝)。桁行七間、梁間五間、入母屋造、本瓦葺、一間向拝付。
 御所の内裏紫宸殿を寛永年間 (1624~1643年) に移築。
 前面戸口横の名物蔀戸は全面ベニヤで塞がれています。ハッキリ言って非常に見苦しく、理由が分かりません。







▼紅葉と金堂屋根。







▼金堂。







▼仁和寺本尊、阿弥陀三尊の中尊。阿弥陀如来坐像 (国宝)。






            ▼中尊左脇侍、観音菩薩立像 (国宝)。






            ▼右脇侍、勢至菩薩立像 (国宝)。



            (写真は三点とも、BS11京都国宝浪漫、仁和寺から複写)




▼金堂。







▼境内。







▼経蔵 (重文)。方三間、宝形造、本瓦葺。寛永~正保年間の建立。正面に両開きの板唐戸、左右に花頭窓を付け、禅宗様で統一され
 ています。内部は釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩など六躯を安置。内部中央には八面体の回転式書架 (輪蔵)を設置。

  





▼鐘楼 (重文)。入母屋造、本瓦葺、上層は高欄付、木製袴腰。







▼御影堂中門。
 御影堂は永らく屋根葺き替えを含む補修工事で拝観出来ませんでしたが、拝観可能になりました。






            ▼門前の弘法大師碑。






▼御影堂 (重文)。祖師弘法大師空海像をお祀りしています。方五間、宝形造、檜皮葺。
 内裏清涼殿の一部を賜り、寛永年間 (1624~1643年) に再建。













それでは仁和寺境内から平安の雅、御室御殿へ向いましょう。

▼境内からの仁王門。右手前が御殿への入り口です。逆光でヘタクソが撮るとこんな写真になります







▼参道に面して勅使門が左に建ちます。もちろんココからは入れません。
 四脚唐門、前後に唐破風、入母屋造、檜皮葺。大正二年(1913年)建立。







▼彫刻の見本市風勅使門正面。







▼唐破風内の彫刻。鳳凰をはじめ宝相華唐草文様など、全てが透かし彫り、お見事としか云いようがありません。







▼さて、大玄関です。







▼先ずは白書院。







▼白書院お部屋。畳には御室流生け花が置かれています。
 昭和十二年 (1937年) に福永晴帆画伯による松の絵が部屋全体に描かれています。







▼白書院から見た南庭。広々とした枯山水庭園。中央は勅使門、右は仁王門。







▼宸殿。大正三年 (1914年) 建立。檜皮葺、入母屋造でお部屋は三室。







▼超豪華宸殿のお部屋、これぞ平安の雅。襖絵、壁画は原在泉画伯の花鳥山水画で飾られています。







▼北庭。池向こうに五重塔が。







▼渡り廊下。御殿の建物、お部屋は全て渡り廊下で繋がっています。







黒書院のお部屋は六室。全部屋、堂本印象画伯の襖絵で飾られています。

▼お部屋の一つ。







▼黒書院中庭の光と影。







▼黒書院から霊明殿へ。







▼霊明殿須弥壇。本尊 薬師如来坐像 (国宝) は秘仏のため見えるのはお前立ち像。







▼平安の雅を堪能、唐門を見納めて御殿の拝観オシマイ。






            駐車場に向うため東門へ歩いていたら、左にこんな観音さん、
            今まで全く気付きませんでした。

            ▼金剛華菩薩坐像。
             草花の生命を供養すると共に華芸上達を願い、流祖宇多法皇千五十年遠忌法要の
             記念事業として開眼供養された花の仏さま。です。







▼ご朱印です。







さすがとしか云いようがありません。超高位門跡寺院の精神が詰った豪華絢爛ではない精神的華麗さ豪華さ、境内各伽藍から御殿庭
園をはじめ部屋設えまで宇多天皇の精神は今も各所に残っているのでは。この天皇を第一世とした仁和寺は、往時の高貴な世界の精
神の拠り所として、築地塀の五本線がその歴史を物語っているようです。





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