蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

彩の国へ♪

2010年12月04日 01時18分47秒 | 日記
行って来ました
彩の国『さいたま芸術劇場』へ

維新派の『台湾の灰色の牛が背伸びしたとき』を観劇。
期待を裏切らない、いやそれ以上に衝撃的な舞台だった。

奥行き22間の舞台!
22間ってことは…180×22=382…凡そ40mだ
犬島での野外公演の時は、丸太を4000本使ったとか。
今回の劇場大ホールでの公演は
広さ等に制約があったため
丸太4000本で組み上げたわけではないようだが
場内に入ってまず、セットに釘付けになった。

同行したケンタロウ君が座席を確認するや否や

  ちょっとみて来ます。

と言い、舞台ツラに向かった。
私も後を追うように、舞台ツラまで行き
壮大なセットの細部を見ようと目を凝らす。
通常大ホールの舞台は、ある程度の高さがあるものだが
劇場の本舞台の姿は見えない。
このホールは舞台が昇降するらしく
一番下まで下げて、敢えて丸太で舞台を組んである。
舞台上に点在するのは、南太平洋の島に
見立てて作ったと言ういくつも島。
オーケストラピットも奈落として利用。
本番中に、おのオーケストラピットを
木で造ったと思われる原始的?な船がユラユラと移動。
驚いたのは舞台中盤でのセリ。
舞台奥に突如、丸太で造ったイントレのような
巨大な足場が出現
奥行きはどれくらあるんだろう?
平均台よりは太いだろうけど
一mもなさそうに見える。
命綱もなしに、あんな高所で演技するってことは
よほど肝が据わってる役者陣に違いない。

セットに度肝を抜かされたけど
同様に衝撃を受けたのは役者陣の身体性
複数人で発する声、音楽。

群衆だからこそ出来る次元の高いパフォーマンス。

これはアフタートークショーで松本氏が仰ってたこと。

  ダンサーではなくダンサーのような体型を持たない
  日本人体型の役者陣にダンスを踊らせるのは…と考え
  踊りのようで踊りではない身体表現を追求した結果
  現在の身体表現に行き着いた。
  振り付けのヒントは日常の動作。
  例えば、お豆腐を手のひらの上に置き
  包丁で切るなんてことは、日本人にしか出来ない技。

若干ニュアンスが違うところがあるかもしれないが
日本人のアイディンティ探しをしながら
生み出したパフォーマンスとも言えそう。

音楽の5拍子・7拍子に関しても

  日本語を無理やり4拍子に入れることのほうが難しい。
  5拍子とか7拍子のほうが、しっくり来る。

これはとても納得だった。
日本語のリズムって、例えば俳句や短歌もそうであるように
5・7・5とか5・7・5・7・7だと
とても心地よく聞こえるんだよね~
特に詩は、その傾向がある。
字余りだと、曲に詩が乗りづらかったりもする。

まだまだ修行不足だなぁと

内容的には、日露戦争から第二次世界大戦
朝鮮戦争、ベトナム戦争を経て2006年までを
台湾島~東南アジア~オセアニアあたりまでのアジアの島々を
黒潮の流れに沿って渡った日本人と
日本に渡って来たアジアの人々が体験した逸話を掘り起こし
並列的に見せていく作品だった。

そこに主人公は存在しない。

一つ突出してたのは「彼」と言う名の
巨人が登場したこと、かな。
巨大化した20世紀の象徴としての存在…

あ、一つ初めての体験をしました。
意味もなく…いえ、恐らく意味はあったんだろうけど
突如涙がこみ上げて来るという世にも不思議で
私としては、かなり衝撃的な体験

振り返ってみると、戦争のイメージを
かなり具体的に持っている私だから
上記のような状態になったように思うが
涙がこみ上げて来た瞬間に読み解けなかった。

それは、真珠湾攻撃から原爆が落とされるまえでのシーン。
役者陣の物凄いエネルギーと不協和音による不可思議な曲…
…今思い出しただけでもゾクゾクする…

ああ~
いくらここに書き連ねても
観てもらわなきゃ、あの衝撃は伝わらないよねぇ。。

是非皆さんにも一度は維新派の舞台を観て頂きたいなぁ。
特に夢幻の団員には…

今回は団員に案内をしそびれたので
次回は早めにみんなに舞台案内をしようと思います。

公演終了後、劇場の事業部長W氏とお会いした。
W氏は、まつもと芸術館の初代支配人さん。
それを知っていた演出家松本氏が
ケンジ君をW氏に紹介してくれて
その流れで、私とケンタロウも会えることになった次第。
W氏は、とても温厚そうで笑顔の優しい紳士といった風貌。
夢幻工房の名前をご存知で
うちの野外を観てみたいと仰ってくれて
来年度の舞台案内を送ることを約束。
その後、W氏が松本氏に私たちを紹介してくれて
野外劇や舞台についての話を短時間だったが話させて頂いた。

ありがとうございました

やはり維新派から学ぶことがまだまだある…
そう思えた維新派の舞台だった。

  観に行って良かった

ケンタロウ君もかなり刺激を受けたようだったしね。

さて、この衝撃を夢幻流にアレンジしてどう提出するか…