我が家には山梨方面に行くといつも宿泊地として選んでいるペンションがある。
イヌ同伴OKの宿なので気楽に宿泊できるし、
泊まる人すべてほとんどがイヌ同伴なので、
イヌが吠えようが騒ごうが周りを気にしなくて良い。
そしてイヌを通じて宿泊者同士での会話もまた楽しかったりする。
昨年亡くなった娘が中学生の時に不登校になってしまい、
なかなか近所では出歩かないようになってしまったのを、
オートバイの後ろに載せてで琵琶湖まで連れて行った。
初めて見る日本一大きい湖にとても喜んでいたものだった。
それなら日本一高い富士山も見に行こうではないかと、
おイヌ様同伴での家族旅行を計画し、
その時にたまたま予約したペンションが、
とても娘も気に入っていた。
2016年の5月の連休もそのペンションに行った。
もうほとんど河口湖周辺の観光地は見ているので、
なにもそこばかり行かなくても良いのだが、
そこのペンションの看板犬と遊ぶのも目的だったりするし、
長いお付き合いになり、なんだか遠い親戚みたいにも感じるし、
やはり何よりも日本一の富士山は眺めているだけで元気が貰えるような気がした。
ちょうど娘がプロポーズされた直後だったので、
ペンションのオーナーにもご報告。
とても喜んでくれてお祝いだといって娘にワインを頂き、
次に来るときはぜひ旦那さんと一緒に来てくださいねと。
誰もがそのつもりでいた。が、
その年の11月、結婚の準備の最中に病院に入ってしまうとは・・・。
高速道路で山梨県へと向かい、
途中の小淵沢で観光。
甲府市の武田神社で家内安全を祈願。
今回の旅行もお天気に恵まれました。
思えば今まで富士山が見えなかったという時が無かったと思う。
毎回立ち寄る富士山が綺麗に見える湖畔の公園で、
娘の遺影を携えて富士山を見せてあげた。
嫁さんと二人、どちらともなく涙が止まらず、
どうしてこんなかたちでここから富士山を見なければいけないのかが、
不思議でならなかった・・・。
コイツも久しぶりにやってきたペンションにとても嬉しそう
娘が昨年亡くなった際にご報告としてお手紙と一緒に送った写真が、
ペンションの食堂に飾られていた。
亡くなってしまったペンションの看板犬の写真と共にあるそれを見て、
「ジョン・ニーナ・カイ・ソラといつも一緒に居るから寂しくないよね」と、
そっと嫁さんが言った。
翌日は朝10kmだけジョギングしてから、
近場の白糸の滝までドライブ。
福井ではすっかり散ってしまった八重桜が、
こちらではちょうど満開でした。
夕食は昨日同様、宿泊者同士が和やかに
この日たまたまお誕生日だった常連さんのワンちゃんの、
イヌ用ケーキの御裾分けに嬉しそう。
もう二度と来る事は無いかもしれないとさえ思っていたが、
やはり旧知のペンションオーナーにはちゃんと会って御挨拶したかったし、
うちのおイヌ様ももう若くはない。
元気なうちにここへ来れて良かった。
旅行3日目、帰宅の路に着く前。
いつも宿泊者全員と全部のおイヌ様とで
ペンションの看板前で記念写真を撮るのだが、
帰りの道中が遠いからと辞退する。
本当は毎回娘がとても楽しみにしていた記念撮影だったのが、
そこに娘がいない事が辛かった。
娘だけの撮影になったが、
娘の思い出がいっぱい詰まったペンションに
再びこうして来れたのを、
きっと娘も喜んでくれているかと・・・。