ネコの額ほどの庭にも、この季節になるとさまざまな「雑草」が生い茂る。それを一生懸命に刈り取っていく。ただひたすら取っていく。しばらくすると、「雑草」の山ができる。
花を楽しむために植えた植物と、それ以外に自然に生えてきた植物。ほっておけば、「雑草」が庭の大部分を占めてしまう。だから、ひたすら刈り取っていくのだ。
作業中は何も考えない。地面と草をただただ見つめて、黙々と手を動かしていく。ときどきバッタやコオロギやクモが視界に入る。平穏な暮らしが突然に脅かされて右往左往している。
草刈りは愉しい。いつもは遠くに見える地面が目の前に現れ、ちがった光景が繰り広げられるのを間近に見られるからだ。頭のなかを空っぽにして作業を続けているうちに、汗がドドット出てくる。それもまた爽快な気分だ。
ちょっとすると、ネコの額がきれいに整う。今日の庭仕事も終わりだ。自然との語らいによって、心も洗われる。そうした愉しみを味わいながら、今日も日が暮れる。
ヘルマン・ヘッセ (1996) 庭仕事の愉しみ 草思社
花を楽しむために植えた植物と、それ以外に自然に生えてきた植物。ほっておけば、「雑草」が庭の大部分を占めてしまう。だから、ひたすら刈り取っていくのだ。
作業中は何も考えない。地面と草をただただ見つめて、黙々と手を動かしていく。ときどきバッタやコオロギやクモが視界に入る。平穏な暮らしが突然に脅かされて右往左往している。
草刈りは愉しい。いつもは遠くに見える地面が目の前に現れ、ちがった光景が繰り広げられるのを間近に見られるからだ。頭のなかを空っぽにして作業を続けているうちに、汗がドドット出てくる。それもまた爽快な気分だ。
ちょっとすると、ネコの額がきれいに整う。今日の庭仕事も終わりだ。自然との語らいによって、心も洗われる。そうした愉しみを味わいながら、今日も日が暮れる。
ヘルマン・ヘッセ (1996) 庭仕事の愉しみ 草思社