真実(veriditas)という言葉は、ドイツのベネディクト派修道院のHildegard von Bingen(1098-1179)が作ったものらしい。ラテン語でgreenとtruthを組み合わせてある。自然の緑と生命力のなかに、人間の潜在可能性と充実した人生における頂点のイメージを見出したのだ。(1)
これはレンズさんから昨日受け取った、南アフリカの心理学者が書いたpsychofortology(fortis=ラテン語で「力」の意味)についての論文のなかで紹介されていた。これまで心理学者はpsychopathology(精神病理学)について多く論じてきたが、人間のもっている力(可能性、積極性)についてもっと論じるべきだと主張している。(2)
ここ数年来、セリグマンがポジティブ心理学を積極的に展開している。それと深くかかわりながら、この論文の著者であるStumpferは心理学の歴史において、人間のもつ可能性に言及した先達を紹介する。その前段階には、自然のなかで生きる人間について考察した人々がいるという指摘が、冒頭で紹介した箇所である。
(1)Powers,P 1999 Hildegard of Bingen and the cosmology of human health. Caduceus(UK),45,20,21,24-25.
(2)Strumpfer, D,J.W. 2005 Standing on the schoulders of giants: Notes on early positive psychology (Psychoforgoloty). South African Journal of Psychology, 35(1), 21-45.