ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

落葉松

2017-02-14 04:40:58 | 短歌






落葉松の 空を浄むる やはらかき 梢を愛でて 北斗はかしぐ






*落葉松(からまつ)は文字通り落葉する針葉樹のことです。秋ともなると金色に色づいた姿が美しいが、南方のここらへんでは見ることができません。ですから写真もないので、これで我慢してください。

これはかのじょの、初期の作品です。短歌を詠み始めてから、まだ間もないころですね。もう今はない旧ブログに発表されていたものですが、ノートにメモが残っていたので、発表してみました。

北国に住むシリウスと出会って間もないころの歌です。シリウスが写した、落葉松の写真に寄せて歌ったものではないかという記憶があります。

記憶では、葉をすっかりおとした一群の落葉松の木が、夕暮れの空を背景に静かに立っているというような写真があったように思います。それが、かのじょには、落葉松が箒のように空を掃き清めているような感じに見えたのです。

ああ、あの落葉松の梢は、箒になって、空を掃き清めているようだ。そしてわたしは知っている。あなたはそのように、世界を清めてくれる人なのだ。そのあなたの心が美しいから、空に傾いている北斗七星のように、神が顔を傾けて、あなたを見に来るだろう。

そういう心を秘めて詠われた歌ですが、真意は誰にも届かなかったでしょう。当のシリウス本人にも、わからなかったでしょう。

かのじょは、彼に出会ったとたん、彼がそういう人だとわかったのです。あれは、あの人だと、わかったのです。

わたしたちは、この地上で会うことはまれですが、霊的世界にある故郷では、お互いを深く知っています。だから、この世で初めて会っても、なんとなく互いがわかるのです。

シリウスも、のちに、美女の姿をしたかのじょの中にいる、ほんとうのあの人を感じて、わかったはずです。ああ、こいつを知っていると、思ったはずです。

霊魂の邂逅は奇跡だ。なつかしさが強い望郷の念を産む。帰れるところがあるが、今は帰れない。わたしはここでやるべきことをやらねばならないのだ。あなたも、きっとそうなのだろう。

あの頃の世界は苦しすぎた。かのじょもシリウスも傷つきすぎていた。それを何とかしまくった結果、とうとうかのじょは倒れた。

もうこの地上世界では、二度とあなたに会うことができない。








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