花を踏む こと悔やまずと いふ人よ 夢詩香
*昔から男は、セックスをすることだけを目的に女性を利用してきました。
女性に心があるなどとは思いたくなかった。なぜならそれだと、自分のしたことが悪いことになるからです。
女は馬鹿なのだ。花のように、踏んでも、別に悪いことにはならないと、思いたかった。そうでないと男が汚くなりすぎる。
だが、女性を裏切ったことのある男というのは、いつも目が凍り付いたように固まっています。常に呵責にあぶられている心が痛くて、そんな自分の心をないものにしたいとでも言うように、目が死んでいる。
馬鹿なことをした自分が痛い。いやな男になって、女性に嫌われるのが怖い。馬鹿な男が考えているのは、それくらいのものだ。
それで呵責に耐えられなくなると、馬鹿のなかに自分を捨てて、とんでもない馬鹿になってしまうのです。本気で女性を肉のように食うようになる。それを恥じることもできなくなる。嫌なことばかりをするようになり、ずるいことでたらふく金を儲けることにばかり更けるようになる。
そんなことでもなければ自分に耐えられないからです。
男は汚いものだ。悪いものだ。悪いことができなければ男ではない。
確かに男は悪いことも痛いくらいはできないといけないが、そればかりではとてつもなく嫌なものになる。実質、偉いことがとても大きくできる男でない限り、悪いことというのはやってはいけないのです。
まだ小さなうちは、まじめに良いことを積み重ねていった方がいい。
道端の小さな花だとて、踏まれるのは痛い。だが、花がそれで苦しいほど人間を責めないのは、踏まれたくらいでは滅びることはないからです。だが、女性というものは、一度傷つけてしまうと、そのまま死んでしまい、二度と帰ってきてくれなくなることがある。
心を踏みにじるようなことをしてはいけませんよ。悪いことをしたのなら、正直に謝り、償わなければなりません。いつまでも、男の権威をかさにきてごまかすことはできない。
女性に謝ることさえできないような馬鹿だから、男はここまで間違ったのです。