ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

逃れ逃れて

2019-10-08 04:44:15 | 短歌





とこしへに 逃れ逃れて われになき ものとならむと ねがふ馬鹿かな





*わかりやすい作ですね。訳す必要もないかもしれませんが一応やっておきましょう。

永遠に自分から逃げつづけて、自分ではないものとなろうと願う、馬鹿であることよ。

実際馬鹿な人間はこういうことを考えています。自分が嫌でたまらないのです。自分は嫌なことをしているとても嫌なやつだからです。だからこんな自分であることが嫌で、人から盗んだもので自分を作り変え、それを生きようとします。しかしそのためには、他人からいいものを盗まねばならず、そんなことをしている自分がまた汚くて、逃げたくなる。

何度もここで教えましたね。馬鹿者の負のスパイラル。自分を嫌がってそれから逃げようとしている限り、苦悩は終わらないのです。

馬鹿者というのは、永遠に逃げられはしない自分からずっと逃げようともがいている。それだからこそ自分が苦しむのだということが、わかっているようで、わかっていない。理屈ではわかっていても、とにかく自分が嫌なのです。自分をよくするために、汚いことをしている自分がつらくてしょうがないのです。

それを解決するためには、もう嘘をすっぱりと脱いで、本当の自分に戻り、本当の自分を生きていくしかないのだが、馬鹿者はそれだけは嫌だというのです。なぜなら、馬鹿者は本当の自分を生きたことがほとんどないので、本当の自分がとても苦しいものになっているからです。

嘘でもきれいな自分がいい。だからほかの美しい人から顔やいろいろなものを盗んで、自分をきれいにするのですが。

どんなに表面をきれいにしても、漏れ見えてくる心が全然違うことを言っている。それを感じる人の心をもうごまかせない。

それなのに馬鹿者はまだ逃げ続ける。永遠に逃げて逃げ続けていけば、とうとうほかのものになれると思い込んでいるかのように。

馬鹿はその結果がどんなものか、まるでわかっていないのです。





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