天くらき まよひの日々を かへりみて けふ振り捨てし 凡庸の夢
*「凡庸の夢」とは何でしょうね。それは自分だけ幸福であればいいという、下衆の願いです。美貌に恵まれて、人より羽振りのいい、何もいやなことのない人生を生きたい。馬鹿な人はそういうことを一度は願ったことがあるはずだ。
そしてそのために、裏からいろいろと努力している。人から美貌を盗んで自分にくっつけ、人から徳分を盗んで羽振りのいい人生を演出し、嫌なことから逃げるために裏からいろいろと操作する。
全部、思い通りの人生が欲しい。そのためには、人のことなどかまいはしない。
こういう人は、自分の幸福を作るために、それは多くの人を犠牲にしているのです。美貌やそのほかのいいものを盗まれた人は、みなそれは苦労している。
しかしそういった偽物の人生を生きている人も、幸福かと言えばそうではない。自分の嘘が常に自分を苦しめている。見栄えは幸せそうな自分の暮らしを人に見せつけながら、目が虚無感にしびれている。
ほんとうの幸福とは、そんなものではないからです。
本当の幸福とは、嘘ではない真っ正直な自分を生きて、神の前に恥ずかしくない本当の自分を生きている、美しい自分であることなのです。
人間はもうそれがわかるようになった。そういう段階に来ているのに、いまだに馬鹿な凡庸の夢に浸っているのは、賢いことではありませんよ。
嘘で作った自分を捨て、本当の自分に戻り、本当の人生をまっとうに生きていきなさい。そうすれば、あれほど欲しかった本当の自分の美を、見つけることができるでしょう。