Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

出社

2020年05月09日 05時42分59秒 | 日記
5月8日 金曜日 五月晴れの空に鮮やかな新緑がまぶしい。
まさに「目には青葉」の候だ。
そして、その緑を縫うようにうす紫色の山藤が垂れている。
空を薄く刷く雲。晩春から初夏へ。何もかもが美しい。
コロナウィルスさえなければ……つい、愚痴りたくなる。
どうやら天気は下り坂。明日、明後日は雨模様になるらしい。
当然、終日のSTAY HОМEということになるのだろう。

   久しぶりに会社に出かけてみた。
   手帳を繰れば、4月3日に出社したのを最後に、
   以来、この日までずっと自宅待機したままだった。
   会社は福岡市随一の繁華街・天神地区にある。
   これまで通り車で向かう。9時少し前、確かに走っている車は
   以前より少なくなっているように感じる。天神に近づくほどそうだ。
   人の姿もそう。平日の金曜日だから、各社とも業務しているはずだが、
   時差出勤したり、テレワークしたり、そんな工夫の効果なのかもしれない。
   会社指定の駐車場も空きが多く、何の心配もなく止められた。
   中心街の駐車場だから時に満車状態となって、
   慌てて周辺の駐車場を探し回ったことが何度かある。
   この日は、右も左も空きスペースで悠々と入れることが出来た。
                                   
                                               週末の天神地区
会社まで5分程度歩く。ひと月以上もご無沙汰していた街の様子を
キョロキョロと見回しながら社へ向かった。
チェーンのコーヒーショップが閉店している。
出社途中よく立ち寄る店だが、3月に入るとすぐに全席禁煙に踏み切った。
そのせいだったのだろう。客が激減し、そこへコロナウィルス禍である。
耐え切れず一時閉店に踏み切ったようだ。
その数軒先の居酒屋も一時休業のお知らせを張り出している。
この付近は会社も多いから、昼食あるいは仕事帰りの
会社員を目当てにした飲食店も多い。
もう少し回ってみたら、おそらく一時休業している店が他にもあるかもしれない。

   社員30人足らずの小さな会社だ。
   緊急事態宣言下、ご多聞にもれず大変厳しい状態にある。
   電話でそう聞くと、やはり心配だ。
   事務所には5、6人ほどの社員しか出社していなかった。
   在宅勤務、あるいは有給休暇を織り交ぜながら凌いでいるのだという。

現在の社長は、創業者である実父の跡を継いだ2代目。
私より15歳下で、2人で先代社長を支えてきた。
社員を解雇せず、会社を存続させていくにはどうしたらいいか。
頭の中は、そんな思いでいっぱいに違いない。
30分ほど話をした。
「大変だね。大丈夫か」
「こんな経験はしたことがありませんからね。
こうすれば大丈夫なんてことが見えない不安はあります。
それは誰もが同じでしょうね。だから、困った、困ったと
言っていてもしようがありません。
おそらく、このコロナによって日本、いや世界が大きな変革を迫られるはずです。
社会が、経済がどう変化していくかを的確に見極めながら、
会社自体も変化していかなければならないと思います。
弱音を吐いていてもしようがありません。
会社を新たに変革させていく、そんな機会を得たのだと思うようにしています」
そんな話を聞いて安心した。
「先輩たちが築いてこられた会社です。そう簡単には潰せませんよ」とも。
「健康に気を付け、頑張って……」それだけ言って社を出た。
コロナには負けない──ちょっと安心し、清々しい気分にもなれた日だった。


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