Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

マナ

2020年03月30日 13時01分07秒 | 日記
この子はマナという。4歳の女の子、いや女性だ。

   本当に元気が良い。
   幅が20㍍ほど、長さが70、80㍍の扇型をした川べりの砂場
   ここが、この子の遊び場で雨など天気が悪い日を除くと
   毎朝のように駆け回っている。
   また、すっくと首を伸ばし端正な姿で立っている白サギを狙い
   あるいは飼い主の老婦人が投げる小石を追って川の中に飛び込む。
   深くはない。水の中に入っても歩けるほどしかない。
                           
少し離れた所で飼い主の老婦人が
まぶしい陽ざしに左手をかざして、動き回るマナを眺めている。

   こんなに元気なこの子は捨て犬だった。
   人の身勝手さに傷つき、翻弄され
   動物愛護管理センターで、あるいは殺処分されかねない身の上だった。
   幸い今の飼い主に引き取られ、家族の慈しみの中で安穏に暮らしている。
   それでもどんな辛い思いをしたのか、当初は
   「人への警戒心が強く、こうやって外に出るのも
   この砂場遊びの時くらい」だったそうだ。

そう言えば、近くによると尻尾を垂れ、俯き加減になり、
上目づかいにこちらをうかがうなど警戒、いや恐れているような素振りを見せた。
ウォーキング途中、マナを見かけるようになってからにもう1年以上。
「マナ」と呼びかけると以前より少し慣れたのか、こちらに近づいてくる。

   突然、苦くて辛い記憶が甦った。
   幼い頃、我が家にも白い子犬がいた。
   ある日、いつものようにじゃれ合うようにして遊んでいたら
   何をどうしたのか自分でもよく分からないのだが、
   突然、その子犬を投げ飛ばしてしまったのである。
   子犬は「きゃん」と言ったきり起き上がらず、そのまま死んでしまった。
   「ごめんなさい、ごめんなさい」泣き叫びながら
   自分の内に潜む残虐性におののいた。
                 
福岡県も連日、新型コロナウィルスの感染者が増えていき
ついに不要不急の外出自粛要請となった。
29日の日曜日は、東京をはじめ関東地方は雪が降る
真冬並みの天候だったようだが
福岡地方は風が少し冷たくはあったが、陽春の候となった。
外出自粛と言われたとあれば、もっぱら家で過ごすこととなったが
午前中、1時間ほど夫婦連れだっていつもの川べりへウォーキングに出かけた。

   今日もマナはいた。1年前より体が一回り大きくなっている。
   元気なのは相変わらずだ。
   走り回っている。
   そして、白さぎを追い、小石を追い水へ飛び込んでいく。

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1 コメント

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はじめまして (ハゲオヤジ)
2020-03-30 17:25:30
いつもお世話になっております。
ユキのハゲオヤジです。
マナちゃんを見たら、年齢といい見た目といいユキに見えたので・・。

いつか、ユキもこのようになっていることを・。
でも、犬それぞれ・・お互いが共に幸せならばいいんです。
ちょっと感傷的になってしまいました。
失礼いたしました。
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