新型コロナウィルスの感染が全世界へと広がっている。
危機感は増すばかりだ。
トイレットペーパーなど紙類の買いだめは、どうやら落ち着きを取り戻しつつあるが
マスク不足は相変わらずで、ドラッグストアやスーパーでは開店前から長い列ができる。
さらに外出自粛要請が相次ぐと、今度は食料品等の買いだめが起きる。
人の心理は不安へ、不安へと追い立てられる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/d4/13d4cf3b3905b4a62d8dd89eccec7018.jpg)
そうした事態に、70歳以上の人は、おそらく1973(昭和48)年の
オイルショックを思い起こすだろう。
あれは、中東の産油国が値上げと生産削減を発表したのが引き金となった。
これが、エネルギー源として大量の原油を輸入している日本を直撃。
石油価格はもとより、すべての商品が値上がりし
「狂乱物価」という言葉さえ生まれた。
「物がなくなる」と思い込み、買いだめに走った消費者によって
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/18/7d6ec743e5538f660a2ae32eca6a9a04.jpg)
各地でパニックが起きた。
象徴的だったのがトイレットペーパーで
スーパーには長蛇の列ができ、激しい奪い合いさえ起きた。
今度のコロナウィルスにより、マスクがない
トイレットペーパーがスーパーの店頭から消えたなどといった騒動は
「あの時もそうだったな」との思いにさせる。
ところが、同じ職場で机一つ隔てて座る40歳代半ばの彼は
「『平成の米騒動』を思い出しますね」と言う。
『平成の米騒動』と言われてもピンとこない。
急ぎ調べてみると、こういうことだった。
1993(平成5)年産の米の作柄が、記録的な冷夏や日照不足によって
「著しい不作」となった。
加えて在庫米も少なく、安定供給が難しい状況になった。
それで、米を求めての騒動が起きたというわけだ。
深夜に自宅近くのコンビニで運よくマスクが買えたことで、
この『米騒動』の記憶を呼び覚ましたという。
当時、大学生だった彼は
「緊急輸入された外国産米のまずかったこと」も覚えているそうだ。
年齢が30余歳も違うと、脳裏に焼き付いている思い出もまた
それぞれに違ってくる。当然なことであろう。
一つ言えるのは、命さえ危ぶまれる切迫感
それがどれほどのものか、その濃淡の違いがあるように思える。
この新型コロナウィルスは、今生きている人にとっては
「こんな出来事は初めて」に違いなく、将来
「あの時、コロナウィルス騒動といったものがあったな」と思い返すことだろう。
少々のことでは消えそうもない
そんなインパクトを与えているコロナウィルス禍である。