【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

シール集め/『名犬ラッシー』

2009-07-24 18:02:02 | Weblog
 行きつけのパン屋では、「お買い上げ300円ごとにシール1枚」をつけてくれます。それを台紙に張りつけていくと100枚で1冊が一杯になります。つまり最低3万円はそこで買っているわけ。で、この4~5年ずっと貯めていたら、とうとう8冊になりました。こんどお目当ての景品に交換に行きますが、なんと最低24万円買っているわけですか。1回1回は大したことありませんが、これは上得意ですよねえ。

【ただいま読書中】
名犬ラッシー』エリック・ナイト 著、 高瀬嘉男 訳、 岩崎書店、1973年(86年13刷)、680円

 ヨークシャーの寒村、サムの家で飼われているラッシーは、とても頭がよいコリー犬でした。たとえばサムの息子ジョーが午後4時に学校から帰ることをちゃんと覚えていてその5分前に学校に迎えに行きます。サムの家族だけではなくて村のみなが、ラッシーを愛していました。しかし、サムが働く炭坑は潰れ、失業手当だけでは暮らしていけず、ついにサムはラッシーを公爵に売ってしまいます。ラッシーはなんども脱走して学校にジョーを迎えに行き、そのたびに公爵家に連れ戻されます。ラッシーははじめは檻に閉じ込められ、ついには鎖につながれてスコットランドに連れて行かれてしまいます。しかし「午後4時」になるとラッシーはそわそわし始めます。公爵の孫娘は、ラッシーを逃がしてやります。ラッシーは南を目指します。直線距離で640km(巨大な湖などの迂回を重ねたら1600km)も向こうの「主人の家」を。飼い犬のラッシーにそれは苦闘の旅でした。人間に近づくと嫌なこと(捕まえようとしたり石を投げたり銃で撃ったり)が起きるため、人を避け、餌をなんとか自力でとり、本能だけに従って進路を決めます。しかし、とうとう野犬狩りにあい、ラッシーは収容所に入れられてしまいます。
 人間はラッシーの「敵」だけではありません。「味方」もいます。野犬狩りから守ろうとする人や倒れたラッシーを看病する人など。こんな場合、効果を上げるためには、金持ちを嫌な奴にして貧しい人間を優しい人間にしたら良さそうですが、本書ではそんな単純な手は使いません。人は様々、犬も様々、です。特に本書の後半、老夫婦や旅回りの瀬戸物屋のエピソードは著者の筆が冴えます。
 そしてラスト。いやもう、これは読むべし。泣き笑いのみごとなエンディングです。

 私はテレビの影響で「名犬ラッシー」と言えば、アメリカの田舎町の物語と思っていました。いや、本書を読んで良かった。『黒馬物語』もそうですが、これは動物物語であると同時に、その周りの人間、そして「その時代」を活写した物語でもあります。