【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

攘夷

2016-07-06 06:39:18 | Weblog

 欧米や日本では貧しい移民が嫌われています。
 今回のバングラデシュでは「豊かな外国人」が嫌われたようです。
 世界中どこでも「攘夷の時代」ですか?

【ただいま読書中】『奇妙な孤島の物語 ──私が行ったことのない、生涯行くこともないだろう50の島』ユーディット・シャランスキー 著、 鈴木仁子 訳、 河出書房新社、2016年、2900円(税別)

 本書では50も島が紹介されているのですが、私が名前を聞いたことがあるのは、「セント・ヘレナ島」「イースター島」「硫黄島」くらいです。
 ページを開けると、見開きの左側に島の地図、右側に日本語でその島の物語が描かれています。
 トップは「孤独」。北極海にある小さな島ですが、ノルウェー語で「Ensomheden(孤独)」と名付けられたのです。のちにソ連によって支配されロシア語で「ウエジネニア島(隠棲の島)」と名付けられました。「名は体を表す」が真実なら、この島の“体”は一体どんなものなんでしょうねえ。
 「ラパ・イティ島」(フランス領ポリネシア)では不思議な物語が登場します。フランスで生まれ育ったマルク・リブランという男の子が6歳の時から夢の中で知らない言語を習い、とうとうすらすらしゃべれるようになってしまったのです。ところがそれがどこの言葉が誰もわかりません。言語学者は匙を投げようとし、港の酒場で水夫に尋ね回ることにしました。すると、マルク・リブランの言葉が、ポリネシアのラパ語であることが判明しました。
 カニとアリの生存競争、水爆実験、行方不明になった人びと、流刑地の島で地獄のような日々を過ごしていた囚人たちにたった一日訪れた至福の一日……
 文章は簡潔で詩的です。絵のページは、きれいな淡いブルーをバックに島がくっきりと浮かんで見えます。もちろんこのブルーは海ですが、いろいろな形や大きさの島を眺めていると、私はなぜかそれらの島々が青空(あるいは宇宙)に浮かんで並んでいるかのように思えてきました。
 大人のための絵本、と分類することも可能かな。海底火山の噴火を「人が知らないところでの地球のひとり言」と表現できる人の本です。よろしかったら、お楽しみください。