【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

片思い

2016-07-30 07:06:14 | Weblog

 恋って基本的に片思いで始まるものだと私は思っています。で、その中で奇跡的に両思いになるものもある。だったら告白して断られたらそれで恋が終わるか、と言えば、「片思いに戻る(戻る、というか、両思いになれなかった)」だけですよね。だったら「恋が終わる」かどうかは、自分で決めれば良いことでは? 片思いをやめるかどうかを決めるのは、自分自身なのですから。

【ただいま読書中】『脳内ポイズンベリー(2)』水城せとな 作、集英社クリエイティブ、2012年、419円(税別)
『脳内ポイズンベリー(3)』水城せとな 作、集英社クリエイティブ、2013年、419円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00WG29448/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00WG29448&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 第1巻では早乙女くんに「このビッチ」と衝撃の決めつけをされたいちこさんですが、次の衝撃波が続きます。早乙女くんの元カノ(というか、彼女には別れた意識なし)が押しかけてきて、そこで修羅場が。「ビッチ」はどこかにすっ飛んで行ってしまいます。その衝撃のため精神的に疲労困憊したいちこさんは、仕事に生きることを決心。仕事だったらやりがいも生きがいも締め切りもある、恋愛とは違う、と頑張ります。脳内会議の面々もそれなりにハッピーとなります。しかし早乙女くんが予想外の行動を。おかげで二人は元の鞘に。またまた疲れる恋愛がだらだらと続くことになってしまいます。いや、早乙女くんは素敵なのです。彼からの平凡なメールでさえ、胸がきゅんとするのです。だけど、会話がうまくやり取りできず、すれ違いばかりで、疲れるのです。
 対して、仕事を一緒にしている越智さんは「大人」です。話をしていても順調で、疲れません。ときめきもありませんが。恋愛をするなら早乙女くん、結婚をするなら越智さん。二人の間で揺れるいちこさん、というか、呆然としているだけのいちこさん。
 取材で出かけた鎌倉で、なぜかお互いの「暗黒付箋の付いた記憶」を交換してしまった二人は、うっかりキスをしてしまい、いちこさんはそれを「なかったこと」にしようとしますが、越智さんは結婚を前提の交際を申し込んできます。
 脳内会議は紛糾します。安定を取るか、ときめきを取るか。さらに、男と一夜を共にして次の夜に別の男とキスをするのは「ビッチ」ではないか、という指摘でも会議は荒れます。脳内会議が紛糾すればするほど、いちこさんは表面的にはぼーっとしているだけに見えます。それでもついに脳内会議は「早乙女くんとは別れる。越智さんと付き合う』という結論を出します。無理矢理出してしまいます。
 本も出ます。アルバイト感覚で書いていたケータイ小説が出版されたのです。そしていちこさんはついに越智さんと正式に付き合うことになりますが……
 脳内会議のドタバタぶりといちこさんの表面のギャップの大きさが,実に笑えます。で、自分自身の脳内会議がどうなっているのか、も気になります。もちろん他の人たちのも。