「は」を「ha」と読んだり「wa」と読みます。「お」と「を」はどちらも「o」と読みます(「o」と「wo」と読み分けている人は恐らくごく少数派のはずです)。「が」は濁音でも鼻濁音でも「が」です(鼻濁音が発音できない、聞いてもわからない人がすでに多数派かもしれません)。
よくもまあこんな“難しい言葉”を日々操っているものだ、と私は自分に感心します。
【ただいま読書中】『漢和辞典の謎 ──漢字の小宇宙で遊ぶ』今野真二 著、 光文社新書806、2016年、860円(税別)
昨日の『バイエルの謎』の次は「漢和辞典の謎」です。私は「謎」が好きなようです。
英語の辞書として「英和辞典」と「英英辞典」があります。だったら「漢和辞典」に対して「漢漢辞典」はあるのか?という疑問から本書は始まります。たぶん中国にならあるでしょうね。「漢語」を中国語(漢文)で説明した辞書です。
弘法大師が編んだと言われる『篆隷万象名義(てんれいばんしょうめいぎ)』が日本人が編んだ最古の辞典とされているそうです。これは「漢字の篆書や隷書」についての解説本ですが、まだ「漢漢辞典」です。平安時代初期の『新撰字鏡』が日本最初の「漢和辞典」となります。ただしまだ「仮名」は使われず、日本語の読みもすべて漢字で書かれています。鎌倉時代の『字鏡』はさすがに漢字と仮名とが使われて、だいぶ「辞書」らしくなってきています。まだ情報量は不足気味ではありますが。室町時代頃の辞書では「言語生活の中で使う」ことが意識されてきているようです。載せられる情報は増えますが、同時に「使わないもの」は削られるようになります。「見出し語が多ければ良い辞書」ではないわけです。
漢和辞典の使い方は、字画・部首・読みのどれかで探すことになります。ところがこれが結構難物。たとえば「部首」で著者は「一点しんにゅう」と「二点しんにゅう」の問題について熱く語ってしまっています。私だったら「草冠の字画は3か4か」について語ってしまうかもしれません。総画数もなかなか大変ですが、私は地道に指折り数えるか、さもなければ総画数に「○画~×画」と範囲を持たせてパソコンで文字検索をかけてしまいます。ありがたい時代になりました。
本書に登場する「漢字」「漢和辞典」に関する知識は、本当に豊富です。テレビのクイズ番組のネタ本にも使われるかもしれませんから、そういった番組に出る予定のある人は一読しておくと良いかも知れません。
ただし、本書で「漢字に関する部分」は大変面白いものでしたが、私は「ひらかな」のところで躓いてしまいました。本書では「です・ます」と「ある・である」が無秩序に混在していて、そこで引っかかってしまったのです。編集者は何も言わなかったのだろうか? そういった些末な謎が、気になります。
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