瞑想と精神世界

瞑想や精神世界を中心とする覚書

ヴィパッサナー瞑想と心理療法①

2004年09月22日 | シリーズ精神世界の旅
◆なぜヴィパッサナー瞑想に深い影響を受けたのか 
 ヴィパッサナー瞑想に出会うまでの道のりは、人によって千差万別だろう。私の場合は、ロジャーズ派のカウンセリングを中心としたいくつかの心理療法を少し学んだ経験が、出会いに大きな影響を与えている。ヴィパッサナー瞑想は、現代の心理療法の視点からしても、深い人間理解に基づく驚くほど洗練された方法をもっている。そう感じたことがこの瞑想法に共感し、足を踏み入れた理由のひとつだ。

ヴィパッサナー瞑想の方法は、グリーンヒル瞑想研究所の合宿でその一端に触れた。心随観を含むヴィパッサナー瞑想のシステムの全貌は、日本ではまだほとんど知られていないようだ。もし、研究所で指導されるこの方法がまとまった形で公開されるなら、日本の心理学・心理療法の世界に衝撃を与えるにちがいない。ヴィパッサナー瞑想のシステムは、私が知りえた乏しい知識と経験からだけでも、日本で知られる心理療法の技法を包み込んで超えていくような深さをもっている。地橋先生のご著作の出版が待ち望まれるゆえんだ。

 心理療法の視点からヴィパッサナー瞑想がどう見えたか、一・二点を挙げよう。心理療法といちばん共通性が高いのは、もちろん心随観だ。地橋先生が折に触れて語るように心随観ではラベリングがとくに重要な役割を果たす。現在の自分の心の状態を適確な言葉でつかみとる(ラベリングする)とき、そこに自己洞察が生まれ、変化が生じる。

 これはまさにロジャーズ派のカウンセリングなどの原理そのものなのだが、いちばん大きな違いは、ヴィパッサナー瞑想ではカウンセラーがいないことだ。カウンセリングでは話し手は、カウンセラーの受容的な態度に支えられて自己の心を語り、今まで受け入れられなかった自分自身のあるがままの姿への洞察と受容を深めていく。
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