ある会合で知り合った方から、数か月前にいっしょに読書会をやらないかというお誘いを受けた。それぞれに何を読むか提案しようということだった。彼は、現象学や仏教に関心が深いので、私からケン・ウィルバーの本を提案し、それが受け入れられた。彼と私のほかにもう一人の参加者がいて、お二人ともケン・ウィルバーは読んだことがないというので、『意識のスペクトル 1
』を読むことを提案した。ウィルバーが29歳のときに出版した処女作だ。私自身も十数年ぶりに読み返したいと思っていたので、7月に一度やった読書会は楽しかった。ただその後は、読書会の提案者の方の家庭の事情で行っていない。
以下は、そのときのレジュメである。章ごとに要約している。読書会が再開されるか否かにかかわりなく、第3章以降の要約も、このブログに掲載していこうと思っている。
K・ウィルバー『意識のスペクトル[1]意識の変化』
第1章 意識のスペクトル
(意識のスペクトル論のごく簡単な紹介)
意識を一つのスペクトルとみなすことで、ある包括的な視点が得られる。意識のさまざまな探求者たち、とりわけ「東洋的」、「西洋的」と呼ばれる人たちは、互いに異なった言語、方法論、論理を用いているため、自分たちが全員、まったく同一のスペクトルの異なった帯域、あるいはレベルにのめりこんでいることに気づいていない。互いに互いが誤っているとする論争は、各人が別々のレベルから一つのスペクトルについて語っていることを認識することによって、はじめて解決される。(p5)
意識のスペクトル論
1)自我のレベル‥‥自分の役割、自分自身の像、自己イメージの意識的側面と無意識的側面を含むとともに、知性ないし「精神」の分析的、識別的性質をも包摂する帯域。
2)実存のレベル‥‥有機的全体、肉体と霊を含む、すなわち存在、つまりは生の基本感覚と、その感覚を多様に形どる文化的前提をあわせて包含する。
自己イメージの「奥」に感じ取られる全有機体的な存在感覚自分が自らのあらゆる体験の主体として個別に存在するという内的確信。(→cf:ロジャーズの自己実現※)
3)心のレベル‥‥一般には神秘的意識と呼ばれ、自分が根本的に宇宙と一つであるという感覚をともなう。(p11・12)
※「自分が"自分"になる」ということ(実存のレベル)の真意は、ロジャーズの次の言葉に端的に示されている。 「私が自分自身を受け入れて、自分自身にやさしく耳を傾けることができる時、そ して自分自身になることができる時、私はよりよく生きることができるようす。 ‥‥言い換えると、私が自分に、あるがままの自分でいさせてあげることができる 時、私は、よりよく生きることができるのです」 こうして、現実の、あるがままの自分を心の底から認め受け入れた時、どのよう な変化が生じるのか。これもロジャーズ自身によって次のように表現されている。
1)自分で自分の進む方向を決めるようになっていく
2)結果ではなく、プロセスそのものを生きるようになる
3)変化に伴う複雑さを生きるようになっていく
4)自分自身の経験に開かれ、自分が今、何を感じているかに気づくようになって いく
5)自分のことをもっと信頼するようになっていく
6)他の人をもっと受け入れるようになっていく
以下は、そのときのレジュメである。章ごとに要約している。読書会が再開されるか否かにかかわりなく、第3章以降の要約も、このブログに掲載していこうと思っている。
K・ウィルバー『意識のスペクトル[1]意識の変化』
第1章 意識のスペクトル
(意識のスペクトル論のごく簡単な紹介)
意識を一つのスペクトルとみなすことで、ある包括的な視点が得られる。意識のさまざまな探求者たち、とりわけ「東洋的」、「西洋的」と呼ばれる人たちは、互いに異なった言語、方法論、論理を用いているため、自分たちが全員、まったく同一のスペクトルの異なった帯域、あるいはレベルにのめりこんでいることに気づいていない。互いに互いが誤っているとする論争は、各人が別々のレベルから一つのスペクトルについて語っていることを認識することによって、はじめて解決される。(p5)
意識のスペクトル論
1)自我のレベル‥‥自分の役割、自分自身の像、自己イメージの意識的側面と無意識的側面を含むとともに、知性ないし「精神」の分析的、識別的性質をも包摂する帯域。
2)実存のレベル‥‥有機的全体、肉体と霊を含む、すなわち存在、つまりは生の基本感覚と、その感覚を多様に形どる文化的前提をあわせて包含する。
自己イメージの「奥」に感じ取られる全有機体的な存在感覚自分が自らのあらゆる体験の主体として個別に存在するという内的確信。(→cf:ロジャーズの自己実現※)
3)心のレベル‥‥一般には神秘的意識と呼ばれ、自分が根本的に宇宙と一つであるという感覚をともなう。(p11・12)
※「自分が"自分"になる」ということ(実存のレベル)の真意は、ロジャーズの次の言葉に端的に示されている。 「私が自分自身を受け入れて、自分自身にやさしく耳を傾けることができる時、そ して自分自身になることができる時、私はよりよく生きることができるようす。 ‥‥言い換えると、私が自分に、あるがままの自分でいさせてあげることができる 時、私は、よりよく生きることができるのです」 こうして、現実の、あるがままの自分を心の底から認め受け入れた時、どのよう な変化が生じるのか。これもロジャーズ自身によって次のように表現されている。
1)自分で自分の進む方向を決めるようになっていく
2)結果ではなく、プロセスそのものを生きるようになる
3)変化に伴う複雑さを生きるようになっていく
4)自分自身の経験に開かれ、自分が今、何を感じているかに気づくようになって いく
5)自分のことをもっと信頼するようになっていく
6)他の人をもっと受け入れるようになっていく