「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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巨匠市川崑監督の死から考える長井健司

2008-02-20 00:35:32 | その他
「ビルマの竪琴」を撮った市川監督が先週なくなりました。
市川監督は横溝映画で有名ですし、
斬新な映像美が特徴ではありますが、
それだけでなく、
この「ビルマの竪琴」を二回撮ったことでも知られています。
「ビルマの竪琴」というのは
竹山道雄の有名な児童向けの小説ですが
作家自身がビルマにいかずに書かれた作品ですが、
水島上等兵という鎮魂のためにビルマにとどまるという
利他的な存在を中核に据えた作品でもあります。
仏教的なビルマの人々に囲まれ
ビルマ戦線で死んでいった戦友たちを思い、
この地を離れられない水島上等兵の存在は
戦後すぐの日本人の心をゆさぶったものです。

長井さんのお父様も、このビルマ戦線に参加されていました。
僕は先日、今治でこのお話を伺ったとき、
不思議な感じがしたものです。
おそらくお父様もビルマ戦線で大変な思いをされたと思います。
そして、半世紀の時を経て、長井さんがビルマで
このようなことに遭遇するのも何かの縁を感じます。

利他的な存在で、ビルマ民衆と寄り添い、ギターも弾く長井さんと
利他的で、ビルマの僧となり、竪琴を奏でる水島上等兵が
僕の中では、重なる気もします。

そして、市川崑監督は
戦争への強い思いが異例の二度の映画化になったようです。

市川監督が
もし長井さんを映画にするとしたらどういう映像になるだろうかと
もはや、ありえないことを夢想してしまいました。

遅くなりましたが市川崑監督のご冥福をお祈りいたします。