厚生事務次官らの連続殺傷事件は、
警察、官邸幹部が大合唱した見方とは異なり、
まったく
「テロ」と呼べるレベルのものではなかった。
このブログでは19日のエントリーで以下のように述べた。
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ただ、
今回の行為を年金問題に関してのテロ行為であると
考えると事態を見誤る可能性が強いと思う。
年金問題のスペシャリストである
元厚生労働省幹部をターゲットにはしているが
本質的に何かの政治的な目的があるかどうかが
テロとの境目になる。
現段階では、その政治目的ははっきりしない、
というよりもなしに近い。
むしろ、テロを装う形で人を殺害し続けることで、
メディアに報じられることとなり、
かなり自己顕示欲を発散している
ゆがんだ人格が垣間見える気がする。
年金問題が問題だからといって、
過去の厚労省幹部を殺害することに
本質的な意味はない。
自己のグロテスクな欲望をひけらかす犯人に
未来はまるでないと断言しておく。
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当初から、意味なく
「テロ」の大合唱をしていたことには
日本の治安機関の幹部もしくは出身幹部が、
事態の本質よりも、
権益拡大や政府での自分たちの評価のために
事柄をふくらませていた情けない状況が
浮かび上がる。
テロであることを麻生総理が、
会見で言明してしまっているのは
こうした連中の報告を丸呑みしてしまっていることだ。
こうした治安関係者のいい加減な報告から、
さらには政府首脳の判断ミスで
悲惨な事態が起きることは、
他国ではイラク戦争というわかりやすい例もある。
さて、この犯人がマスコミ各社にメールしていたことや
飼い犬を殺処分されたことのうらみを供述していることなどから
本当に「グロテスクな欲望」を
ひけらかしていただけだとわかってくる。
(犬は容疑者の親が保健所に連れて行っており、
保健所が勝手に収容した犬ですらない。)
犯人が、何十年もこうした意識下にあることが
どこからも放置されていたという事実に僕はまず驚く。
そして、こういう人間が、
高級官僚は悪なので殺してもかまわないという
全く得手勝手な判断基準を有していたことにあわせ、
メールを報道機関にかなり送りつけ、
車で桜田門の正面に乗りつけるなど
おそろしいほどの
自己顕示欲のかたまりになっていたことがわかる。
以前、事件といえば犯行動機が語られるものだが、
こうした事件について、その動機を探ることに
ほとんど意味もないように見える。
こうした「意味なき殺人」は
昔から「通り魔事件」という形で表出することが
多かった。
しかしながら最近この類の事件は
かなり減っているような印象が僕にはあったが、
今年になってから、土浦、秋葉原、八王子と
この種の事件が続いていた。
とくに秋葉原の事件は突出していて、
おそらくこの類の犯行をしたがっていた輩は
ほぼ、秋葉原の犯人よりも目立つことが出来なくなった。
(つまり規模的から考えて)
私見で言えば、今回の小泉という容疑者は
無差別に大量に殺すよりも、
高級官僚、特に一般に批判されている
厚生労働省の高級官僚を大量に殺害すれば、
世間にも認められ、
自分の欲望も満たせると考えたのではなかろうか。
自己が認知されず、グロテスクな欲望を
抱えている人間は
おそらく金銭的にも不安な"今"には
他にもかなりいることは、容易に想像される。
そうした人間が
また新たな「意味なき殺人」をおこなうことを
止めることも、おそらくはかなり難しい。
ミャンマー軍による長井さん殺害という
理不尽を糾弾し続けている
僕らからすれば、
こうした被害者から見れば、
災厄でしかないような殺人を犯す者のたちを
絶対に許すことができない。
しかしながら、そういう輩を批判しても
おそらくは何の抑止にもならないというジレンマにも
悩むばかりである。
だとすれば、こうした「意味なき殺人」の時代を
これ以上拡大させないためにも、
「グロテスクな欲望」をどのように抑える術を
身につけていかせるべきなのか、
綺麗事ではない率直な提案をしていかねばならないと思う。
暴力に対してどのように対峙するかを
考えるためにも。