「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

日本と世界のリアル状況確認と僕の思索を書き留めるブログ。
重要なことはメルマガで展開していますので、ご購読下さい。

天皇に手紙を渡しても何一つ解決はしません。天皇に政治的な実権が全くないからです。

2013-11-03 02:22:06 | 福島第一原発と放射能

===========================================

 最終!本日正午終了!残数1枚(ネット販売分)。

【50枚限定! バンダジェフスキー博士講演DVD販売最終募集】  

  インターネットでは最後の予約注文。日曜日正午にはネット申込は完全に終了します。

  申込先⇒ http://my.formman.com/form/pc/MlyGAkw8YHAI9oUe/

   DVD申込の詳細や注意事項は⇒http://bandazhevsky.jimdo.com/ 

===========================================

 

しつこい人たちが多いのではっきり書きます。

 なんでこんなことを2度書かないとならないのか本当にわかりませんが、日本の天皇はそもそも、戦後、おかしな存在になっていて、他国や戦前までとは違い、国家元首でも権力者でもありません。ただでさえ、長年の間、為政者が使う為にいろんなことをされている歴史的経緯があり、それでも元首の立場ならよいのですが、もう長らくその立場にはいません。象徴天皇制という耳触りの良い言葉で、ずっとごまかした立場に置かれて、人として生きる道は奪われた状態であると思います。元々の国家元首をこんなにあいまいな立場に置いていることは、日本が国家として本質的に機能中枢不在であると僕はずっと思っています。

 個人としてはいろんな思いはあるとは思います。しかし、ご本人は、福島のことに心は痛められていても、ご自身のお孫さんたちが被曝し続けている環境にあることに異論は唱えている様には聞きません。もう2年半以上が経過していますから。それでもそのままですし、高濃度汚染地の那須にも行かれますし。年齢から考えても、限界もあると思います。

 ただ、日本の政治家のほぼ誰よりも、彼がまともな人間であることは、漏れ伝わってくる話しからもわかります。しかし、この被曝の問題に対して、彼が日本政府と異なる見解を有しているとは推測できません。

 こうした状況で、尚且つ、政治的な実効権力が無い立場なのに、直訴しても、何も得られるものはありません。戦前の天皇のように、権力があるのなら、殺されてもよいから、直訴するという判断はあるとは思います。それならわかります。政府から弾圧されることが明確になればなるほど。しかし、直訴する相手が何にもできないなら、ただのパフォーマンスでしかありません。

 しかも、国会の中で、被曝問題を徹底して闘ったけれども、与野党の厚い壁に阻まれて、何にもできない状態が浮き彫りになった挙句に、この行為に及んだというなら、大義名分としてはまだ理解はできます(賛成はしません)。しかし、そういう状態でもありません(まだなったばかりです)。

 ネットの人達が何を思っていても、実質はリターンが無く、与野党のみならず、全マスコミからバッシングされて、さらにはマスコミからバッシングされた方が、得票の人気取りになっているからやっているとまで、テレビで言われる始末です。

 いいですか、政府も与野党の大半も、マスコミも、被曝懸念は無いことにしたいし、被曝を懸念している人間たちをカルト信者にしてしまいたいんです。この闘いは、こちらがカルト信者でもないのに、体制側からカルトとして分類されそうになることを、回避するしかないんです。

 こちらは、まともな主張をしているんだから、まともに話し続けるしか方法はないんです。その時に、相手に足を取られることが明らかに想定されるような手口を使ったら、ダメに決まっています。海外のメディアが讃えているといった内容を確認しましたが、ほぼ大手メディアと言えるレベルの話ではなく、海外でもネットで評価されているという事です。 

 ネットはある程度は有効ですが、ネットで世の中の多数の意識が決定されるまでの影響力は現在はありません。だから、限界があるんです。

 被曝回避の方向に、多数の国民の意識が選択すれば、状況は変わるんです。結局、それ以外に方法はないんです。そのためには、多数がどう考えるのかを、踏まえて戦術戦略を取るしか途はありません。これは、そういう戦術ではありません。

 しかも宮内庁の記者クラブというのは、社会部記者の古株も多く、前例ばかり確認したがる記者くらぶです。こんな話がおきるに決まっているんです。

 だから、はっきり書きますが、これは馬鹿なんです。マスコミの中で、心ある人間が、彼をどれだけ応援してなんとかしようとして、いろんなことを裏でしていても、ここまで馬鹿な事をするとおじゃんなんです。何にもならないんです。そういう意味で、社会的にパワーがあって、彼を助けようとするタイプの人の心はどんどん離れます。

 ネットの人達があまりにも分かっていないので書きますが、彼を潰そうと、いろんな政治的な動き、公安的な動き、週刊新潮などの動きがありました。多くの人達が心配して手助けもしました。彼の身の下の話なら、内実がどうであれ、本質とは関係ないので対応可能です。しかし、政治的な行動を本人が取って、それを攻撃されるというのは、スルーはできません。その政治行動が十分に説明できて、それが大義名分もあり、尚且つ意味がある状態でないと駄目なんです。今回は、ほぼ無理です。

 総理も天皇を政治利用としているなどという反論はたやすいですが、相手が権力側の場合、こんな議論では勝てません。権力が、象徴的な立場である天皇を利用するのは、ある意味当然です。其の為にしか、天皇は存在していませんから。天皇の本質はそこにあります。相手側のシンボル(権力ではない)に、手紙を渡しても本当に得られるものはありません。

 テレビ番組で、鬼の首を取ったように、ゲストの与野党全員の国会議員と、コメンテーターや司会者が、彼を攻撃し続けている気持ちの悪い画面を見ると(全員が攻撃、異論皆無)、視聴者の多数はその方向に誘導されるのは明らかです。テレビ屋にこんな美味しい素材を提供してどうするのですか。

 さらにネットでは、彼をスルーすることを提唱し、炎上ビジネスと同じで、実体がなく、狂信的な信者がネットで反応しているだけと揶揄される始末です。こうした言説には、彼の批判から、被曝を懸念する人=カルト信者としてしまいたい意図が見え隠れしてきます。

要はこちらがゆとりがないのに、敵に塩を送り続けている状態です。

「意味のある戦術の完全な不在」「まわりに相談をしない本人の意識」「本人の行動を管理できない事務所の無能」の3点に尽きると思います。

 僕は相当空しくなっています。ネットだけで事足りると考える、能天気な方たちとは、僕は立場が違いますから。そういう人達に対応する意味もありませんから。

==============================================

ロンドン講演の際に、欲しい人の為に、バンダジェフスキー博士の東京講演DVDを一定数、持っていくつもりです。必要な方がいましたら事前にメールでお知らせください。枚数をどうするのか、決めたいので。日本語のみ。

 

【11/6(水)木下黄太 講演 IN ロンドン】

 

 「原発事故と、フクシマ後の放射能問題について」

 

 場所:SOAS - University of London Thornhaugh Street, Russell Square, London

 

 ※午前と夕刻の2回開催。

 

 午前の部  FG 01 室

 

 日時: 11月6日(水)10:00 開場  10:30~12:30

 

 午後の部   G 51 室

 

 日時: 11月6日(水)18:00 開場  18:30~20:30

 

 一日二回開催で、部屋がそれほど大きくないため、主催サイトより予約してほしいそうです。

 

 主催者意向で入場はFreeだそうです。カンパ歓迎。

 

 予約申込・詳細⇒⇒http://januk.org/campaign.html

===============================================

【転載】

ドイツ在住のグロガー理恵さんより、326政府交渉ネット事務局へIPPNWドイツ支部議長のアンゲリカ・クラウセン女医さんの論評の翻訳(添付)が届きました。翻訳者のコメントです。

『「UNSCEARのフクシマ報告書についての医師団体による論評」発表に伴い、IPPNWドイツ支部議長のアンゲリカ・クラウセン女医がご自身のフクシマ訪問の体験を記した「フクシマ視察訪問-日本政府は被爆犠牲者を見捨てている」と題された論評を出しています。それを和訳しました。』

 http://www.ippnw.de/commonFiles/pdfs/Atomenergie/Fukushima/statement_clausse

n.pdf

「フクシマ視察訪問
日本政府は被爆犠牲者を見捨てている。」


筆者:アンゲリカ・クラウセン(Angelika Claußen)女医-IPPNWドイツ支部議長

例えば、コンピュータートモグラフィー(CT)検査のような、マイクロシーベルトの値が一桁の数値内の
範囲にある非常に低い放射線量を被爆することは、発癌または遺伝的変異を引き起こすリスクを高め
ることになる。
我々医師たちは、このことを最近の科学的研究調査から分かるようになった。このような認識は、フクシ
マ原発事故を通して日本市民が晒されているリスクに関して、どのようなことを意味するのであろうか?
日本政府や日本の放射線防護最高責任者(放射線健康リスク管理アドバイザー )である山下俊一教
授が表明した告知とは反して、福島県から東京との境に接する多数の地区に住む市民たちが危険状
況に置かされている。
既に今、放射能被爆地域からの子供たちが免疫機能低下の兆候を示している。既に今、18人の子供
たちが甲状腺癌に罹患し、更に25人の子供たちに甲状腺癌の疑いが持たれている。
私が福島市、郡山市、いわき市、福島県にある被災地の市町村を訪れたこと、そして医師たちや避難
者の方々、自助グループの人々と語り合ったことが、あることを私にはっきりと物語っていた。それは、
如何に、非常にシステマティックに日本政府が、自分たちの国民を当然危惧すべき状況に置き去りに
したまま見捨ててしまっているのかということである。
学校の授業で、放射線をテーマにして批判的にじっくりと討議してほしいと願う、懸念を抱く親たちは、
学校長から有無を言わさず撥ねつけられている。
血液像検査や超音波検査で、自分たちの患者(大人と子供 )を対象にした健康診断を丹念に行いた
いと願う医師たちは、これらの検診を実行することを、福島県当局や健康保険によって度々、禁止され
ている。
民衆からの批判的な意思表示に対する当局からの抑圧は大きい。以前の政府のアドバイザーそして
放射線防護最高責任者である山下教授は断固として、被曝量が100mSv以下ならば健康へのリス
クは少しもないと主張していた。
急性放射線症や癌、白内障を対象にした医療保険制度が、専属企業医のプログラムにない。しかも医
師達の報告によれば、彼等は自発的に無料で急性放射線症の疑いのある作業員を治療することを引
き受けていたという。その理由は、社内健康保険制度が、これらの疾病は保証対象にはならないことを
明らかにしたためである。どれだけの被曝量から、そして放射線によって誘発されるどのような疾病に
対して賠償金を得られるのかといった情報が、伝えられるようなことは殆どない。
作業員達の労働条件はかなり酷く、彼等は短期間の間、東電の下請業者を通して雇われ、20%の賃
金カットを受け入れなければならなかった。
私が話をした殆どの人達が異口同音で要求していたことは: もうとにかく、日本政府が、この国家大
災害の責任を引き受けなければならないことである。
原子力災害をもたらせた東京電力自身が、原子力災害を解決できないでいる。そして、政府だけでは、
もうこれ以上、災害処理対策を進めていくことができないのなら、緊急に、海外からの専門家の援助が
必要である。
2013年10月10日から13日まで東京で開催された「懸念する市民科学者」の国際会議で、様々
な動物集団、鳥類、蝶における遺伝子突然変異の発生が報告された。
今すでに、フクシマ原子力災害が環境にはっきりとした影響を及ぼしていることが明示されている。
フクシマ原子力災害後に、環境や人間に及ぼされた可視的な影響結果はないというUNSCEARの
主張は、根拠が薄弱で筋道の立たないものである。
市民科学者国際会議の参加者達は、UNSCEARの言明を撥ねつけ、独立した科学者達による研究
調査を要求した。