「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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恩師である元中央大学教授・吉川道夫氏等の著作『新クラウン英文解釈』(三省堂)の復刊を強く希望する。

2016-10-19 21:10:57 | その他

最近、大学受験の現状と、その対応について関心があり、いろんな関係資料を調べています。

その中で、最も気になっているのが、いわゆる正統的な英文読解の力をまっすぐ養成する良い参考書が激減していることです。

おそらくは全体的な学力低下、特に難関大と言われている大学の大半でも、あまり難しくない英文を一定量以上読ませることで解答させる形式のものが多くなり、精密に読み解く作業を必要とする大学が相当に少なくなっていることが大きいと思います。

まあ、日本語が読めない人たちに、英文を精密に読むことができる可能性はそもそも低いと考えるしかありませんが。

文学性という観点だけでなく、論理性が強くて、ある程度難解な英文をきちんと読みこなす作業も習得する時間がなく、しかも入試での出題可能性が激減するという状況。

そういう意味できちんとした読解力をつけるために、必要な教材は姿を殆ど消しています。

ただし、京都大学など一部の大学では、まだこういうレベルの英文は出題されている。

その対応の一里塚となるのにふさわしい参考書がないと、かなりの数の参考書を読んで思っていました。

現在発売中のモノ、少し前まで出ていたモノ、なかなか合致するよい参考書は少ないです。

ところが、灯台下暗しというか、思わぬところに優れた著作を見つけました。

それは、僕が中央大学法学部時代にたまたま語学授業を受けて、その後も亡くなるまで御自宅に伺うなど親しい関係を続けさせていただいた故吉川道夫氏等の『新クラウン英文解釈』です。

 吉川さんは、英文学者・英語学者で、トーマス・ハーディの研究者として名前を残されていて、研究社の英和中辞典第5版で代表編纂者として大きく変えられたことも知られている人物。当時、代々木ゼミナールの有名講師だった潮田五郎氏が「研究社の英和中辞典は5版になって蘇りましたね」と話していたことはよく覚えています。

 そうした輝く存在な辞書だけに、今は被曝を好むような言説を書き続けている副島隆彦氏が中傷本をだす騒ぎまでありました(今となっては、副島氏の本質は三十年前から変わっていないと思いますが、このこともメルマガにも書いておきたいと思います)。まあ、今のおかしなネット住民の対応などと同じような感覚かもしれません。

 僕が吉川さんと親しくなったのは、はっきりとなんのことか思い出せないですが、学生の在り方とか、学問の在り方について、彼がある見解を述べたことについて、僕が閉塞しきった学生運動の状態でいろんなおかしい状態を大学構内で遭遇したことも踏まえて、その意味を確認した話だったような気がします。

 その時の返答もよく覚えていませんが、バブル間近の80年代後半には、僕のような学生が絶滅危惧種だったらしく、階段の踊り場で笑いながら名前や出身県などを聞かれていたのは記憶に残っています。

 彼は、専門のその英語や英文学の知見のみならず、授業のほとんど社会問題や学生の在り方、政治へのかかわりなどの話が大半を占めていて(授業の英文も行動心理学のB・F・スキナーの著作でした)、他の教授陣(語学のみならず法律や政治も)よりも、現実の社会問題や社会情勢に関しての学問の在り方を学生に伝えようとしていました。

おそらく僕が大学で直接指導をうけた教授らの中で、最もいろんな意味で影響があった人物だろうと思いますし、こうした放射能回避などの活動を行っている僕のベースに、彼による薫陶の要素があることは間違いありません。

そして吉川氏が出した著作物の中で、僕に存在を伝えていなかったのが、この『新クラウン英文解釈』という参考書の存在だったのです(どうして彼が伝えなったのかはメルマガなどで書きます)。

吉川氏の父親で英文法書の著者として著名な吉川美夫氏、更に三省堂のクラウン英和辞典などの数々の辞書編纂で著名な河村重次郎氏と、この『新クラウン英文解釈』は連名の著作となっています。

しかし、師匠や父親の名前もありますが、実質は吉川道夫氏の作業による参考書であるのが、この『新クラウン英文解釈』になります。これは吉川道夫氏が生前最後に刊行したと思われる『我楽苦多雑文集』という私家版エッセイ集のあとがきに、実質的に自らの著作であることも明記されています(ご本人による参考書は実はこれを含めて2冊しかないこともわかっています)。

直読直解式の英文解釈法としての、方法論を示したものという認識でした。

しかし、易化する日本の教育状況から、長らく絶版状態になりました。

一部の人たちがこの本を求める声は大変に大きく、2015年5月には、オークションで落札されたらしい価格が19万を超えていた模様です。

ここまで求める声が大きくても、出版社は受験問題が易しくなっていることを前提に、復刊は難しいという立場を崩していませんでした。

今回、どういう経緯で復刊の方向に話が少し始まっているのかは分かりませんが、僕は半年近く前に三省堂と話した時には、「本として意味が大きいが、今の時代には売れないという見立てが強い」という反応でした。

それでも、どうやら、この本が再刊される可能性が少し出ているという情報が、最近ぼくのところに入ってきました。

三省堂による復刊可能性が高まっている事と推察されます。

これは、僕自身が自分がきちんと読むためにも(僕は部分的にしかこの本を確認できていません)、是非復刊してほしいです。

論理的な英語読解力をつける意味で、おそらくは最良の参考書の一つでしょうし、一部の難関大学には今でも有効な部分を有していると僕は感じています。

是非、みなさんにも、この本の復刊を幅広く、強く要望していただきたいと思います。

それは、学生たちの英語教育を通して、社会や体制の問題や適切な改革について認識を深めさせ、そうした中で人材育成をおこなっていた吉川道夫氏の考え方による影響が、良い形で今の日本に伝わることが、実は放射能国家となった日本において、再生のためへの手がかりの一つになる可能性もあると僕は思っているからです。

再刊の要望は、まずは版元である三省堂https://www.sanseido-publ.co.jpに、直接働きかけてみることが大事です。出版社は直接購買可能性がある人々の声が聞こえてくると、やはり動くことはありえます。

また、復刊ドットコムhttp://www.fukkan.comでも、この『新クラウン英文解釈』についてページがあるようです。ここにも復刊要望を出してください。

この話は、表ではまだ部分的にしか書いていないこともあるので、メルマガで書きにくいことも含めて書いておこうと思います。これは、僕の基本に関わる話にもなることもあるからです。

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