1 破風板
「破風板なんぞは、単なる飾り板だから 取り付ける必要などない」
と放っておいた。
そしたら、妻面の垂木を止めている釘の頭が錆びて、とても目立ってきた。
これはまずい。最も風を受ける部分が吹き飛ばされたら大変だ。
破風板は、単なる飾板ではないことに気付き、取り付けることに決めた。
古民家の破風板はとても立派だ。
幅は30cmを超える程あって、厚みも相当あるようだ。
建物の妻面の顔となる部分だからだ。
しかし、ここではあくまでも垂木を隠す程度にとどめる。
板は下見板に使ったt15×w180の杉板を使う。
平板ではおもしろくないので、裾模様をつけることにして、
ジグソーで切り出した。
何種類かの絵を描いて試し切りしてみたが、
一番単純な模様が良かった。
破風板の飾りは、一番単純な模様を採用した
2 破風飾り
せっかく破風板を取りつけるなら、
破風に何かシンボルをつけたくなった。
以前住んでいた滋賀県の湖北地方では破風の合わせ部分に、
水という文字を透かし彫りしてあるのをよく見た。
あれは、火事除けのお守りだそうだ。
我が家の守り神は何
海辺の家であるから、海を崇めるためにも、
よく獲れるチヌとタコをシンボルとすることに決めた。
崇めると言うよりは、大漁祈願かもしれないが。
何枚かの下絵を描いて気に入ったデザインを採用。
タコは少し漫画チックになったが、ユーモラスな感じが出て、これで良し。
材は、ヒノキの30cm板。
ノミを使ってレリーフ加工。
目玉には、白と黒の色付けをした。
チヌを製作中
チヌを彫刻中
チヌとタコ出来上がり
3 取り付け
取り付けるために、一度返却した2段はしごを、Hさんから再度借りてきた。
しかし、このままでは妻側にはしごを固定することはできない。
ロフトの小窓の引戸を全部とりはずして、
はしごが立てかけられるように、角材とロープではしご掛けを組み立てる。
窓から突き出たはしご掛けは、長いので少し揺れるが何とか作業はできた。
破風板をステンレス釘で打ちつけてから、
破風板の合せ目にシンボルのチヌとタコを、
やはり、ステンレス釘で止めつける。
下におりて見上げれば、妻面がビシッと決まったようだ。
チヌもタコも50cmもあったのに、上へ上げれば小さなものだ。
それでも、この小さな家に少しは風格が出たかな。
向かいの道路から見れば、チヌが目に入る。
しかし、小さく目立たないようで、このチヌの存在に気付いて、
声をかけてくる人は、まだ誰もいない。
ロフトの小窓をはずして、角材ではしご掛けを組み立てた
破風板取付け中
タコ取付け中
取り付けたタコの破風飾り
作業期間 2007年10月中旬
所要日数 2日
付記:妻・ひろ
いつの頃から、妻は、
妻から「家作り実況版」と名づけて、
夫が、「あっ~ それは、いいとこ取りやろ~」
と嘆くのも構わず、家作りを実況し始めました。
妻のいいとこ取りの実況版は、
こちらをどうぞ。
『一人で建てる木組み家』のこれまでは、こちら です。
1 瀬戸内は雨が少ないか
瀬戸内では雨が少ない。
関西地方では、年間降雨量が1500mm程だが、
大三島では1100mm程のようだ。
昨夏は、大変に暑くて梅雨明け後、雨が50日以上も降らなかった。
また冬は、ヒジキや干し柿や陳皮等の干し物が上手く出来上ることから
雨が少ないことが実感できる。
それでも、雨の少ないと言われる他の国に比べれば、充分に多いと言える。
雨仕舞いは、しっかりしておかないとやはり家に、支障がでてくる。
湿気に弱い木の家には、雨は要注意。
2 雨樋
建築最終段階に至って、ようやく雨樋をつけることにした。
近くの材料店で樋と縦樋と受け金具を買ってきた。
樋を受ける金具は5個1組で、それぞれ首の曲げ角度がちがう。
1~5までの数字が刻印してあって、番号順にとりつけるのだと
店の人に教えてもらった。
持ち帰ってゆっくり調べると、それぞれが4,5mmずつ首が垂れていっている。
これを90cmピッチでとりつければ、
200分の1の勾配で樋がとりつけられることになる。
1組5本は、同じ高さの位置に取り付ければ良いことになる。
ただ、受け金具の取り付け時には、
勾配をつけた水糸にあわせていくので、
こんな細工は必要ないのではと思ったが、
よく考えると、こうすることで
樋を水平に据えることができるようだ。
勾配は本を見れば、1000分の1と書いてあるが、
屋根勾配がきついので、倍の500分の1とした。
垂木に1本おきに受金具をステンレス釘で止め、
雨樋をのせて金具のつめを折り曲げて固定する。
とてもスムーズに作業が捗る。
こうして最後の雨樋を取り付けようとしたら、20cm程足りない。
材料拾いを甘くみていたらしい。
4mの樋1本を追加買いするのは、もったいない。
余っても他への使い道がない。
材料店へ行って尋ねてみると、こういうことがよくあるようで、
ハンパ材を無料で分けてもらうことができた。
色は少し違ったが、これで充分。大いに感謝。
雨樋と受け金具
縦樋
3 地下浸透式
雨水の放流先はどこにするか。
当初は古家の雨水の排水先が海になっていたので、
この管につなぐつもりでいた。
しかし、菜園を続けていると、夏場の雨不足がいつも問題になる。
水道水を撒くのは水道料金の高い島ではもったいない。
下水道を使い始めれば、下水道の料金まで加算される。
今夏の雨不足は深刻だったので、とうとう井戸水をポンプアップして散水した。
しかし、この井戸も水位が低く、ポンプアップしても5~6分しかまけない。
水が溜るのは半日後になる。
だから、雨水を溜めて利用することを考えるのが得策だ。
いずれ雨水貯留タンクを設置することを予定して、
縦樋は融通が効くように、継手部分に接着剤を塗らなかった。
また放流先を直接海にするのは、もったいないので、
一旦地下へ返すことにして地下浸透式とした。
この雨水貯留や地下浸透式の考え方は、近頃では田舎よりも
都会でよく取り入れられている。
災害時の水の確保やヒートアイランドを防ぐために。
柱に沿わせて取り付けた縦樋は、土中に埋めた排水管へつなぎ、
この排水管の先は少し掘り下げて砂利を放り込んでおく。
これで充分地下へ吸い込んでくれる。
流末は地下浸透式
4 樋勾配はキツイ方が良かった
その後何度か雨が降った時に、雨水の流れ具合を観察していると
普通の雨の時は順調に流れるが、雨足が強くなると
樋の途中であふれてしまう。
樋の勾配が足りなかったようだ。
その後、樋勾配をキツくした。
500分の1から200分の1へ。
また受け金具の柄も少し短くて、樋が水平でなかったこともあったので
板を継ぎ足して柄を長くした。
これでうまく流れるようになった。
樋受金具の首垂れ角が200分の1になっていたことを、思い出して感心した。
雨樋取付け完了
作業期間 2007年10月上旬
所要日数 2日
付記;妻・ひろ
『一人で建てる木組みの家』は、妻が猛反対したトタン屋根である。
「やっぱり、貧相な家に見えてしまうなぁ~」
と外観を眺めては残念がる妻を 説得するするため
夫は、
「黒の棟包みと雨樋をつけたら、ぐっと、良くなるから。
黒いシャープな線が、銀色のトタン屋根を引き締め家に風格が出る」
と、力説していた。
棟包みも、雨樋も、ついたけれど
どこに どこに 風格が出たってぇ~
『一人で建てる木組みの家』のこれまでは、こちら です。
「なぜトタン屋根」かは、こちらを、どうぞ
瀬戸内では雨が少ない。
関西地方では、年間降雨量が1500mm程だが、
大三島では1100mm程のようだ。
昨夏は、大変に暑くて梅雨明け後、雨が50日以上も降らなかった。
また冬は、ヒジキや干し柿や陳皮等の干し物が上手く出来上ることから
雨が少ないことが実感できる。
それでも、雨の少ないと言われる他の国に比べれば、充分に多いと言える。
雨仕舞いは、しっかりしておかないとやはり家に、支障がでてくる。
湿気に弱い木の家には、雨は要注意。
2 雨樋
建築最終段階に至って、ようやく雨樋をつけることにした。
近くの材料店で樋と縦樋と受け金具を買ってきた。
樋を受ける金具は5個1組で、それぞれ首の曲げ角度がちがう。
1~5までの数字が刻印してあって、番号順にとりつけるのだと
店の人に教えてもらった。
持ち帰ってゆっくり調べると、それぞれが4,5mmずつ首が垂れていっている。
これを90cmピッチでとりつければ、
200分の1の勾配で樋がとりつけられることになる。
1組5本は、同じ高さの位置に取り付ければ良いことになる。
ただ、受け金具の取り付け時には、
勾配をつけた水糸にあわせていくので、
こんな細工は必要ないのではと思ったが、
よく考えると、こうすることで
樋を水平に据えることができるようだ。
勾配は本を見れば、1000分の1と書いてあるが、
屋根勾配がきついので、倍の500分の1とした。
垂木に1本おきに受金具をステンレス釘で止め、
雨樋をのせて金具のつめを折り曲げて固定する。
とてもスムーズに作業が捗る。
こうして最後の雨樋を取り付けようとしたら、20cm程足りない。
材料拾いを甘くみていたらしい。
4mの樋1本を追加買いするのは、もったいない。
余っても他への使い道がない。
材料店へ行って尋ねてみると、こういうことがよくあるようで、
ハンパ材を無料で分けてもらうことができた。
色は少し違ったが、これで充分。大いに感謝。
雨樋と受け金具
縦樋
3 地下浸透式
雨水の放流先はどこにするか。
当初は古家の雨水の排水先が海になっていたので、
この管につなぐつもりでいた。
しかし、菜園を続けていると、夏場の雨不足がいつも問題になる。
水道水を撒くのは水道料金の高い島ではもったいない。
下水道を使い始めれば、下水道の料金まで加算される。
今夏の雨不足は深刻だったので、とうとう井戸水をポンプアップして散水した。
しかし、この井戸も水位が低く、ポンプアップしても5~6分しかまけない。
水が溜るのは半日後になる。
だから、雨水を溜めて利用することを考えるのが得策だ。
いずれ雨水貯留タンクを設置することを予定して、
縦樋は融通が効くように、継手部分に接着剤を塗らなかった。
また放流先を直接海にするのは、もったいないので、
一旦地下へ返すことにして地下浸透式とした。
この雨水貯留や地下浸透式の考え方は、近頃では田舎よりも
都会でよく取り入れられている。
災害時の水の確保やヒートアイランドを防ぐために。
柱に沿わせて取り付けた縦樋は、土中に埋めた排水管へつなぎ、
この排水管の先は少し掘り下げて砂利を放り込んでおく。
これで充分地下へ吸い込んでくれる。
流末は地下浸透式
4 樋勾配はキツイ方が良かった
その後何度か雨が降った時に、雨水の流れ具合を観察していると
普通の雨の時は順調に流れるが、雨足が強くなると
樋の途中であふれてしまう。
樋の勾配が足りなかったようだ。
その後、樋勾配をキツくした。
500分の1から200分の1へ。
また受け金具の柄も少し短くて、樋が水平でなかったこともあったので
板を継ぎ足して柄を長くした。
これでうまく流れるようになった。
樋受金具の首垂れ角が200分の1になっていたことを、思い出して感心した。
雨樋取付け完了
作業期間 2007年10月上旬
所要日数 2日
付記;妻・ひろ
『一人で建てる木組みの家』は、妻が猛反対したトタン屋根である。
「やっぱり、貧相な家に見えてしまうなぁ~」
と外観を眺めては残念がる妻を 説得するするため
夫は、
「黒の棟包みと雨樋をつけたら、ぐっと、良くなるから。
黒いシャープな線が、銀色のトタン屋根を引き締め家に風格が出る」
と、力説していた。
棟包みも、雨樋も、ついたけれど
どこに どこに 風格が出たってぇ~
『一人で建てる木組みの家』のこれまでは、こちら です。
「なぜトタン屋根」かは、こちらを、どうぞ
1 建具は全部で63枚!
『建具その1』では、建物外周のガラス戸を30枚製作した。
今回は、内部仕切り戸8枚 扉2枚 網戸15枚 雨戸8枚
の計33枚の製作となる。
前回のガラス戸と合わせれば、建具の総数は大小63枚と大へんな数量だ。
製作日数も、延べ2か月以上を要している。
アルミサッシを使っておれば、工期はもっと短縮できただろう。
しかし、木製建具の良さは味わえない。
特に、今回の仕切り戸や扉では、
デザイン的にも、少しでもおもしろいものを作ろうとした。
2枚枘の框へ鏡板をはめ込んで、ガラス窓でアクセントをつける形式に
それ程の目新しさはないが、出来上がりはなかなかなものだ。
建具も家具同様、色々なデザインが考えられる興味深い木工品だ。
2 ガラス仕切り戸
各部屋を仕切る片引き戸とトイレの片引き戸は、
中央横に入れた桟で上下に区切り、
下段は、壁に使った杉板材を接ぎ合わせて鏡板にした。
上段は、縦中央にガラスを入れた。
ガラスは、トイレと寝室との分は、型板ガラスを使い、
リビングの分は、色つきガラス(熱線吸収ガラス)を使った。
鏡板は、壁板に合わせて横方向に取り付けた。
框の溝への陰入りを5mmとしたのは、少し短かったようで、
その後、板が収縮してすき間ができてしまっている。
10mmはとるべきだった。
鏡板のはめ込み
縦框のはめ込み
土間から、リビングへのガラス仕切り戸と、寝室へのガラス仕切り戸
3 障子仕切り戸
リビングと寝室との間の片引き戸は、半和風にした。
純和風は、この家には、似合わない。
上下に区切った下段は、ガラス仕切り戸と同じ杉板の鏡板の横張りだが、
上段は、桟木を設けて、障子張りとした。
桟木の並べ方も、単なる長方形ではなく、
斜材を入れて中央に菱形ができるようにした。
木の多い室内空間に、
こうした紙やガラスの素材が心地良いアクセントを与えてくれる。
本組立て作業
ポニークランプでの固定
4 押入れ戸
押入れの戸4枚は、舞良戸形式とした。
と言っても、基本パターンは前のと同じで、
ただ上下ともが、鏡板で、縦張りとしているところが違うだけ。
それでも、随分と趣きが変わる。
鏡板のはぎ合わせ
鏡板のカンナ調整
押入れ戸の出来上がり
5 収納扉
階段下の収納は構造的に戸ではなく、扉になる。
これも、押入れ戸と同様のデザインとした。
引戸と扉の優劣を比べれば、
引戸の方に軍配が上るのは住んでみればすぐわかる。
しかし、製作手間は、扉の方が随分と楽だろうと思っていた。
引戸だと、敷鴨居の溝は必要だし、
戸框の上下の加工や戸車の取付けが必要だ。
しかし、扉だって
丁番はいる、取っ手はいる、扉当り木はいる、キャッチャ―はいると
付属物が多い。
おまけに丁番で吊るという構造のため、
強度的には、引戸よりしっかりしたものが必要で、重量も軽くする方が良い。
そのため、鏡板は壁に使った15mm杉板を9mmまで薄くして使うことにした。
製作手間は、結局扉の方がめんどうだった。
総合的判断としては、引戸が扉よりもすぐれていることが、よくわかった。
なお丁番の取付け方法には、2通りある。
丁番の厚み分を削る必要があって、
厚みの半分ずつを柱と框のそれぞれで削る方法と
厚みのすべてを框の方で削ってしまう方法だ。
これまで半分ずつ削る方が手間をかけた分、
当然キレイに収まると思っていたが、
古家のトイレの扉をあらためてみると框側だけを削っていた。
最初は手間を惜しんでいるだけだなと思っていたが、
収まりがとてもキレイだ。
柱を削らないので、柱の線がスッキリと通っている。
今回試しに、こうしてみたらやはりこの方法の方が良かった。
手間はかからず、収まりはキレイ。
丁番の削りは框側だけで良い
框の枘作り
収納扉の出来上がり 取っ手は、ウォールナット
6 玄関扉
この家は、土間の出入口がメインとなる。
土間に玄関的な機能も持たせることに変更したので、
この出入口は玄関口ともなる。
どの開口部も引戸にするつもりだったので、ここも引戸のつもりでいた。
しかし、基礎石を積んで建前をしてから、気付いた。
基礎石に裾広がりのテーパーがついているため、引戸構造は不可能だと。
やむなく、扉形式にして、玄関らしく少し凝った扉にすることにした。
完全洋風の玄関扉は広葉樹のナラ材等を使い、
思い切り凝ったデザインにして重厚に仕上げているものが多いが
そこまでは必要ないだろう。
材はやはりヒノキとスギの針葉樹にして、デザインをおもしろくしょう。
外周の框や中に入る縦横斜めの桟も少し幅広くする。
下段は、鏡板張りだが、上段に菱形の色ガラスをはめこもう。
この色ガラスが大きなポイントになるだろう。
色はエメラルドグリーンがいいかな。
ところが、この色ガラスの見積りをとったところ、予想以上の値がついてきた。
色ガラスそのものも高価だが、菱形のカット代も高くつく。
低価格の家作りを目指すため、やむなくこれは廃案となる。
色々と検討したが、デザインを変更し、桟を増やして、
大きな菱形を小さな長方形と三角形に分割することに。
ガラスはフロストガラスと型板ガラス。
少しチマチマとしたデザインになったが、
玄関扉としては充分満足のいくものとなった。
取っ手は、アクセントとして、ブラックウォールナットを使った。
本組立て作業中
この玄関扉については、一つ大きな問題が残っている。
大三島のここは、風が強いところなので,閉め忘れると、扉が暴れる。
止め杭を1本打ち込んではいるが、、それにぶつかって衝撃で
ガラスが割れたことがある。
数千円する重々しいドア調節器を購入する気にならなくて、
何かいい方法はないものかと考えるのだが、アイデアが浮かんでこない。
仕方なく、杭に長靴をかぶせて緩衝材としている。
扉ではなく、引戸なら、こんな必要はないのに。。。。。
玄関扉 出来上がり
止め杭には、お正月仕様で、黒長靴はやめて、紫ゴム手袋に変更
お洒落
7 網戸
網戸を作る時点では、
建具用に購入しておいたヒノキ材が残り少なくなっていた。
網戸の数量も多いので、
それならたくさん残っているスギの割角材をつかうことにした。
いかにも、安っぽく見える材なので、建具にするには狂いの心配があった。
反りや割れを除きながら目の通ったキレイな材を選んで木取りした。
スギは框に使うには柔らかいので加工は、逆に難しかった。
カンナ掛けも、ケバ立ちが消えずとても難しい。
防虫網を張ってから、敷鴨居に収めてみると、
やはり柱との間に若干のすき間があく。
これは、縦框を削って合わせた。
次はガラス戸との間にすき間があく。
はめ入れやすべりのために、3mm程のあそびを設けているのが
キッチリすき間となって現れる。
やはり、これもふさがねばならない。
薄板を作って貼り付けた。
この初めての夏は、大した虫達の進入もなく、
網戸の役割は充分に果たしてくれた。
ただ一つ気になるのは、網戸が軽すぎるのか、風が強いのか、
時々風で網戸が敷居をスべッて、動いてしまう。
開け閉めに重い戸は困るが、スベリが良すぎるのも困ったものだ。
本組立て作業中
防虫網の取付け
網戸15枚
8 雨戸
大三島のここは、台風が恐い。
通過コースによって、大きな影響が出る。
九州北部から日本海に抜けるコースだと、
通り過ぎた後の返しの風がものすごい。
南西から海水をまき上げた風が吹き、
波も堤防を越えてくる。
引越して2年目の秋に、16号と18号の台風がこれだった。
16号は古家の床下を浸水させてくれた。
10数年に1度あることだと、言われたが、2年目に遭遇すれば
毎年来てもおかしくないと思ってしまう。
そのため、新家は地盤の高さを上げたし、
雨戸はしっかり作らねばと考えていた。
ただ、外壁を下見板張りとしているため、
雨戸を横へガラガラと開けて戸袋にしまうという構造がとりにくい。
また、大三島では、
防犯のために夜間に家中の雨戸をしっかり閉めて寝るという習慣はなく、
雨戸は、台風等のように、雨風の強い時だけ閉める。
そこで、雨戸は、引っ掛け方式にすることにした。
台風の時には、開口部に取り付け、
常時は、外壁に立てかけておく。
戸の形態は、押入れ戸と同様、舞良戸方式で框材と鏡板。
開口部への取り付け用に、一筋敷鴨居をとりつけてあるが、
台風が来た時には、戸を釘止めする必要がありそうだ。
また一つ気になることがある。
鏡板は酢酸ビニル系の一般的な木工ボンドで板接ぎしてあるが、
耐水性や耐侯性に弱いから、いずれバラバラになってしまうのではないかと思う。
マア、その時には、エポキシ系ボンドでまた板接ぎをするしかない。
この雨戸を使う日が来ませんように。
框への枘穴あけ
鏡板のはぎあわせ ハナが遊びに来る
雨戸掛けへ収めたところ
雨戸を閉めたところ
作業期間 2007年8月中旬~下旬
2007年9月中旬~11月上旬
2008年2月下旬~3月下旬
所要日数 37日
『一人で建てる木組みの家』のこれまでは、こちら をどうぞ
付記:妻・ひろより
『一人で建てる木組みの家』の基礎構造部分が出来上がり、
内装作業になると、妻は、ひんぱんに現場を覗きに行くようになった。
そして、夫に先んじて、「妻から家作り実況版」 で、
勝手に、家作りの様子を紹介し始めました。
夫は、「いいとこ取りしんといて」と 嘆いておりましたが。
網戸作りの様子は、 こちら です。(2007年12月4日)
内部の建具作りの様子は、こちら です。(2008年3月17日)
『建具その1』では、建物外周のガラス戸を30枚製作した。
今回は、内部仕切り戸8枚 扉2枚 網戸15枚 雨戸8枚
の計33枚の製作となる。
前回のガラス戸と合わせれば、建具の総数は大小63枚と大へんな数量だ。
製作日数も、延べ2か月以上を要している。
アルミサッシを使っておれば、工期はもっと短縮できただろう。
しかし、木製建具の良さは味わえない。
特に、今回の仕切り戸や扉では、
デザイン的にも、少しでもおもしろいものを作ろうとした。
2枚枘の框へ鏡板をはめ込んで、ガラス窓でアクセントをつける形式に
それ程の目新しさはないが、出来上がりはなかなかなものだ。
建具も家具同様、色々なデザインが考えられる興味深い木工品だ。
2 ガラス仕切り戸
各部屋を仕切る片引き戸とトイレの片引き戸は、
中央横に入れた桟で上下に区切り、
下段は、壁に使った杉板材を接ぎ合わせて鏡板にした。
上段は、縦中央にガラスを入れた。
ガラスは、トイレと寝室との分は、型板ガラスを使い、
リビングの分は、色つきガラス(熱線吸収ガラス)を使った。
鏡板は、壁板に合わせて横方向に取り付けた。
框の溝への陰入りを5mmとしたのは、少し短かったようで、
その後、板が収縮してすき間ができてしまっている。
10mmはとるべきだった。
鏡板のはめ込み
縦框のはめ込み
土間から、リビングへのガラス仕切り戸と、寝室へのガラス仕切り戸
3 障子仕切り戸
リビングと寝室との間の片引き戸は、半和風にした。
純和風は、この家には、似合わない。
上下に区切った下段は、ガラス仕切り戸と同じ杉板の鏡板の横張りだが、
上段は、桟木を設けて、障子張りとした。
桟木の並べ方も、単なる長方形ではなく、
斜材を入れて中央に菱形ができるようにした。
木の多い室内空間に、
こうした紙やガラスの素材が心地良いアクセントを与えてくれる。
本組立て作業
ポニークランプでの固定
4 押入れ戸
押入れの戸4枚は、舞良戸形式とした。
と言っても、基本パターンは前のと同じで、
ただ上下ともが、鏡板で、縦張りとしているところが違うだけ。
それでも、随分と趣きが変わる。
鏡板のはぎ合わせ
鏡板のカンナ調整
押入れ戸の出来上がり
5 収納扉
階段下の収納は構造的に戸ではなく、扉になる。
これも、押入れ戸と同様のデザインとした。
引戸と扉の優劣を比べれば、
引戸の方に軍配が上るのは住んでみればすぐわかる。
しかし、製作手間は、扉の方が随分と楽だろうと思っていた。
引戸だと、敷鴨居の溝は必要だし、
戸框の上下の加工や戸車の取付けが必要だ。
しかし、扉だって
丁番はいる、取っ手はいる、扉当り木はいる、キャッチャ―はいると
付属物が多い。
おまけに丁番で吊るという構造のため、
強度的には、引戸よりしっかりしたものが必要で、重量も軽くする方が良い。
そのため、鏡板は壁に使った15mm杉板を9mmまで薄くして使うことにした。
製作手間は、結局扉の方がめんどうだった。
総合的判断としては、引戸が扉よりもすぐれていることが、よくわかった。
なお丁番の取付け方法には、2通りある。
丁番の厚み分を削る必要があって、
厚みの半分ずつを柱と框のそれぞれで削る方法と
厚みのすべてを框の方で削ってしまう方法だ。
これまで半分ずつ削る方が手間をかけた分、
当然キレイに収まると思っていたが、
古家のトイレの扉をあらためてみると框側だけを削っていた。
最初は手間を惜しんでいるだけだなと思っていたが、
収まりがとてもキレイだ。
柱を削らないので、柱の線がスッキリと通っている。
今回試しに、こうしてみたらやはりこの方法の方が良かった。
手間はかからず、収まりはキレイ。
丁番の削りは框側だけで良い
框の枘作り
収納扉の出来上がり 取っ手は、ウォールナット
6 玄関扉
この家は、土間の出入口がメインとなる。
土間に玄関的な機能も持たせることに変更したので、
この出入口は玄関口ともなる。
どの開口部も引戸にするつもりだったので、ここも引戸のつもりでいた。
しかし、基礎石を積んで建前をしてから、気付いた。
基礎石に裾広がりのテーパーがついているため、引戸構造は不可能だと。
やむなく、扉形式にして、玄関らしく少し凝った扉にすることにした。
完全洋風の玄関扉は広葉樹のナラ材等を使い、
思い切り凝ったデザインにして重厚に仕上げているものが多いが
そこまでは必要ないだろう。
材はやはりヒノキとスギの針葉樹にして、デザインをおもしろくしょう。
外周の框や中に入る縦横斜めの桟も少し幅広くする。
下段は、鏡板張りだが、上段に菱形の色ガラスをはめこもう。
この色ガラスが大きなポイントになるだろう。
色はエメラルドグリーンがいいかな。
ところが、この色ガラスの見積りをとったところ、予想以上の値がついてきた。
色ガラスそのものも高価だが、菱形のカット代も高くつく。
低価格の家作りを目指すため、やむなくこれは廃案となる。
色々と検討したが、デザインを変更し、桟を増やして、
大きな菱形を小さな長方形と三角形に分割することに。
ガラスはフロストガラスと型板ガラス。
少しチマチマとしたデザインになったが、
玄関扉としては充分満足のいくものとなった。
取っ手は、アクセントとして、ブラックウォールナットを使った。
本組立て作業中
この玄関扉については、一つ大きな問題が残っている。
大三島のここは、風が強いところなので,閉め忘れると、扉が暴れる。
止め杭を1本打ち込んではいるが、、それにぶつかって衝撃で
ガラスが割れたことがある。
数千円する重々しいドア調節器を購入する気にならなくて、
何かいい方法はないものかと考えるのだが、アイデアが浮かんでこない。
仕方なく、杭に長靴をかぶせて緩衝材としている。
扉ではなく、引戸なら、こんな必要はないのに。。。。。
玄関扉 出来上がり
止め杭には、お正月仕様で、黒長靴はやめて、紫ゴム手袋に変更
お洒落
7 網戸
網戸を作る時点では、
建具用に購入しておいたヒノキ材が残り少なくなっていた。
網戸の数量も多いので、
それならたくさん残っているスギの割角材をつかうことにした。
いかにも、安っぽく見える材なので、建具にするには狂いの心配があった。
反りや割れを除きながら目の通ったキレイな材を選んで木取りした。
スギは框に使うには柔らかいので加工は、逆に難しかった。
カンナ掛けも、ケバ立ちが消えずとても難しい。
防虫網を張ってから、敷鴨居に収めてみると、
やはり柱との間に若干のすき間があく。
これは、縦框を削って合わせた。
次はガラス戸との間にすき間があく。
はめ入れやすべりのために、3mm程のあそびを設けているのが
キッチリすき間となって現れる。
やはり、これもふさがねばならない。
薄板を作って貼り付けた。
この初めての夏は、大した虫達の進入もなく、
網戸の役割は充分に果たしてくれた。
ただ一つ気になるのは、網戸が軽すぎるのか、風が強いのか、
時々風で網戸が敷居をスべッて、動いてしまう。
開け閉めに重い戸は困るが、スベリが良すぎるのも困ったものだ。
本組立て作業中
防虫網の取付け
網戸15枚
8 雨戸
大三島のここは、台風が恐い。
通過コースによって、大きな影響が出る。
九州北部から日本海に抜けるコースだと、
通り過ぎた後の返しの風がものすごい。
南西から海水をまき上げた風が吹き、
波も堤防を越えてくる。
引越して2年目の秋に、16号と18号の台風がこれだった。
16号は古家の床下を浸水させてくれた。
10数年に1度あることだと、言われたが、2年目に遭遇すれば
毎年来てもおかしくないと思ってしまう。
そのため、新家は地盤の高さを上げたし、
雨戸はしっかり作らねばと考えていた。
ただ、外壁を下見板張りとしているため、
雨戸を横へガラガラと開けて戸袋にしまうという構造がとりにくい。
また、大三島では、
防犯のために夜間に家中の雨戸をしっかり閉めて寝るという習慣はなく、
雨戸は、台風等のように、雨風の強い時だけ閉める。
そこで、雨戸は、引っ掛け方式にすることにした。
台風の時には、開口部に取り付け、
常時は、外壁に立てかけておく。
戸の形態は、押入れ戸と同様、舞良戸方式で框材と鏡板。
開口部への取り付け用に、一筋敷鴨居をとりつけてあるが、
台風が来た時には、戸を釘止めする必要がありそうだ。
また一つ気になることがある。
鏡板は酢酸ビニル系の一般的な木工ボンドで板接ぎしてあるが、
耐水性や耐侯性に弱いから、いずれバラバラになってしまうのではないかと思う。
マア、その時には、エポキシ系ボンドでまた板接ぎをするしかない。
この雨戸を使う日が来ませんように。
框への枘穴あけ
鏡板のはぎあわせ ハナが遊びに来る
雨戸掛けへ収めたところ
雨戸を閉めたところ
作業期間 2007年8月中旬~下旬
2007年9月中旬~11月上旬
2008年2月下旬~3月下旬
所要日数 37日
『一人で建てる木組みの家』のこれまでは、こちら をどうぞ
付記:妻・ひろより
『一人で建てる木組みの家』の基礎構造部分が出来上がり、
内装作業になると、妻は、ひんぱんに現場を覗きに行くようになった。
そして、夫に先んじて、「妻から家作り実況版」 で、
勝手に、家作りの様子を紹介し始めました。
夫は、「いいとこ取りしんといて」と 嘆いておりましたが。
網戸作りの様子は、 こちら です。(2007年12月4日)
内部の建具作りの様子は、こちら です。(2008年3月17日)
1 建築設備
家一軒すべてを 一人で建てることを目指しているが、
法律上どうしても小生の力量では出来ない部分が、
設備には出てくる。
電気の配線や器具の取り付け、水道や下水の配管等は、
資格や認可を受けた専門業者でなければできないことになっている。
やろうと思えば、何だって出来ないことはないだろうが、
法律を犯すとなると、さすがに抵抗がある。
そのため、できる限り自分でできることはやって、
あとは専門業者にお願いすることにした。
熱源については、
プロパンガスや灯油の値上がりが厳しいことから
電気を中心に据えることにした。
ただ、ソーラーシステムは、
初期投資が大きすぎるので採用しなかった。
2 設備機器の取り付け
個人購入(ネット販売が中心)して、自分で取り付けた機器は次のもの
換気扇 キッチンセット 電磁調理器
キッチンセット購入
換気扇設置
流し台設置
システムキッチン設置完了
洗面台 水洗便器
洗面台設置
トイレ説明書熟読中
トイレ便器設置中
トイレタンク設置中
トイレ設置完了
照明器具
照明器具購入
リビング照明取付け中
リビング照明
階段照明
どれも、組立て説明図とにらめっこしながらの取り付けだった。
プラモデルの組立てのように、説明通りにやれば、うまく組立てられる。
説明図を前もって一通り読み込んでから、組み立てればスムーズに進められる。
作業期間 2007年9月
所要日数 4日
付記:妻・ひろ
『一人で建てる木組みの家』で、
妻にも少し解かりそうで、意見が言えるのは、
水廻り設備の選択であり、購入だった。
ほとんど、ネットショッピングで選び、買った。
でも、水回り設備の選択には、
排水など、妻には解からぬ要素が関係してくるので、
やっぱり、最終的に決定したのは、夫になってしまった。
夫が、選んだ、システムキッチンは、
妻が、ちょっと、ダサくない?と思っていた、メーカー
材質のホーローが、気に入ったらしい。
『一人で建てる木組みの家』の、これまでは、こちら をどうぞ
家一軒すべてを 一人で建てることを目指しているが、
法律上どうしても小生の力量では出来ない部分が、
設備には出てくる。
電気の配線や器具の取り付け、水道や下水の配管等は、
資格や認可を受けた専門業者でなければできないことになっている。
やろうと思えば、何だって出来ないことはないだろうが、
法律を犯すとなると、さすがに抵抗がある。
そのため、できる限り自分でできることはやって、
あとは専門業者にお願いすることにした。
熱源については、
プロパンガスや灯油の値上がりが厳しいことから
電気を中心に据えることにした。
ただ、ソーラーシステムは、
初期投資が大きすぎるので採用しなかった。
2 設備機器の取り付け
個人購入(ネット販売が中心)して、自分で取り付けた機器は次のもの
換気扇 キッチンセット 電磁調理器
キッチンセット購入
換気扇設置
流し台設置
システムキッチン設置完了
洗面台 水洗便器
洗面台設置
トイレ説明書熟読中
トイレ便器設置中
トイレタンク設置中
トイレ設置完了
照明器具
照明器具購入
リビング照明取付け中
リビング照明
階段照明
どれも、組立て説明図とにらめっこしながらの取り付けだった。
プラモデルの組立てのように、説明通りにやれば、うまく組立てられる。
説明図を前もって一通り読み込んでから、組み立てればスムーズに進められる。
作業期間 2007年9月
所要日数 4日
付記:妻・ひろ
『一人で建てる木組みの家』で、
妻にも少し解かりそうで、意見が言えるのは、
水廻り設備の選択であり、購入だった。
ほとんど、ネットショッピングで選び、買った。
でも、水回り設備の選択には、
排水など、妻には解からぬ要素が関係してくるので、
やっぱり、最終的に決定したのは、夫になってしまった。
夫が、選んだ、システムキッチンは、
妻が、ちょっと、ダサくない?と思っていた、メーカー
材質のホーローが、気に入ったらしい。
『一人で建てる木組みの家』の、これまでは、こちら をどうぞ
1 一番難しかった風呂場
昔から、風呂に入ってくつろぐという習慣はない。
体を洗って、湯舟にさっと入ればそれで良い。
冬なら少しは暖まることもするが、夏ならシャワーだけで良い。
カラスの行水というものだ。入ったあとのサッパリ感は好きだが、
ぬるい湯に長くつかっているというのが苦手だ。
なので、温泉地へ旅行に行って、
ゆっくり温泉につかるというのは好きではない。
だから、風呂場は、機能一辺倒の狭い空間にした。
そしたら、当然のごとく、妻から、クレームがついた。
妻は温泉大好きの長湯タイプ人間なのだ。
大きな風呂場で、大きな浴槽にゆったりと海を眺めながら
入りたいと。出来れば、泡風呂が良いと。
しかし、風呂場の位置はすでに決まっており、
海は反対側である。
大きな風呂場は、冬は寒い。
大きな浴槽は、湯が沢山必要だ。
と説得に努めるが、OKは出ない。
そこで、せめて、ユニットバスにして、少しは豪華感を出すことにした。
しかし、専門業者の人に来てもらって、寸法を測ったら、
狭いので、ユニットバスは入らないとのこと。
結局、昔ながらのタイル張りの風呂場になった。
木の好きな人は、コウヤマキやヒノキの風呂桶や板壁にするが、
キレイなのは最初だけで、長期のメンテナンスを考えれば、
やはり、木は湿気に弱いので、ステンレスの浴槽やタイルの壁にした。
また、窓や入口の建具もアルミサッシを用いることにした。
風呂場は小部屋ながらも、色々な工程が詰まり、作業順序も複雑で
家作りの中では、最も難しい箇所だった。
詳細設計や施工図も描き直すことが多かった。
というのは、購入材料の種類が多く、施工も初めてというのがいくつかあって、
その取り合いなどは、頭の中や図面の上では、なかなか考えられなかった。
腰壁のブロック積みと柱、梁、天井にあたる2階床が完了し、
その後の工程は、墨出し~土盛り~配管~ブロック積み~床コンクリート打ち
~壁下地~壁モルタル~浴槽設置~窓・入口サッシ取り付け~タイル張り
~天井取り付けとなる。
2 基礎部分
基礎作業の土盛り、配水管設置、内壁ブロック積み、
基礎床コンクリート打ちについては、下水管埋設時に同時に済ませておいた。
洗い場の仕上り高さが、1階の床高より100mm下がりとなるように、
それぞれの高さ取りを慎重に行った。
浴槽からの排水を受ける配水管は、基礎床に溜った水を排水できるように
基礎床面と同レベルで切り取った。
また、浴槽の脚が載る部分は、注意深くレベリングを行った。
腰壁と基礎
上から見た 腰壁と基礎
浴槽の取付け位置
浴槽のレベリングと排水管
3 下地モルタルが最も難しい
壁はタイルをボンド貼りにするので、
下地はラス下地とブロック下地へセメントモルタルを塗る。
厚みは当初は、25mm程を考えていたが、
サッシ枠に合わせることにして30mmとした。これが厚い。
2度塗りでは、しんどいだろうから3度塗りとした。
モルタル配合は、
セメント:砂=2.5:1では、コテが重いので、2:1とした。
モルタルをラスに塗るには、結構強い力でコテを押さえつける必要がある。
こすりつけるようにする。ラスこすりという言葉の意味が良くわかった。
腰壁の建築ブロックへののりが悪い。
ラスへの塗り厚と同じでは厚すぎるのだろう。
セメントを少し多めにして、なんとか塗り上げる。
2回目塗りの付着性を良くするために、釘で表面をひっかいておく。
このひっかき傷の溝にモルタルが入り込んで、
滑りを止めるのかと思っていたが、
それよりも、溝の横に盛り上がる砂のささくれ粒が有効に働くようだ。
モルタルが仕上げ面なら、それ程気にすることもないが、
仕上がりの壁面が垂直でなければ、タイルがうまく収まらない。
そのために、定規となる棒をとりつける必要がある。
この取り付け方を調べたがわからないので、自己流でやった。
天井から水糸を垂らして、それに合わせて細長い棒をスペーサーの薄板をあてて、
コンクリート釘で留めた。
これを各壁面の4辺に施し、2回目と3回目のモルタルを塗り上げていった。
定規棒はうまく取り付いたと思うのだが、
3回目のモルタル塗りがまずかったのか、仕上げ面が波打ってしまった。
これが、その後のタイル貼りに大きく影響して、
タイルも凸凹が目立ってしまった。
窓まぐさの裏面を塗るのも、大変難しかった。
天井に塗るのと同じで、塗ってもすぐ剥がれ落ちてくるのだ。
5mm以下の厚さで間をおいて、塗り重ねることで、何とかクリアーできた。
防水紙とリブラス
窓まぐさの定規棒
入隅部の定規棒
入口サッシ廻り
モルタル塗り作業
4 壁タイル貼り
下地モルタルの仕上がりが悪いので、とても貼りづらい。
接着剤の厚みの範囲でうまく貼れる箇所もあるが、
そうでないところは、モルタルをタガネで削ったり、
接着剤に砂を混ぜて肉盛りしたりして貼っていく。
入隅部が最も難しく、直線目地が通らない。
接着剤は、アクリル系なので、水で洗えば落ちると思い、
素手で作業をしていたら、
手についた接着剤が、こびりついてとれないので、困った。
二平面だけの台所の壁とは違って、
風呂場の壁は、四面で開口部があったりして、
カットするタイルがとても多い。
タイル割り付けがうまくいかなくて、
小さく切ったタイルを貼るところは、不細工さが目立ってしまう。
とても注意深く貼っていったつもりだが、
仕上がりを見ると、やはりタイルが凸凹している。
目地を入れれば、いくらかましになるだろうと思っていたら
それ程変わりばえしなかったのは、残念だった。
タイルと接着剤を購入
壁タイル塗り
壁タイル目地詰め
浴槽取付け前
壁タイル完了
5 浴槽の取り付け
浴槽はステンレスに塗装したものを選んだ。
ホーローがいいかなと思ったが、重量が100kgもあると知ってやめた。
とても一人では設置できない。
このステンレスの浴槽でも、取り付けるのに大変な苦労がいった。
浴槽は、タイルを張り終える少し前に取り付けることにした。
そうでないと、浴槽が汚れてしまうから。
ただ、本当に最終段階でうまく収まるかどうか不安だったので、
下地モルタル段階までで、3度程試し収めをして様子をみた。
この浴槽を風呂場の定位置へ収めるのが大変。
狭い入口を通って、狭い風呂場で、
大きな浴槽をどこにもぶつけないように、そっと置く。
チェックが済めば、逆に今度は、外へ運び出す。注意と力がいる作業だ。
浴槽と壁との隙間は、タイルでふさぐことになり、
目地だけでふさがっていることになる。
以前、浴槽のまわりはすき間だらけだから、
浴槽を伝わって基礎床へ流れ落ちた水は、
排水口へ流れるようにしておくべきだと、
教えてもらったが、どうもこのことらしい。
はなはだ心もとないが、こういうものなのだろう。
ステンレス浴槽
浴槽の運搬
浴槽の取付け作業
6 床タイル張り
床タイルは、磁器質で固く小さいので、カットがめんどうだ。
ガラス切りで線を入れてから喰い切りで切る。少しずつ喰っていく。
かなり力がいる。少しずつ喰い切らないと、線からずれてしまう。
そのあと、ギザギザをグライダーで整え、砥石で擦って面取りする。
接着はセメントを水で溶いたノロとした。
ノロの固さ加減がわからず、初めは固すぎて粘着力がなく、
次は、軟らかすぎて安定しない。
うまくいったと思ったら最終。
軟らかすぎたところは、ノロが盛り上がってきてタイルの紙が濡れてきた。
目地が入らないので、削りとってスポンジでふきとる。
乾いてから、目地入れをしたが目地が深かった。
滑らないように少し落し目地にしたが、そうする必要はなかったようだ。
タイルの角が足裏に触って気になるし、
泥土の汚れが溜りやすいから、平目地にすべきだった。
床タイル目地詰め
床タイル完了
7 天井張り
天井は既製品を張ることにした。塩ビ製。
できる限り、石油化学製品を使わないようにしてきたが、
湿気に弱い木に替わるものは、今のところ、この塩ビ製になってしまう。
天井下地の桟木へ廻り縁を止めつけてから、天井板をはめ込めば、出来上がり。
とても、簡単に取り付けられる。
良く考えられているものだ。
天井裏へ入り込んだ湿気は、通風金網から外へ逃げるようにしてある。
天井下地
天井材
天井張り
天井張り最後の1枚
風呂場のサッシドアの取付け完了
作業期間 2006年10月下旬 2007年7月下旬~9月上旬
作業日数 19日
付記:妻・ひろ
「海を見ながら、ゆったりと身体を伸ばして、お風呂にはいりたい。」
”家で毎日温泉気分”という 妻の夢は、
「台所や居間から海がみたいんやろ?それなら、風呂場からは、間取り的に無理。」
「海を見ながらって、夜の海は真っ暗やで。それに、外から人に見られるで」
「大きな湯船は、お湯が沢山いるで。身体を縮めて入る位がよう暖まる」
「広い風呂場は、冬寒いで」
ケチな夫の合理的な意見に、あえなく負けてしまった。
それなら、機能的にも優れていて、
きっと、夫が施工するより綺麗にスッキリ仕上がり、
もしかしたら、夫が施工するより安くつくかもしれない、
ユニットバス案には、夫も賛成してくれたけれど、
これも、サイズ的に、不可能となった。
夫は、自分で張ってみたかった、
湿式タイル張りの風呂場を作ることができて、
嬉しいらしい。。。
夫がへたくそに張ったタイル張りのお風呂で、
ゆっくり、気持ちよく、くつろげるやろか。
タイルが剥げたり、欠けたりしたら、
掃除も大変やし、怪我までしそう。
お風呂から、水が廻って、家、腐らへん
『一人で建てる木組みの家』の家作りのこれまでは、
こちらをごらんください。
1 土間とは
この家には、玄関はない。
この土間が、家人と客人の出入口を兼ねる。
土間は、農作業場であり、内と外との中間ゾーンである。
そのため、土汚れした作業服を洗うための専用洗濯機や
収穫した野菜を洗うためのシンクを備え、作業机を置く・・
という予定であった。
土間用に流しシンクを購入し、設置までしていたが、とり止め。
が、出来上がってくるにつれ、土間というより、
やはり、玄関の方が良さそうだと、
夫婦とも、考えが変わってきた。
というのも、この機能は、
これまで古家の土間が果たしてきていて、とても便利だったのだが、
新しい家が出来たらこちらへ移すよりも、
古家の方の土間を残して、そのまま使う方がいいように思えてきたからだ。
ということで、現在は、この新しい家の土間は、
玄関的な軽作業スペースになりそうである。
2 慣れない者には難しかった土間
土間には、上り口の縁台がつく。1階の床高よりも10cm低い。
そのため、家の基本構造とは別のつくり方を考えていた。
だが、これは、失敗だった。
基礎の段階から同時進行すべきであったし、
設計の中でもっと、詳細に考えておくべきであった。
とってつけたような構造になってしまったし、
何よりも気に入らなかったのが、
1階の床高との10cmの段差を厚い敷居材で解消すべきであったのに、
敷居の前に薄板を打ち付けて、誤魔化したところだ。
後で考えてみれば、この外とのつなぎの空間というのは味がある分
設計や施工は、慣れていないとなかなか難しい部分であったようだ。
3 厚床板は、太い角材にのせるべし
基礎は建築ブロックW120を単独的に据えた。
その上へ スギ120×120の大引きをアンカーボルト3/8×240で固定。
スギの根太44×36を打ちつけて、床材のヒノキ厚板厚さ38mmを張った。
床板を短く切って張れば、大引きの上に載せられたのだが、
長手方向に張る方が、土間縁としても、キレイなので、
大引きの上に根太を載せてから床板を張った。
厚い床板を細い根太へうまく止め付けられるか心配したが
やはり、少し難しかった。
というのは、床板が入荷してから、半年以上経っているので、
乾燥して反りが出ている。
反りを釘で押さえ込むには、細い根太では負けてしまう。
根太の下へ 飼木を当てて注意深く釘を打って、なんとか収めることができた。
やはり、厚床板を張るには、細い根太ではなく、太い材を使うべきであった。
基礎ブロック
土間モルタル
大引
根太
4 上り框には、気をつかう
大工の腕は、破風板の合せ目や玄関上り框の合せ目を見ればわかる
と言われているので
この土間の上り框には、とても気を使った。
家へ上る時に、一番最初に見るのがこの上り框だから、
上等の材を使わねばと思うのだが、特別には注文していないので、
基礎材のヒノキ材の余った中から、見栄えの良いのを選りだして、
節のないキレイな面を前に向ける。
カンナも刃をピンピンに研いでから、仕上げをかける。
最も、気を使ったのは、入隅の合せ目。
45°の留めの突き付けにしたが、
上面の45°の合せ目と正面の合せ目の直線にすき間があかないようにする。
この両方を合わせるのが、難しい。
材が少し傾けば、どちらかの合せ目が切れてしまう。
何度もカンナをかけてすり合わせた。なんとか収まったと思う。
家の造りが美しいかどうかは、
一つはこの合せ目のすき間がどうかにかかっている。
見え掛かりを美しく仕上る。
ただし逆の見方をすれば、見え掛りさえ美しくあれば良いとも言える。
この框などは、上面と正面は気にするが、
下面と裏面は見えないのだから すき間があいても良いのだ。
すき間がないに超したことはないが、構造材ではないので気にしなくても良い。
だが、家具や手にとって眺める小さな木工品はそうはいかない。
あらゆる角度から見られるので、
またどの材も構造材であり、化粧材でもあるので
見え掛かりだけを気にするというわけにはいかず、
どこも気を抜くところはないところが、なかなか厳しいと言える。
框を大引きへ取り付けるには、釘ではなくコーススレッドを用いた。
しっかりした組手をしなかったので、釘では不安だったからだ。
このコーススレッドは、最近ではよく使われている。
木ネジをドライバーで締めるのは、手の力もいるし、
時間もかかるので、ドライバードリルを購入した。
これなら、易々と木ネジが締められる。
しかし、木ネジは少し強く締めるとすぐに、十字のネジ頭がつぶれてしまう。
その後コーススレッドという木ネジがあることを知った。
これなら、締めやすく、頭もつぶれない。
コーススレッドという(coarse thread)というのは、
目の粗いねじ山ということで、
木ネジよりもネジ山の目が粗いので、材木へネジ込み易いらしい。
ネジは、強い引き抜き抵抗力があるが、
この締めつけとは、逆に反対へまわせば、
ゆるめることが出来るというのが、また、とても便利だ。
管理的にとりはずしをしたいところは、釘ではなく、ネジを使う。
釘だと引き抜く時に材木を痛めてしまうからだ。
上り框
床板
5 通風口は、カモメと波
上り框の下には、通風口がつく。
金網を張るには難しい構造なので、板に窓を明けてから金網を当てる方法にした。
板をくりぬくのなら、何かおもしろい模様はないかと考えたのが、カモメだった。
この上り框の横の壁下にも通風口がつく。
ここは、それならと、波模様にした。
家作りも、この段階に来て、少しは余裕と遊び心が出てきた。
この辺りでは、あまりカモメは見かけない。
どこにでもいると思っていたが、
セグロカモメを1年に何度か1羽2羽とみかけるぐらいだ。
島であっても、海鳥はあまり見かけない。
逆に、陸の鳥は多い。
ちょうどこの作業をしていたのは、6月でホトトギスがよく鳴いていた。
5月連休明けのみかんの花が咲き出す頃から、鳴き出して、
この頃には、メスも鳴きだす。
テッペンカケタカのオスの声の後に、甲高くピピピピピピーと鳴くのが、メスだ。
年中ウグイスが鳴くこの辺りは、
托卵鳥のホトトギスにとっては、絶好の繁殖地なのだろう。
通風孔のカモメ模様
通風孔の波模様
6 土間床の舗装
土間の床を舗装する前に、
入口の扉下が舗装の止め部分になるので、自然石を据えることにした。
ちょうど古家を解体した時の基礎の花崗岩を残してあるので使うことにした。
石の仕上げはざっくりとした割り肌なので、もう少し細かい肌にしようと、
先細のタガネで叩いた。
なかなか平面が作れなくて、2個を叩くのに半日以上かかってしまった。
まだ凸凹は残っていたが、これで良いとして、モルタルで固定した。
なかなかのもんだ。
しかし、この石は入口の扉を取り付けた時に、
失敗であったことに気付いて、取りはずすことに。。。。
土間床の舗装は、見栄え良くレンガやタイルの張り物にしようかと思ったが、
目地の間に土が詰まるので、やめて、シンプルなモルタルにした。
砂利を入れたコンクリートの方がしっかりしていそうだが、
人が歩くだけのところなら、基盤さえしっかりしていれば、
2~3センチのモルタルで充分だ。
ただ、玄関も兼ねるので少し明るい雰囲気にしようと、
セメントと砂の他に白セメントと石灰を入れた。
セメント色よりは、少し白っぽく明るい色に仕上がった。
コテ均しは、うまくいかずに、表面がザラついてしまったが、
予想通りの出来だった。
しかし、これも良くなかった。
靴の裏に付いた泥を持ち込むと、良く目立つのだ。
白い土間がいつも土だらけ。
入口に、靴拭きマットを置くことで、いくらかは解消されたが。
こういうところは、むしろ、黒っぽく仕上げるほうが良かったようだ。
留め石の加工
玄関入口の留め石
作業期間 2007年6月上旬~中旬
所要日数 10日
付記:妻・ひろ
夫は、農家における、土間の重要性について、
大三島移住前から力説していました。
しかし、『一人で建てる木組みの家』の土間は、
土間には、狭くて使いづらいことが分かり、
かと言って、玄関としては、もったいないくらい広過ぎて、
使い道が楽しみな?つまり中途半端な空間になっています。
夫は、ちょっとしたテーブルを置いて、上がり框に腰掛けて、
”玄関的な軽作業スペース” と 弁解しているが、
さて、そこで、何をするって
夫曰く ”玄関的な軽作業スペース”です。
『一人で建てる木組みの家』の 家作りの様子の これまでは、こちら です。
この家には、玄関はない。
この土間が、家人と客人の出入口を兼ねる。
土間は、農作業場であり、内と外との中間ゾーンである。
そのため、土汚れした作業服を洗うための専用洗濯機や
収穫した野菜を洗うためのシンクを備え、作業机を置く・・
という予定であった。
土間用に流しシンクを購入し、設置までしていたが、とり止め。
が、出来上がってくるにつれ、土間というより、
やはり、玄関の方が良さそうだと、
夫婦とも、考えが変わってきた。
というのも、この機能は、
これまで古家の土間が果たしてきていて、とても便利だったのだが、
新しい家が出来たらこちらへ移すよりも、
古家の方の土間を残して、そのまま使う方がいいように思えてきたからだ。
ということで、現在は、この新しい家の土間は、
玄関的な軽作業スペースになりそうである。
2 慣れない者には難しかった土間
土間には、上り口の縁台がつく。1階の床高よりも10cm低い。
そのため、家の基本構造とは別のつくり方を考えていた。
だが、これは、失敗だった。
基礎の段階から同時進行すべきであったし、
設計の中でもっと、詳細に考えておくべきであった。
とってつけたような構造になってしまったし、
何よりも気に入らなかったのが、
1階の床高との10cmの段差を厚い敷居材で解消すべきであったのに、
敷居の前に薄板を打ち付けて、誤魔化したところだ。
後で考えてみれば、この外とのつなぎの空間というのは味がある分
設計や施工は、慣れていないとなかなか難しい部分であったようだ。
3 厚床板は、太い角材にのせるべし
基礎は建築ブロックW120を単独的に据えた。
その上へ スギ120×120の大引きをアンカーボルト3/8×240で固定。
スギの根太44×36を打ちつけて、床材のヒノキ厚板厚さ38mmを張った。
床板を短く切って張れば、大引きの上に載せられたのだが、
長手方向に張る方が、土間縁としても、キレイなので、
大引きの上に根太を載せてから床板を張った。
厚い床板を細い根太へうまく止め付けられるか心配したが
やはり、少し難しかった。
というのは、床板が入荷してから、半年以上経っているので、
乾燥して反りが出ている。
反りを釘で押さえ込むには、細い根太では負けてしまう。
根太の下へ 飼木を当てて注意深く釘を打って、なんとか収めることができた。
やはり、厚床板を張るには、細い根太ではなく、太い材を使うべきであった。
基礎ブロック
土間モルタル
大引
根太
4 上り框には、気をつかう
大工の腕は、破風板の合せ目や玄関上り框の合せ目を見ればわかる
と言われているので
この土間の上り框には、とても気を使った。
家へ上る時に、一番最初に見るのがこの上り框だから、
上等の材を使わねばと思うのだが、特別には注文していないので、
基礎材のヒノキ材の余った中から、見栄えの良いのを選りだして、
節のないキレイな面を前に向ける。
カンナも刃をピンピンに研いでから、仕上げをかける。
最も、気を使ったのは、入隅の合せ目。
45°の留めの突き付けにしたが、
上面の45°の合せ目と正面の合せ目の直線にすき間があかないようにする。
この両方を合わせるのが、難しい。
材が少し傾けば、どちらかの合せ目が切れてしまう。
何度もカンナをかけてすり合わせた。なんとか収まったと思う。
家の造りが美しいかどうかは、
一つはこの合せ目のすき間がどうかにかかっている。
見え掛かりを美しく仕上る。
ただし逆の見方をすれば、見え掛りさえ美しくあれば良いとも言える。
この框などは、上面と正面は気にするが、
下面と裏面は見えないのだから すき間があいても良いのだ。
すき間がないに超したことはないが、構造材ではないので気にしなくても良い。
だが、家具や手にとって眺める小さな木工品はそうはいかない。
あらゆる角度から見られるので、
またどの材も構造材であり、化粧材でもあるので
見え掛かりだけを気にするというわけにはいかず、
どこも気を抜くところはないところが、なかなか厳しいと言える。
框を大引きへ取り付けるには、釘ではなくコーススレッドを用いた。
しっかりした組手をしなかったので、釘では不安だったからだ。
このコーススレッドは、最近ではよく使われている。
木ネジをドライバーで締めるのは、手の力もいるし、
時間もかかるので、ドライバードリルを購入した。
これなら、易々と木ネジが締められる。
しかし、木ネジは少し強く締めるとすぐに、十字のネジ頭がつぶれてしまう。
その後コーススレッドという木ネジがあることを知った。
これなら、締めやすく、頭もつぶれない。
コーススレッドという(coarse thread)というのは、
目の粗いねじ山ということで、
木ネジよりもネジ山の目が粗いので、材木へネジ込み易いらしい。
ネジは、強い引き抜き抵抗力があるが、
この締めつけとは、逆に反対へまわせば、
ゆるめることが出来るというのが、また、とても便利だ。
管理的にとりはずしをしたいところは、釘ではなく、ネジを使う。
釘だと引き抜く時に材木を痛めてしまうからだ。
上り框
床板
5 通風口は、カモメと波
上り框の下には、通風口がつく。
金網を張るには難しい構造なので、板に窓を明けてから金網を当てる方法にした。
板をくりぬくのなら、何かおもしろい模様はないかと考えたのが、カモメだった。
この上り框の横の壁下にも通風口がつく。
ここは、それならと、波模様にした。
家作りも、この段階に来て、少しは余裕と遊び心が出てきた。
この辺りでは、あまりカモメは見かけない。
どこにでもいると思っていたが、
セグロカモメを1年に何度か1羽2羽とみかけるぐらいだ。
島であっても、海鳥はあまり見かけない。
逆に、陸の鳥は多い。
ちょうどこの作業をしていたのは、6月でホトトギスがよく鳴いていた。
5月連休明けのみかんの花が咲き出す頃から、鳴き出して、
この頃には、メスも鳴きだす。
テッペンカケタカのオスの声の後に、甲高くピピピピピピーと鳴くのが、メスだ。
年中ウグイスが鳴くこの辺りは、
托卵鳥のホトトギスにとっては、絶好の繁殖地なのだろう。
通風孔のカモメ模様
通風孔の波模様
6 土間床の舗装
土間の床を舗装する前に、
入口の扉下が舗装の止め部分になるので、自然石を据えることにした。
ちょうど古家を解体した時の基礎の花崗岩を残してあるので使うことにした。
石の仕上げはざっくりとした割り肌なので、もう少し細かい肌にしようと、
先細のタガネで叩いた。
なかなか平面が作れなくて、2個を叩くのに半日以上かかってしまった。
まだ凸凹は残っていたが、これで良いとして、モルタルで固定した。
なかなかのもんだ。
しかし、この石は入口の扉を取り付けた時に、
失敗であったことに気付いて、取りはずすことに。。。。
土間床の舗装は、見栄え良くレンガやタイルの張り物にしようかと思ったが、
目地の間に土が詰まるので、やめて、シンプルなモルタルにした。
砂利を入れたコンクリートの方がしっかりしていそうだが、
人が歩くだけのところなら、基盤さえしっかりしていれば、
2~3センチのモルタルで充分だ。
ただ、玄関も兼ねるので少し明るい雰囲気にしようと、
セメントと砂の他に白セメントと石灰を入れた。
セメント色よりは、少し白っぽく明るい色に仕上がった。
コテ均しは、うまくいかずに、表面がザラついてしまったが、
予想通りの出来だった。
しかし、これも良くなかった。
靴の裏に付いた泥を持ち込むと、良く目立つのだ。
白い土間がいつも土だらけ。
入口に、靴拭きマットを置くことで、いくらかは解消されたが。
こういうところは、むしろ、黒っぽく仕上げるほうが良かったようだ。
留め石の加工
玄関入口の留め石
作業期間 2007年6月上旬~中旬
所要日数 10日
付記:妻・ひろ
夫は、農家における、土間の重要性について、
大三島移住前から力説していました。
しかし、『一人で建てる木組みの家』の土間は、
土間には、狭くて使いづらいことが分かり、
かと言って、玄関としては、もったいないくらい広過ぎて、
使い道が楽しみな?つまり中途半端な空間になっています。
夫は、ちょっとしたテーブルを置いて、上がり框に腰掛けて、
”玄関的な軽作業スペース” と 弁解しているが、
さて、そこで、何をするって
夫曰く ”玄関的な軽作業スペース”です。
『一人で建てる木組みの家』の 家作りの様子の これまでは、こちら です。
1 収納のこと
ロフト付きの20坪の家というのは、
中年を過ぎた夫婦二人だけが住むには、広いか狭いか?
住んでみて今のところは、
「まあこんなものだろうな」 という感じ。
二人とも、物を買い貯めるタイプの人間ではないが、
夫婦を30年もやっていると、何かと物が多いので、
収納だけは、沢山あればいいと思っていた。
ロフトは、収納場所だった。
何でも、二階へ放り上げておけば良い。
階段も、下が収納場所になるように、箱階段にした。
寝室は、昼間はオープンな部屋として使えるように
布団の生活を続けてきている。
そのため、押入れを必要とする。
押入れ幅は、1間半あるので、布団入れを半分にして、
残り半分は、押入れダンスとする。
寝室の1間半の押入れの壁下地作業中
2 壁のこと
押入れの構造というのは、いたって簡単で
上下を仕切る棚板と壁と建具である。
建具の引戸は、後で作るとして、壁を張ろうとして考えた。
どうせ、いつもは見えない部分なら、安価に仕上げよう。
杉板も残りが少なくなってきたので、建具の方にまわすことにして、
石こうボードに、クロスを張ることにした。
石こうボードは、12mmの厚い方を使用した。
クロスは、段取りが悪く、一番最後に張ることになった。
小棚等をつけてからなので、壁が小分割されて、張る作業に手間取る。
クロスは糊付きのビニールクロスというのが環境と健康によろしくないので、
糊を別買いして、コットンクロスを使った。
石こうボードにクロス張りをするのは、この押入れと階段下の収納。
クロスの模様は、押入れを無地、階段下を樹模様にした。
押入れの石こうボード張り
押入れ 仕切り中棚作成中
3 青竹のこと
押入れダンスのハンガーをかける棒は、竹を使うことにした。
ステンレスやアルミの棒よりも味があるだろうし、
何よりも、手に入り易いからだ。
大三島に来て、早々に
近所の人に、竹を伐っても良い場所を、教えてもらった。
「洗濯の物干し竿がいるじゃろう」
と、Y長老が、自分の土地の竹林の伐採許可をだしてくれた。
これは、真竹
「キウリの支柱を立てるんなら、裏山の竹がいいよ。
誰が、伐ってもいいんよ」
と、Kちゃん。
これは、細い女竹
去年借り受けた、ハルミの畑では、
今年沢山のタケノコが掘れた。
これは、孟宗竹
竹は、種類によって性格が違うので、
用途によって、使い分けている。
真竹は、
材がしっかりしているから、何にでも使える。
物干し竿、押入れに使ったハンガーかけ。
菜園の支柱。
クラフトでは、箸、尺八など。
女竹は、太さが均一で、節間が長いので、太い目のを選んで、
好きな竹笛を作る。
菜園の支柱やカーテン・のれんかけの棒に。
孟宗竹は、太い筒を生かして、花筒や筆立てにするが、
何よりも、みかん畑を荒らすので、タケノコのうちに
掘り取って、食べるのが一番。
真竹も梅雨前に出るタケノコがとても旨い。
ハンガーかけの真竹は、伐ってきたら、
ガス火であぶって、油を滲み出させて、ボロ布で拭くと
表面の汚れが取れ、キレイなツヤが出る。
乾かせば、固く強度も出るだろうが、そのまま押入れに組み入れた。
中仕切り棚も完成して、青竹ハンガー掛けも取り付け完了
ベージュ系の、コットンクロスを張っているところ。
(左下隅が、別買いの糊)
1間半の押入れの上段 半分は布団 半分は洋服掛けに使っている
作業期間 2007年 5月下旬
所要日数 7日
付記:妻・ひろより
収納技術や片付けについて、何の計画もアイデアもない妻ですが、
狭い1間半の押入れの世界には、ポリシー? があります。
いや、単に、やたらと、
沢山の棚やら棒やらフックを取り付けるように
夫に 言うだけです。
そう言えば、かつて住んだ3軒の家の押入れ総てに
夫は、竹のハンガー掛けや沢山の棚を取り付けてくれましたねぇ~
何も入れるものはないんですが、上置き棚も注文ました。
『一人で建てる木組みの家』の 家作り の様子のこれまでは、こちらです。
ロフト付きの20坪の家というのは、
中年を過ぎた夫婦二人だけが住むには、広いか狭いか?
住んでみて今のところは、
「まあこんなものだろうな」 という感じ。
二人とも、物を買い貯めるタイプの人間ではないが、
夫婦を30年もやっていると、何かと物が多いので、
収納だけは、沢山あればいいと思っていた。
ロフトは、収納場所だった。
何でも、二階へ放り上げておけば良い。
階段も、下が収納場所になるように、箱階段にした。
寝室は、昼間はオープンな部屋として使えるように
布団の生活を続けてきている。
そのため、押入れを必要とする。
押入れ幅は、1間半あるので、布団入れを半分にして、
残り半分は、押入れダンスとする。
寝室の1間半の押入れの壁下地作業中
2 壁のこと
押入れの構造というのは、いたって簡単で
上下を仕切る棚板と壁と建具である。
建具の引戸は、後で作るとして、壁を張ろうとして考えた。
どうせ、いつもは見えない部分なら、安価に仕上げよう。
杉板も残りが少なくなってきたので、建具の方にまわすことにして、
石こうボードに、クロスを張ることにした。
石こうボードは、12mmの厚い方を使用した。
クロスは、段取りが悪く、一番最後に張ることになった。
小棚等をつけてからなので、壁が小分割されて、張る作業に手間取る。
クロスは糊付きのビニールクロスというのが環境と健康によろしくないので、
糊を別買いして、コットンクロスを使った。
石こうボードにクロス張りをするのは、この押入れと階段下の収納。
クロスの模様は、押入れを無地、階段下を樹模様にした。
押入れの石こうボード張り
押入れ 仕切り中棚作成中
3 青竹のこと
押入れダンスのハンガーをかける棒は、竹を使うことにした。
ステンレスやアルミの棒よりも味があるだろうし、
何よりも、手に入り易いからだ。
大三島に来て、早々に
近所の人に、竹を伐っても良い場所を、教えてもらった。
「洗濯の物干し竿がいるじゃろう」
と、Y長老が、自分の土地の竹林の伐採許可をだしてくれた。
これは、真竹
「キウリの支柱を立てるんなら、裏山の竹がいいよ。
誰が、伐ってもいいんよ」
と、Kちゃん。
これは、細い女竹
去年借り受けた、ハルミの畑では、
今年沢山のタケノコが掘れた。
これは、孟宗竹
竹は、種類によって性格が違うので、
用途によって、使い分けている。
真竹は、
材がしっかりしているから、何にでも使える。
物干し竿、押入れに使ったハンガーかけ。
菜園の支柱。
クラフトでは、箸、尺八など。
女竹は、太さが均一で、節間が長いので、太い目のを選んで、
好きな竹笛を作る。
菜園の支柱やカーテン・のれんかけの棒に。
孟宗竹は、太い筒を生かして、花筒や筆立てにするが、
何よりも、みかん畑を荒らすので、タケノコのうちに
掘り取って、食べるのが一番。
真竹も梅雨前に出るタケノコがとても旨い。
ハンガーかけの真竹は、伐ってきたら、
ガス火であぶって、油を滲み出させて、ボロ布で拭くと
表面の汚れが取れ、キレイなツヤが出る。
乾かせば、固く強度も出るだろうが、そのまま押入れに組み入れた。
中仕切り棚も完成して、青竹ハンガー掛けも取り付け完了
ベージュ系の、コットンクロスを張っているところ。
(左下隅が、別買いの糊)
1間半の押入れの上段 半分は布団 半分は洋服掛けに使っている
作業期間 2007年 5月下旬
所要日数 7日
付記:妻・ひろより
収納技術や片付けについて、何の計画もアイデアもない妻ですが、
狭い1間半の押入れの世界には、ポリシー? があります。
いや、単に、やたらと、
沢山の棚やら棒やらフックを取り付けるように
夫に 言うだけです。
そう言えば、かつて住んだ3軒の家の押入れ総てに
夫は、竹のハンガー掛けや沢山の棚を取り付けてくれましたねぇ~
何も入れるものはないんですが、上置き棚も注文ました。
『一人で建てる木組みの家』の 家作り の様子のこれまでは、こちらです。
2 施工の実際
1)プラスター塗り
ラスボードの上へ石こうプラスターを下地として塗る。
昔中学校の時間に、針金の芯に 水で溶いた石こうをペタペタと塗り付けて
『スポーツをする人』 を作ったことがあるが、
プラスターというのは、あの石こうベース素材にした壁材だ。
あれを思い出して 水で練ったらすぐに固まり始めるか と思ったが、
遅延剤が入っているらしく、あわてることはない。
プラスターと砂の配合比は、袋書きによれば、
プラスター1;砂1.5となっていたが、
少し塗りづらかったので、1;1に変えてみたら 滑らかに塗れた。
塗り厚さは5㎜としたが、厚み通りに塗るのはかなり難しい。
砂の粒径や配合比や水分量によって
塗れる厚みは だいたい決まってくるようだ。
下の方から上の方へ塗っていった。
本には、上からとも下からともどちらも書いてあるが、
下の方からの方が、やり易かった。
ラスボードが平坦なので、コテだけで充分平面に塗れるだろうと思っていたが、
細かい凸凹が出来る。
作った定規棒〈と言っても板切れだが〉で均すと、かなり平面性が出た。
ただし、動き具合を見図らないと、
定規棒でこすった時に ゴソッと塗った部分がはげる時があるので、
要注意。
左官材では、このプラスターの石こうとしっくい等の石灰がよく使われるが、
どちらも白い粉で似た様なものと思っていたが、違った。
石灰は、セメントモルタルに混ぜて 塗り易くしたりするが、
石こうは セメントと相性が悪いようで、
セメントモルタルが混ざると 硬化しないようだ。
これも要注意。
石こうプラスター塗り1
(このコーナーは、薪ストーブを置くので、耐火壁にしている)
石こうプラスター塗り2
2)しっくい塗り
調湿作用や消臭効果があると 昔からのしっくいが見直され、
新参者では珪藻土がもてはやされている。
しっくいは、消石灰にスサや糊を混ぜ込んだもので、日本特有のものらしい。
水を加えて練るだけで、すぐに塗れるタイプのものを材料店で買ってくる。
しっくいは古家のリフォームの時に初めて使ったことがある。
この時、硬化が早くてコテ跡を消そうとコテを返しても消せずに、
仕上げ面に細かいコテ跡が残った。
今度は下地のプラスター面へ充分に水を打って光る程に湿らせ、
しっくいも液状ぐらいの柔らかさで塗った。
これは少しやりすぎたか、下地が透けて、下地の凸凹をそまま拾ってしまった。
しかし、コテの作業性はとてもなめらかだった。
ただこの湿らせ加減としっくいの硬さがやる度に一定せず、
うまく塗れたかと思うと、次はダメだったりして仕上りに差が出てしまう。
水加減がとても難しい。
ただ言えるのは、今回は、1回塗りで仕上げようとしたが、
もう1回塗って、二度塗りとすれば、
また1回をできるだけ薄く塗れば、もっとキレイに仕上がったと思われる。
このしっくい塗り作業は、7月に行った。
妻壁の三角部分を塗る時は、
下の木壁や床を養生するために、ブルーシートを壁から垂らした。
ちょっとした足場板も取り付けた。
7月も半ばを過ぎると、真夏の気候で気温は30°近くあった。
熱気は天井部分に溜まる。
だが通風の窓を取り付けてあるので、風が吹けば熱気は外へ出て行く。
しかし、風が吹くと養生のシートが大きくはためいてはずれてしまう。
何度つけ直してもはずれるので、窓を閉めることにした。
すると熱気は外へ逃げないで溜まる一方。
汗は身体中からふき出る。10分ごとに下へおりてきて休憩をする。
温度計を持ってきて測れば、ロフトは40℃あった。
この時、妻側窓の通風効果を充分に体感確認することができた。
期待のしっくい壁は、満点ではないが、まあまあの出来上がりだろう。
壁へ目を近づけなければ、白の鮮やかなキレイな壁だ。
その後 大山祇神社や蔵のある民家の前を通る時、
ツルツルピカピカのしっくい壁が目に付き、
「やはりウチのとは大いに違うなあ」 とは思うのであるが・・・。
妻壁の養生
3)石灰モルタル塗り
しっくいに比べて,石灰モルタルについての詳細が,よくわからなかったので、
自分で試験練りをすることにした。
石灰モルタル用の石灰というのも売ってなさそうなので、
ホームセンターの肥料コーナーに置いてある土壌中和用の消石灰を買ってきた。
果たして、これで出来るのか?
骨材は、3㎜目以下の砂を使う。
石灰と砂の比率を変えて何種類か作り、石こうプラスターを塗って、
乾かしておいたラスボードへ塗る。
どれも付着性は良さそうだ。2~3日で硬化して乾いた。
しかし表面をこすると、白い粉が指につく。
1週間経っても白い粉はやはり指につく。
2~3日おきに指でこすって確かめる。
どの配合も同様。
その後忘れてしまっていて、
1か月程経った時に思い出して、指でこすると、
今度はほとんど指につかなかった。
硬さもかなり硬くなっていた。
これなら、使える。
試験練り後3か月程して、実際に壁に塗ることに。
配合比率は、石灰1:砂1。
適度な練り加減で伸びもよく、付着性も良い。
コテさばきがとてもなめらかで、仕上げのコテもやり易くて、
うまくコテ跡を消すことができた。
他の左官材と比べて見て、この石灰モルタルが施工性も仕上りも最高だった。
硬化性については、
塗ってから3ヶ月すると 完全に硬化して、白い粉がつかなくなった。
石灰岩から作る石灰は、水で練ると空気中の炭酸ガスと反応して硬化し、
いずれ元の石灰岩へ戻る。気硬性と言うそうだ。
水と反応して固まるセメントの水硬性とは、固まる仕組みがちがうようだ。
昔、小学校の体育倉庫の隅で、白線引き用の紙袋入りの消石灰が
セメントのようにカチカチに固まっていたのを思い出す。
本によれば、この気硬性は、1年経てば90%が完了し、
100%硬化が完了して、元の石灰岩に戻るには、100年かかるらしい。
石灰モルタル試験練り
石灰と砂の比率が違えてた5種の石灰モルタル
4)セメントモルタル塗り
セメントモルタルは、
石積みやブロック積みの目地や土間モルタルに使っているが、
壁面へ塗り広げるとなると、これまでとは違う。
やはり、これもセメントと砂の配合割合や水加減で
施工性は大きく違ってくる。
施工性が良いと、概して仕上りも良い。
今回は、風呂場のタイル下地として、
セメントモルタルを3回ほど塗り重ねた。
何度も失敗したのは、コンクリートブロックの表面への一層目。
塗り終えたと思ったら、部分的に大きくはがれしまうのだ。
セメント量が少なかったのと、塗り厚が大きかったのが大きな原因だ
と思われるが、注意しながらやってもうまくいかないものだ。
快調に左官作業をしている写真を撮ってもらおうと
妻に来てもらったら、
写真を撮り終えたところで、大崩落が起きた。
塗った壁の3分の1程がはがれて落ちてしまった。
ア然とする妻
「風呂に入っている時に、タイル壁が崩れてくるのではないか」
と心配する妻には、応えずに、
セメントを効かせたモルタルを持ってきて、
再びひたすら塗り続ける夫ではあったが・・・・・。
下地セメントモルタル塗り
5)白セメントモルタル塗り
白セメントでしっくい壁程の白さを出そうとすれば、
白セメントの量は、かなり多く必要だ。
普通セメントでは、セメント:砂は、1:3~1:2程だが、
白セメントなら1:1.5程になる。
しかし、これで練って塗ると伸びは悪く、早く乾きすぎ、
厚塗りになってコテ跡が消えなかった。
そこで、消石灰を白セメントの7割量を加えたら、
とても具合良く仕上がった。
セメントと石灰は、相性が良い。
6)タイル張り
タイルを張ろうとすれば、最初からタイルの大きさを考えて
タイルをできるだけ切らないで割り付けられるように、
壁や床地の下地の寸法を決めると、とてもキレイに仕上がる。
実際は、このことをあまり気にしなかったため、
特に風呂場は失敗が目立っている。
また風呂場は、下地のモルタル塗りの平坦性がよくないので、
タイルも凸凹と並び方が行儀悪い。
台所や洗面所の下地をケイカル板でやったところは、
とてもキレイに張れている。
タイルの仕上りは、下地さえ平坦性がとれていれば、
ボンド張りの場合は、素人がやってもとてもキレイに仕上がるものだ。
水糸を張って、十字の目地スぺーサーを使えば、
目地幅はキッチリと揃うようになっているところも、素人向きだ。
ただ、タイル切りは少し難しかった。
量が少ないため、タイルのカッターは購入せずに、〈結構高くつくので〉、
手元にあるガラス切りと喰い切り〈これは、新たに買った〉で、切ることにした。
使用したタイルは、壁用が陶器質で、床用が磁器質。
焼成温度のちがいで、陶器質は軟らかく、磁器質は硬い。
陶器質の方は、ガラス切りですじをつけたら、
板切れのかどに、すじのところをのせて、上から板切れをあてて、
押えた手に体重をかけるとコクッと、簡単に割れる。
磁器質の方は、1個のタイルが小さくて厚いこともあって、
陶器質のようにはいかず、喰い切りで少しずつ噛みとって整形した。
最後に一つ大事なことを言い忘れていた。
コンクリート面に水糸を張るにはどうするか?
誰かが、小さなコンクリート釘を打つのだと言っていたので、
試したがうまく行かない。
以前 現場で見た時には、千枚通しを突き差していたようだったので、
手元にある千枚通しを突き差したら先が曲がってしまった。
道具店やホームセンターで訪ねても、よくわからないと言う。
島外へ出た折りに、そこのホームセンターをのぞいてみたら、
ステンレス製の中通し千枚通しというのがあった。
コレだった。先が鋭利なので、正確に位置が落せる。
コレは、かなりのスグレモノだった。
タイル張り道具
タイルのカット カット面を砥石で磨く
タイルの接着剤塗り
櫛の歯型のコテは普通の左官ゴテをグラインダーで加工したもの
台所のタイル張り ステンレス製千枚通しで水糸を張っている
風呂場タイル張り
7)杉板張り
杉板は、幅120㎜ 長さ2mのものを400枚程張った。
最初の方は、色々試しながら張ったので、柱との間のすき間が目立ったが、
次第に方法も定まり、慣れてくると、うまく収まるようになった。
杉板張りは、柱とのすき間をいかにゼロに近づけるかで、出来栄えが決まる。
板は、相欠きの機械加工した幅の一定のものを使う。
先ず壁の高さを測り、杉板が何枚要り、端数がいくら残るかを計算する。
この端数が1cm未満であれば、張り始めの板の幅を少し狭くして、
端数が最低でも3cm程になるように調整する。
板の張り始めは、下からでも上からでも良い。
1cm角ぐらいの細い棒2本を定規にして柱間の寸法をとり、板へ写す。
一枚ごとに寸法を測る。
柱は垂直ではないため、上下で数㎜の誤差が出るからだ。
厳密に見れば、板の両サイド線も、木端に直角ではない筈だが、
そこまでは気にせず、曲尺で直角をとれば良い。
次に寸法通りに電動丸ノコで切る。
この時、寸法より、0.5㎜とか1㎜を短めに切るということはせずに、
キッチリ寸法通りで切る。
そして次に仕上げカンナでこの木口を削る。
これで、結構キレイに収まる。
付記:妻・ひろより
またしても、夫は、
「写真が撮れていない」
「しっくいを塗っているとこは?」
「養生テープを、張っているところは?」
妻が、”写真を捨ててしまった” と疑っている。
しっくい も 石灰モルタル も 白セメントモルタル も
下地セメントモルタル も 下地石こうプラスター も
全く、区別がつかず、何も解からない妻である。
夫は、なにをどう撮ってほしかったのか?
『一人で建てる木組みの家』の左官工事現場は、
ブルーシートや新聞紙で、覆われていて、
夫は、セメントやしっくいまみれの泥だらけの汗だらけで
絵になる、格好いい 場面など、なかったんだけれど。
『一人で建てる木組みの家』 21 22 23 24 内壁その1~その4 まで
作業期間 2007年4月下旬~8月下旬
所要日数 左官の所要日数〈風呂場は除く〉 10日間
杉板張りの所要日数 18日間
『一人で建てる木組みの家』の 家作り の様子 のこれまでは
こちらをごらんください。
1)プラスター塗り
ラスボードの上へ石こうプラスターを下地として塗る。
昔中学校の時間に、針金の芯に 水で溶いた石こうをペタペタと塗り付けて
『スポーツをする人』 を作ったことがあるが、
プラスターというのは、あの石こうベース素材にした壁材だ。
あれを思い出して 水で練ったらすぐに固まり始めるか と思ったが、
遅延剤が入っているらしく、あわてることはない。
プラスターと砂の配合比は、袋書きによれば、
プラスター1;砂1.5となっていたが、
少し塗りづらかったので、1;1に変えてみたら 滑らかに塗れた。
塗り厚さは5㎜としたが、厚み通りに塗るのはかなり難しい。
砂の粒径や配合比や水分量によって
塗れる厚みは だいたい決まってくるようだ。
下の方から上の方へ塗っていった。
本には、上からとも下からともどちらも書いてあるが、
下の方からの方が、やり易かった。
ラスボードが平坦なので、コテだけで充分平面に塗れるだろうと思っていたが、
細かい凸凹が出来る。
作った定規棒〈と言っても板切れだが〉で均すと、かなり平面性が出た。
ただし、動き具合を見図らないと、
定規棒でこすった時に ゴソッと塗った部分がはげる時があるので、
要注意。
左官材では、このプラスターの石こうとしっくい等の石灰がよく使われるが、
どちらも白い粉で似た様なものと思っていたが、違った。
石灰は、セメントモルタルに混ぜて 塗り易くしたりするが、
石こうは セメントと相性が悪いようで、
セメントモルタルが混ざると 硬化しないようだ。
これも要注意。
石こうプラスター塗り1
(このコーナーは、薪ストーブを置くので、耐火壁にしている)
石こうプラスター塗り2
2)しっくい塗り
調湿作用や消臭効果があると 昔からのしっくいが見直され、
新参者では珪藻土がもてはやされている。
しっくいは、消石灰にスサや糊を混ぜ込んだもので、日本特有のものらしい。
水を加えて練るだけで、すぐに塗れるタイプのものを材料店で買ってくる。
しっくいは古家のリフォームの時に初めて使ったことがある。
この時、硬化が早くてコテ跡を消そうとコテを返しても消せずに、
仕上げ面に細かいコテ跡が残った。
今度は下地のプラスター面へ充分に水を打って光る程に湿らせ、
しっくいも液状ぐらいの柔らかさで塗った。
これは少しやりすぎたか、下地が透けて、下地の凸凹をそまま拾ってしまった。
しかし、コテの作業性はとてもなめらかだった。
ただこの湿らせ加減としっくいの硬さがやる度に一定せず、
うまく塗れたかと思うと、次はダメだったりして仕上りに差が出てしまう。
水加減がとても難しい。
ただ言えるのは、今回は、1回塗りで仕上げようとしたが、
もう1回塗って、二度塗りとすれば、
また1回をできるだけ薄く塗れば、もっとキレイに仕上がったと思われる。
このしっくい塗り作業は、7月に行った。
妻壁の三角部分を塗る時は、
下の木壁や床を養生するために、ブルーシートを壁から垂らした。
ちょっとした足場板も取り付けた。
7月も半ばを過ぎると、真夏の気候で気温は30°近くあった。
熱気は天井部分に溜まる。
だが通風の窓を取り付けてあるので、風が吹けば熱気は外へ出て行く。
しかし、風が吹くと養生のシートが大きくはためいてはずれてしまう。
何度つけ直してもはずれるので、窓を閉めることにした。
すると熱気は外へ逃げないで溜まる一方。
汗は身体中からふき出る。10分ごとに下へおりてきて休憩をする。
温度計を持ってきて測れば、ロフトは40℃あった。
この時、妻側窓の通風効果を充分に体感確認することができた。
期待のしっくい壁は、満点ではないが、まあまあの出来上がりだろう。
壁へ目を近づけなければ、白の鮮やかなキレイな壁だ。
その後 大山祇神社や蔵のある民家の前を通る時、
ツルツルピカピカのしっくい壁が目に付き、
「やはりウチのとは大いに違うなあ」 とは思うのであるが・・・。
妻壁の養生
3)石灰モルタル塗り
しっくいに比べて,石灰モルタルについての詳細が,よくわからなかったので、
自分で試験練りをすることにした。
石灰モルタル用の石灰というのも売ってなさそうなので、
ホームセンターの肥料コーナーに置いてある土壌中和用の消石灰を買ってきた。
果たして、これで出来るのか?
骨材は、3㎜目以下の砂を使う。
石灰と砂の比率を変えて何種類か作り、石こうプラスターを塗って、
乾かしておいたラスボードへ塗る。
どれも付着性は良さそうだ。2~3日で硬化して乾いた。
しかし表面をこすると、白い粉が指につく。
1週間経っても白い粉はやはり指につく。
2~3日おきに指でこすって確かめる。
どの配合も同様。
その後忘れてしまっていて、
1か月程経った時に思い出して、指でこすると、
今度はほとんど指につかなかった。
硬さもかなり硬くなっていた。
これなら、使える。
試験練り後3か月程して、実際に壁に塗ることに。
配合比率は、石灰1:砂1。
適度な練り加減で伸びもよく、付着性も良い。
コテさばきがとてもなめらかで、仕上げのコテもやり易くて、
うまくコテ跡を消すことができた。
他の左官材と比べて見て、この石灰モルタルが施工性も仕上りも最高だった。
硬化性については、
塗ってから3ヶ月すると 完全に硬化して、白い粉がつかなくなった。
石灰岩から作る石灰は、水で練ると空気中の炭酸ガスと反応して硬化し、
いずれ元の石灰岩へ戻る。気硬性と言うそうだ。
水と反応して固まるセメントの水硬性とは、固まる仕組みがちがうようだ。
昔、小学校の体育倉庫の隅で、白線引き用の紙袋入りの消石灰が
セメントのようにカチカチに固まっていたのを思い出す。
本によれば、この気硬性は、1年経てば90%が完了し、
100%硬化が完了して、元の石灰岩に戻るには、100年かかるらしい。
石灰モルタル試験練り
石灰と砂の比率が違えてた5種の石灰モルタル
4)セメントモルタル塗り
セメントモルタルは、
石積みやブロック積みの目地や土間モルタルに使っているが、
壁面へ塗り広げるとなると、これまでとは違う。
やはり、これもセメントと砂の配合割合や水加減で
施工性は大きく違ってくる。
施工性が良いと、概して仕上りも良い。
今回は、風呂場のタイル下地として、
セメントモルタルを3回ほど塗り重ねた。
何度も失敗したのは、コンクリートブロックの表面への一層目。
塗り終えたと思ったら、部分的に大きくはがれしまうのだ。
セメント量が少なかったのと、塗り厚が大きかったのが大きな原因だ
と思われるが、注意しながらやってもうまくいかないものだ。
快調に左官作業をしている写真を撮ってもらおうと
妻に来てもらったら、
写真を撮り終えたところで、大崩落が起きた。
塗った壁の3分の1程がはがれて落ちてしまった。
ア然とする妻
「風呂に入っている時に、タイル壁が崩れてくるのではないか」
と心配する妻には、応えずに、
セメントを効かせたモルタルを持ってきて、
再びひたすら塗り続ける夫ではあったが・・・・・。
下地セメントモルタル塗り
5)白セメントモルタル塗り
白セメントでしっくい壁程の白さを出そうとすれば、
白セメントの量は、かなり多く必要だ。
普通セメントでは、セメント:砂は、1:3~1:2程だが、
白セメントなら1:1.5程になる。
しかし、これで練って塗ると伸びは悪く、早く乾きすぎ、
厚塗りになってコテ跡が消えなかった。
そこで、消石灰を白セメントの7割量を加えたら、
とても具合良く仕上がった。
セメントと石灰は、相性が良い。
6)タイル張り
タイルを張ろうとすれば、最初からタイルの大きさを考えて
タイルをできるだけ切らないで割り付けられるように、
壁や床地の下地の寸法を決めると、とてもキレイに仕上がる。
実際は、このことをあまり気にしなかったため、
特に風呂場は失敗が目立っている。
また風呂場は、下地のモルタル塗りの平坦性がよくないので、
タイルも凸凹と並び方が行儀悪い。
台所や洗面所の下地をケイカル板でやったところは、
とてもキレイに張れている。
タイルの仕上りは、下地さえ平坦性がとれていれば、
ボンド張りの場合は、素人がやってもとてもキレイに仕上がるものだ。
水糸を張って、十字の目地スぺーサーを使えば、
目地幅はキッチリと揃うようになっているところも、素人向きだ。
ただ、タイル切りは少し難しかった。
量が少ないため、タイルのカッターは購入せずに、〈結構高くつくので〉、
手元にあるガラス切りと喰い切り〈これは、新たに買った〉で、切ることにした。
使用したタイルは、壁用が陶器質で、床用が磁器質。
焼成温度のちがいで、陶器質は軟らかく、磁器質は硬い。
陶器質の方は、ガラス切りですじをつけたら、
板切れのかどに、すじのところをのせて、上から板切れをあてて、
押えた手に体重をかけるとコクッと、簡単に割れる。
磁器質の方は、1個のタイルが小さくて厚いこともあって、
陶器質のようにはいかず、喰い切りで少しずつ噛みとって整形した。
最後に一つ大事なことを言い忘れていた。
コンクリート面に水糸を張るにはどうするか?
誰かが、小さなコンクリート釘を打つのだと言っていたので、
試したがうまく行かない。
以前 現場で見た時には、千枚通しを突き差していたようだったので、
手元にある千枚通しを突き差したら先が曲がってしまった。
道具店やホームセンターで訪ねても、よくわからないと言う。
島外へ出た折りに、そこのホームセンターをのぞいてみたら、
ステンレス製の中通し千枚通しというのがあった。
コレだった。先が鋭利なので、正確に位置が落せる。
コレは、かなりのスグレモノだった。
タイル張り道具
タイルのカット カット面を砥石で磨く
タイルの接着剤塗り
櫛の歯型のコテは普通の左官ゴテをグラインダーで加工したもの
台所のタイル張り ステンレス製千枚通しで水糸を張っている
風呂場タイル張り
7)杉板張り
杉板は、幅120㎜ 長さ2mのものを400枚程張った。
最初の方は、色々試しながら張ったので、柱との間のすき間が目立ったが、
次第に方法も定まり、慣れてくると、うまく収まるようになった。
杉板張りは、柱とのすき間をいかにゼロに近づけるかで、出来栄えが決まる。
板は、相欠きの機械加工した幅の一定のものを使う。
先ず壁の高さを測り、杉板が何枚要り、端数がいくら残るかを計算する。
この端数が1cm未満であれば、張り始めの板の幅を少し狭くして、
端数が最低でも3cm程になるように調整する。
板の張り始めは、下からでも上からでも良い。
1cm角ぐらいの細い棒2本を定規にして柱間の寸法をとり、板へ写す。
一枚ごとに寸法を測る。
柱は垂直ではないため、上下で数㎜の誤差が出るからだ。
厳密に見れば、板の両サイド線も、木端に直角ではない筈だが、
そこまでは気にせず、曲尺で直角をとれば良い。
次に寸法通りに電動丸ノコで切る。
この時、寸法より、0.5㎜とか1㎜を短めに切るということはせずに、
キッチリ寸法通りで切る。
そして次に仕上げカンナでこの木口を削る。
これで、結構キレイに収まる。
付記:妻・ひろより
またしても、夫は、
「写真が撮れていない」
「しっくいを塗っているとこは?」
「養生テープを、張っているところは?」
妻が、”写真を捨ててしまった” と疑っている。
しっくい も 石灰モルタル も 白セメントモルタル も
下地セメントモルタル も 下地石こうプラスター も
全く、区別がつかず、何も解からない妻である。
夫は、なにをどう撮ってほしかったのか?
『一人で建てる木組みの家』の左官工事現場は、
ブルーシートや新聞紙で、覆われていて、
夫は、セメントやしっくいまみれの泥だらけの汗だらけで
絵になる、格好いい 場面など、なかったんだけれど。
『一人で建てる木組みの家』 21 22 23 24 内壁その1~その4 まで
作業期間 2007年4月下旬~8月下旬
所要日数 左官の所要日数〈風呂場は除く〉 10日間
杉板張りの所要日数 18日間
『一人で建てる木組みの家』の 家作り の様子 のこれまでは
こちらをごらんください。
1 作業前の準備
1)仕上り線を柱に打つ
仕上がりの位置を示す線をケビキで打とうとするが、
小回りがきかぬので、
釘と木片で小さなケビキを作った。
3種類程作って、重宝した。
この仕上り線と柱の角との幅寸法を "ちり" と呼ぶ。
このちり幅については、設計当初は、それ程気にしていなかったが、
入隅の仕上りを見た時に、その寸法の大事さがわかった。
ちり幅3㎜では、入隅に3㎜と3㎜のイジイジとした線が見える。
幅が狭いので、シャープさがない。
10㎜以上あれば、左官技術がまずくても、入隅はビシッと 決まっただろう。
2)養生で決まる美しい壁
マスキングテープは、丁寧にしっかりと貼ること。
左官技術が拙い場合は、特にそうである。
柱へはみ出た壁材は汚れとして跡がつく。
特にモルタルはアクが強いのか 木材と反応して黒っぽいしみとなる。
柱や桁、梁へは、幅30㎜のマスキングテープを使い、
床側は、養生フィルム〈幅50cm程〉のついたマスキングテープを使った。
これは、とても便利だった。
しかし、フィルムが少し薄かったのか、破れた箇所がいくらか出た。
またこのマスキングテープは 粘着力の強さの度合いが難しい。
粘着力が弱いとにじみが入るし、
逆に強すぎると、はがす時に 木がささくれる時がある。
長くおきすぎると こうなるようだ。
そしてまた、マスキングテープをはがすのは、
壁材が生乾きの時が 良いらしい。
確かに生乾きの時なら、
はがした時にイジイジになったところは、コテで軽くなでれば、キレイに収まる。
乾いてから、マスキングテープをはがそうとしたら、
壁材が少しテープの上へかぶっていたところは、
テープをはがすのに、大変難儀した。
なかなかやっかいなマスキングテープだが、
使い慣れれば、壁はキレイに仕上がる。
3)骨材寸法は、仕上りに大きく影響
セメントモルタルや石灰モルタルに混ぜ込む細骨材の砂の粒径は、
小さい程作業性は良い。
家にあった園芸用のふるいは、目が5㎜と1㎜だった。
5㎜は粗すぎるし、1㎜は細かすぎた。
この中間ぐらいはないかと探したら、
床板の防虫網に使ったステンレス金網が残っていた。
3㎜目だ。ふるい枠に針金で固定して使う。
塗り代に応じた粒径の砂を使う。
塗り代が3㎜なのに、最大粒径が5㎜の砂を使うと、3㎜には塗れない。
せいぜい細かい砂を使っているつもりでも、時々大粒の砂がコテにひっかかって、
せっかくキレイに塗れた壁へひっかき傷を作ってくれることがある。
これは下の面に凸凹があるからだ。
粒径の倍以上程の塗り厚がよさそうだ。
4)左官道具
左官に必要な道具は、プロなら色々と揃えているが、
にわか左官には大した道具はない。
基礎の石積みやブロックを積んだ時に使った物と ほぼ同じだ。
練り舟は、先住人が置いていった木枠付きのブリキ看板を代用。
練り板は、ベニヤ板で自作したもの。
ハケは、洗車用のブラシを代用。
あとは、ホームセンターで買った木ゴテと金ゴテ数種ぐらいだろう。
今回は、壁を真平に塗るには定規棒が必要だったので、杉板で作った。
練り板が壊れたのでしっかりしたものに作り換えた。
この練り板(壁材をのせて運ぶので運び板というのだろうか)は、
長方形の四つの角を大きく面取りしておいた。
塗りたての壁へこの角をよくぶっつけたり、ひっかいたりするからだ。
適当な大きさの長方形に作り、
使う時は当然のごとく広い面を前面にして使っていたが、
ある時、狭い面を前面に使うととても使い易かった。
考えるにコテの長さと辺の長さが同じだからであろう。
「しっくいがうまく塗れない」と、工務店に勤める人に話をすると、
「しっくいは トロトロの状態のをブラスティックのペラペラのコテで
二度塗りしているのを見たことがある」 と教えてくれた。
確かに大工と同じく左官も道具がものを言う。
あり合わせの道具で,立派な仕上りを期待するのは
厚かましいというものか。
左官道具
古看板の舟でモルタルを練る
一輪車でしっくいを練る
『一人で建てる木組みの家』の 家作り のこれまでは、
こちらを、ごらんください。
1)仕上り線を柱に打つ
仕上がりの位置を示す線をケビキで打とうとするが、
小回りがきかぬので、
釘と木片で小さなケビキを作った。
3種類程作って、重宝した。
この仕上り線と柱の角との幅寸法を "ちり" と呼ぶ。
このちり幅については、設計当初は、それ程気にしていなかったが、
入隅の仕上りを見た時に、その寸法の大事さがわかった。
ちり幅3㎜では、入隅に3㎜と3㎜のイジイジとした線が見える。
幅が狭いので、シャープさがない。
10㎜以上あれば、左官技術がまずくても、入隅はビシッと 決まっただろう。
2)養生で決まる美しい壁
マスキングテープは、丁寧にしっかりと貼ること。
左官技術が拙い場合は、特にそうである。
柱へはみ出た壁材は汚れとして跡がつく。
特にモルタルはアクが強いのか 木材と反応して黒っぽいしみとなる。
柱や桁、梁へは、幅30㎜のマスキングテープを使い、
床側は、養生フィルム〈幅50cm程〉のついたマスキングテープを使った。
これは、とても便利だった。
しかし、フィルムが少し薄かったのか、破れた箇所がいくらか出た。
またこのマスキングテープは 粘着力の強さの度合いが難しい。
粘着力が弱いとにじみが入るし、
逆に強すぎると、はがす時に 木がささくれる時がある。
長くおきすぎると こうなるようだ。
そしてまた、マスキングテープをはがすのは、
壁材が生乾きの時が 良いらしい。
確かに生乾きの時なら、
はがした時にイジイジになったところは、コテで軽くなでれば、キレイに収まる。
乾いてから、マスキングテープをはがそうとしたら、
壁材が少しテープの上へかぶっていたところは、
テープをはがすのに、大変難儀した。
なかなかやっかいなマスキングテープだが、
使い慣れれば、壁はキレイに仕上がる。
3)骨材寸法は、仕上りに大きく影響
セメントモルタルや石灰モルタルに混ぜ込む細骨材の砂の粒径は、
小さい程作業性は良い。
家にあった園芸用のふるいは、目が5㎜と1㎜だった。
5㎜は粗すぎるし、1㎜は細かすぎた。
この中間ぐらいはないかと探したら、
床板の防虫網に使ったステンレス金網が残っていた。
3㎜目だ。ふるい枠に針金で固定して使う。
塗り代に応じた粒径の砂を使う。
塗り代が3㎜なのに、最大粒径が5㎜の砂を使うと、3㎜には塗れない。
せいぜい細かい砂を使っているつもりでも、時々大粒の砂がコテにひっかかって、
せっかくキレイに塗れた壁へひっかき傷を作ってくれることがある。
これは下の面に凸凹があるからだ。
粒径の倍以上程の塗り厚がよさそうだ。
4)左官道具
左官に必要な道具は、プロなら色々と揃えているが、
にわか左官には大した道具はない。
基礎の石積みやブロックを積んだ時に使った物と ほぼ同じだ。
練り舟は、先住人が置いていった木枠付きのブリキ看板を代用。
練り板は、ベニヤ板で自作したもの。
ハケは、洗車用のブラシを代用。
あとは、ホームセンターで買った木ゴテと金ゴテ数種ぐらいだろう。
今回は、壁を真平に塗るには定規棒が必要だったので、杉板で作った。
練り板が壊れたのでしっかりしたものに作り換えた。
この練り板(壁材をのせて運ぶので運び板というのだろうか)は、
長方形の四つの角を大きく面取りしておいた。
塗りたての壁へこの角をよくぶっつけたり、ひっかいたりするからだ。
適当な大きさの長方形に作り、
使う時は当然のごとく広い面を前面にして使っていたが、
ある時、狭い面を前面に使うととても使い易かった。
考えるにコテの長さと辺の長さが同じだからであろう。
「しっくいがうまく塗れない」と、工務店に勤める人に話をすると、
「しっくいは トロトロの状態のをブラスティックのペラペラのコテで
二度塗りしているのを見たことがある」 と教えてくれた。
確かに大工と同じく左官も道具がものを言う。
あり合わせの道具で,立派な仕上りを期待するのは
厚かましいというものか。
左官道具
古看板の舟でモルタルを練る
一輪車でしっくいを練る
『一人で建てる木組みの家』の 家作り のこれまでは、
こちらを、ごらんください。
壁下地も色々ある
壁仕上げの種類がいくつかあり、それに応じて下地の方法も色々ある。
基本構造が木の家は、火や水に弱いことから、
防火防水の機能を壁下地に持たせている。
仕上げ材にもその機能はあるが、完全ではない。
1) ラスボード
しっくいや石灰モルタル仕上げの下地板である。
固めた石こうの表面は紙製で、塗りつける材の食いつきが良いように、
ボツボツと穴があけてある。
当初は、ラスボードの上へしっくいを塗るつもりだったが、
調べていくうちに、
ラスボードの表面の紙としっくいの相性が悪くてラスボードへは、
しっくいは直接塗れないことが解かったので、
それでは、石こうプラスターを仕上げ材にしようとした。
しかし、これも仕上げ用の石こうプラスターが、
手に入らないので、又々変更して、
下塗り石こうプラスターの上へしっくいや石灰モルタルを塗ることにした。
ラスボードの穴は、何かで叩いたような穴で、
よく見るとえぐれ方に穴の上下で差がある。
とすれば、ボードの貼り方に上下があるのだろうか。
また、横使いしても良いのだろうか。
わからぬままにどれも試してみたが、
食いつきの加減に差はなかったようだ。
ラスボード取り付け
モルタル下地とプラスター下地
2) ラス板とラス金網
ラスという言葉は、何気なく使っているが、
改めて調べると英語で〈Lath〉小舞のことを言う。
大いに納得。
ラス板を桟木に釘止めしてから、防水紙をタッカーで止め、
その上からラス金網をタッカーで止める。
この上へモルタルを塗る。
モルタルが仕上げになることもある。
市街地では、消防法上外壁はモルタル仕上げをすることが多く、
たいていはこの方法であったが、
今はサイディングを張ることが多くなったようだ。
今回は、白セメントモルタルを仕上げとしたり、
風呂場の壁として、
モルタル塗りの上へタイルをボンドを貼ったりした。
ラス板は、厚さ12㎜ 幅75~80㎜の杉板。
すき間をあけて桟木へ釘止めするだが、
そのすき間の寸法がわからなかった。
9㎜から30㎜と幅があった。
モルタルを塗る時にこのすき間へ押し込んで、
はくらくに抵抗させるようだが、数値に差がありすぎる。
結局15㎜とした。
ラス板
ラス金網も何種類かあり、今回は平ラスとリブラスを使った。
リブラスは、鉄骨建物等で利用されるようだが、
モルタルの厚塗りができるようなので、風呂場へ使うことにした。
リブラスには、裏表があって、
収まり良く見える張り方は裏向きであって、
あくまでモルタルが付着し易い向き〈収まりが悪く見える〉で、
張るのが正解であると材料店で教えてもらった。
それなら、上下の向きは決まっているのか。
これは確認しなかった。
張ってから気付いた。
張った金網に陽が当った時に光り方に違いがあった。
白っぽく光る方と、黒っぽい方とは、上下の向きが逆だった。
平ラスやリブラスは、薄い鉄板に網目状の切り目を入れてから、
引っ張って広げてあるので、線上の部分に方向性が現れる。
モルタルが載り易そうな方向と、落ちてしまいそうな方向に。
だがタッカーでしっかりと固定してしまったし、
上下があるかどうかもわからないので、
このままでいくことにした。
結果は、モルタルを塗っていても差は感じられなかったし、
はく落し易いとうこともなかった。
ラス金網
リブ付きラス金網 風呂場
土間下地
3)ケイカル板
ケイ酸カルシウム板のことで、
石こうボードより硬くて、曲げ弾力もある。
石こうボードに比べて、ある程度の水湿に強いらしく、
この上へボンドで直接タイルを貼る。
手洗いや台所の壁タイルの下地に使った。
風呂場のモルタル下地へ貼ったタイルとちがって、
とてもキレイにうまく貼ることが出来た。
タイルがうまく貼れるかどうかは、
下地の平面性にかかっているようだ。
台所ケイカル板
4)石こうボード
壁紙の下地材。12㎜厚を使った。
結構な重さがある。そのわりにもろくて、欠け易く、
運ぶ時に角を当てたりすると欠けてしまう。
要取り扱い注意。
押入れ石こうボード下地
2007年3月上旬~ 2007年5月下旬
下地所要日数〈桟木を含む〉 23日間
これまでの『一人で建てる木組みの家』の、家作り の様子は こちらをどうぞ
壁仕上げの種類がいくつかあり、それに応じて下地の方法も色々ある。
基本構造が木の家は、火や水に弱いことから、
防火防水の機能を壁下地に持たせている。
仕上げ材にもその機能はあるが、完全ではない。
1) ラスボード
しっくいや石灰モルタル仕上げの下地板である。
固めた石こうの表面は紙製で、塗りつける材の食いつきが良いように、
ボツボツと穴があけてある。
当初は、ラスボードの上へしっくいを塗るつもりだったが、
調べていくうちに、
ラスボードの表面の紙としっくいの相性が悪くてラスボードへは、
しっくいは直接塗れないことが解かったので、
それでは、石こうプラスターを仕上げ材にしようとした。
しかし、これも仕上げ用の石こうプラスターが、
手に入らないので、又々変更して、
下塗り石こうプラスターの上へしっくいや石灰モルタルを塗ることにした。
ラスボードの穴は、何かで叩いたような穴で、
よく見るとえぐれ方に穴の上下で差がある。
とすれば、ボードの貼り方に上下があるのだろうか。
また、横使いしても良いのだろうか。
わからぬままにどれも試してみたが、
食いつきの加減に差はなかったようだ。
ラスボード取り付け
モルタル下地とプラスター下地
2) ラス板とラス金網
ラスという言葉は、何気なく使っているが、
改めて調べると英語で〈Lath〉小舞のことを言う。
大いに納得。
ラス板を桟木に釘止めしてから、防水紙をタッカーで止め、
その上からラス金網をタッカーで止める。
この上へモルタルを塗る。
モルタルが仕上げになることもある。
市街地では、消防法上外壁はモルタル仕上げをすることが多く、
たいていはこの方法であったが、
今はサイディングを張ることが多くなったようだ。
今回は、白セメントモルタルを仕上げとしたり、
風呂場の壁として、
モルタル塗りの上へタイルをボンドを貼ったりした。
ラス板は、厚さ12㎜ 幅75~80㎜の杉板。
すき間をあけて桟木へ釘止めするだが、
そのすき間の寸法がわからなかった。
9㎜から30㎜と幅があった。
モルタルを塗る時にこのすき間へ押し込んで、
はくらくに抵抗させるようだが、数値に差がありすぎる。
結局15㎜とした。
ラス板
ラス金網も何種類かあり、今回は平ラスとリブラスを使った。
リブラスは、鉄骨建物等で利用されるようだが、
モルタルの厚塗りができるようなので、風呂場へ使うことにした。
リブラスには、裏表があって、
収まり良く見える張り方は裏向きであって、
あくまでモルタルが付着し易い向き〈収まりが悪く見える〉で、
張るのが正解であると材料店で教えてもらった。
それなら、上下の向きは決まっているのか。
これは確認しなかった。
張ってから気付いた。
張った金網に陽が当った時に光り方に違いがあった。
白っぽく光る方と、黒っぽい方とは、上下の向きが逆だった。
平ラスやリブラスは、薄い鉄板に網目状の切り目を入れてから、
引っ張って広げてあるので、線上の部分に方向性が現れる。
モルタルが載り易そうな方向と、落ちてしまいそうな方向に。
だがタッカーでしっかりと固定してしまったし、
上下があるかどうかもわからないので、
このままでいくことにした。
結果は、モルタルを塗っていても差は感じられなかったし、
はく落し易いとうこともなかった。
ラス金網
リブ付きラス金網 風呂場
土間下地
3)ケイカル板
ケイ酸カルシウム板のことで、
石こうボードより硬くて、曲げ弾力もある。
石こうボードに比べて、ある程度の水湿に強いらしく、
この上へボンドで直接タイルを貼る。
手洗いや台所の壁タイルの下地に使った。
風呂場のモルタル下地へ貼ったタイルとちがって、
とてもキレイにうまく貼ることが出来た。
タイルがうまく貼れるかどうかは、
下地の平面性にかかっているようだ。
台所ケイカル板
4)石こうボード
壁紙の下地材。12㎜厚を使った。
結構な重さがある。そのわりにもろくて、欠け易く、
運ぶ時に角を当てたりすると欠けてしまう。
要取り扱い注意。
押入れ石こうボード下地
2007年3月上旬~ 2007年5月下旬
下地所要日数〈桟木を含む〉 23日間
これまでの『一人で建てる木組みの家』の、家作り の様子は こちらをどうぞ