七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
七曜工房を楽しみます

一人で建てる木組みの家 ~①どんな家を建てるか~

2006年08月11日 | 『一人で建てる木組みの家』

木の好きな私にとって、木以外の家は考えにはなかった。
木の持つ性質が、人間という動物が住むのに、最も良い環境を与えてくれると信じているからだ。
木の家でもいろいろある。

ハンドメイドハウスに向くのが、何といってもログハウスだろう。だが使う木材の量が意外に多いことと、木を横に積むのが日本の気候に向くのかどうか。
そして最も気になったのが、チェーンソーを使うのが怖かったこと等の理由で、ログハウスは私には、適わなかった。

次に、よく紹介されるのが、家族で建てたり、友人達と建てたりしたという、ツーバイフォー工法だ。アメリカのハンドメイドハウスは、ほとんどがこのツーバイフォーだと本で読んだことがある。材木の加工は複雑なカットはなく、釘で打ちつけていくだけ。材木の寸法や釘の規格を、基準に則って施工すれば大丈夫らしい。
だが、この家も日本の気候に向くかどうか。骨組のツーバイフォー材以外は、ほとんどが合板であるのが気にいらない。壁ができると、起こして組み立てるのだが、一人ではとうてい起こせない。必ず助っ人がいる。
”一人で建てる”には、向かない。これも私には、適わなかった。

残るは、木造軸組工法と言われる、昔からの普通の家の作り方だ。
昔と言っても、この軸組工法も長い歴史があって変遷している。
今は組手や継手部分に金物やボルトを使う工法になっているが、昔は木組みを木栓や楔で固定していた。
区分すると、前者を在来工法、後者を伝統工法と呼ぶそうだ。

木工を志す者としては、家作りも家具作りの延長線上にあると考えている。
家作りで、木工の楽しさを味わうには、伝統工法で木組みのおもしろさを堪能しよう。木と鉄は相性が悪いそうだし、金物を使わずに木だけで組めれば丈夫な家にもなるだろう。また粘りのある丈夫さということから、筋違いを用いずに厚い貫板を使う貫工法とした。

間取りは、夫婦二人が住むことを前提に、夫は一人で建てるのだから身の丈に合った小さな家で充分だと考えるのに、妻は、そんなことは関係なく大きな家を望んだ。夫婦でケンケンゴウゴウ、なかなかまとまらず、二十数案の間取り図ができてしまった。

二十数枚の設計案


結局、収納スペースとしてロフトを持つ20坪の家に決定した。
設計も施工もできるだけシンプルな様に、四間×五間の長方形、屋根は切妻とした。

1階平面図


矩計図



付記 ”妻より一言”
そもそも、これは私(妻・ひろ)のブログである。

それなのに、なぜか、夫が、「『家作り編』は、僕が担当するわ」と、申し出た。
しかし、夫は、パソコンも、文字打ちもできない。
そこで、私に手書き原稿を渡す。
「建築雑誌やないんやからね」 「もっと、楽しくして」
 という、妻のアドイスに耳を貸さない。

今に、『みかん栽培編』も担当すると言い出しそうである。
「肥料配合は、N:P:Kで???」とか 
「みかん畑の生物多様性は???」とか 
論文発表のようになりそうで、困る。
近所でも、「講釈タレのHさん」と言われ、軽く聞き流されている。
皆さんも、我慢して、お付き合いのほどよろしくお願います。

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一人で建てる木組みの家 ~はじめに~

2006年08月05日 | 『一人で建てる木組みの家』
2003年の春に越して来て、築40年の古家をリフォームして住み始めた。
その隣には、築100年の20坪程の廃屋があり、

夏にはこの廃屋を、大ハンマーと鍬とシャベルで解体した。
木材は少しずつ焼却し、その他の残材はごみ焼却場に運び込んだ。
   (7月16日 「築100年廃屋解体物語」参照)


毎日、瀬戸内の穏やかな海を眺めて暮らしていたら、
近所の人が、教えてくれた。
この土地は、何年か前に、台風で、床上浸水した
購入する時には、聞いていなかったことだ。

新しく家を建てるには、敷地を土盛して上げるしかない。
翌2004年の2月に、土建業者に依頼して、
敷地の東半分に盛土をして、1メートル程高くした。

   
盛土完了 海岸より 新居予定地

新しく建てる家を住まいにして、今住んでいる家は、木工工房へ改造の予定。
その後、設計積算を進めていたが、

    
新居模型 西側より

この夏の台風16号により、堤防を越した波で床下浸水の被害を受けた。
その2週間後にも、台風18号が来襲し、浸水は免れたものの、
台風時の海の恐ろしさを思い知らされる。

   
2004年台風18号 高潮の様子

毎日海が眺められるようにと、海岸近くに建てる予定であった新居は、
海から離れた敷地の一番奥に建てることに変更。
結局、解体した廃屋のあったところに建てることに。

翌2005年3月に着工。
健康的で安心して住める家を 
   低コストで 一人で建てる
” を目標に、

現在も建築中である。
基礎作り、材木加工、建前、屋根掛けを終え、
今は、外壁の下見板張りを施工中。

   
2006年5月 垂木載せ完了

   
2006年8月現在 

 
建物概要  ・木造平屋建て(ロフト付)
         ・建築面積 4間×5間=20坪(7,28×9,10=66,2㎡)
         ・地域地区はなし
         ・構造:木造軸組貫工法
           (架構は、伝統構法で金物は使わない木組み)
         ・内訳:基礎~石積基礎、コンクリートブロック基礎
             外部~屋根/ガルバリウム波板張り
                外壁/杉下見板 厚さ15張り
             内部~床/ヒノキorスギ厚板 厚さ38張り
                壁/杉板 厚さ15張り、シックイ塗り

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築100年の廃屋解体物語

2006年07月16日 | 『一人で建てる木組みの家』
築100年の廃屋を解体する時に起こった、”事件 ”のお話です。

今から、3年前 2003年8月 暑い夏のことです。

「さあー、解体を始めるか」


まず、難関のブロック小屋から解体開始かな。
絡み付いたツルを取っていくと、意外や、立派なブロックのガレージまで出現
道具もないので、ハンマーで、力任せに、叩き壊していく


ブロック小屋もブロックガレージも解体 つまり、叩き壊しが無事終了


「さあ!瓦を下ろそうか、土壁を壊そうか」悩むところです。
どっちにしようかな??????本やネットで調べたけれど、いろいろ。
う~ん、屋根に上るの怖いし、よし、土壁から壊そう
隙隙の壁だから、くわでやってしまえ


土壁壊し完了! 「おっ、家の骨組だけが残った。」
さあ~~次は、瓦を下ろそう


「おと~~さあ~~ん」
  
 「何の用事?」
と、とりあえず、骨組みだけの廃屋から、出て、妻の呼ぶ方へ、行く。
 
ギーーシ
 

ふと、後ろを振り向けば、傾きつつある柱?屋根?あるいは、家全体

ドーーン バア~~ン ガッシャン  




つまり、解体中の家が、勝手に 倒壊したのです。
 妻が呼ばなければ、今頃は、この下敷きに 




「とにかく、よかった。もしかしたら、死んでたかも」
「う~~ん、まあっ、瓦を下ろす手間が省けたか」

しばし悄然として、肩を落として、立ち直ろうとする。

犬のハナも、一応、そばで、ウロウロ

さあ!跡片付け、跡片付け


そして、3年後、2006年7月末現在

築100年の廃屋倒壊跡地に、、

一人で建てる木組みの家”を建築中です。

銀色に輝くトタン屋根がその家です。



残るは、外壁貼り、建具作り、床、内壁、電気設備、給排水設備、など、
 み~~んな、たった一人で、やっていきます。
 そして、最後は家具作り。
 いつになるか、解りませんが、建築進行状況をブログで、お知らせしますので、 時々見てください。
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