夕映えがよく手入れされた木や草花を鮮やかに照らし出している庭の隅で、盛り上がった固い土を素足で踏みしめていた。
老人たちが8人ほど、僕の前に横並びに立っていた。
素っ裸に剥かれた体を隠すことも許されず、気を付けの姿勢を続けている僕に、ごま塩頭の老人が言った。
「みんな服を着ているのに、お前だけ丸裸じゃ。恥かしいだろ?」
力なく頷く僕を見て、眉毛の濃い老人が、
「小さなちんちんじゃの。恐ろしさに縮み上がっとるぞ」と、僕のおちんちんを指したまま、にやりと笑った。
「なぜ、素っ裸にされたのか、お前はよく理解していないようだ。みなみ川には神が宿っている。その川で下着を脱がずに泳いだということが許されないのだ」
ごま塩頭の老人の説明は、意味のよく分からないものだった。この人たちは、何か宗教団体の信者らしい。
「お前は神聖なる川を汚した。だから、一糸まとわぬ素っ裸になって、わしたちの前で土下座しなくちゃならんのだ」ごま塩頭の老人が厳かにそう告げると、「そうだそうだ。すぐに土下座しなくちゃならねえ」と、周りの老人たちも口々にそう言うのだった。
僕はその場で土下座した。
「申し訳ありませんでした。ほんとに申し訳ありませんでした」
屋外で素っ裸のまま土下座させられのは、今日で何回目だろう。僕は密かに自分の不運を嘆いた。
「よい。立ちなさい」と、ごま塩頭の老人が言った。
「お前は歳は幾つだ」と、眉毛の濃い老人が尋ねた。
「十三歳です。中学一年です」僕は全裸を少しでもこの人たちから隠そうと、身をよじりながら僕は答えた。
「中学一年か。それにしては小さいのう」眉毛の濃い老人は、隠した僕のおちんちんを覗き見ようとするかのように、体を斜めに向けた。
「もういいから、帰りなさい」と、ごま塩頭の老人が僕の肩をつかんで、門の外に押し出そうとした。僕は慌てて、
「待ってください。裸のままでは帰れません。何か着るものを・・・」
「何言ってるのか、お前は。始めから裸だったではないか」ごま塩頭の老人が怪訝な顔つきをした。
「いえ、パンツを穿いていました」
「パンツだと? そうだ、パンツで尊いみなみ川を泳ぎ、罰として裸で土下座させられたのだった」と、ごま塩頭の老人は、今思い出したように、手のひらを拳で打った。
「そうです。だから何か服を貸してください。明日、必ずお返しに上がります。ご覧の通り、僕は丸裸です。丸裸のままでは帰れません」
「承知した。服を与えてやろう。ただし、そのためには少しアルバイトをしてもらうぞ。お前も見たろうが、この家は年寄りばかり20人ほど住んでいる。彼らの部屋や廊下を片っ端から掃除して回るのじゃ。なに、そんなに広くないからすぐ終わるよ。お前の他に、若い女のヘルパーがいる。どうじゃな、やるかな」と、ごま塩頭の老人が言った。
肉体労働ならY美の家で毎日やらされている。ましてやそれで服がもらえるなら、まんざら悪くない話だ。僕は二つ返事で承諾し、服を求めた。
「服だと? それはアルバイトが終わってからじゃ。お前はその格好のまま、仕事をするのじゃ。お婆さんたちに目の保養をさせてやれ。いいか、素っ裸のままだぞ」
ごま塩頭の老人がそう言うと、周りの老人たちから喝采の声が上がった。
居間では老人たちが新聞や本を読んだり、囲碁を囲んでいたり、テレビを観たりしていたが、僕が素っ裸の体を忍び込ませると、号令でもかかったかのごとく、皆の視線が僕に集中した。僕はおちんちんを隠してもじもじしながら、ごま塩頭の老人が皆に僕を紹介するのを待った。
「紹介しよう。なおす君。今日一晩だけ、我々のために働いてくれることになった。小さいけど中学一年生だ。みんな、遠慮なく用件を言いつけていいです。で、見ての通り、なおす君はわけがあって素っ裸のまま働いてもらう。今はこうして恥かしがっておちんちんを隠しているけど、仕事中はそうそう隠してもいられないだろうから、みんな、あんまりいじめないように。彼だって好きで裸でいるわけじゃないからの。服を着せてくれって頼むのをわしが却下して、無理矢理オールヌードで働いてもらうのだからな。とくにお婆さんたちは、そこら辺の恥かしさをよく理解してやるように。では、なおす君、一言挨拶しなさい」
「はじめまして。よろしくお願いします」
「ヘルパーのIさんを紹介しよう」と、ごま塩頭の老人が白衣を来た二十代後半ぐらいの女の人を僕に引き合わせた。分厚いレンズの眼鏡をかけた暗い感じがする人で、僕のほうをろくに見ないで、無言で頭を下げただけだった。
その家には、長い廊下が一階と二階にあった。その廊下を雑巾掛けで二往復ずつした。すぐに夕飯の時間になったので、配膳をした。一階の食堂には細長いテーブルがあり、食卓の老人たちに食事を運ぶのだった。それが済むと、ヘルパーのIさんから、食堂の大きな窓ガラスを指して、これを外から拭いてくるように言われた。窓の下には池が広がっており、この窓は、サッシに足をかけ、手で窓枠の横木に掴まりながらでなければ、外から拭くことができない。老人たちは食事を始めたばかりだった。
僕はヘルパーのIさんに、それは今すぐやらなければならないのか、と聞いた。例えば、老人たちが食事を終えて、この食堂から退散した後にやってもよいかどうか。
「残念ですね。私の指示に従えないようなら、仕事が終わってもそのみっともない裸を隠す布切れは一片だって与えられないけど、それでもいいのですね」と、Iさんは怒ったように顎を上げて、僕を睨むのだった。
「分かりました。すぐやります」と、僕は水を注いだバケツに雑巾を持って外に出た。
老人たちが食事をしている最中、僕は外から横歩きで窓を拭き始めた。片手は雑巾、もう片方は横木に掴まっているので、部屋の中で食事をしている老人たちから、僕の裸は吊るされたように、くまなく見えてしまう。雑巾で窓をこするたびに僕のおちんちんが揺れるのをお婆さんたちが指差して笑っていたが、その中にお茶を注いで回っているIさんの姿もあった。
窓のそばに一人が来て、下のガラス戸を引くと、いきなり強く僕の腹部を押すのだった。僕はあっけなく下の池に背中から落とされてしまった。池は思ったよりも深く、僕の肩まであった。僕は水面から顔を出すと、「こんなことされたら、もう窓が拭けません」と、文句を言った。老人たちが窓に駆け寄って僕を見下ろしていた。僕は池から出て、素っ裸の濡れた体を池の周りの芝生に横たえた。
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老人たちが8人ほど、僕の前に横並びに立っていた。
素っ裸に剥かれた体を隠すことも許されず、気を付けの姿勢を続けている僕に、ごま塩頭の老人が言った。
「みんな服を着ているのに、お前だけ丸裸じゃ。恥かしいだろ?」
力なく頷く僕を見て、眉毛の濃い老人が、
「小さなちんちんじゃの。恐ろしさに縮み上がっとるぞ」と、僕のおちんちんを指したまま、にやりと笑った。
「なぜ、素っ裸にされたのか、お前はよく理解していないようだ。みなみ川には神が宿っている。その川で下着を脱がずに泳いだということが許されないのだ」
ごま塩頭の老人の説明は、意味のよく分からないものだった。この人たちは、何か宗教団体の信者らしい。
「お前は神聖なる川を汚した。だから、一糸まとわぬ素っ裸になって、わしたちの前で土下座しなくちゃならんのだ」ごま塩頭の老人が厳かにそう告げると、「そうだそうだ。すぐに土下座しなくちゃならねえ」と、周りの老人たちも口々にそう言うのだった。
僕はその場で土下座した。
「申し訳ありませんでした。ほんとに申し訳ありませんでした」
屋外で素っ裸のまま土下座させられのは、今日で何回目だろう。僕は密かに自分の不運を嘆いた。
「よい。立ちなさい」と、ごま塩頭の老人が言った。
「お前は歳は幾つだ」と、眉毛の濃い老人が尋ねた。
「十三歳です。中学一年です」僕は全裸を少しでもこの人たちから隠そうと、身をよじりながら僕は答えた。
「中学一年か。それにしては小さいのう」眉毛の濃い老人は、隠した僕のおちんちんを覗き見ようとするかのように、体を斜めに向けた。
「もういいから、帰りなさい」と、ごま塩頭の老人が僕の肩をつかんで、門の外に押し出そうとした。僕は慌てて、
「待ってください。裸のままでは帰れません。何か着るものを・・・」
「何言ってるのか、お前は。始めから裸だったではないか」ごま塩頭の老人が怪訝な顔つきをした。
「いえ、パンツを穿いていました」
「パンツだと? そうだ、パンツで尊いみなみ川を泳ぎ、罰として裸で土下座させられたのだった」と、ごま塩頭の老人は、今思い出したように、手のひらを拳で打った。
「そうです。だから何か服を貸してください。明日、必ずお返しに上がります。ご覧の通り、僕は丸裸です。丸裸のままでは帰れません」
「承知した。服を与えてやろう。ただし、そのためには少しアルバイトをしてもらうぞ。お前も見たろうが、この家は年寄りばかり20人ほど住んでいる。彼らの部屋や廊下を片っ端から掃除して回るのじゃ。なに、そんなに広くないからすぐ終わるよ。お前の他に、若い女のヘルパーがいる。どうじゃな、やるかな」と、ごま塩頭の老人が言った。
肉体労働ならY美の家で毎日やらされている。ましてやそれで服がもらえるなら、まんざら悪くない話だ。僕は二つ返事で承諾し、服を求めた。
「服だと? それはアルバイトが終わってからじゃ。お前はその格好のまま、仕事をするのじゃ。お婆さんたちに目の保養をさせてやれ。いいか、素っ裸のままだぞ」
ごま塩頭の老人がそう言うと、周りの老人たちから喝采の声が上がった。
居間では老人たちが新聞や本を読んだり、囲碁を囲んでいたり、テレビを観たりしていたが、僕が素っ裸の体を忍び込ませると、号令でもかかったかのごとく、皆の視線が僕に集中した。僕はおちんちんを隠してもじもじしながら、ごま塩頭の老人が皆に僕を紹介するのを待った。
「紹介しよう。なおす君。今日一晩だけ、我々のために働いてくれることになった。小さいけど中学一年生だ。みんな、遠慮なく用件を言いつけていいです。で、見ての通り、なおす君はわけがあって素っ裸のまま働いてもらう。今はこうして恥かしがっておちんちんを隠しているけど、仕事中はそうそう隠してもいられないだろうから、みんな、あんまりいじめないように。彼だって好きで裸でいるわけじゃないからの。服を着せてくれって頼むのをわしが却下して、無理矢理オールヌードで働いてもらうのだからな。とくにお婆さんたちは、そこら辺の恥かしさをよく理解してやるように。では、なおす君、一言挨拶しなさい」
「はじめまして。よろしくお願いします」
「ヘルパーのIさんを紹介しよう」と、ごま塩頭の老人が白衣を来た二十代後半ぐらいの女の人を僕に引き合わせた。分厚いレンズの眼鏡をかけた暗い感じがする人で、僕のほうをろくに見ないで、無言で頭を下げただけだった。
その家には、長い廊下が一階と二階にあった。その廊下を雑巾掛けで二往復ずつした。すぐに夕飯の時間になったので、配膳をした。一階の食堂には細長いテーブルがあり、食卓の老人たちに食事を運ぶのだった。それが済むと、ヘルパーのIさんから、食堂の大きな窓ガラスを指して、これを外から拭いてくるように言われた。窓の下には池が広がっており、この窓は、サッシに足をかけ、手で窓枠の横木に掴まりながらでなければ、外から拭くことができない。老人たちは食事を始めたばかりだった。
僕はヘルパーのIさんに、それは今すぐやらなければならないのか、と聞いた。例えば、老人たちが食事を終えて、この食堂から退散した後にやってもよいかどうか。
「残念ですね。私の指示に従えないようなら、仕事が終わってもそのみっともない裸を隠す布切れは一片だって与えられないけど、それでもいいのですね」と、Iさんは怒ったように顎を上げて、僕を睨むのだった。
「分かりました。すぐやります」と、僕は水を注いだバケツに雑巾を持って外に出た。
老人たちが食事をしている最中、僕は外から横歩きで窓を拭き始めた。片手は雑巾、もう片方は横木に掴まっているので、部屋の中で食事をしている老人たちから、僕の裸は吊るされたように、くまなく見えてしまう。雑巾で窓をこするたびに僕のおちんちんが揺れるのをお婆さんたちが指差して笑っていたが、その中にお茶を注いで回っているIさんの姿もあった。
窓のそばに一人が来て、下のガラス戸を引くと、いきなり強く僕の腹部を押すのだった。僕はあっけなく下の池に背中から落とされてしまった。池は思ったよりも深く、僕の肩まであった。僕は水面から顔を出すと、「こんなことされたら、もう窓が拭けません」と、文句を言った。老人たちが窓に駆け寄って僕を見下ろしていた。僕は池から出て、素っ裸の濡れた体を池の周りの芝生に横たえた。
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