「あんたみたいな変態は、こうしてやる」
Y美がそう言うと、居間の柱に僕の両腕を回した。幸ちゃんが手助けして、勃起した僕の体を抑えている。その様子をおば様がにこにこしながら見ていた。
「そうね。Y美たちが怒るのも無理ないわ。あなたは素っ裸なんだから、自分の欲情は隠せないのよ。もう少し考えないとね」
足首にまできっちり縄をかけられた僕は、素っ裸で柱に縛られている恥ずかしさと空腹で、がっくりとうなだれていた。隠しようのないおちんちんはピンと立ったまま先端をやや下に向けて、恥ずかしさからわざと視線を逸らしているようだった。女の子たちの嘲笑の的だ。Y美がこれみよがしに焼肉を僕の鼻先にぶら下げる。ほかほかの白いご飯と焼肉を、縛られて動けない僕の目と鼻の先で、音を立てておいしそうに咀嚼するのだった。
空腹をこんなに辛く感じたのは初めてだった。どんなにもがいても縛られた手や足は自由にならない。目の前にぶら下げられた焼肉に向かって口をあけ、哀願しながら首を前に差し出すが、いつもぎりぎりのところでさっと引っ込められてしまうのだった。Y美はゲームを楽しんでいるようだった。
「これ、Y美。いい加減にしなさいな。いくらなんでもチャコが可哀想でしょ。朝ご飯しか食べてないから、お腹空いてるのよ」
「そんなの私の知ったことじゃないよ。学校に行けばよかっただけじゃん。なんで学校に来なかったの? 私、待ってたのに。ねえ、チャコったら、なんでよ?」
焼肉の皿を僕の目の前に差し出しながら、Y美が僕の目をじっと見つめる。その目は、不思議なくらい真剣だった。
あえて僕の口から理由を言わせようとするY美の真意が図りかねた。雪ちゃんも幸ちゃんも箸を止めてじっと僕を見ている。僕が口ごもっていると、
「ごめんね。私の手違い。縁の下の盥に制服が一式入ってると思ったんだけど」
口からだらりと下げた焼肉をするりと口中に収めておば様が早口で言うと、目を細めて僕のお臍から下へ視線を落とした。
「なんでお母さんに謝らせてるのよ。あんたが自分で服の場所を確認しなかったのがいけないんでしょ」
いきなりY美が僕の頬を平手打ちした。うつむく僕の顎を下から手で押し上げ、連続して浴びせ続ける。「ごめんなさい。僕が悪かったんです」と、みんなの耳にはっきり聞き取れる声を出すまで、平手打ちは止まなかった。雪ちゃんが僕の頬に触って、「真っ赤で熱くなってる」と感想を洩らした。
四人の女の人たちは、悠々と食事を続けた。
学校での出来事を語る幸ちゃんの話に、おば様が笑い、Y美がおもしろいコメントを付け加え、雪ちゃんが笑いすぎて咳き込んだ。
全裸で柱に立ち縛りされている僕は黙殺されていた。空腹もさることながら、もう一つの生理的な欲求が僕の身を苛んでいた。身をくねらせ、尿意をこらえる。尿が溜まって下腹部がぽっかり膨らんでいるような気がした。がっしりと胸回りや手首、足首に食い込んでいる縄が解かれるのを待っていたら、膀胱が破裂してしまう。
幸ちゃんに川の水を散々飲まされ、夕立を浴びて冷えた裸身は、家に向かう途中、二度おしっこをしたが、尿意は短い間隔で襲ってくる。草むらに隠れて素早く放尿できる時にもっとしておけばよかったと、今さらながら悔やんだが、ほんとは殊更に悔やむことで目下の激しい尿意を少しでも忘れるのが目的だった。しかし、このまま我慢していても、漏らしてしまうのが関の山だし、そうなったら、Y美にどんなお仕置きを受けるか知れたものではない。僕は勇を鼓して、食事を楽しんでいる女の人たちに向かって尿意を訴えた。
「どうしたの。もっと大きな声じゃないと聞こえない」
Y美が驚いたように目を丸くして、大袈裟に耳に手を当てる。
「トイレに行かせてください」
「理由を言いなさい」
「おしっこ、おしっこが我慢できないんです」
縄の中でもがきながら、僕はべそをかいていた。どうせトイレに行かせてくれる訳はないと思っていた。案の定、Y美が台所からプラスチックの使い捨てコップを持って来た。Y美の行動は、彼女が持っているプラスチックのコップのように透明で、考えていることがよく伝わってくる。僕は首を横に振った。
「面倒くさいなあ。お腹空いてるだけかと思ったら、おしっこもしたいだなんて。ほら、ここにしなさい」
コップをおちんちんの先に当てる。コップの縁でおちんちんを下からつんつんと揺すりながら、Y美が急かす。雪ちゃんが食事を中断して、Y美のそばに寄る。おば様と幸ちゃんの会話する声がどこか遠くの世界から響いてくる呪文のように聞こえた。雪ちゃんが僕のおちんちんに触れ、ゆっくりと皮を剥き始めた。僕の食いしばる歯と歯の間から静かに息が漏れる。
「しっかり剥いて上げないと、出ないんじゃないの」
早口で言う雪ちゃんの唾が露出した亀頭に飛んだ。
罵倒され、冷やかされ、笑われているその辛い時間を僕は下唇を噛んで、じっと耐えた。Y美と雪ちゃんの言葉による攻撃は凄まじかったが、それに耐えるのは、おしっこを我慢することから解放された代償なのだと自分に言い聞かせた。Y美があてがうコップの中におしっこを放出している時、おちんちんの暗いトンネルを潜ってどんどん出口へ流れるおしっこに爽快感と、性的な快楽とは全く別種の、それでいて性的快楽にそれほど劣るとも思えない快楽に、僕は危うく声を上げるところだった。もし実際に声を上げていたら、必ずやY美が聞き留めて、僕に対する更に切ない罰を考え出したことだろう。
ずっと我慢していただけあって、おしっこが止まらず、コップにもう少しで溢れるところだった。Y美がこぼさないように真面目な表情で、ゆっくりと雪ちゃんに手渡す。「う、臭い」と、雪ちゃんが顔をしかめる。
「臭いでしょ。チャコのおしっこ」
「まじで臭い。どうしてこんなに臭いの?」
「それはね、チャコがおしっこを飲んでるからだよ。まあ、私が無理矢理飲ませたんだけどね。ふふふ、笑っちゃうな。おしっこ飲むと、おしっこが臭くなるみたいだね。初めてチャコにおしっこを飲ませた時は、こんなに臭くなかったもん」
ふんふんと頷いて雪ちゃんはいたく感心したようだった。「初めて知ったよ」と、感動を口にしながら、コップになみなみと注がれた液体をこぼさないように、そっと立ち上がる。Y美が何か雪ちゃんに話し掛け、雪ちゃんはコップを片手に慎重な足取りで「臭い臭い」と呟きながら、玄関に向かった。Y美はくるりと僕に背を向けて、食卓に戻る。
すぐそばに食べ物がありながら、口にすることができない。もがけばもがく程、縄は空腹で力の出ない僕の裸体に食い込んでゆく。鉄板の上にじゅうじゅうと焼かれる焼肉が目に入る。Y美が頻りに「おいしいおいしい」を連発しながら旺盛な食欲を見せて、おば様を驚かせていた。
「またお代りなの? すごいね。少しはチャコに残してあげないと」
たっぷりよそったご飯茶碗をY美に渡すと、おば様は皿を持って僕の前に腰を屈めた。
「可哀想にね。みんな、おいしくご飯を食べているのに、一人だけ柱に縛られているなんて。お腹空いたでしょ。朝しか食べてないんだもんね。川で泳いだり、泥だらけになって走ったり、結構運動したから疲れたと思うよ。それにしても今日もたくさんの人におちんちんを見られたようね。もう素っ裸でいることにも慣れたでしょ」
おば様が萎えたおちんちんを指で突っついて、そっと微笑む。箸で摘まんだ一切れの焼肉を僕の目の前に差し出し、「あーん」と言って僕に口を開けさせる。喉を鳴らして口を大きく開け、首を前に伸ばす。と、不意におば様は箸を引っ込め、何かを思い出したように立ち上がり、冷蔵庫に向かうのだった。
「あ、デザートにアイスクリームを買ってあるの、忘れてた。雪ちゃん、食べてってね。幸ちゃんも好きでしょ」
「ほんとに何から何まですみません。うちの母が自分勝手なばっかりに…」
「いいのよ。お互い様でしょ。雪ちゃんちのお母さんだって、たまには男の人と羽目を外したいわよ。うまく行くといいね」
妙に大人びた物腰で頭を下げる雪ちゃんに敬意を払って、おば様は大人に話し掛けるようなことを言った。賢明な雪ちゃんはその意を汲んで、にっこり微笑む。Y美が四人分の小型カップを食卓に並べていた。
冷凍庫から取り出したアイスクリームをカップに盛るようにY美に言いつけると、おば様は再び皿を持って僕の前に回った。「あーん」と言って焼肉を箸で摘み上げる。首を伸ばした僕の口まであと二センチもない所で、肉片がするりと箸から抜け落ちた。「あら」ぺろりと舌を出しておば様がもう一度摘み上げる。お腹をぐうぐう鳴らして僕が首を伸ばす。
「スプーンなら、そこの引出しにあるよ」
摘み上げた焼肉を皿に置いて、おば様が立ち上がる。スプーンを探してあちこちの引き出しを開けるY美が見ていられないようで、台所まで行きスプーンの場所を教えると、やれやれと息をつきながら、おば様が戻って来た。皿の中でも大きめの肉片を選んで、箸で僕の口先まで運ぶ。
「あーん。大きく口を開けなさい。あーん」
縛られて自由のきかない体を精一杯伸ばして、口を開ける。涎がぽたぽたと垂れてしまった。あとほんの少しで、肉が口に入る。「汚いなあ、もう」摘み上げた肉を皿に戻すと、おば様は悠然と雑巾で床に垂れた涎を拭き始めた。僕は食べ物を口に入れてもらえないもどかしさで、縄で拘束された体をくねらせた。アイスクリームを食べながら、Y美が笑っている。僕が肉片に食い付こうとすると、おば様の箸から肉片がするりと落ちるのだった。
「ごめんなさいね。私、箸が苦手なの。今度こそうまく食べてね」
そう言うと、おば様は僕の目の高さから焼肉を放した。口を伸ばす僕の唇をかすめて、焼肉が落下する。もう少し近づけてくれないと、食べられない。涎を垂らして荒く呼吸する僕のおちんちんを指で叩いて、おば様が微笑む。
「そんなに焦ったら駄目。今度こそゆっくり食べさせてあげるから」
首をうんと伸ばした僕の口のすぐ先で肉片が揺れていた。おば様が箸で摘み上げた肉片を揺すっていた。やっと食べさせてもらえるのだ。舌を伸ばした瞬間、肉片が遠ざかった。あろうことか、僕の目の前でぺろりとおば様がその肉片を自分の口に入れてしまった。
「あらやだ。私ロースばっかりで霜降りは食べてなかったのよ。おいしいのね。やっぱり霜降りは」
もぐもぐと咀嚼しながら、おば様がY美を振り向いて、不満を述べる。
「あんたばっかり霜降り食べて、ずるい。私にも食べさせてよ。チャコに食べさせる役目はあんたがやって。クラスメイトなんだから。いつも教室で机を並べているんでしょ」
「でも最近ずっと学校休んでるじゃん。トイレ小屋に閉じ込められてたし」
「屁理屈言わない。とにかく同じクラスの仲間なんだから、あんたが食べさせるの」
おば様は椅子に座って、残りの肉を焼き始めた。アイスクリームを平らげたY美は、おば様のアイスクリームを冷凍庫に戻すと、渋々焼肉の皿を持って、柱に縛られている僕の前に来た。いかにもつまらなそうな顔をして、僕の体を頭のてっぺんから爪先まで眺め回す。大袈裟に溜め息をついて、「あんたもさあ」と言う。
「恥ずかしくないのかな、おちんちん丸出しで縛られちゃって。一応、私も同い年の女の子なんだからさ、少しは隠しなさいよ」
腿を合わせもじもじしている僕を見下ろして、Y美が腕を組んで立つ。食べ終わった食器を台所に運んだ雪ちゃんと幸ちゃんの姉妹がY美のそばに来て、縛られて動けない僕の体をしげしげと見ている。
「でも、Y美さんは、なんでチャコ兄ちゃんのこと、いじめるの?」
思いがけないことを言う幸ちゃんに顔を向けて、Y美は少し困ったような表情をした。
「いじめてるって言うか、でも仕方ないんじゃないの? ちびで一人だけ素っ裸で、おちんちんもこんなに小さくて皮被ってるし、毛も生えてないし。雪ちゃんどころか、小学四年生の幸ちゃんよりも背が低いんじゃないの。幸ちゃん、こっちにおいでよ」
幸ちゃんは「まさか」と軽く笑って僕が縛られている柱の横に立った。比べてみると、僕の方が少しだけ高かったものの、ほとんど変わらないのだった。
「すごいわね。背が伸びたのね、幸ちゃん」
焼肉をゴマダレに浸しながら、おば様が感心する。幸ちゃんは、学校の休み時間によく運動しているのだと答えた。その一つに腿上げがあると言って、実演してみせた。
左右の腿を交互にお腹に付くまで上げる。幸ちゃんの弾力性のある柔らかい体が僕の目の前で跳ねている。「あっ」と思わず僕は声を上げてしまった。幸ちゃんの足の指がおちんちんに当たったのだった。
「やだ。当たっちゃった」と、顔を赤くする幸ちゃんに「Y美が気にしなくていいよ」と声をかけた。幸ちゃんは爪先の感触がくすぐったくて面白かったらしく、もう一度腿上げをして、今度はわざと足の指をおちんちんに当てた。
「やだ。また当てちゃった」と、笑う。「くすぐったくて気持ちいい」と、幸ちゃんがY美と雪ちゃんに報告する。五回目にやられた時は、おちんちんの袋にかなり強く当たって、激痛に悶える僕を幸ちゃんは指を咥えて見つめるのだった。
おちんちんを大きくさせる物理的な刺激について、雪ちゃんがY美に訊ねる。Y美は「よく分からないけど」と前置きして、いきなりおちんちんを手でしごき始めた。最初から速いスピードでこするので、僕は「うっ」と声を発して腰を引いてしまった。しかし、すぐに気持ちよくなってしまい、精液を放出したい欲望がおちんちんの根元から起ち上がった。
「はいストップ。勝手に精液出したら、お仕置きだからね」
Y美は、あたかも高圧電流が流れたかのように、さっとおちんちんから手を離した。雪ちゃん幸ちゃんが「きゃっ」と小さく叫んで、笑う。笑いながら姉妹は、おちんちんの動きについて話し合った。上下に動かせるのか、それとも左右に動かせるのか、或いは両方動かせるのか。Y美が勃起したおちんちんを上からつんつんと指で弾きながら、「確かめてみるしかないんじゃないの」と言った。
台所で食器を洗いながらおば様が「あまりいじめるんじゃないのよ」と注意しても、Y美は生返事しか返さない。もっぱら視線は僕のおちんちんに集中していた。三人の女の人が生唾を飲み込む音が聞こえた。僕は下腹部に神経を集中して、おちんちんを左右に揺すろうとしていた。
「全然動いてないよ。しっかりしなよ」
いらいらしてY美が怒声を発した。その声を聞くと僕は反射的に身構えてしまう。しかし、体に変に力が入ると、言われた方向へおちんちんを動かすことが余計に困難になる。三人の目が一定の箇所に定まって、僕に圧力をかける。必至の試みの末、少しだけ左右に揺れたような気がした。
「駄目駄目。腰を揺すったって仕方ないんだよ、馬鹿」
ぱしんと僕の腰を平手打ちしたY美は、その手で僕の胸をひねり、乳首を摘まんで引っ張った。「すみません」と、痛みに声を震わせて謝る。おちんちんは半分の大きさに戻っていた。
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Y美がそう言うと、居間の柱に僕の両腕を回した。幸ちゃんが手助けして、勃起した僕の体を抑えている。その様子をおば様がにこにこしながら見ていた。
「そうね。Y美たちが怒るのも無理ないわ。あなたは素っ裸なんだから、自分の欲情は隠せないのよ。もう少し考えないとね」
足首にまできっちり縄をかけられた僕は、素っ裸で柱に縛られている恥ずかしさと空腹で、がっくりとうなだれていた。隠しようのないおちんちんはピンと立ったまま先端をやや下に向けて、恥ずかしさからわざと視線を逸らしているようだった。女の子たちの嘲笑の的だ。Y美がこれみよがしに焼肉を僕の鼻先にぶら下げる。ほかほかの白いご飯と焼肉を、縛られて動けない僕の目と鼻の先で、音を立てておいしそうに咀嚼するのだった。
空腹をこんなに辛く感じたのは初めてだった。どんなにもがいても縛られた手や足は自由にならない。目の前にぶら下げられた焼肉に向かって口をあけ、哀願しながら首を前に差し出すが、いつもぎりぎりのところでさっと引っ込められてしまうのだった。Y美はゲームを楽しんでいるようだった。
「これ、Y美。いい加減にしなさいな。いくらなんでもチャコが可哀想でしょ。朝ご飯しか食べてないから、お腹空いてるのよ」
「そんなの私の知ったことじゃないよ。学校に行けばよかっただけじゃん。なんで学校に来なかったの? 私、待ってたのに。ねえ、チャコったら、なんでよ?」
焼肉の皿を僕の目の前に差し出しながら、Y美が僕の目をじっと見つめる。その目は、不思議なくらい真剣だった。
あえて僕の口から理由を言わせようとするY美の真意が図りかねた。雪ちゃんも幸ちゃんも箸を止めてじっと僕を見ている。僕が口ごもっていると、
「ごめんね。私の手違い。縁の下の盥に制服が一式入ってると思ったんだけど」
口からだらりと下げた焼肉をするりと口中に収めておば様が早口で言うと、目を細めて僕のお臍から下へ視線を落とした。
「なんでお母さんに謝らせてるのよ。あんたが自分で服の場所を確認しなかったのがいけないんでしょ」
いきなりY美が僕の頬を平手打ちした。うつむく僕の顎を下から手で押し上げ、連続して浴びせ続ける。「ごめんなさい。僕が悪かったんです」と、みんなの耳にはっきり聞き取れる声を出すまで、平手打ちは止まなかった。雪ちゃんが僕の頬に触って、「真っ赤で熱くなってる」と感想を洩らした。
四人の女の人たちは、悠々と食事を続けた。
学校での出来事を語る幸ちゃんの話に、おば様が笑い、Y美がおもしろいコメントを付け加え、雪ちゃんが笑いすぎて咳き込んだ。
全裸で柱に立ち縛りされている僕は黙殺されていた。空腹もさることながら、もう一つの生理的な欲求が僕の身を苛んでいた。身をくねらせ、尿意をこらえる。尿が溜まって下腹部がぽっかり膨らんでいるような気がした。がっしりと胸回りや手首、足首に食い込んでいる縄が解かれるのを待っていたら、膀胱が破裂してしまう。
幸ちゃんに川の水を散々飲まされ、夕立を浴びて冷えた裸身は、家に向かう途中、二度おしっこをしたが、尿意は短い間隔で襲ってくる。草むらに隠れて素早く放尿できる時にもっとしておけばよかったと、今さらながら悔やんだが、ほんとは殊更に悔やむことで目下の激しい尿意を少しでも忘れるのが目的だった。しかし、このまま我慢していても、漏らしてしまうのが関の山だし、そうなったら、Y美にどんなお仕置きを受けるか知れたものではない。僕は勇を鼓して、食事を楽しんでいる女の人たちに向かって尿意を訴えた。
「どうしたの。もっと大きな声じゃないと聞こえない」
Y美が驚いたように目を丸くして、大袈裟に耳に手を当てる。
「トイレに行かせてください」
「理由を言いなさい」
「おしっこ、おしっこが我慢できないんです」
縄の中でもがきながら、僕はべそをかいていた。どうせトイレに行かせてくれる訳はないと思っていた。案の定、Y美が台所からプラスチックの使い捨てコップを持って来た。Y美の行動は、彼女が持っているプラスチックのコップのように透明で、考えていることがよく伝わってくる。僕は首を横に振った。
「面倒くさいなあ。お腹空いてるだけかと思ったら、おしっこもしたいだなんて。ほら、ここにしなさい」
コップをおちんちんの先に当てる。コップの縁でおちんちんを下からつんつんと揺すりながら、Y美が急かす。雪ちゃんが食事を中断して、Y美のそばに寄る。おば様と幸ちゃんの会話する声がどこか遠くの世界から響いてくる呪文のように聞こえた。雪ちゃんが僕のおちんちんに触れ、ゆっくりと皮を剥き始めた。僕の食いしばる歯と歯の間から静かに息が漏れる。
「しっかり剥いて上げないと、出ないんじゃないの」
早口で言う雪ちゃんの唾が露出した亀頭に飛んだ。
罵倒され、冷やかされ、笑われているその辛い時間を僕は下唇を噛んで、じっと耐えた。Y美と雪ちゃんの言葉による攻撃は凄まじかったが、それに耐えるのは、おしっこを我慢することから解放された代償なのだと自分に言い聞かせた。Y美があてがうコップの中におしっこを放出している時、おちんちんの暗いトンネルを潜ってどんどん出口へ流れるおしっこに爽快感と、性的な快楽とは全く別種の、それでいて性的快楽にそれほど劣るとも思えない快楽に、僕は危うく声を上げるところだった。もし実際に声を上げていたら、必ずやY美が聞き留めて、僕に対する更に切ない罰を考え出したことだろう。
ずっと我慢していただけあって、おしっこが止まらず、コップにもう少しで溢れるところだった。Y美がこぼさないように真面目な表情で、ゆっくりと雪ちゃんに手渡す。「う、臭い」と、雪ちゃんが顔をしかめる。
「臭いでしょ。チャコのおしっこ」
「まじで臭い。どうしてこんなに臭いの?」
「それはね、チャコがおしっこを飲んでるからだよ。まあ、私が無理矢理飲ませたんだけどね。ふふふ、笑っちゃうな。おしっこ飲むと、おしっこが臭くなるみたいだね。初めてチャコにおしっこを飲ませた時は、こんなに臭くなかったもん」
ふんふんと頷いて雪ちゃんはいたく感心したようだった。「初めて知ったよ」と、感動を口にしながら、コップになみなみと注がれた液体をこぼさないように、そっと立ち上がる。Y美が何か雪ちゃんに話し掛け、雪ちゃんはコップを片手に慎重な足取りで「臭い臭い」と呟きながら、玄関に向かった。Y美はくるりと僕に背を向けて、食卓に戻る。
すぐそばに食べ物がありながら、口にすることができない。もがけばもがく程、縄は空腹で力の出ない僕の裸体に食い込んでゆく。鉄板の上にじゅうじゅうと焼かれる焼肉が目に入る。Y美が頻りに「おいしいおいしい」を連発しながら旺盛な食欲を見せて、おば様を驚かせていた。
「またお代りなの? すごいね。少しはチャコに残してあげないと」
たっぷりよそったご飯茶碗をY美に渡すと、おば様は皿を持って僕の前に腰を屈めた。
「可哀想にね。みんな、おいしくご飯を食べているのに、一人だけ柱に縛られているなんて。お腹空いたでしょ。朝しか食べてないんだもんね。川で泳いだり、泥だらけになって走ったり、結構運動したから疲れたと思うよ。それにしても今日もたくさんの人におちんちんを見られたようね。もう素っ裸でいることにも慣れたでしょ」
おば様が萎えたおちんちんを指で突っついて、そっと微笑む。箸で摘まんだ一切れの焼肉を僕の目の前に差し出し、「あーん」と言って僕に口を開けさせる。喉を鳴らして口を大きく開け、首を前に伸ばす。と、不意におば様は箸を引っ込め、何かを思い出したように立ち上がり、冷蔵庫に向かうのだった。
「あ、デザートにアイスクリームを買ってあるの、忘れてた。雪ちゃん、食べてってね。幸ちゃんも好きでしょ」
「ほんとに何から何まですみません。うちの母が自分勝手なばっかりに…」
「いいのよ。お互い様でしょ。雪ちゃんちのお母さんだって、たまには男の人と羽目を外したいわよ。うまく行くといいね」
妙に大人びた物腰で頭を下げる雪ちゃんに敬意を払って、おば様は大人に話し掛けるようなことを言った。賢明な雪ちゃんはその意を汲んで、にっこり微笑む。Y美が四人分の小型カップを食卓に並べていた。
冷凍庫から取り出したアイスクリームをカップに盛るようにY美に言いつけると、おば様は再び皿を持って僕の前に回った。「あーん」と言って焼肉を箸で摘み上げる。首を伸ばした僕の口まであと二センチもない所で、肉片がするりと箸から抜け落ちた。「あら」ぺろりと舌を出しておば様がもう一度摘み上げる。お腹をぐうぐう鳴らして僕が首を伸ばす。
「スプーンなら、そこの引出しにあるよ」
摘み上げた焼肉を皿に置いて、おば様が立ち上がる。スプーンを探してあちこちの引き出しを開けるY美が見ていられないようで、台所まで行きスプーンの場所を教えると、やれやれと息をつきながら、おば様が戻って来た。皿の中でも大きめの肉片を選んで、箸で僕の口先まで運ぶ。
「あーん。大きく口を開けなさい。あーん」
縛られて自由のきかない体を精一杯伸ばして、口を開ける。涎がぽたぽたと垂れてしまった。あとほんの少しで、肉が口に入る。「汚いなあ、もう」摘み上げた肉を皿に戻すと、おば様は悠然と雑巾で床に垂れた涎を拭き始めた。僕は食べ物を口に入れてもらえないもどかしさで、縄で拘束された体をくねらせた。アイスクリームを食べながら、Y美が笑っている。僕が肉片に食い付こうとすると、おば様の箸から肉片がするりと落ちるのだった。
「ごめんなさいね。私、箸が苦手なの。今度こそうまく食べてね」
そう言うと、おば様は僕の目の高さから焼肉を放した。口を伸ばす僕の唇をかすめて、焼肉が落下する。もう少し近づけてくれないと、食べられない。涎を垂らして荒く呼吸する僕のおちんちんを指で叩いて、おば様が微笑む。
「そんなに焦ったら駄目。今度こそゆっくり食べさせてあげるから」
首をうんと伸ばした僕の口のすぐ先で肉片が揺れていた。おば様が箸で摘み上げた肉片を揺すっていた。やっと食べさせてもらえるのだ。舌を伸ばした瞬間、肉片が遠ざかった。あろうことか、僕の目の前でぺろりとおば様がその肉片を自分の口に入れてしまった。
「あらやだ。私ロースばっかりで霜降りは食べてなかったのよ。おいしいのね。やっぱり霜降りは」
もぐもぐと咀嚼しながら、おば様がY美を振り向いて、不満を述べる。
「あんたばっかり霜降り食べて、ずるい。私にも食べさせてよ。チャコに食べさせる役目はあんたがやって。クラスメイトなんだから。いつも教室で机を並べているんでしょ」
「でも最近ずっと学校休んでるじゃん。トイレ小屋に閉じ込められてたし」
「屁理屈言わない。とにかく同じクラスの仲間なんだから、あんたが食べさせるの」
おば様は椅子に座って、残りの肉を焼き始めた。アイスクリームを平らげたY美は、おば様のアイスクリームを冷凍庫に戻すと、渋々焼肉の皿を持って、柱に縛られている僕の前に来た。いかにもつまらなそうな顔をして、僕の体を頭のてっぺんから爪先まで眺め回す。大袈裟に溜め息をついて、「あんたもさあ」と言う。
「恥ずかしくないのかな、おちんちん丸出しで縛られちゃって。一応、私も同い年の女の子なんだからさ、少しは隠しなさいよ」
腿を合わせもじもじしている僕を見下ろして、Y美が腕を組んで立つ。食べ終わった食器を台所に運んだ雪ちゃんと幸ちゃんの姉妹がY美のそばに来て、縛られて動けない僕の体をしげしげと見ている。
「でも、Y美さんは、なんでチャコ兄ちゃんのこと、いじめるの?」
思いがけないことを言う幸ちゃんに顔を向けて、Y美は少し困ったような表情をした。
「いじめてるって言うか、でも仕方ないんじゃないの? ちびで一人だけ素っ裸で、おちんちんもこんなに小さくて皮被ってるし、毛も生えてないし。雪ちゃんどころか、小学四年生の幸ちゃんよりも背が低いんじゃないの。幸ちゃん、こっちにおいでよ」
幸ちゃんは「まさか」と軽く笑って僕が縛られている柱の横に立った。比べてみると、僕の方が少しだけ高かったものの、ほとんど変わらないのだった。
「すごいわね。背が伸びたのね、幸ちゃん」
焼肉をゴマダレに浸しながら、おば様が感心する。幸ちゃんは、学校の休み時間によく運動しているのだと答えた。その一つに腿上げがあると言って、実演してみせた。
左右の腿を交互にお腹に付くまで上げる。幸ちゃんの弾力性のある柔らかい体が僕の目の前で跳ねている。「あっ」と思わず僕は声を上げてしまった。幸ちゃんの足の指がおちんちんに当たったのだった。
「やだ。当たっちゃった」と、顔を赤くする幸ちゃんに「Y美が気にしなくていいよ」と声をかけた。幸ちゃんは爪先の感触がくすぐったくて面白かったらしく、もう一度腿上げをして、今度はわざと足の指をおちんちんに当てた。
「やだ。また当てちゃった」と、笑う。「くすぐったくて気持ちいい」と、幸ちゃんがY美と雪ちゃんに報告する。五回目にやられた時は、おちんちんの袋にかなり強く当たって、激痛に悶える僕を幸ちゃんは指を咥えて見つめるのだった。
おちんちんを大きくさせる物理的な刺激について、雪ちゃんがY美に訊ねる。Y美は「よく分からないけど」と前置きして、いきなりおちんちんを手でしごき始めた。最初から速いスピードでこするので、僕は「うっ」と声を発して腰を引いてしまった。しかし、すぐに気持ちよくなってしまい、精液を放出したい欲望がおちんちんの根元から起ち上がった。
「はいストップ。勝手に精液出したら、お仕置きだからね」
Y美は、あたかも高圧電流が流れたかのように、さっとおちんちんから手を離した。雪ちゃん幸ちゃんが「きゃっ」と小さく叫んで、笑う。笑いながら姉妹は、おちんちんの動きについて話し合った。上下に動かせるのか、それとも左右に動かせるのか、或いは両方動かせるのか。Y美が勃起したおちんちんを上からつんつんと指で弾きながら、「確かめてみるしかないんじゃないの」と言った。
台所で食器を洗いながらおば様が「あまりいじめるんじゃないのよ」と注意しても、Y美は生返事しか返さない。もっぱら視線は僕のおちんちんに集中していた。三人の女の人が生唾を飲み込む音が聞こえた。僕は下腹部に神経を集中して、おちんちんを左右に揺すろうとしていた。
「全然動いてないよ。しっかりしなよ」
いらいらしてY美が怒声を発した。その声を聞くと僕は反射的に身構えてしまう。しかし、体に変に力が入ると、言われた方向へおちんちんを動かすことが余計に困難になる。三人の目が一定の箇所に定まって、僕に圧力をかける。必至の試みの末、少しだけ左右に揺れたような気がした。
「駄目駄目。腰を揺すったって仕方ないんだよ、馬鹿」
ぱしんと僕の腰を平手打ちしたY美は、その手で僕の胸をひねり、乳首を摘まんで引っ張った。「すみません」と、痛みに声を震わせて謝る。おちんちんは半分の大きさに戻っていた。
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