思い出したくないことなど

成人向き。二十歳未満の閲覧禁止。家庭の事情でクラスメイトの女子の家に居候することになった僕の性的いじめ体験。

痒くてたまらない

2008-09-11 23:30:01 | 6.女子はたくらむ
 みなみ川教信者の老人たちとヘルパーのIさんを乗せた二台の車が発車すると、続いてスーツの男の車が去った。公園には再び静けさが戻っていた。
 Xの形に一糸まとわぬ体を拘束されている僕は、想像もしていなかった方法で射精させられたショックで、涙を止めることができなかった。老人たちは公園のブランコをわざわざ外して、そのブランコ台を活用して僕を縛り付けたのだった。
 疲れ切ったような足取りでY美が僕に近づき、涙に濡れる頬に手を当てた。
「お前の負けだったね。せっかくまともな生活に戻れるチャンスだったのに、残念だったね。でも、心配しなくていいから」
 そこまで言って、Y美はうつむいた。僕は小さく萎んだおちんちんがY美の目に入ってしまったことに恥ずかしさを覚えた。Y美は指でそっとおちんちんを突っついてから、少し首を上げて僕の顔を覗き込んだ。
 身長が140cmちょっとの僕にとって、165cmを優に超えるY美はいつでも見上げてしまう存在だった。Y美にしてみれば、普通に会話するだけで相当に目線を下げなくてはならない僕のような者を相手にしていると、知らず知らずのうちに僕という人間そのものの価値を自分よりも一段低いものと看做してしまうことがあるかもしれない。僕は背が高くないので背の高い人の心持や心理傾向については、あやふやな推測しかできないけども、Y美が僕をしょっちゅう裸に剥いて、おちんちんを弄んだり、射精させたりするのは、もしかすると、身長の大きな違いに起因する心理作用が働いているのかもしれない。しかしながら、みんなの見ている前で射精させられた後もこうして両手両足をXの形に広げて拘束されている今の恥ずかしい僕を見るY美の目には、憐みとも優しさともつかない、不思議な感情がこもっていた。
「固いな。なんてきつく縛ったんだろ。全然ほどけないよ」
 手首にきつく結ばれた縄は、ぴんと張って、ブランコを吊るしていた上部の横棒につながっていて、なかなかほどけないらしく、Y美が悪戦苦闘している。
「ほんとだ。全然ほどけない」
 足首の縄をほどこうとしているS子も、難儀していた。足の方は鉄柵に結ばれている縄をほどけば、足が自由になって、足首に固く結ばれた縄もほどけやすくなるのではと思ったが、鉄柵の結び目も大変に固いようで、夜中の眠たくて疲労した状態では、ほどくのは大変に難しいとS子が愚痴を言った。
 いまいましい縄が手首に食い込んで、僕の手足を引っ張っている。渾身の力を振り絞ってあがいてみたものの、一向に効果はなく、逆にS子に「ちょっと動かないでよ。ほどけるものもほどけないでしょうが」と、叱られる始末だった。
「だめ。どうしてもほどけない」
 ついに匙を投げたY美は、先ほどから欠伸ばかりしている眠そうなS子としばらく相談していたが、何事か決断すると、神妙な顔をして僕の前に来るのだった。
「縄の結び目が固くて、私たちの力ではどうにもならないから、いったん家にもどって大ばさみを持ってくる。悪いけど、待ってて」
「嘘でしょ。お願だから、僕をこんなところに一人にしないでください。はさみを取りに戻るのは一人でいいじゃないですか」
 縛られた体を揺すって抗議する僕に、Y美は、
「だめよ。女の子が夜道を一人で歩くのは、危険でしょ。すぐ戻るから、ちょっと我慢して待っててよ」
と、穏やかな口調で言い返した。
 砂場にしゃがみ込んでいたS子は、Y美に誘われて欠伸しながら立ち上がり、よろめいた。「眠い眠い、早く帰ろう」と言うS子の独り言を聞いて不安になった僕は、
「ほんとに戻ってきてくださいよ。お願しますよ」
 と、Y美に念を押した。Y美は背を向けたまま手を振って、よろめくS子の腕を取りながら、公園を出て行った。
 夜中の公園に一人置き去りにされた僕は、両手両足をいっぱいに広げられた恥ずかしい姿勢のまま、Y美たちが戻るのを一心に待っていた。少し強い風が吹くようになって、股間をすり抜けて行く。水汲みに走らされている時には涼しく感じられた風も、こうして全裸で拘束されている身には、少し寒い。おまけにいつ人が現れるかもしれない不安で、生きた心地がしないとはこのことだと思った。
 老人たちが置いて行った蚊取線香のおかげで、蚊の襲来は防ぐことができた。足元の香取線香は、今も煙を立てていた。
 夜の静けさを湛えた公園には、虫の鳴き声以外に物音は一つもなく、時折遠くで車の過ぎる音が聞こえるだけだった。ばさっと草をかき分ける音がして、急いでうなだれていた首を上げると、猫だった。全裸で縛られている僕を物珍しそうに見つめながら、一声鳴いて道路を渡って行った。
「Y美さん、遅いなあ」
 どれくらい時間が経っただろうか。僕はこう呟いてみた。ずっと耳をすまして、Y美たちの足音が聞こえるのを待っていたが、バイクや車が前の通りを過ぎる音しか届かなかった。それにしてもきつく縛られたものだと思った。もがいていれば、少しずつほどけてくることもあるのに、この縄だけは、どんなにもがいても、まったく少しも緩むことがなく、僕の四肢をそれぞれの方向に相変わらずの強度で引っ張っている。
 そのうち、僕の頭もうつらうつらしてきた。「もうすぐ来る、もうすぐ来る」と、念じ続けてきた意識が時折すっと遠くなったりした。Y美が大きなはさみを探して家じゅうを引っ掻き回しているところなどを想像していると、いつまにか僕自身も家の中で一緒になって探しているのだった。夢の中でも僕は素っ裸で、大きなはさみを見つけたY美がカチカチとはさみを鳴らしながら僕に近づいてくる。

 瞼の外に明るい光を感じて、ふと目を開けた僕は、ぎょっとして、相変わらずXの形に拘束されている全裸の四肢を強張らせた。
 なんと、いつの間にか外は明るくなっていて、空では鳥が囀っている。左右後方と首を回してみたが、Y美の姿はなかった。農村地帯の朝は早い。すでに公園に面した通りでは、車やバイクの通行量が増えている。自転車の通り過ぎる音も珍しくなくなった。今日は日曜日で、通勤通学の人々は、いつもよりずっと少ないはず。
 通りからは公園を覗かないと僕の姿は見えないが、もし一歩でも公園内に足を踏み入れたら、たちまち素っ裸でおちんちん丸出しのまま縛られている僕を見つけることだろう。その時、僕はなんと言い訳して助けを求めたらよいのだろう。
 ジョギングしているらしい人の影がそばの歩道を駆け抜けて行った。思い切って大きな声を出して助けを求めてみようか。恥ずかしいけども、僕が災難に巻き込まれたことを正直に語れば、同情して拘束を解いてくれるだけでなく、衣類も貸してくれて、僕を家まで届けてくれるかもしれない。だが、いろいろ考えすぎて、僕は疲れていた。
 結局、Y美がはさみと服を持って僕を迎えに来てくれるか、さもなければ通りすがりの人に助けてもらうだけだと腹を括った。もうさんざんいろんな人に裸を見られてきたことだし、今さら恥ずかしがっても仕方ないという自棄な気持ちもあった。腹を括ると、気持ちも落ち着いた。落ち着くと同時に、強烈な眠気が襲ってきた。

 耳にしつこくまつわる蚊の羽音で意識が戻った。そういえば背中、脇腹、太ももなど、体の節々が痒い。眠りながら、何度も体をくねらせていたことを思い出した。足元の蚊取線香が灰になって白い螺旋を残しているのを見て、僕はぞっとした。これで一気に目が覚めた。見ると、下腹部を蚊が吸血している。縛られていて、叩けないのがもどかしい。蚊の集団に好きなように吸われて、掻くこともままならないのだった。
 叩かれる危険性がないのを察知すると、蚊の攻撃は容赦がない。しかも蚊にとっては好都合なことに、僕の体には衣服で被っている部分が一か所もない。僕は、途方もない痒みに体をくねらせながら、誰でもいいから誰か通りかかったら助けを乞おうと思っていた。何十か所と刺された僕は、もうじっとしていることができないほどの激しい痒みに襲われて、絶えず体をくねらせていた。
 と、通りから誰かが公園に入ってくる気配があった。Y美だ。やっとY美が来てくれたんだと思って僕がその方角へ首を曲げるよりも先に、きゃっという女の子の小さな悲鳴が耳に入った。Y美の声ではない。続いて「お母さん」と切羽詰って呼ぶ声がした。
 小学五年生くらいの女の子を先頭に、恐る恐る公園に入って来たのは、白いシャツに紺色のジャージを着けた5人の女の人と5人の女の子で、女の子は学校の体育で着用する白い体育着とブルマーを身に着けていた。女の人の腕章に、この地区の名前と公園清掃係りの文字があった。
 リーダーらしい女の人がぎょっとした顔を向けて、あられもない姿で拘束されている僕を見た。
「あんた、こんなところで何してるの?」
 その声は明らかに怒気を含んでいた。女の人たちはそれぞれの娘をそばに寄せて、恐ろしい物を見る目付きで僕の裸体に視線を走らせている。
「お願いです、縄を解いてください」
 あらゆる部分が痒くてたまらない体をくねらせて、僕はかすれた声で哀訴した。
「そんなことは訊ねてないよ。あんた、こんなところで何してるって聞いてんだよ」
「すみません。悪い人たちにいじめられたんです。助けてください」
 リーダーは、僕の体をひとしきり眺めまわして、呆れたように鼻を鳴らした。
「あんた、丸裸じゃないか。そんな恥ずかしい格好のままいじめられて、縛られたって言うのかい」
「そうです。助けてください」
 痒くてたまらない体をくねらせて、一刻も早く縄を解くようにせがんだ。しかし、リーダーは手首と足首の縄の結び目を一瞥して、「これは相当きつく縛られてるね。そんなに簡単にはほどけないよ。切るしかないと思うけど、切る道具なんか今は持ってないからね」と、吐き捨てるように言った。そして、後ろで怖がりながらも、興味しんしんの瞳を輝かせているお母さんとその娘たちに向って、「ねえ、この男の子、どう思う?」と、問い掛けるのだった。
 初めの恐怖の念も徐々に消えて、お母さんたちとその娘たちは、手足を引っ張られたまま拘束され、おちんちんもお尻も丸出しにして隠すことすらできない僕の体に近づいて、あちこち僕の体を眺め始めた。
 女の子たちは、小さく萎んだおちんちんを見て、「あなた、ちよっと触ってみなよ」「やだよ、そういうあんたこそ」「やめてよ」などと言い合いしながら、くすくす笑っていた。
「でも、あなた、この縄はそう簡単にはほどけないわよ。いつから縛られているの?」
「夕べ遅くからです」
 娘の手を引いて、くまなく僕の体を見ていたお母さんが感心したように溜息をついた。
「おや、蚊取線香が消えてるわね。道理で蚊に刺される訳よ。あなた、ずいぶん体のあちこち、蚊に刺されているみたいだけど、痒くないの?」
「痒いです。たまらなく痒いです。だから、早く縄を解いてください」
「だから、さっきから体をくねらせているのね。あら、すごい。お尻から背中もすごく刺されているのね。腫れ上がってるわよ」
「丸裸で体を広げてるんだもん。刺してくださいって頼んでいるようなものよ」
 そのお母さんの娘は、他の女の子と同じ小学生にもかかわらず、一人だけ妙に大人びた口をきいて、冷たい視線で僕の顔を見た。この女の子だけ、他の子と違って、おちんちんを見てもくすくす笑ったりしなかった。と、いきなりその女の子がぱちんと僕のお尻を平手打ちした。女の子は手のひらで潰した蚊をお母さんに見せて、「ほら、蚊だよ」と言い、僕にも少しだけ見せてくれた。
「蚊を叩いてあげたんだからさ、お礼ぐらい言いなさいよ」
 大人びた物言いをする女の子に詰め寄られ、僕は礼を述べた。すると、
「何それ、全然気持ちがこもってないじゃん。ほら、あなたのお臍のところ見て。蚊が血を吸ってるけど、払ってあげるの、やめた」
と言って、くるりと背中を向けてしまった。
「そんなに痒いの?」
 別のお母さんが呆れたような顔をして、僕にぐっと顎を突き出して尋ねる。
「はい。とても痒いです」
 お臍の辺りで血をたらふく吸った蚊がふらふらと飛んで、僕の目の前を過ぎた。その蚊の胴体に血が透けて見えた。手が自由なら叩いていたのに、このように裸の体を広げて縛られている今の状況では、悶えながら見ている他にない。
「掻いてあげましょうか」
「はい」
「それが物を頼む態度かしら」教育熱心なお母さんたちは、僕に対しても娘の手前、礼儀に適った受け答えを要球するのだった。
「すみません。お願します」
 すると、そのお母さんは、指を立てて、一回だけ鳩尾から脇腹にかけてすっと引いた。体じゅう刺されて猛烈な痒みに身をくねらせることでしか凌ぐ術のない僕にしてみれば、一瞬だけでも痒いところを掻いてもらった気持ちよさを忘れられなかった。僕は喘ぎながら、哀願した。
「もう一度、もう一度、お願いします」
 すると、そのお母さんは僕の求めに応じる代わりに、他のお母さんたち女の子たちに呼びかけるのだった。
「ねえ、この男の子、素っ裸で縛られて、蚊にいろんなところ刺されて、とても痒いみたいよ。縄をほどくのは私たちでは無理だけど、蚊に刺されたところを掻いてあげることぐらいはできるわよね。私たちの役目は公園の清掃だけど、困っている人を助けてあげるのもボランティアだと思えば、この子の体を掻いてあげるのも立派な行いと言えるんじゃないかしら」
「賛成。その通りだと思います」
 お母さんたちは口々に「賛成」「賛成」と述べ、女の子たちは手を叩いた。
 そこで全員が僕の体の周りに集まり、ぺたぺたと僕の体の、特に蚊に刺されて盛り上がっている部分を叩いた。でも、それではちっとも痒みを解消しないばかりか、痛痒いばかりで、結果的にむしろ痒みを増幅させているような気がした。
 腕やお腹に蚊に刺されてふっくらと膨らんでいる個所が幾つもあるのを目にしながら、それを掻くことができないもどかしさ。女の子たちの叩く手は、お母さんたちに輪をかけて弱く、中途半端に撫でているようで、その力のない叩きぶりは、まるで刺された個所の痒みを増大させるためのおまじないのようだった。
「お願いです。掻くんならもっとしっかり掻いてください。たまらないんです」
 激しい痒みに朦朧となる意識を渾身の力でしっかり保ちながら、なんとかそれだけを口にする。お母さんたちはしかし、あまり熱心に僕の願いを聞いていなかったようだ。すぐには反応せず、しばらく経ってから、
「よくもまあ、図々しく私たちに頼めるものね」
「ほんとよ。自分がどんなにみっともない格好を晒しているのか、自覚してるのかしら」
「私たちだって一応女性よね。それに娘たちだって心は立派な女性。それなのに、真っ裸でおちんちんを晒して、蚊に刺されたから掻いてくれなんて、信じられないわ。恥ずかしくないの?」
 と口々に罵詈を並べたてながら、僕の惨めな体をさするのだった。
 強烈な痒みには体の部位ごとに波があった。背中が猛烈に痒くなり、しばらくすると、乳首から脇腹にかけてが、次には首から上が、脚が激しく痒くなる。別の部位に激しい痒みを覚えても、元の部位の痒みが軽減するのではない。部位ごとに痒みがレベルアップし、その度に僕は苦悶に顔を歪め、悶えた。
 また、刺された個所の周囲がじんじんと痺れる痒み、ツーンとその一点だけに強烈に走る痒み、具体的にどの個所が痒いのかはっきりしないが、とにかく皮膚の奥でわんわんと唸っているような痒みなど、幾つかの種類があり、部位ごとに競うようにレベルアップする痒みが頂点に達すると、痒みの種類を変えて、無防備にも女の人たちに晒している素っ裸の身を飽くことなく苛むのだった。
 お母さんたちが指摘する通り、僕はおちんちんもお尻も丸出しの素っ裸を女の人たちに晒して、体のいろいろな部分を弄ばれたり叩かれたりしても抵抗できないのだが、全身をくまなく蚊に刺された強烈な痒みのせいで、それを恥ずかしく思う気持ちが麻痺していた。それよりも、とにかく体を掻いてもらい、少しでもこの痒みが解消してくれることを望んだ。それなのにお母さんもその娘たちも僕の必死の願いを聞き入れず、焦らして適当にぺたぺたと叩くような掻き方しかしないので、僕は恥も外聞も関係なく、喘ぎながら縛られた裸の体を小刻みに震わせ、悶えるのだった。
 蚊は、女の人たちが周りにいても平然と僕の血を吸い続けた。あるお母さんは、「私、生き物を殺すのは好きじゃないから」という理由で、僕の肩に止まった蚊を見逃し、「お尻で蚊が二匹、並んで血を吸ってるよ」と告げた娘にも、殺すことはもちろん、払うことすらも禁じた。
「お願いです。もっとしっかり掻いてください」
 縞模様の蚊が目の前を飛んで行くのを視界に認めつつ、掻くに搔けない切ないもどかしさから、声を絞って訴える。すると、お母さんの一人が、一瞬だけだが、爪を立てて背中を掻いてくれた。そのあまりの気持ち良さに体ががくっと震える。ようやくまともに掻いてもらったのだ。
 他のお母さんもそれに倣って、立てた指をしっかり当てて、こすり始めた。一度しっかり掻いてもらうと、もっともっと掻いてもらいたくなる。一掻きだけではとても我慢できない。頭からつま先まで、蚊に刺されていない部位はなかった。五人のお母さんとその娘たちは、気の向くままにいろんな部位を掻いてくれた。僕は掻いてもらう度に、「ありがとうございます。気持ちいいです」と、丁寧に礼を述べた。そうしないと、大人びた女の子の機嫌を損ね、その子の一声で、お母さんたちとその娘たちが一斉に掻く手を止めてしまうかもしれない。
 リーダーがおちんちんを指して、「あら、ここも刺されているんじゃないの?」と、訊ねた。
 ようやくまともにごしごし掻いてもらいながら、なお襲い来る激烈な痒みに体をくねらせている僕は、おちんちんにも相当の痒みを覚えているにも関わらず、「いや、そこはいいです」と、断った。
「何遠慮してんのよ。ほら、蚊に刺されてこんなに脹らんでるじゃないの」
 リーダーはおちんちんをつまみあげ、丁寧にその部分を掻き始めた。それはそれで気持ちよかったが、女の子たちが揃っておちんちんに興味を示したので、僕は今更ながら恥ずかしくてたまらなくなった。
 おちんちんをつまみ上げたリーダーがおちんちんの裏側を見て、「あらやだ、こんなところまで刺されているわよ」と、ごしごし爪を立てて掻き始めた。僕の広げられた股の間に頭を入れて、おちんちんの袋をいじる女の子もいた。別の女の子は、お尻を広げたり、おちんちんの袋の裏側を調べたりした。そして、口ぐちに、「あら、こんなところも刺されている」「ここにも」などと言い合う。「あら、男の子の股間て、こういう風になってんだ」と、目的とは関係のない呟きも聞こえた。
 礼儀に適った物言いをしないと厳しく僕を叱り付ける大人びた口調の女の子は、僕の広げられた股の間にしゃがんで、おちんちんの袋をまさぐったり、引っ張ったりした。明らかに蚊に刺された個所を掻くためではない。この女の子は、初めから僕のために掻いてあげようなんて気は、さらさらないのだった。他の女の子が「何やってんの?」と尋ねると、「男の子の裸をこんなに自由に調べられる機会なんて、そうそうないよ。せっかくだから、確認しておきなよ」と、誘い込む。「いやだよ。恥ずかしいよ」と返すものの、結局は大人びた口調の女の子と一緒になって、股間を覗き見る。と、他の女の子たちも次々と大人びた口調の女の子の真似をして、僕の体を調べ始めるのだった。
 リーダーが「やめなさい、そんな趣味の悪いことしちゃ駄目よ」と注意したが、女の子たちは、笑って相手にしなかった。他のお母さんたちも「困ったわね」と言いながら、大して困った様子もなく、にこやかに娘たちの行為を見守っている。
 慣れない手つきがおちんちんをつまみ、そっと皮を剥く。すっかり剥き上げると、亀頭に指を当てて、おしっこの出る穴をぐいと広げた。ひりひりする痛みに思わず声を上げて、「やめてやめて」と連呼したが、女の子たちに睨まれただけだった。女の子たちはおしっこの出る穴を覗き込み、唾を付けた。それから、おちんちんを上にして、おしっこの穴よりも下の部分を観察し始めた。「これが精液の出る穴だよ」と大人びた口調の女の子が説明すると、感動の溜息が聞こえた。
「成長すると、自然にこの皮が剥けて、毛が生えてくるのよね」
 整った顔立ちの仮面のような表情を少し崩して、大人びた口調の女の子が小さく笑った。それから、剥き上げた皮をゆっくりと引っ張って、元のように亀頭をすっかり隠す。「まだまだ引っ張れるね。ゴムみたい」と、引っ張る手を止めないので、僕は惨めな気分に打ちのめされながら、震える声で痛みを訴えた。見かねた一人のお母さんが、「可哀そうだからその辺でやめておきなさい」と、言ってくれた。
 別の女の子がおちんちんに手を伸ばした。彼女は、指で輪っかを作り、いきなり激しくおちんちんに摩擦を与えた。「一度勃起したおちんちんを見てみたいの」と、その子は言った。ちょうど蚊に刺された部分にも指が当たって、気持ち良いことに変わりはなかったが、昨日から何遍も射精させられているので、性的な快楽にはなかなか結び付かないように思われた。
 痒い箇所を掻いてもらっている気持ち良さよりも、相変わらず次々と蚊の襲来することから、痒みに耐える切なさの方が大きかった。女の子の指の動きは、少しも一定していなくて、同じテンポで五秒と続かない。指で拵えた輪っかでおちんちんを刺激するというのはたぶん誰かの入れ知恵で、実際に行うのは初めてのようだった。ぎこちない指の動きが激しく動いて、おちんちんの袋に当たると、、締め付けられるような痛みが伝わる。
 自分の体が自分の意思とはまったく関係なく反応するのを、そう反応するように仕向ける人たちに向かって晒し、じっと観察されるのは、辛くて恥ずかしい。おちんちんが少しずつ硬くなってきたのだった。この気持ち良さを感じないように、僕は歯を食いしばり、女の子たちの肩越しの公園の風景に目を向けた。お母さんたちが黒いポリエステルのごみ袋を片手に公園内を歩き回っていた。
 腰を屈めて煙草の吸殻を拾うと、ごみ袋に入れる。柵の付近の丈高く茂っている雑草の中にも踏み込んで、空き缶やら菓子の袋などを拾ってくる。そうだ。この人たちは公園の清掃に来たのだった。あるお母さんは、滑り台の手すりを熱心に拭いていた。別のお母さんは鎌で雑草を引っこ抜いている。
 確か五人のお母さんたちがいたはず。そのうちの四人がこうして清掃に励んでいるということは、今僕の体を掻いてくれているのは、一人ということになる。実際その通りだった。いろんな箇所をせっせと掻いてくれるので、てっきり三人以上の手が這い回っているのかと思っていたが、腕章をつけたリーダー格のお母さんが一人で僕の体に指を走らせているのだった。
「疲れてきたわ。なんだか手が痛くなっちゃった」
 リーダーの荒い息が僕の耳をくすぐった。ふっと力を抜いて、手が撫でるように僕の胸から脇腹にかけて滑り降りる。と、もう片方の手でいきなり強く背中を叩かれた。パシンという音とともに、痺れるような痛みが打たれた場所を中心にじわじわと背中全体に広がってゆく。
「面倒くさいのよ。こうやって叩けば、痒いのも消えるんじゃないかしら」
 パシンパシン背中や太ももを叩きながら、リーダーが僕の耳元にそっと息を吐く。やがて、叩く場所は一か所だけに固定された。お尻だった。リーダーがお尻を叩いた時、そのおちんちんが勃起しかかっているのに気づいた。リーダーは「あなた、よほど変わっているのね。お尻を叩かれて性的に興奮するなんて」と、それまで女の子がさんざんしごいていたのを知らなかったのか、軽い驚きを込めて僕を冷やかした。


5 コメント

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あれっ? (ピン)
2008-09-17 23:38:23
せっかく同級生が出たのに、まだ包茎であることも子供扱いもほとんどないのでシラケました。ごましお老人などはもってのほか。
以上が、自分勝手。私の趣味です・・・って、私の趣味などどうでもいいですね。
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ふむ (いろ)
2008-09-19 04:54:33
いじめていた側が仕返しされる話も読んでみたいです。
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 (通りすがり)
2008-09-27 18:09:49
今日はじめて拝見しました。
すばらしいですね、感動しました。
応援していますのでこのまま頑張ってください
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いろいろ (naosu)
2008-09-30 13:32:56
ピン様
コメントありがとうございます。
まあ、いろいろですね。
がんばります。

いろ様
ご意見ありがとうございます。
ご期待に添えるかどうかわかりませんが、
いろいろありますので、よろしくお願いします。

通りすがり様
コメントありがとうございます。
嬉しいです。
これからも気長にお付き合いくださいませ。
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ちんちん出してあげるお母さん (大口浩志)
2009-02-05 23:02:53
ちんちん出してオシッコする男の子(´ω`)(_´Д`)ノ~~(^^)/▽☆▽\(^^)^ー^)人(^ー^(〇>_<)(*^□^*)(〇>_<)
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