思い出したくないことなど

成人向き。二十歳未満の閲覧禁止。家庭の事情でクラスメイトの女子の家に居候することになった僕の性的いじめ体験。

一人だけヌードのビーチ(その1)

2017-10-29 19:24:06 | 9.いじめられる僕
 家の前に横付けした車のトランクにボストンバッグを二つ押し込んで玄関に戻ると、浮き輪やらビーチボールが空気を抜いたぺしゃんこの状態で詰め込まれたビニール製のトートバッグと縦長のフロートが新たに追加されていた。
「遅いなあ。溜まる一方じゃんよ」
 居間を仕切るドアを背中で押して入ってくるなり、Y美が苛立ちを露わにした。持ってきたクーラーボックスをドスンと上がりがまちに置くと、荷物の山を見下ろして、フゥーと息を吐き、僕が唯一身に着けることを許されている白いパンツのゴムを引っ張った。おちんちんがいきなり布団を剝された時みたいに小さく丸くなる。放されたゴムがパチンと肉を打った。
「早く運びなさいよ。愚図愚図してると、そのパンツも脱がして素っ裸にするからね」
「ごめんなさい。急ぎます」
 とりあえず頭を下げて、次に運ぶ荷物を手に取る。確かに車に積み込む荷物の減りが遅いかもしれない。これでも僕はせっせと働いているつもりだけど。
「どう? 荷物の積み込みが済んだら出発するよ」
 廊下からおば様の声がした。玄関にあらわれたおば様は、デニムに包まれた足を荷物の間に伸ばして、リュックサックを僕に手渡した。おば様のデニムはY美のと違ってやわらかい。ゴワゴワして硬さを感じさせるY美のと違って、おば様のは折り畳みやすい素材で触り心地もよく、目の前にあるとつい触りたくなる。リュックを受け取るのとは別の手がデニムに触れた。
 おば様は機嫌が良かった。片足を荷物の間に置いた開脚の状態で、そっと微笑んでくれた。Y美がいなければ、もっと触っていたいところだった。
「あんたも手伝ってあげなさいよ」
 すっと足を戻したおば様はY美の肩をポンと叩くと、廊下の奥へ小走りで去った。
 はあい、とつまらなそうに返事をしたY美は、しかし内心はそれほど面倒にも思っていないようだ。次の瞬間には、何か僕を困らせてやろうという目つきでこちらを向いたのだから。
 いつ、どんな意地悪をされるか分からない。それでもY美と一緒に積み込みを始めると、急ピッチで事が進んだ。
 考えながら、限られたスペースにパズルのピースを嵌め込むように荷物を入れる僕と違って、Y美はほとんど無造作に詰め込み、かたわらで荷物をどう入れようか思案する僕をほとんど嘲うがごときであった。
 近所の奥さんが自転車で通りかかった時、パンツ一枚でクーラーボックスを運ぶ僕を見て、わざわざ自転車から降りた。にこにこ笑いながら、「相変わらず裸なのね」と話し掛けてくる。
 ええ、まあ、などと曖昧に返事をして、奥さんの無遠慮な視線を背中で受けるようにしてトランクにクーラーボックスをトランクの奥の方へ収めるべく手で押していると、パンツのゴムに人の手が掛かった。
 あ、と思った瞬間、パンツが引きずり下ろされた。慌てた僕はトランクの蓋にしたたか頭をぶつけてしまった。奥さんの甲高い笑い声とともに、「わ、お尻丸出しだ」と叫ぶ小さな男の子の声がした。Y美の仕業だった。僕の体から毟り取ったパンツを手の中に丸めると、「それ、そんなところに入れないでよ」と、奥に入れたクーラーボックスを指して、口を尖らす。
 中に冷たい飲み物が入っているから道中の喉を潤すために座席のところに置くのだと言われ、一応もっともだと思いながら、重たいクーラーボックスを後部座席の床に移し変える。こぶができるほど強くぶつけた頭を労わりたいけれど、素っ裸にされたので、我慢して少しでも肌を隠そうとして両腕を体に巻き付けている。クーラーボックスを手放すと、もう手でおちんちんを隠すより他ない。
 いきなりパンツ脱がせるなんてすごいわね、と感心する奥さんに、Y美は「だってこいつ、馬鹿で愚図なんですもん。丸裸にしたら、少しは動きが早くなるかと思って」と、にこやかに返答する。
「ところでY美ちゃんち、珍しいわね。お出かけするの?」
「ええ、海に行くんです。二泊三日で」
「すごい。うらやましいわあ」
 奥さんは、本当にうらやましそうな声を出した。「うちなんか、娘たちも高校生になったから、もう一緒に旅行なんか行ってくれないわ。Y美ちゃん、体大きいけど、まだ高校生にはなってないよね」
「え? 私まだ中学一年生ですよ」
「そうなんだ。裸んぼの男の子は?」
「同い年ですよ。ね、私たち同じクラスだもんね」と、Y美は後ろに隠れている僕を振り向いて話し掛けてきた。
 まあ、と感嘆して、奥さんはひとしきり笑った。Y美が僕の手首を掴んで、自分の真横に引き寄せる。恥ずかしい。おちんちんを両手で隠す僕にY美が小声で「気をつけ」と命じた。しぶしぶ従う僕の一糸まとわぬ体を奥さんが頭のてっぺんからつま先までじろじろ眺める。
「Y美ちゃんのジーパンと白いシャツ、夏らしくて行動的な格好ね。Y美ちゃんらしいわ。それに比べて、ボクちゃん」
 奥さんはY美の隣で気をつけの姿勢を取らされている僕と目の高さを合わせると、ぐっと顔を突き出した。「みんなお洋服着てるのに、一人だけ丸裸で恥ずかしくないの? Y美ちゃんはスニーカー履いてるけど、ボクは裸足だもんね。サンダルも履かせてもらえないのかしら。とってもかわいそう。でも、なんかおかしいわね、おちんちん丸出しで」
 朝一番で雑草取りをした高齢の男女の集団が通り過ぎがてらにこちらを見て、クスクス笑った。また僕が素っ裸で罰を受けていると思ったようだった。
「ま、とにかく天気の心配もなさそうで良かったわね。今日も暑くなりそうだわ」
 膝を伸ばした奥さんは猛暑になりそうな雲一つない空を見上げてそう言うと、「じゃ、Y美ちゃん、楽しんできてね。お母様によろしく」
 ようやくペダルに足を掛けて奥さんが走り去った。僕は急いで門扉の中に入って、次の荷物を取りに行った。
 門扉から車までのわずかな距離ではあるけれど、パンツを穿いているのと全裸では全然違う。全裸では、合理的な積み方など考えている余裕がない。左右から人が来ていないのを確かめて、Y美方式で素早く仕舞う。
「あの、Y美さん。お願いですから、パンツ返してもらっていいですか」
 最後の荷物である折り畳み椅子を積み終えた僕は、恐る恐るY美に切り出した。
「いいけど、その前にお尻叩きね」
「なんでですか。やめてください」
「罰だよ、罰。お前、さっき私の水着をいじってたろ。どうもトランクの中の荷物をガサガサやってるなと思ったらさ。この変態」
「え、そんなことしてません。僕、何も着てない裸だし、一刻も早く荷物を詰めることで頭が一杯だし」
「違う。お前がパンツ脱がされる前、あのババアに話し掛けられる前だよ。気づいてないとでも思ってたのかよ」
 あのことか、と僕は思った。トランクに入れたビニールのトートバッグが横に倒れて、中の紺色の水着が出てしまったので、拾って押し込んだ。それだけで全く他意はない。しかし、Y美は聞き入れてくれなかった。
「許可なく女の子の水着に触っちゃ駄目でしょ。お仕置きされて当然でしょ」
 いきなり腕を背中に回された僕は、下手に動いたら腕を折られる痛みに耐えながら、爪先立ちを強いられた。Y美が高い位置から平手をお尻に振り下ろした。バシン。痛い。バシン。痛い。たちまち熱くなったお尻にじんじんと痛みがこもる。「柔らかいお尻だね。叩くとよく揺れるよ」とY美が感心しながら、振り下ろす手をとめない。
「荷物積み込んだら出発するって言ったでしょうに。何遊んでんのよ、あんたたちは」
 玄関から出てきたおば様は、素っ裸に剥かれた僕が理不尽なお尻叩きの刑を受けているのを見て、呆れた顔をした。
「お母さん、こいつ私の水着、勝手に触って、においとか嗅いでたんだよ」
 バシーンと一際強くお尻を叩いて、Y美が訴えた。勝手な付け足しをされても文句が言えず、悲鳴を上げて許しを乞う僕は、おば様の視線が無防備に晒されたおちんちんに向けられていることに気づいた。
「反省してるじゃないの。かわいそうに。もう許してあげなさい」
 そう言うと、おば様はドアに施錠するべく、くるりと背中を向けた。ハンドバッグからガシャガシャと鳴る鍵束を取り出す。その隙にY美の手がいきなりおちんちんを扱き始めた。相変わらず片手を背中で曲げられた状態だったので、僕にできる抵抗と言えば、せいぜい腰をくねらせるくらいだった。
 Y美の扱きは高速ながら優しく締め付ける絶妙な手加減を維持し、たちまちにして僕を性的な興奮に包み込んだ。おちんちんの袋からじわじわと性的な快楽の波が広がってきて、喘いでしまう。おちんちんはもう最大限に硬くなった。このままでは射精してしまうというところでY美は手を離した。ドアノブを回して施錠を確かめたおば様がこちらに向き直ったのと、ほぼ同時だった。
「人の水着に触って、興奮してんだよ、こいつは。見てよ、これのどこが反省してるのよ」
 そう言うと、Y美は射精寸前まで追い込まれて下腹部に沿う形で屹立しているおちんちんをピンと指で弾いた。
「あらやだ、どうしちゃったの。動物みたいね、男の子って」
 おば様は勃起させられたおちんちんを見て目を丸くし、愉快そうに笑い出したけど、すぐに冷たい目になって、黙って僕の横を通り過ぎた。やっと背中に回した手を放してくれたY美は、鉄扉の上部に並ぶ棒の一つに僕の小さく丸めた白いブリーフを引っ掛けた。

 夏休みになると、Y美の家では毎年泊まりがけで海水浴に行く。
 数日前、Y美とこんな会話を交わした。
「うちの唯一の夏のイベントなんだよ。お前も連れてってもらえるかもよ」
「海ですか」
「そ、海。ほら、ブラシが止まってるよ。しっかり私の靴の汚れを落としてね。半端だったら、今穿いてるパンツも脱がして両手両足縛るからね。私たちが海水浴に行ってる間、そのまま放置だよ」
「ごめんなさい。しっかりやります」
 だいぶ前から日取りは決まっていたらしいけれど、僕は知らされていなかった。聞いたのは、出掛ける前日、つまり昨日だった。おば様の関わっている仕事と関連するイベントらしく、仕事を通じて知り合った人たちと現地で合流するらしい。
「あした海へ行くんだって、ナオス君」と、Y美の家に呼び付けられたメライちゃんが用事を済ませて帰る間際、後ろから近づいてきて、そっと僕に言った。僕は鉄扉の内側に植えられたアジサイの虫歯のようにぼろほろになった花の前に腰を落として、Y美がばら撒いてしまったビーズをせっせと拾っていた。
 そうみたい、と頷いた僕を見て、メライちゃんは更に声を落とした。「かわいそうに。きっと酷く苛められるよ。恥ずかしい目に遭わされるよ」
「平気。おば様の仕事関係の人が一緒だから、大丈夫と思う」
「せめてパンツくらい穿かせてもらいたいよね」
 そう言うとメライちゃんはY美から預かった紙包みを胸に抱えるようにして、門の外に出た。立ち止まって、鉄扉の隙間からこちらへ何とも悲しげな視線を送ってくる。ビーズ拾いに夢中の僕は自分が昨晩からずっと素っ裸であることを忘れていた。慌てておちんちんを隠す。その途端、膝の上の箱が落ちて、拾い集めたビーズがこぼれた。
 
 いざ出発する段になっても、僕の待ち望んでいる物はいっかな出てきそうになかった。Y美もおば様もこれからの海水浴のことで頭が一杯のようで、僕のことなど構っていられない風だった。パンツ一枚の着用だけを許された格好のまま車の後部座席に押し込まれるところで、「あの、服は」と口にしてみた。
 昨晩、おば様はY美に僕のスクール水着も忘れずに用意するように伝えたし、きちんと僕に服も着せると約束してくれた。だから、僕は少なくとも出発の前には久しぶりに衣服で肌を包むことができると思っていた。
「やだ、そう言えばこの子に服を着せるの忘れてた」
 舌打ちするおば様に、「ないよ、そんなもの」とY美はけろりと言ってのける。
「ないってどういうことよ」
「だから、おとといも言ったと思うけど、こいつのシャツとかズボンはどうせ必要ないから、全部捨てたんだって」
「ほんとに処分したのね、信じられない。裸のままじゃ、みんなになんて説明するのよ」
「そんなの適当でいいじゃん、どうせ海では裸なんだから」
「私の立場も考えなさい。会社の人もいるのよ。学校の制服は残ってるでしょ」
「それは、ある」とY美はなぜか悔しそうに下唇を噛み、顎を引くと、車のドアに挟まれた僕をキッと睨みつけた。「でも、着せられないの。プライベートで学校の制服を着てはいけないって規則があるから」
「そんな規則ないよ。Y美、あんたの勘違い」
「あるって。お母さんはいつでもそう。なんでも自分が一番よく知ってると思ってんだから。ほんとに学校へ行く時とか、学校の行事でもない限り、制服着るのは禁止なんだよ。先生が言ってたんだから」と、声を荒げるY美におば様も困った顔をした。
 プライベートで学校の制服を着ても規則違反にはならない。学校の作文コンクールの入選作にいとこの披露宴に出席した時の出来事を綴ったものがあったけれど、文中、作者の女子生徒は学校の制服を着たとあった。
 ミューが家族でホテルの高級フランス料理のレストランに行ったという話を思い出した。せっかく盛装したのに、父親がまだ中学一年なんだから大人びた格好なぞする必要はない、学校の制服で充分だと言って、出掛ける間際になって着替えさせられたという。
 ひでえおやじだな、最低じゃん、私だったら後ろからフライパンで思いっきり頭を叩き割ってやるね、とY美が茶々を入れ、それまでにこやかに語っていたミューの顔が凍りついたのを僕は覚えている。そのあと、女子たちの話題は衣装のことに移った。糸くず一つまとうことも許されない姿のまま鴨居と柱に両手両足を広げた状態で固定させられている僕をチラチラ眺めながら、気が向けばおちんちんをいじったり、お尻を叩いたりして、どんな服が今欲しいか、女子たちは滔々と語り合った。
 そんな記憶が不意にまざまざとよみがえって羞恥の念にカッと熱くなる体をもじもじさせる。と、考え込んでいたおば様が頭を上げ、せめて靴と靴下ぐらいは穿かせてあげましょう、とY美に提案した。出発前にゴタゴタを起こしたくないおば様の譲歩だった。Y美は承知し、おば様から鍵束を受け取ると、玄関に向かった。
「これだけですか、僕が身に着けられるのは」
 嘆息する僕にY美は「いやなら裸足のままでいいんだよ」と、冷たく返した。Y美が持ってきてくれたのは、白い靴下と学校用の上履きだけだった。
 靴下を身に着け、上履きに足を入れる。服を着た感触はそこで終わりだった。そこから上は白いパンツ一枚を穿いただけの裸だった。身体検査を受けるみたいね、とおば様が口をへの字に曲げて呟く。嬉しそうなのはY美だった。「なんか新鮮で面白いね。いつもチャコは裸足だもんね」と、感心したようにじろじろと、見なれた筈の僕の体を眺め回した。
 お願いだから服を着させてください、と訴える僕を、
「いい子にしてたら服、どこからか持ってきてもらえるよ。それまで我慢できるよね。車の中だから、そんなに人に見られないよ」と、助手席に座ったY美が慰める。
「仕方ないわね。ま、いいか、健康対策として裸でいるってことにすれば」
 まるで自分自身を納得させるかのようにそう言うと、おば様はエンジンをかけ、車を発進させた。
「そんながっかりした顔しないの。海ではちゃんと水着を出してあげるから」とおば様がルームミラー越しに僕を見て、励ました。それからY美の方にちらりと視線を向けて、
「この子の水着は捨ててないよね」
「スクール水着は捨ててない。お母さんのカバンに入れた」
 Y美は即答した。

 ちょっと長いドライブになるからね、とおば様が予告した通りだった。海へまっすぐ南下するはずなのに、途中で西に向かい、幾つもの路線が乗り入れする大きな駅に近い繁華街へ入った。車だけでなく自転車や歩行者がぐっと増えて、道路は渋滞気味になる。信号待ちの時などは、車の横を通る歩行者がガラス越しにパンツ一枚の僕を見つけて、不思議そうな顔をする。
 雑居ビルの前でおば様は車を停めた。呼んでくるから待ってて、とおば様は言い、車から降りる。車の中でY美と二人きりになった。Y美がクーラーボックスの中から缶ジュースを出すように命じた。足元のクーラーボックスの蓋を開けて一本取り出して渡すと、Y美が僕の分も出していいと言ってくれる。有り難い。お言葉に甘えてもう一本出す。
「こんなゴミゴミしたところって嫌いだな、私。人とか車が多くてさ、建物ばっかで息が詰まるよね。やっぱ今住んでるところがいいな」
 これは独り言のようでもあるけれど、やっぱり僕に話し掛けているのだろう。Y美と僕は、ごくたまに普通の会話をすることもある。対等な関係として、普通に学校とか世間一般のことなどを話す。そういう時も僕はたいていパンツ一枚か、素っ裸だけれど。
「うん。そうだね」
 僕は缶ジュースを一口飲み込んでから、言った。普通の会話をしている時は、敬語ではない。さっきまで敬語だったから、なんとなく不自然に感じるけれど、普通の会話をするため、あえて普通に話す。
「S子もルコもさ、今住んでるところはせいぜい高校までだって、将来はここみたいな、大きなビルが立ち並んでいるような都会に住みたいんだってさ。どう思う? 私は全然いいと思わないんだよね。ま、おしゃれな店とか一杯あって楽しいのは分かるけどさ、絶対すぐ飽きるよ。私は家からバスで行けるショッピングセンターで不足ないもん。みなみ川みたいな、澄んだ川も近くにないしさ。こんな場所じゃ、お前を素っ裸にして歩かせてたら、きっとすぐ捕まるよね。ほんと息苦しいわ」
 いかにも息苦しいかのように、Y美はシャツの首元を引っ張った。
 ビルの向こうの商店街から流れる最近の音楽がズンズンなだれ込んできた。Y美が少し窓をあけたのだった。うるさいな、と顔をしかめて、すぐに窓を閉める。音楽がくぐもって、外の雑音に溶ける。
「僕も、今住んでる地域は、自然が豊かで嫌いじゃないよ」
「お前は無理して私に同調しなくったっていいんだよ、馬鹿」
 いきなり怒られた。苛立たしげに膝をドスンと上げる。僕の代わりにダッシュボードが蹴られたという訳である。あんな風にしておちんちんの袋を蹴られたことがこれまで何度もあった。
「夏祭りのステージでは、お前は素っ裸を晒して、それがテレビ放映されるんだよ。お前は町じゅうの人に裸を見られることになる。そんな恥を晒す地域をお前が好きになる訳がない。とっとと誰も知る人のいない場所へ逃げたいと思ってるだろうよ。それが自然だよ。ま、私はお前が逃げるのを許さないけどね」
 もう対等の関係は終わりを告げたようだった。これ以上会話を続けるのなら、僕は敬語に戻らなければならない。と、おば様がビルの出入り口から出てきた。派手なピンクのワンピースを着た女の人と一緒だった。
 車の後ろに回って、トランクを開けた。荷物を積み込みながらも二人はひっきりなしにお喋りを続けている。
 いきなりY美のいる助手席側のドアがあけられた。こんにちは、と大きなサングラスをしたその人が挨拶する。とても細い体つきで、面長の顔をし、ソバージュのかかった茶色のロングヘアだった。年齢はおば様と同じ三十五、六歳だろうか。Y美は、突然の侵入者を警戒する目で女の人を見て、挨拶を返さなかった。
「Y美、ワショさんに挨拶して。一緒に海水浴に行くんだから」
 おば様に促されて、Y美は仕方なしという感じで、軽く頭を下げた。僕もY美に倣ったけれど、誰も僕の方は見ていなかった。
「いつもお母さんにはお世話になってます。ほんとはワショじゃなくて鷲尾っていうんだけど、ワショさんでいいです。よろしくね、Y美ちゃん」
 いかにも世慣れた大人の女の人という雰囲気だった。肩に掛けたトートバッグからスナック菓子を出し、「道中のお供に」と言い添えてY美に渡す。
「ワショさんには前に座ってもらおうかしら。Y美、悪いけど後ろの席に移って」
 運転席に乗り込んだおば様に言われ、Y美はふてくされたような顔をして面倒くさそうに車から降りると、乱暴に後部座席のドアを開けて、無言でお尻を滑り込ませてきた。足元のクーラーボックスを踵で蹴っ飛ばして、僕の方へ寄せる。
「あら、もう一人いたのね。全然気が付かなかった」
 運転席のシートに隠れるようにして身を縮ませる僕を見て、ワショさんがわっと仰け反った。おずおずともう一度挨拶をする僕について、おば様が一通り説明する。事情があってうちで引き取っているの、この子の母親の仕事も私が紹介して、例の会社の独身寮で住み込みで働いているの、とここまで聞くと、ワショさんはプッと吹き出して慌てて手を口で押さえ、「これがあの」と言いさして、おば様に牽制されたのか、曖昧な言葉を並べて茶を濁した。
「でも、どうしてこの子も、裸なの」
 この子も? 「も」ってどういう意味だろう。僕以外はみんな服を着ているのに。
「そうよね。不思議に思うわよね」と、おば様はワショさんの質問はごもっともとばかり大きく頷いてから、答えた。「この子ね、体弱くて、しょっちゅう風邪ひくの。それで体を鍛える必要があるってことで、なるべく裸にさせることにしたのよ」
「ふうん、なるほどね」と唸り、ワショさんは僕へ顔を向けた。僕は手で胸の辺りを覆うようにして、無遠慮な視線から自分の体を守る。「確かにY美ちゃんと同い年にしては随分小柄ね。まあ、大きなY美ちゃんと比べるのは適当ではないかもしれないけどね。それに、なんか小柄なだけじゃないわね。とってもひ弱な感じがする」
 すみません、となぜか僕は頭を下げてしまった。横に座るY美が僕を見て、フンと鼻を鳴らした。

 繁華街を離れて南の方角へハンドルを回すと、車は公共交通機関の整備が遅れているだだっ広い土地の中の幹線道路を渋滞にも出くわさず、快適に走り続けた。
 途中、ドライブインに寄った。尿意を催して苦しむ僕の訴えが聞き入れられたのだった。一階はおみやげ売り場、二階は食堂になっている大きな建物の横に平屋のトイレがあった。
 広い駐車場には車が十数台、観光バスが一台止まっていて、そこそこ客で賑わっている。このような人の集まる場所でパンツ一枚の裸のまま外に出るのは抵抗があった。でも、Y美もおば様も僕に衣類を出してくれない。そのうち、Y美が自分もついでだから行くと言い出したので、僕も思い切って車のドアを開けて外に出た。
 小走りでトイレに向かうY美に寄り添う。その時に感じたのは、やはり靴下と靴があると断然走りやすいということだった。裸足でなくて本当に良かった。服がないならせめてはと靴と靴下を出すようにとY美に命じたおば様の親切が身に沁みる。
 手洗い場を回ってトイレに入ると、観光バスの一行と思われるお爺さんたちで込み合っていた。パンツ一枚の裸の僕の体に珍しい物でも見るような、物問いたげな表情がまつわり付く。なんで裸なのか、と話し掛けてくる人もいて、好きでこんな格好でいるんじゃないんです、と答えると、親の風変わりな教育方針の犠牲なのかと察して、もうそれ以上何も言わず、むしろ憐れんでくれるのだった。
 おしっこ用の便器に向かう前に、大便用の便器がある個室に入って、トイレットペーパーをちょっとだけ切って失礼する。おちんちんをしっかり振って滴を払うよりも、これで直接拭く方が手っ取り早くて確実なのだった。
 普通に服を着ることのできる生活であれば、こんなことはあまり気にしなくてもよいのだけれど、僕のようにパンツ一枚の裸でいることが当たり前になってくると、パンツに染みが付かないように細心の注意を払わざるを得なくなる。白いブリーフだからとかく目立つのだ。毎回おしっこのたびに滴を拭き取らないと、すぐに染みになってしまい、目敏いY美に馬鹿にされたり、もっと悪ければ「洗濯に出せ」と無理矢理脱がされてしまう。
 また、素っ裸の時は、パンツ一枚よりも更に用心が必要だ。しっかり振り切らないと、周囲に滴をまき散らしてしまう。以前に一度だけ、Y美の手の甲をおしっこの滴で濡らしてしまったことがあった。
 おしっこの最中なのに呼ばれ、完全に滴を振り切れないまま、縁側のY美に駆け寄ったのがいけなかった。手の甲に付着した一滴を見て、Y美の形相が一変した。舌で拭き取らされただけでは済まなかった。僕は素っ裸のまま後手を縛られ、縄尻をサルスベリの木の最初に枝分かれする太い枝につながれた。
 竹刀でさんざん体を叩かれた。Y美は自らの手でおちんちんを扱いてある程度硬くさせると、上段から竹刀を振り下ろした。見る見るうちにおちんちんが萎む。と、また扱いて硬くさせ、同じことを繰り返す。締めには、おちんちんの袋に素足の甲が入った。僕の悲鳴は、家の前の道路をたまたま歩いていた近所の奥さん連中のみならず、庭に隣接する畑にいたおじさんたちにも聞こえたという。
 家のトイレはともかく、外では一般に男性用のトイレはおしっこ用とうんち用に便器が分かれているから、おしっこ用の便器にいったん向かうと、その場を離れない限り、トイレットペーバーを手にすることができない。それで、おしっこの前にトイレットペーバーを短く切り取る。これは、パンツ一枚もしくは全裸で日々過ごすことを強要された僕が実地で学んだ生活の知恵の一つだった。
 おしっこを終えてトイレットペーパーでおちんちんの先端の滴をきれいに拭き取った僕は、隣の便器の紳士に「あんたみたいな子供でもそうなのか」と話し掛けられた。年を重ねたことに伴う生理的な現象としておしっこの切れが悪くなり、用を足した後は必ず拭いているのだ、と老齢の紳士は言った。
はあ、と適当に返事をする僕に、自分は頻尿だから一回一回トイレットペーバーを使ってたら結構な量になってしまう、それでこいつで拭いてやるんじゃよ、と僕にハンカチを見せた。丁寧に四角に折り畳まれた、シックな色の、高級品と思われるハンカチだった。
 不便じゃ、ほんとに不便、と自分用に仕立てられたかのような麻のジャケットに折り目のあるスラックスをびしっと決めた紳士はぶつぶつ呟きながら、おしっこの滴を拭き取ったハンカチをポケットにしまった。こんな用途にも使われているのに、ご婦人方はご存じない、とトイレを出ながら僕に話し続けた。平気でわしにハンカチ貸せとか言ってくるんじゃ、わしらの世代ではハンカチが恋愛の小道具としてよく使われたからな。
 不意にガハハとびっくりするような大きな声で笑うと、脱いだジャケットを肩に掛けた老齢の紳士は、おみやげ売り場の前でこちらに手を振っている、紳士と同年代くらいの婦人たちに向かって、大股で歩き出した。
 トイレを出た僕は、降りたところに車がないことに気づき、どこ行っちゃったんだよお、と心細い気持になりながら、広い駐車場を見渡していた。と、バシンと背中を叩かれる。痛い。手洗いを済ませたばかりのY美だった。いつもそうだけど、Y美の叩く力は同年代の男子の平均を軽く上回る。軽い挨拶のつもりなのだろうが、分厚いセーターかダッフルコートでも着込んでいるならいざ知らず、こっちは裸なのだから、もしかするとそれを承知で叩いているのかもしれないけれど、とにかくもう少し手加減してもらいたい、と心の中でぶつぶつ文句を言った。
「何キョロキョロしてんのよ」
「おば様の車がない。早く乗りたいのに、見つからない」
「あっちにいるじゃん。ずるいな、自分たちだけ」と言ってY美が指さす方向を見ると、おみやげ売り場の前のテーブル付きベンチに座って、おば様とワショさんがソフトクリームを食べていた。
 さっさとおば様たちの方へY美が歩き出したので、僕も慌ててついて行く。パンツ一枚の裸を少しでも隠すべく、Y美と並ぶ。おみやげ売り場の周囲は人が多くて、じろじろ向けてくる視線が痛い。小さな子供の騒ぐ声に若い女の人たちの無遠慮な笑い声が被さる。なぜ僕がパンツ一枚なのだろうかと不思議そうに見る視線も少なくない。
 いやだあれ見て、ウッソーと騒ぐ女の人たちの声が前方からする。Y美は歩く速度を少し落とした。彼女たちの前を通っている時は水を打ったような静けさで、通り過ぎると、まず一人がプッと吹き出し、それからどっとみんなの笑いが起こった。
 パンツ一丁の格好ながら、白い靴下に学校の上履きは履いているから、何か特別の理由があってシャツとズボンを脱いでいる、いや脱がされていると思うのだろう。夏らしいさっぱりした衣装のY美と並んで歩いていると、対比が際立つようだった。女子と男子、背が高い、低い。着衣と裸。
 近所であれば、もう僕の素っ裸は珍しくないものとされ、懲罰の一つとして僕の全裸歩行は、なかば認知されてしまっている感じを受ける。Y美のせいだ。おば様もこのことは苦々しく思っている。しかし、当然ながら僕が今いるこの場所は近所ではない。僕を知っている人は恐らく誰もいない。だから、これだけ多くの人の中を裸で歩いていたら、笑われたりじろじろ見られたりするだけでなく、ちょっとした騒ぎになりそうなものだけれど、意外なことにそのような気配は全然なくて、もちろんクスクス笑われたりしているけれど、日常的な風景として周囲に受け取られてしまっている。なぜだろう。
 僕は、中学一年生ながら小柄なために小学三年生くらいにしか見えないとよく人に言われる。恐らくパンツ一枚での歩行が大きな騒ぎにならない理由は、ここにあるのかもしれない。Y美が保護者然として僕に付き添っていることから、嘲笑と物珍しげな視線と憐れみの眼差しだけで、虐待などの事件として認識されるまでには至らないようだった。
 おみやげ売り場の外側の通路に面した窓口でY美がソフトクリームを二つ買って、一つを僕にくれた。おば様が僕の分のお金もY美に渡したのだった。普段だったら考えられない。やはり今日は特別の機会なのだろう。
それともワショさんの前であまり僕を、服を取り上げているというだけでも十分に酷い扱いなのだから、虐待していると思われるような真似はしたくなかったのかもしれない。また、周囲の目もある。それはともかく、僕にもソフトクリームが与えられ、感激してしまった。単純に嬉しかった。
「私のもちょっと持ってて」と、Y美が自分のソフトクリームの紙に包まれたコーンの部分を僕に握らせた。「まだ食べるなよ。私より先に口つけたら取り上げるからね」
 巻貝のような白いクリームの先端へ舌を伸ばしかけたところで慌てて引っ込め、僕は睨みつけてくるY美にまだ形の崩れていないソフトクリームを見せた。
「食べてないね。よろしい。私が許可するまで絶対に口付けるなよ」
 ベンチの据えられた一画は建物の長い庇のおかげで日陰になっている。風が通り抜けて、涼しい。サンダルの留め具を調節したY美は、僕にソフトクリームを預けたまま歩き始めた。
 おば様とワショさんのいる四人掛けのテーブル付きベンチに向かうべく、ベンチで休む人々の前を通る。パンツ一枚の裸という僕の格好は目立つようで、人々は僕を見て会話を中断したり、眉を顰めたりする。両手にソフトクリームを持っているので、僕は少しも体を隠せない。
 背中を向けて座っていた人が正面に座る人の目配せで勢いよく振り返った瞬間、冷たい物が僕のお腹にかかった。年齢七十歳くらいのそのご婦人は透明なプラスチックの容器を持ったまま体の向きを変えたので、容器が僕のお腹に当たり、中の冷たい飲料がホイップクリームやたくさんの氷とともに僕の下腹部からパンツまでをしたたか濡らした。
 あらら、と一言発してご婦人はベンチから立ち上がった。すぐさま腰を低くすると、発作的としか言いようのない素早い動きでいきなり僕のお腹を紙ナプキンで拭き始める。たちまち手が下がって、ホイップクリーム付きのびしょびしょパンツに紙ナプキンを当てた。
 両手にソフトクリームを持ったまま呆然と立ちつくす僕の耳に、ご婦人の同行者たちのざわつく声が聞こえる。「年甲斐もなくアイスメロンソーダなんか頼んだのがいけなかったわ。染みが付いたら大変」と呟き、ご婦人はパンツを拭く手に力を込める。
 大丈夫です、いいです、と腰を捻るようにしてご婦人の親切を辞退しようとしても、こっちが悪いんだから遠慮しちゃ駄目、と叱るような口調で僕の逃げようとする動きを封じて、パンツの前の部分を執拗にゴシゴシ擦り続ける。
「いきなりアイスクリームの入った色つきの飲み物なんかかけられて、かわいそうよね」
「そうかしら。私もさっきちょっとこぼしちゃったけど、そんなに冷たくなかったわよ」
「あなたはシャツを濡らしただけでしょ。でもこの子はパンツ一丁なのよ。裸だと、さすがに冷たいわよ」
「そうか、この子、裸だものね。服を着てる私たちには、なかなか分からないわね」
 ご婦人たちは何か期待しているようで、直立の姿勢をなんとか保っている僕から少しも目を離そうとしない。ソフトクリームを持つ両手がプルプル震える。パンツの下の方から持ち上げるようにして紙ナプキンを擦り付けられ、パンツの中のおちんちんの向きが変わってしまった。おちんちんが下腹部にぺったり付いた状態になって、パンツ越しにおちんちんの裏側をせっせと擦られる。
「ほんとに、もういいですから」
「動かないで。きれいな白いパンツに染みを付けてはいけないわ。しっかりクリームを拭き取ってあげるからね」
 穏やかな口調とは裏腹に手でピシャリと太腿の裏側を叩いて僕を黙らせると、ご婦人は片手をパンツのゴムに掛けた。心持ち引っ張り上げてパンツに皺ができないようにしてから、念を込めて、パンツの薄い生地を通しておちんちんに刺激を与えてくる。紙ナプキンがしっかりおちんちんを挟んでしまっている。
 感じないように歯を食いしばって別のことを考えるのだけれど、すでにスイッチが入ってしまった後だった。もうこのジワジワと広がる快感の波動は抑えるのは不可能で、せいぜいおちんちんの硬化を遅らせるくらいしか、できない。
 周囲にちょっとした人だかりができていた。おば様とワショさんも高齢者のグループに混じって高見の見物を決め込んでいる。さっきトイレで僕に話し掛けてきた紳士がベンチの一人分の空きスペースの前に歩み出てきて、ポケットからハンカチを出した。トイレの中で見たのと同じ高級ハンカチをさっと広げると、ベンチに敷いて、前にいる同年配くらいのご婦人の肩をそっと叩いた。
 ご婦人は笑顔で頷き、礼を述べると、ハンカチの敷かれたベンチに腰を下ろした。
 見物する人たちの忍び笑う声やひそひそ語る声が大きくなりつつあった。それだけパンツの前が膨らんできているということだ。やめて、もうやめてください、と訴える僕の声が上ずった。パンツを擦るご婦人の目的は、どうやらクリームを拭き取ることなどではなかったらしい。手の動きが一段と速くなった。
 うう、と小さく喘いでしまった僕の声をハンカチの上に座るご婦人が聞き逃さず、不思議そうに首を傾げた。まもなく快感の臨界点に達してしまう。ソフトクリームを持つ僕の手に力が入って、コーンを握り潰してしまいそうだった。その時、ご婦人はパンツの上からおちんちんを挟んでいた紙ナプキンを外して、ゆっくりと立ち上がった。
 ごめんなさいね、窮屈な思いをさせてしまって、とご婦人の声がすると ひょいと横から手が伸びてきた。Y美だった。僕の手からソフトクリームを奪うようにして引き取る。片手が空いたと思った途端、射精寸前まで追い込まれたおちんちんに解放感があった。パンツをぺろりとめくられてしまったのだった。
 いや、と片手でパンツを元に戻そうとしたけれど、遅かった。両手をパンツのゴムに掛けたご婦人によって、一気に足元まで引きずり下ろされてしまった。斜め四十五度の角度に首をもたげる硬化したおちんちんが白昼の光の中にさらけ出されてしまい、溜め息と笑いが同時にあちこちで起こる。
「いやだ、パンツを拭いてもらってるうちに気持ちよくなっちゃったのね」
 ハンカチの上のご婦人が口に手を当てて上品な笑い声を立てた。慌てて片手でおちんちんを隠すと、Y美がその手を掴む。僕は懸命に力を込めているのに、ソフトクリームを舐めながらいとも簡単にその手をおちんちんから引き離す。
「いや、やめてください」と、Y美だけでなく、僕の足元に屈んだご婦人方にも訴える。彼女たちは、僕の足からパンツを抜き取ったところだった。向こうに蛇口があるから洗ってきてあげるわよ、と言う。
「お前さ、こんなところで勃起させて恥ずかしくないのかよ。隠したい?」
 Y美の白くて長い指がおちんちんを摘まみ、皮を完全に剥いた。
「隠したい。お願いです。こんなところで見せ物になるのは、いやです」
 あ、そ、と返事をしたY美は、いきなり僕の手からソフトクリームを奪い取った。
「じゃあ、これで隠しなよ」
 あうう、と悲鳴を上げてしまった。いきなりソフトクリームの先端がおちんちんの剥き出しの亀頭に突っ込まれたのだった。Y美はそのまま奥へズブズブ押し込み、すっぽりとおちんちんに被さったコーンをぐりぐり回す。
 やめて、お願いだから、と哀訴する声が掠れた。冷たいクリームとコーンの感触に悶えてしまう。
 白いクリームがおちんちんの袋をぬらりと伝ってドロドロと垂れる。それを手ですくったY美が「ほれ、食べなさいよ。食べたかったんだよね」と僕の口に入れ、手に付いたクリームを僕の口元になすり付けた。
 ベンチの周りのお年を召した方たちはY美の大胆な、予想外の行動に大変驚き、しばし言葉も出なかった。お爺さんたちは「こんな大人びた、優等生のような女の子が、まさかこんな大胆なことをするとは」としきりに感心し、ご婦人たちはぴったりコーンに嵌ったおちんちんを見て、ひとしきり大笑いしてから、「注文したみたいにサイズが合うのね」「おちんちんを隠せて良かったわね」と、恥ずかしい格好を晒して涙目になっている僕に話しかけるのだった。
「なんてことするの、あなたは」
 ほとほと呆れたという顔をして、おば様が言った。隣では、黒いサングラスをしたワショさんが口元に微笑を浮かべて、じっとコーンの嵌ったおちんちんを見つめている。
「勃起して熱くなったおちんちんを冷やすには、これが一番早いと思って」
 Y美は何ら悪びれることなく、むしろ自分は最善の策を取ったのだと主張しているようにも見えた。
「とにかくこのままじゃ、車に乗せられない。おちんちんを洗ってきなさい」
 おば様はトイレの前にある手洗い場を指した。ご婦人方に洗ってもらったパンツはおば様の手にあった。おちんちんにべったり付いたクリームを洗い落さない内はお預けとのことだった。元の状態に収まりつつあったおちんちんからY美がコーンを払い落とし、踵で踏みつぶした。
 靴と靴下だけを身に着けた格好のまま腕を取られ、Y美に手洗い場へ連れて行かれようとした矢先、ちょっとお待ちになって、とハンカチを敷いたベンチに座っていた上品なご婦人に呼び止められた。
「お口の周りにクリームが付いてるわよ」
 そう言うや否や、ご婦人はベンチのハンカチを取った。「いいです、自分で拭きます」と断ると、「あなた、裸んぼじゃない。拭くものなんて何も持ってないでしょ」と返され、高齢のご婦人とも思えぬすごい力で首根っこを押さえられてしまった。
「かわいいおちんちん丸出しのくせに、遠慮なんかすることないのよ。拭いて差し上げますからね」
 顔を左右に振って抵抗するものの、それさえもY美に封じられてしまった。これは紛れもなくトイレで会った紳士のハンカチだった。異様な臭いがツーンと鼻にきた。口の周囲をハンカチでゴシゴシやられる。必死に閉じる口へ、ご婦人はハンカチをぐいぐいと押し込んできた。
 ムググ、と言葉にならない声を出す僕は苦しくて、涙を流した。
「みなさん親切で良かったね。パンツを洗ってもらっただけじゃなく、口まで拭いてもらえたんだから。でも、泣いて喜ぶのは、ちょっと大袈裟じゃないの」
 Y美はいかにも能天気に、無邪気な顔をして僕を冷やかした。
 ご婦人の肩越しに紳士の姿があった。白いワイシャツを着て、片手にジャケットを持っている。早くハンカチを口から出してもらいたくて、ムググムググ、と言葉にならない声を出す僕を見て、ご満悦至極の様子だった。

 目的の海水浴場は、夏だけ海水浴客で賑わうような場所だった。シーズンが過ぎれば人が激減し、潮風で錆びたガードレールや経済的な活動につながりそうもない土地がやたらと目につくだけの町になるだろう。
 宿泊先の旅館から海水浴場は目と鼻の先にある。海を見下ろす高台の駐車場に車を停めると、おば様は、荷物を運ぶ手伝いを呼びに一本道を下った。
 海からのやや強い風が少し肌寒く感じられた。でも、Y美もワショさんも気持ちよさそうに風を浴びて目を細め、車の中で折り曲げていた長い手足を伸ばしている。服を着た彼女たちには心地よい空間なのだろう。二人は駐車場を囲むコンクリートで固めた幅広の防護壁に腰かけて、眼下に広がる砂浜を眺めている。
「まだ早いのかな。砂がきれいなビーチって聞いたけど、思ったより人が少ないね」
 言うと、Y美は口を手で塞ぐことなく大欠伸をした。
「まだ十時半だからね。これからどっと混雑すると思うよ。海の家がぼちぼち開店したようね」
 ワショさんは向うの岩場と接する砂浜の端から指で海の家を四つまで数えてから、僕の方をちらと見て、「終わったの?」と聞いた。
 手伝いの人たちが来たらすぐに運べるように、車の中の荷物を全部外に出しておくのが僕に課せられた仕事だった。丁度最後のボストンバッグを駐車場の輪止めの先に置いたところで、ここに荷物がまとめてある。
「これで全部です」と答えると、ワショさんは僕から顔を背けるようにして、Y美との会話を続けた。
 二人はいつのまにかよく話すようになっていた。車中でのおば様との会話で、ワショさんが男性に嫌悪感を抱いていることを知ったY美は、俄然興味を覚えたようだった。
「男って基本、迷惑だよね。犯罪ばっかり起こすでしょ。いらないと思うの。女だけで世界を作るべきよ」
 過激な持論を展開するワショさんに、Y美は「分かる分かる、その気持ち」と、手放しの共感を示した。
「でもさ、男はいろいろ使えばいいと思うけどな。便利なんだから、使っちゃえば?」
「それもいいね。Y美ちゃんは自然だよね。普通にそう思えるところがいいよ」
 煙草の煙を吐き、感心しながら、ワショさんは荷物番をする僕に視線を向けた。サングラスで見えないけれど、きっとY美に対するのとはまるで違った、机とか壁を見るような目つきなのだろう。
 駐車場に次々と車が入ってきて、家族連れや若者などが出てきた。パラソルだのフロートだの、色彩感溢れる荷物を持ってビーチへの一本道に向かう。僕はと言えば、学校指定の上履きに白い靴下、白いブリーフパンツという奇妙な格好で自分たちの荷物を見守っている。
「もう裸になってるよ、海までまだ少し距離があるのに」
「なんで水着じゃなくてパンツなのかしら」
「きっと何かやらかして、服を取り上げられたんだよ」
「変な子だね。普通だったら、恥ずかしくて我慢できない筈なのに」
 僕に聞こえるのも構わず、二十代前半くらいの男女のグループが大声で話し、笑いながら通り過ぎて行った。悔しい。これだからせめてシャツ一枚でもいいから羽織らせて欲しかったのに。
 駐車場からビーチに向かう海水浴客たちがぞろぞろと目の前を通り過ぎても、Y美はちっとも目に入らないようで、ワショさんという人によほど好奇心を刺激させられたのか、突然に足を前に出したりして、いろいろと質問、時には初対面でそこまで踏み込むかと思われるような内容、「なぜ男をそんなに憎悪するようになったの?」などを、思いつくまま繰り出すのだけれど、ワショさんの返事は、だいたいそっけなかった。自分よりもうんと年下の、今日初めて会ったばかりの相手に対しては、それが妥当な態度かもしれない。「どうしてうちの母と知り合ったの」という問いには、仕事を通じて、とだけ答えた。
「仕事ってなんなの?」
「写真を撮影してお金を稼いでるのよ」
 紺色のキャリーバッグをぞんざいに指して、ワショさんは僕に「それ」とだけ言った。持ってきて、という意味なのだろう。おば様から仕事関係の物だから丁寧に運ぶように注意を受けていた荷物だった。受け取ると、ワショさんは地面に倒して手慣れた感じでジッパーを引いた。
 中見は写真撮影用の機材などだった。中央にでんと一眼レフのカメラが緩衝材に包まれてある。それを取り出すと、ワショさんはおもむろにサングラスを胸ポケットに仕舞った。腫れぼったい目蓋の下に小さな点のような目があった。
 いきなり僕に向けてカメラを構えた。シャッターを切る乾いた音が連続した。こんな変な格好をいきなり撮影されて、立ち竦んでしまう。なおもシャッターが切られる。僕はいたたまれず、しゃがみ込んでしまった。ワショさんは「立って」と冷たく言い放った。
 防護壁の上に腰をかけるように言われる。僕は従った。今度はその上に立たされる。潮風が背中に当たって寒い。歩かされる。防護壁の海側は、同じようにコンクリートで固めた擁壁の斜面が下の磯まで続いている。
「せっかくだからY美ちゃん、撮ってあげる」
 今度はカメラをY美に向けた。防護壁にもたれるY美を何枚か撮ってから、僕もY美の横に並ばされた。バックに青い空、青い海、遠くの島が収まるよう、ワショさんの指示で立ち位置を変える。Y美が両の手首を軽く曲げて腰に当て、重心を僕の方へ心持ち傾けて足を交差させるポーズを決めた。
「かわいい、Y美ちゃん、とってもかわいいわよ。笑顔が素敵」
 褒められ、Y美は悪い気がしないようだった。僕は気をつけの姿勢だった。もちろん笑ってなどいない。僕の後ろに回ったY美がパンツのゴムを掴んで引っ張り上げた。僕は爪先立ちになって、パンツの白い布地におちんちんの袋を圧迫される痛みに耐える。シャッターが立て続けに切られる。ワショさんがカメラを下ろすと、Y美は「夏の思い出になるね、お前のその格好」とからかって、僕のお臍を人差し指で突っついた。
「靴と靴下を脱いで」
 いきなり命令されて、僕は訳が分からなかった。なぜ、ここで靴と靴下を脱がなければならないのか。ワショさんは僕に対して最初から異常とも思えるほどに冷たい態度であり、まあ男性一般に対して憎悪を漲らせているのだから仕方がないとは思うのだけれど、とにかくまともに話してくれないので、質問をするのが憚られるのだけれど、それでも聞かずにはいられなかった。すると案の定、ワショさんに不機嫌そのもののようなムッとした表情で、ギロリと睨まれてしまった。
「もう一度だけ言います。靴と靴下を脱いで。あなたはパンツ一枚あれば、十分」
 怖い。Y美もまた「なぜとっとと言う通りしないのか」という不満を露わにした顔で僕をねめつけている。
 前日の約束にもかかわらず、僕にはシャツもズボンも与えられなかった。それでもおば様は、僕を憐れんで学校用の上履きと靴下は出してくれた。この上履きは、もう上履きとしては使えないけれど、立派な靴としてもう僕の足に靴下とともに馴染んでいる。
 これを脱いで裸足になるのは、なかなか痛切なものがあった。でも、愚図愚図していたら、靴と靴下どころではなく、パンツまで脱がされるかもしれない。僕は込み上げてくる悲しみを堪えながら、上履きを脱ぎ、靴下を足から抜き取った。これで僕が身に着けているのは白いブリーフのパンツだけになった。正真正銘のパンツ一丁。コンクリートのざらざらした砂粒を足裏に感じる。
 おば様がざっと十人ほどの元気な女の人たちを連れてきた。若い人は二十一二歳、一番の年嵩は五十歳くらいだった。僕が一か所にまとめた荷物を旅館へ運ぶために来てくれたのだけど、運ぶ荷物が少ないので、傾斜の厳しい一本道をせっせと登ってきた女の人たちは拍子抜けしたようだった。
「これだけですか? ほんとですか?」と、腕が丸太のように太い女の人が疑うような目をおば様に向けた。
「そう、これだけ。皆さん、お願いします」と、おば様が愛想よくハキハキと答える。
「分かりました。ついでに、そこのパンツ一丁の男の子も担いで行きましょうか?」
 丸太の腕をした、いかにも力自慢の女の人が真顔で言うので、居合わせた人たちはどっと笑った。
「そうしてもらいたいところだけど、この子はまだ仕事があるみたいで」
 おば様はそう言葉を濁すと、鋭い目をチラリと僕の方へ向けた。荷物運びに来た女の人たちも、その目に導かれるようにして、視線を移す。その時、僕はワショさんに指示されるまま、パンツ一枚の格好でY美の前で頭を垂れるというポーズを取っていた。
 女子に叱られて、洋服を取り上げられた少年が反省しているところの写真を撮るのがワショさんの目的だった。
 リアリティを出すために、Y美は本当に僕を叱りつけた。「馬鹿、なんでお前は」と、適当にでっち上げた理由で僕を怒鳴る。周りの人たちは、本当に僕が何か良くないことをしでかしたと思ったことだろう。理不尽な理由で罵声を浴びせられているうちに、つくづく自分が駄目な、価値の低い人間ではないかと思えてきた。これではパンツ一枚しか身に着けることが許されなくても文句が言えないのではないか、と荷物運びの手伝いに来た女の人たちも納得した顔をして、「叱られて頭を垂らす」僕を眺めている。
「私はね、映画のワンシーンみたいな写真を撮りたいのよ」と、ワショさんはフイルムを交換しながら、写真家としての自分の信条を述べた。
「そうそうあなた、前回の個展の新聞評にもあったよね」と、荷物を運びに来た筈なのにのんびりと撮影を見学する女の人たちとお喋りをしていたおば様が不意にワショさんの方に首を向けて、言った。「どの写真にもストーリー性があって、見る人の頭の中にストーリーが自然と生まれてくるって」
 荷物運びの女の人たちは、自分たちの仕事を忘れて、感心したように「うん、うん」と頷いた。パンツ一丁の恥ずかしい格好で僕がY美に叱られている写真は、ワショさんの面目躍如たる写真になるかもしれない。全く迷惑な話だった。
 
 脱いだ学校の上履きと靴下は、誰が置いたのか、防護壁の上にあった。撮影の合間に僕は確かに確認したのだった。それがいつの間にか無くなっている。
撮影が終わると、僕は直ちに防護壁をよじ登って探した。あった。うんと下の方だった。左右二つが揃った状態で、コンクリートブロックで作られた擁壁の一番下のブロックの出っ張りの上に何とかとどまっていた。中に押し込んだ靴下も見えた。防護壁から落ちて、ころころとあそこまで転がったようだった。
 無理だね、もう取って来れないよ、と防護壁から身を乗り出したY美が溜め息混じりに言った。おば様も同じ意見のようだった。僕の肩に手を置き、「学校へ行く時になったら、買ってあげるから、そんなにがっかりしない」と、励ましてくれた。でも、上履きと靴下を必要とするのは今なのだから、「学校が始まったら」などと悠長に構えてはいられない。おば様にしてみれば、どうせパンツ一丁なのだから靴下だの靴にさほどこだわることはないと漠然と思っているのかもしれないけれど、やはりそれらがあるのとないのでは僕の心に与える影響が全然違うから、これを簡単に諦める訳にはいかなかった。僕は防護壁をよじ登った。
 擁壁の斜面は幸いそれほど急ではなく、擁壁の一番下のブロックまで上履きを取りに行くのは、さほど難儀ではないように思われた。僕は防護壁の上で腹這いになり、擁壁の方へ足を垂らした。足先が擁壁に直地する。
 気を付けるのよ、ゆっくりとね、とおば様が防護壁の上から顔を出して、声を掛けてきた。女の人たちが首を並べて、面白そうに僕のことを見下ろしている。
 擁壁はざらざらして滑りにくい。斜面はなだらか、おまけに僕は裸足なので、慎重に手や足、時にお腹を接地して進めば、滑り落ちる心配はなかった。ただ、防護壁からはすぐ先と思っていた擁壁の一番の下のブロックまでは意外に距離があった。パンツ一枚の身に吹き付けてくる潮風は、あんまり長いこと浴びていたくない程寒い。
 手と足を使った四つん這いの姿勢で斜めに下降する僕は、溝やブロックの出っ張りのない、遮るもののないコンクリートのまっすぐ伸びる個所に来て、お尻を擁壁のコンクリートに着けた。足の裏でブレーキをかけつつ、少しずつ滑るように下る。
 予想以上に滑降の速度が出たので、少し怖くもなったけれど、なんとかお尻と足の摩擦で抑えた。ブロックの出っ張りの先から、擁壁は斜面ではなく、垂直に下まで続く壁になる。高さは3mほどだった。腹這いになって直下を覗くと、擁壁に沿った磯伝いの細い道が白い波に洗われていた。
 引き潮の時間帯だからこそ、磯の低い平らな岩は姿を現わし、擁壁沿いの細い道を釣り人が通ることもできるのだろう。磯のあちこちで遊ぶ人たち、釣り人たちの姿が見え隠れしていた。
「何してんだ、そんなとこで」
 野太い声で怒鳴られ、ハッと目が覚めた。下を見ると、魚籠を提げ、釣り竿を担いだおじさんが目を細くして僕を睨みつけている。「ごめんなさい」と謝ったけれど、びっくりして大きな声は出せなかったので、おじさんには聞こえなかったと思う。とにかく急いでブロックの先にかかってる上履きを取ると、念を入れて中の靴下を更に靴の奥に押し込んで、今度はブロック状の斜面を選び、腰をうんと低くして斜面をせっせと登った。
 防護壁までたどり着いた僕は、まず上履きを防護壁の上に置こうとした。右手に左右二つの上履きを束ねて持っていても、斜面はなんとか登れたけれど、擁壁から防護壁へ移動するためには、どうしても両手で自分の体を押し上げなければならない。いったん右手に束ねて持っている上履きを手放す。きちんと置いたつもりだった。 
 荷物を持った女の人たちが砂浜と旅館に向かう一本道を下るのを防護壁の上から見ていたおば様は、擁壁の斜面から防護壁へよじ登ろうとする僕に気づいて、手を差し伸べてきた。それは、上履きを受け取るつもりだったようだけれど、僕の目には、受け取るというよりは、払う仕草に見えたのだった。確かに素早く手が水平に動いた。上履きの踵部分が十分に防護壁に掛かっていない状態ではあったけれど、おば様の手の動きがなければ、せっかく拾い上げてきた上履きと靴下があんな風に再び転げ落ちることはなかった。
 どうせおば様は、受け渡しがうまくいかなかっただけよ、で済まそうとするに違いない。実際にそうだったのかもしれないし、今となっては何とも言えない。でも僕は、おば様の意地悪な面が突然、何の前触れもなくチラと顔を出したのだと思っている。こういうところは全くY美も同じで、つくづく二人は親と子なのだなと感心してしまう。しなくてもよい真似をする。僕を苦しめ、がっかりさせるような行為を突発的に、衝動的にしてしまう傾向がY美にもおば様にもあるのだった。
 ともあれ僕は直ちに体の向きを変えた。滑り始めて気づいたのだけれど、コンクリートの質が先程とは全然違った。すべすべではなく、ザラザラだった。傾斜があるので滑ることは滑るけれど、摩擦してパンツだけ斜面に残ろうとする。
 上履きとその中に押し込んだ靴下は、二つともブロックの出っ張りを軽々と越えて、磯の海へ落ちた。僕が擁壁の斜面の一番下まで来て、ブロックに足を掛けつつそっと覗くと、岩の窪みにたまった海水にぷかぷか浮いているのが見えた。
 ここからではとても取りに行けない。無理だった。でも、砂浜で遊ぶ時にでもそっと抜け出して、磯伝いに拾いに行けないこともない。とりあえず上の駐車場まで戻ることにした僕は、お尻に風を感じて、そっと手を当てた。
 あんまり無茶しちゃ駄目だよ、とおば様に叱られる。なんとか防護壁まで這い上がったところだった。荷物は手伝いの女の人たちがみんな運び去っていた。Y美とおば様とワショさんと僕は、簡単な手荷物だけでビーチまで行くだけだった。
 この高台の駐車場から眺めるビーチの景色にY美はひどく感動したようだった。なんとなく蟹の姿に似ている、蟹さんビーチだねと言って、幼い子供のようにはしゃぐ。
 なるほど、確かに蟹に見えなくもなかった。左右の鋏の部分が磯、二本の腕の付け根の間が砂浜という塩梅だった。丁度砂浜の中央部分が海へせり出て、蟹の頭部分に相当した。磯の後ろには切り立った崖が聳えている。
「やだこいつ。パンツ破れてんじゃん。お尻が見えてるんですけど」
 不意にY美が素っ頓狂な声を上げた。さっきお尻に手を当てた時は、そんなに大きな穴とは思わなかったのに、今Y美に指摘されて、もう一度手を回してみたら、意外な程広がっていた。あのざらざらした斜面を慌てて滑ったのが原因だった。
 先を歩いていたおば様とワショさんがわざわざ僕の後ろに回った。おば様は「まあ、随分と大きな穴があいたこと」と大げさに驚いて見せ、パンツの破れて垂れ下がる布切れをわざわざめくった。
 駐車場に車を停めた海水浴客の集団がぞろぞろと後ろから来た。とっとと先へ進みたいのに、僕以外の三人はお喋りの花を咲かせてのんびり歩いているものだから、端に寄って後ろから来た人たちをやり過ごさなくてはならなくなった。
 やめて、と何度もお願いしているにもかかわらず、Y美は僕のパンツの破れた布をめくり続けた。パンツの破れ目からお尻が丸出しになっている。そんな僕の横を海水浴の集団が次々と通り過ぎてゆく。集団のしんがりを歩く二十代後半くらいの女性たちが追い越しざま、「どうしたのボク? パンツに穴があいてるよ」「変わった水着だね。白いブリーフにそっくり」などと言って笑い、馬鹿にしたような目つきで僕のパンツ一枚の体をじろじろ眺めた。

 海水浴場に着いた。
 こっちこっち、と女の人たちがおば様を見つけて手を振っている。
 家からたくさんの荷物を車に積んだ理由がやっと分かった。いくらなんでも多すぎる、と車に詰め込みながらあやしんだものだった。Y美とおば様と僕の三人分、いや服を着させてもらえない僕の分は海水パンツくらいなので実質的には二人分の荷物と思っていたから、異様に多く感じられたのだった。
 まさかこんなにたくさんの人たちと一緒だとは想像だにしなかった。ちょっとした団体旅行だった。仕事関係の人と一緒とは聞いていたけど、おば様は詳しく教えてくれなかったし、その必要もないと考えていたのかもしれない。それでもY美は知っていたようだった。だからそんなに驚いた様子もなく、「こんにちは」と明るく笑顔を振りまき、初対面の人には、「初めまして、母がいつもお世話になっております」と、しおらしく挨拶をして回った。僕だけが事態をよく飲み込めていなかった。
 十二人ほどの人がいそいそとレジャーシートを広げ、パラソルを立てる。この他にもまだ到着していない人が何人かいるとのことだった。おば様の部下であるヌケ子さんも乗るバスを間違えて遅れるらしい。
 全員女性だった。幼児も含めて、男は僕しかいない。「どいて、そこ邪魔」と、レジャーシートの端を持ったY美に後ろから押された。
 フリル付きの黒いパンツ、淡い青色のタンクトップでお臍を露出させた女の人が僕の前を通り過ぎて、ビーチに自分たちの場所が固められつつあるのを見守っているおば様に近づいた。
「あら、こんにちは。素敵な水着ね」と、おば様が気付いて先に声を掛けた。
「ほんとにすっごくご面倒おかけしちゃったみたいで」
「全然、大した手間じゃないのよ。あなた、まだ若いのに真っ先に私にお礼を言いに来るなんて、偉いわね。もう学校卒業したんだっけ?」
「まだです。来年、卒業できるといいかなって思ってます」
「そっか、嬉しいな。あなたみたいな若い人に喜んでもらえて。この旅行を企画した甲斐があるってものね」
「いえ、だって私びっくりしちゃったんですもの。私たちの宿泊道具まで用意してもらって、わざわざ運んでくださって。信じられないくらい安い参加費なのに」
「うちには男の子がいるからね。力仕事は男の子にやってもらうのよ。みんなにも手伝ってもらうけど」
 こう言うと、おば様は視線を僕に向けた。目が虚ろだった。タンクトップの女の人もつられるようにして僕を見て、すぐにプッと吹き出した。
「あの、男の子ですか? なんか頼りなさそう」
「そうでもないのよ。言うことよく聞くからね」
 にっこりと笑うおば様。背筋が一瞬、ゾクッとした。
「ほんとですか。でも、なんでパンツ一丁なんですか。なんか荷物を旅館に運んできた子に聞いたんですけど、初めから服を着てなかったとか」
「うん。どうせ海で水着になるんだから、服はいらないでしょ。パンツが一枚あれば十分なのよ。それもお尻に穴があいちゃったみたいだけど」
 何それ、信じらんない、と素に戻ったかのような声を上げて女の人は笑い、通りかかったもう一人の女の人に今おば様から聞いたことを伝えた。憫笑の輪が広がる。気づくと、何人もの女の人たちが僕をじろじろ見ていた。
 海水浴場とはいえ、海に入る準備が整っているのはまだ一人か二人だし、その人たちも露出度の低い、普段着とさして変わらないような水着だった。その中で僕はブリーフのパンツ一枚しか身に着けていない。しかもそのパンツにはお尻の部分に穴があいていて、後ろからも彼女たちの忍び笑いは聞こえてくるのだった。
 自分が場違いな格好でいることを強烈に意識させられ、恥ずかしくなる。もしも海水パンツに着替えていたら、体を覆う布の面積が今のブリーフとほとんど変わらないにしても、恥ずかしさを覚えることは今よりははるかに少ないだろう。何と言っても水着であれば同じ格好の人が沢山いるのだし、海水浴場では海水パンツ一枚はむしろ当たり前なのだから、こんなにじろじろと周囲の人たちから侮蔑の視線を受けることはない。
 おば様は僕に海水パンツを与えることを約束してくれた。車の中でY美は確かに僕の水着も持ったと断言した。だからこそ、パンツ一枚で歩かされても、そんなに長く絶望的な気分に打ちひしがれなくて済んだ。今だけ辛抱すれば、ちゃんと水着を出してもらえるのだから、と自分に言い聞かせて、お尻に穴のあいたブリーフパンツ一枚の姿で駐車場から砂浜まで歩いたのだった。
 でも、いつ出してもらえるのだろう。それが気がかりだった。着替えの準備が整った女の人たちは連れだって海の家に行った。Y美がおば様に「私たちも早く着替えに行こうよ」と、小さな子供がするみたいにおば様の腕を引っ張った。
「そうね。でも、この場に誰もいなくなったら困るわよね。荷物番がいないと」
「そんなのチャコに任せればいいじゃん。なんのために連れてきたのよ」
「でも、あの子だって着替えるからね」
「もうお母さんたら、よその人がいるからって気遣いすぎでしょ。いつもは平気で素っ裸に剥いてるくせに」
 やめなさい、と鋭くも小さな声でおば様がY美を叱咤し、素早く周りを見回した。同じグループの人は、荷物をがさがさやっている母親と小さな娘しかいなかった。おば様はホッとしたように息をつき、改めて「あまり変なこと口にしちゃ駄目よ」と穏やかにたしなめた。Y美は母親の置かれている社会的立場を思ったのか、素直に「分かった」と返すと、パンツ一丁のままレジャーシートに体育座りをしている僕に「それ、取って」と、水着の入ったビニール製のトートバッグを指した。
「どうせ海パンに着替えるだけだから、わざわざ海の家の更衣室を使わなくてもいいじゃん。タオル巻けばできるよね」
 僕から受け取ったトートバックを胸に抱えて、Y美が言った。
「そうか。私、男の人ってよく分からないんだけど、そういうものかもしれないわね。簡単でいいんだね」と、おば様は僕の頭を片手でかき撫でながら感心し、腰を曲げて、僕の顔を見た。おば様の紫のアイシャドーと艶々した口紅の色が息のかかるくらいの近さまで接近する。「じゃ、荷物番お願いしてもいい?」
 すぐに声が出なかったので、代わりに何度も頷いた。僕の慌てた様子を見て、おば様がクスッと笑う。「お前、しっかり見張ってろよ。荷物なくなったら、そのパンツ、びりびりに破くよ」とY美に耳元で脅かされても、僕はまだ官能的な香りの余韻に浸っていた。
 本当はビーチに着いたら、真っ先に磯の方まで行って、高台の駐車場から擁壁を転がって落ちた靴と靴下を取りに行きたかった。でも、よくよく考えてみると、水着に着替えてからでも遅くはないのだ。ブリーフパンツ一枚のままで行くよりもその方が何倍ましか分からない。靴と靴下が落ちた場所はどの辺りなのか、だいたい見当は付いている。まずは落ち着くこと。ここは静かにY美たちが戻るのを待って、荷物番に徹することにしよう。慌てる必要は全然ないのだった。
 同じグループの人たちが水着に着替えて続々と海の家から戻ってきた。ほとんどはワンピース型の水着か、上と下は分かれているけれど、パンツは膝まで伸びて、タンクトップは二の腕を包む、露出部分の少ない水着だった。ワショさんの水着にいたっては、普通の軽装と変わらず、このまま商店街とかを歩いても誰も怪しまないようなタイプで、パンツは長くて脛まで隠れているし、上は裾が長くてパンツのゴムの部分まで覆い、袖は手首まで伸びている。体のラインが見えるのは太ももから下くらい。
「あ、それ、ラッシュガードって言われてるタイプですよね。最近、流行りみたいですね」いきなりグループの若い女の人から話しかけられたワショさんは、
「日焼けしたくないのよね、私。あなたみたいな水着は、とても無理よ」と答えて肩をすくめると、女の人のビキニ姿を見て、眩しそうに目を細めた。
 お待たせ、とおば様の声がした。Y美とおば様が水着姿になって戻ってきた。Y美はスクール水着、おば様はタンクトップにショートパンツというスタイルで、二人ともウェアを羽織っている。Y美の紺色のスクール水着は、よく見るとメライちゃんが着ていたものとタイプが異なっていた。腰のところに水抜きのひらひらした部分がなくて、ワンピースのように繋がっている。新しいデザインなのかもしれない。腰から太ももにかけての体の曲線がメライちゃんの着ていたものと比べてくっきりして、Y美の僕と同い年とは思えないような女性的な体つきが生々しく迫ってくる。
 あの、僕の水着も出してもらっていいですか、とおば様にお願いする。黙っていたら、そのまま忘れられてしまいそうだった。おば様は女の人たちとのお喋りを中断して、「あ、そうそう」と思い出したようにトートバッグを探り始めた。
「ねえ、Y美。あんた、私のカバンに入れたって言ったわよね?」
 何を、と水平線を眺めているY美は心ここにあらずのような顔して、問い返す。
「この子の海パンよ」「海パン?」「そう、海パン。どこに入れたのよ」というやり取りがあって、どうやらY美が僕の水着を入れたカバンというのは、おば様のビジネスバッグだということが判明した。おば様の呆然とする顔を見て、僕は不安のあまり胸が詰まった。
「まさか持ってきてないの? あの、いつも会社に行く時に持って出る、黒い革のやつ」
「Y美、あんたねえ」おば様は心底あきれたという顔をして、言った。「持ってくる訳ないでしょ。あれは仕事用なんだから。どこの世界に海水浴へ行くのに仕事で使うカバンを持ってくる人がいるのよ」
「何よ、お母さん。海水浴だけど、仕事も兼ねてるって散々言ってたじゃんよ。あのカバン、当然持ってくると思ったわよ。持ってこなかったのはお母さんでしょ。なんで私のせいにするのよ」
 結構な剣幕でY美が怒り始めたので、グループの女の人たちは、びっくりしてY美とおば様を取り巻いた。おば様も負けていない。「カバンに入れたって、今日持っていく荷物の中に入ってなきゃ意味ないでしょうに」と言うと、すぐさまY美が「どの荷物を持っていくかなんて、私の知ったことじゃないよ。ただ、私はお母さんに言われたとおり、こいつの水着をカバンに入れただけだよ。それなのに、なんでこんなに怒られなきゃいけないの」とやり返し、涙を流した。
 これ以上みんなの見ている前でやり合っても恥になるだけだと判断したのか、おば様は口を閉ざしたけれど、憤懣やり方ないという表情で腕を組み、そっぽを向いた。慌てたのは、周りの人たちだった。まあまあ、と二人の間に入ってなだめようとするのだが、Y美やおば様に睨まれ、あからさまに無視されるばかりだった。
「この男の子の水着、結局荷物の中に入ってなかったってことでだよね?」と割って入ってきたのはワショさんだった。Y美が涙を手の甲で拭って頷くと、ワショさんはカラカラと明るい声を出した。
「何よ、そんなことで親子喧嘩しないで欲しいわ。全然大した問題じゃないんだから、取るに足らない問題なんだから」と、おば様とY美を交互に見て強調した。
「水着がないんだったら、水着無しで居ればいいだけの話じゃない。この子、初めからパンツ一枚だし、そのパンツにわざわざ穴あけてお尻露出させてるんだから、別に水着なんかなくったって」と、ここまで言うと、周囲の女の人たちはざわめき始めた。いや、男の子だって水着が必要でしょ、という声がどこからか上がった。水着なしで丸裸で泳がせるなんて、と非常識を詰るような声も混じった。
「まあ、待ってよ。確かに大人の男だったら、まずい。でも、この子は大人ですか?」
 ワショさんは改めて問うように、グループの女の人たちを見回した。渦中の僕は、レジャーシートの上で体育座りして、身じろぎもしないで聞き耳を立てている。
「いいえ、子供よ。でも子供だって恥ずかしいと思うわ」と、花柄のワンピースの水着の女性が言った。
「この際、この子の感情はどうでもいい。問題は水着なしの裸でいて問題になるかどうかという点なのよ。毛が生えているかどうかを判断の基準にしたらどうかしら」
 Y美が「生えてない」と即答した。ワショさんは微笑んだ。「じゃ答えは簡単だよね。水着なし、裸で泳げばいいのよ。あなたは水着なし、裸で泳ぐのよって私たちが命じればいいだけの話です。この子がどう感じようと関係ない。私たちは、男の子の水着を忘れてきたという事実に対して、どう対応するべきかだけを問題とすればいいのよ」
 女の人たちは、みんな納得したようだった。僕の側に立って、水着が必要だと意見してくれた人も反論のしようがないのか、押し黙ってしまった。それでも、重苦しかった雰囲気が急に軽くなったようだった。
 みんなが水着なしでも構わないという意見であれば自分もそれで構わない、とおば様は言った。おば様にしてみれば、僕を素っ裸にしても自分が虐待していると周りに思われなければ、それでいいのだろう。
 ショックだったのは、僕の気持ち、感情はどうでもいい、というのがこの場の、女の人ばかりのグループで出された結論だったことだ。僕は立たされた。
「あなたの水着忘れてきちゃったけど、仕方ないよね。ほんとにごめんね。最初の約束と違うけど、素っ裸になるしかないみたいなの。分かるわよね」と、おば様は絶望の谷間に落ち込んだ僕の顔を横から覗き込んで、囁いた。「さ、パンツを脱ごうか。諦めて脱ぐのよ。それとも私たちに力づくで脱がされたいの?」 
 いやだ、お願いだから許して、せめてパンツだけでも穿かせて、と哀訴する僕の声は途中で女の人たちの嬌声にかき消されてしまった。後ろからパンツのゴムを掴まれ、一気に引き下げられたのだった。


17 コメント

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Unknown (Gio)
2017-10-29 21:11:51
更新お疲れ様です。
いよいよ海水浴編ですね。
海だと裸でもそんなに違和感はないと思われる
ので、Y美がどういう手をうってくるか
期待しています。
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Unknown (Unknown)
2017-10-29 23:37:48
 お疲れ様です。
 今回は裸足に関する描写が多いですね。まあそれも気に入りましたけど。
 また新作を期待しています。
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コメント御礼 (naosu)
2017-10-30 20:43:43
Gio様
ありがとうございます。
海水浴場は解放感がありますね。

Unknown様
完全な裸、裸足で感じる身体感覚は、特別なのかもしれません。
この特別な感じは、靴下や靴を履くと、たちまち損なわれる。
といって靴下や靴を身に着けることで性的な官能が損なわれるということではないです。
ただ、別の種類の官能に変化してしまうという感じですね。

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Unknown (M.B.O)
2017-10-30 22:38:30
海水浴編がスタートしたのですね!
Y美とナオスさんが対照的という印象を受けるシーンが印象的ですね…


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Unknown (Gio)
2017-10-30 22:45:52
返信ありがとうございます。
もう1回読み返したらナオス君のお母さんについて
何やら不穏な言動がありました。
親子揃って裸で働かされてるようですね。
3か月たっても元通りの生活に戻れるか
不安になってきましたね。
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Unknown (M.B.O)
2017-10-30 23:17:24
確かに気になるシーンですよね!
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Unknown (Gio)
2017-10-30 23:46:43
お、M.B.Oさんも気になりますか。
そのうち親子合わせ責めもあるやも
しれませんね。
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Unknown (M.B.O)
2017-10-30 23:56:58
Gio様、確かにそういうことをおば様とY美ならやらせかねないかもしれませんが…
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続き楽しみ♪ (へろへろ)
2017-11-03 10:53:52
海水浴場編楽しみにしてました(^^)

やはりナオスくん素っ裸にされてしまいましたね。

つるつるで包茎の可愛いおちんちんをたくさんの人に見られ、玩られ、何度も射精するシーンを期待しています。マジックショーでは、すでに全裸でテレビ中継されることが決まっているだけに、ビーチではたくさんの人に見られることに慣れるための予行練習になるかもしれませんね(*^^*)

小生は、これからナオスくんが全裸でスイカ割りさせられたりとか、ちいちゃい子(男女問わず)にクスクス笑われながらおちんちんをイタズラされたりとか、ショタ好きな人(これも男女 問わず)に同情されたふりをされながら、アブない行為(フェラクンニ強制、アナル処女喪失、全裸撮影、公開オナニーなどなど)をさせられたりしたり…なあんて自分勝手なストーリーを夢精…否、夢想しながら、次回更新をマターリと待ちたいと思います。

勝手なことを書かせていただきましたが、今後も無理せず、自分のペースで創作活動を頑張ってください。

ではでは\(__)
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ありがとうございます (naosu)
2017-11-04 10:00:33
Gio様
M.B.O様

どんなことさせられてるのか、不安になりますね。身を粉にして働いているとのことですが・・・

へろへろ様

ありがとうございます。
なかなか海水浴場に着かず、やっと着いたと思ったら次回に続く、となってしまいました(笑)

ご要望ありがとうございます。
僕のストライクゾーンと重なっています。嬉しく思います。



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