奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

朝の散歩 ため池の周りの植物と虫

2021-08-15 20:41:17 | 奈良散策
奈良散策 第176弾


8月5日朝に家の近くのため池の周りで植物と虫探しをしました。その続きです。





これはナガコガネグモ。中心に大きな♀がいて、隅っこにいた小さな方が♂なのでしょう。脚もだいぶ取れて気の毒な感じです。



これはアオモンイトトンボ





ウスバキトンボがホバリングしていたので撮りました。結構、うまく撮れました。





たぶん、栽培種が逸出したものだろうと思ってネットや図鑑を探していたら、「帰化&外来植物950種」には載っていました。クマツヅラ科のヒメイワダレソウです。リッピアという名で知られた栽培種ですが、屈強な問題種のようです。





これはヤハズハエトリの♂。





こちらはヤハズハエトリの♀か、幼体。





これはヒルガオでした。最近はかならず花柄に翼か稜がないことを確かめることにしています。



これはシマアシブトハナアブ♀。



それからアオメアブ





このハナアブは何でしょう。



これはコブチヒメヘリカメムシかなと思ったのですが、よくは分かりません。





前脚の付け根が赤いのでチョウセンカマキリのようです。



そして、最後はイボバッタ

雑談)毎日毎日雨続きで、散歩に全く行けません。それでも、今日の午後、ちょっとだけ晴れ間が見えたので、佐保川まで行ってみました。あれほどうるさく鳴いていたクマゼミの声が聴こえず、代わりにツクツクボウシがちょっと寂しそうに鳴いていました。もう秋なのですね。今年もコロナで何もしないうちに過ぎてしまいました。雨で行くところがないので、せっせとデータベースづくりをしていました。古いデータベースで抜けていた部分もだいぶ入力することができました。また、奈良に来てからのデータも8月10日分まで入力しました。それでもまだ今週の木曜日くらいまでは雨なのですね。

植物を調べる イヌホタルイ

2021-08-15 17:14:49 | 植物を調べる
この間から気になっていた植物を調べてみました。マンションのすぐ近くに小さな湿地があり、ガマやイなどが生えているのですが、その中に群がって生えている植物があります。残念ながら、柵があって中に入れないので、採取ができないのですが、この間、休耕田の横を歩いていたらそこにも生えていました。早速、採取して調べてみました。





マンションの近くの湿地に生えていた植物です。図鑑で見ると、ホタルイとか、イヌホタルイあたりが似ているのですが、柱頭が2分岐なのか3分岐なのかという点で見分けないといけません。それで、何とか採取して調べてみたいと思っていたら、別の場所の休耕田に生えていました。

今回、調べるときに用いた図鑑は、星野卓二、正木智美著、「日本カヤツリグサ科植物図譜」(平凡社、2011)です。非常に丁寧な線画で描かれていて、検索表も載っているので、大変使いやすそうな本です。残念ながら、まだ、検索表を追いかけていくほどよく分かっていないので、今回は参考程度に見ていきたいと思っています。

①痩果の鱗片は2枚以下
②少なくともいくつかの花は両性花
③小穂は多花で常に両性花
④花被片がある
⑤花被片は刺状か糸状
⑥小穂は通常多数
⑦花被片は4~6個以下で刺状
⑧鱗片は無毛または縁に繊毛がある
⑨茎は中実で、まれに節がある ホタルイ属
⑩有花茎は円柱形または不明瞭な稜がある
⑪有花茎の高さは1m以下、分花序に柄がない
⑫叢生し、匍匐根茎はない
⑬痩果の長さは約2mm
 ⑭a 小穂は狭楕円形で先が尖り、刺針状花被片の長さは痩果の約2倍 タイワンヤマイ
 ⑭b 小穂は広倒卵形、刺針状花被片の長さは痩果より長いか短い
  ⑮a 柱頭は常に3岐、痩果の断面は3稜形 ホタルイ
  ⑮b 柱頭は2岐、まれに3岐、痩果の断面はレンズ形
   ⑯a 有花茎の横断面は不明瞭な5ー6稜があり、柱頭は2岐、まれに3岐 イヌホタルイ
   ⑯b 有花茎の断面は4-5稜があり、柱頭は2ー3岐 シカクホタルイ

検索表ではこのような手順で検索を進めていきます。だいたいは分かるので、次回は検索表に沿って見ていこうと思うのですが、今回は最後の⑭~⑯のあたりを見て、似た種を区別していこうとも思います。



これは小穂の写真です。小穂は10 mmほどで、鱗片から顔を出している柱頭を見ると2岐になっていそうです。2岐か3岐かは痩果に2稜あるか3稜あるかで確かめることができます。そこで、後で痩果を見ることにします。



鱗片をはがすと中には黒っぽい痩果が入っています。



これは鱗片の拡大図です。鱗片には特に毛のようなものが生えていません。これは検索⑧の確認です。



これは痩果を横から見たものです。長い針状のものが花被片です。この長さが痩果の長さとほぼ同じところから、タイワンヤマイを除外することができます。痩果の先端には本来花柱がついているはずなのですが、取れて無くなっています。いくつか見たのですが、どれもついていませんでした。



これは痩果を上から見たところです。いわゆるレンズ形で、2稜しかないことが分かります。これで、ホタルイを除外することができます。



最後は茎の断面です。シカクホタルイはかなりはっきりした四角形をしているので、シカクホタルイも除外できます。ということで、イヌホタルイだけが残りました。



ついでに撮った写真です。これは小穂の中ほどにある鱗片をはがしたものです。まだ、雄蕊が入っていました。その間に花被片があることが分かります。



これは別の痩果です。花被片の長さを確認するために撮っておきました。

カヤツリグサ科の検索を初めて試みてみたのですが、何とかできそうな感じです。痩果がはっきりしていて、これを見るとある程度のところまで分かります。でも、カヤツリグサ科には最大の難関であるスゲ類が含まれているので、まだまだこれから先が大変です。