昔から北村薫は好きでした。ミステリーの名手。それもなんでもない日常に潜むミステリー。僕はその優しい文体とじわじわと染み入るような謎解きが好きでした。ずいぶん長い間読んでなかったのですが、ふとまた読みたくなりまして。というわけでこれは再読本です。推理小説ではなく、短編集です。珠玉の10編。高校生か大学生かの頃に読んだきりでしたが、やっぱり好きです。北村薫。その頃に読んだときと同じ感覚も抱いたし、新たな違う感慨もありました。僕にとっての保存本です。中でもちりりと胸を刺したのは、『恋愛小説』『水に眠る』『くらげ』『ものがたり』あたりかな。
胸を刺す。
ものがたり。
その日。
その時。
その瞬間。
そのために。
今まで生きてきた。
時間があったのだ。
と気付いた。
半ば独白。
のものがたり。
なのになぜ。
こんなにも。
私まで。
胸を刺す。
周到に。
用意され。
そこしか考えられない場面での。
その台詞。
二度はなく。
ただ。
胸を刺し。
二度と抜けることはない。
ものがたり。
その日。
その時。
その瞬間。
そのために。
今まで生きてきた。
時間があったのだ。
と気付いた。
半ば独白。
のものがたり。
なのになぜ。
こんなにも。
私まで。
胸を刺す。
周到に。
用意され。
そこしか考えられない場面での。
その台詞。
二度はなく。
ただ。
胸を刺し。
二度と抜けることはない。