電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

国際的な学力競争

2004-12-17 22:39:01 | 子ども・教育
 OECD国際学習到達度調査国際数学・理科教育動向調査の結果が発表になった。日本はトップグループにいるものの低下傾向を示している。国際的な相対評価でも低下しているし、前回と同じ問題での正答率でも低下している。中山文部科学大臣は、「ゆとり教育」を反省し、過去の文科省の指導を反省しているという。それにしても、これからは「競争」を教育の中にも取り入れた方がいいという発言が何の抵抗もなく通っていってしまうのが多少恐ろしい気がしないでもない。学力が低下していることが実証されたとしても、それは「競争」が無かったからではないことだけは確かだと思われる、
 「OECD国際学習到達度調査」とは経済開発協力開発機構(OECD)に参加している国が共同して国際的に開発した15歳児を対象とする学習到達度調査で、通称「PISA」という。「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」を主要3分野として調査ししている。2000年に最初の本調査を行い、その後3年ごとのサイクルで実施されることになっている。2003年はその2回目で、41カ国・地域(OECD加盟30カ国、非加盟11カ国・地域)から27万6000人の15歳児が参加した。日本からは、約4,700人が参加している。

 「国際数学・理科教育動向調査」とは、1960年創設の「国際教育到達度評価学会」(IEA)によって1964年から継続的に実施されている。今回の国際調査は、1995年、1999年に行われた2段階調査に続くもので、第4学年(小学校4年生)と第8学年(中学校2年生)を対象にして行われたものである。今回の参加は全てで46か国/地域である。日本からは、小学校150校4,535人、中学校146校4,856人が参加して、2003年2月に行われた。

 この結果、いくつかのことが指摘されている。一つは、国別の平均点で日本は、前回より落ちていること、二つ目には、同じ問題でも前回より正答率が下がっていること、三つ目には、算数や理科に対する興味関心が参加国中最低に近いこと、四つ目には勉強する時間も少なくなっていること、などである。特に、学校外での過ごし方で、宿題をする時間は、参加国中一番低く、また家の仕事(手伝い)をする時間も平均よりも少ない。それに比べてテレビやビデオを見る時間が平均より多いという結果は、異様でもある。一言で言えば、勉強しなくなっているということだ。

 これらの調査は、理科や数学だったが、それでは国語や社会はいいのかといえば、おそらく同じような結果になっているに違いない。文科省のやっている学力テストでも同じような結果が出ている。私には、「ゆとり教育」が間違っていたかどうかはよく分からないが、「知」に対する軽視があったことだけは確かなような気がする。子どもだけではなく、大人の世界でも「知」に対する軽視があるような気がするのだ。勉強することや学ぶことが、「個性」と言うことを強調するあまり、軽視されていたのだ。「総合的学習」も根本的に反省した方がいいと思う。国語や算数、理科、社会などの教科から外れた分、教科を軽視することになってしまっているような気もする。確かなことは、子どもの学力が落ちたのは、子どもだけのせいではないということだ。それは、私たち大人の責任のほうが大きいと思う。

 私は自分の子どもに、全ての教科を好きになる必要はないが、少なくとも一つくらいは好きな教科を作って欲しいと思っている。一つの教科を好きになることを通して、他の教科でも応用できる学力が身に付くと思う。それは、「総合的な学習」なんかでは身に付かないと思う。それ以前の問題のような気がする。いずれにしても、これからは、学力でも国際比較が問題にされる時代だ。日本の中だけでの格差だけでなく、世界の中で学力競争が行われる時代になると思われる。競争を生き抜くためには、自分の強みと弱みを理解し、強みを伸ばすことで弱みをカバーするというが、社会での生き方の基本である。勉強も多分同じことだと思う。何かに自信を持って、それを伸ばしていくことが大事だと思う。

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