Rafael Ferreyra plays Elgar´s "Nimrod" at Washington Nat. Cath.
(動画の音量が小さいので、お聴き下さる人はボリュームを上げてみて下さいね)
イギリスの作曲家エルガー(1857-1934)のエニグマ変奏曲より、第9変奏「ニム・ロッド」、
何年か前、映画の「のだめカンタービレ」でも、マルレオケのメンバー達が自主的に練習を始めたシーンで
この温かい音楽が流れて、じーんとしました。
この曲の14の変奏に一つずつつけられたイニシャル、
それらはエルガーの妻や知人ひとりひとりにあてられたものだそうですが、
この第9変奏の「ニム・ロッド」とは、
エルガーの親友であるオーガスト・イエーガーをさすということで、
この曲に名前を冠された彼は、エルガーにとって、どれほどに誠実で大切な友人であっただろう、と思わずにはいられません。
管弦楽で演奏されることの多いこの曲ですが、
オルガン演奏のものでも聴いてみました。
教会の高い天井、ステンドグラスを透る光、澄んだ空気に響いていく音・・・敬虔な感じと、
管弦楽で演奏されるものとはまた違った倍音の重なりが、いっそうあたたかで、
ちょっとつらいことが重なった日には、
胸に染み入るように思います。
エニグマとはギリシャ語で「謎」という意味だそうで、
一つ目のそれぞれのイニシャルがだれか、という謎は今日ほぼ解き明かされており、
でも、もう一つ曲全体にかけられたというかくれたテーマの存在は、いまだにわからないそうなのです。
100年以上も解けない謎も、この曲の魅力の一つでしょうか。