長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ホンモノの気持ち』

2018-12-27 | 映画レビュー(ほ)

『今日、キミに会えたら』(=原題Like Crazy)のドレイク・ドレマス監督第5作目。そのキャリアを見渡すと男女の恋愛をテーマに何度も何度も変奏を繰り返してきた事がわかる。今回はシンセという人造人間が人類の心の隙間を埋めるようになった近未来が舞台だ。シンセ研究の第一人者ユアン・マクレガーの下でアシスタントを務めるレア・セドゥはかねてから抱いてきたユアンへの恋心を打ち明ける。だが、彼から告げられたのはセドゥこそが次世代シンセのプロトタイプであるという事実だった。

 ここまで聞けば『ブレードランナー』『攻殻機動隊』よろしく人間性を探求する哲学的SF映画を期待するだろう。感情を持ち、セックスもできてしまうロボットに“人権”はあるのか?それをロボット側の目線から描いたのが『ウエストワールド』だったが、ドレマスは男女2人の恋愛という小さな世界に留めてしまう。自己評価の低い中年ユアンはセドゥと恋仲になりながら、意気地のなさから彼女を捨てる。何のメンテも保障もないまま!こんな身勝手に終始しても映画の最後に2人は結ばれてしまうのだからこの鈍感さ、時代性のなさにはウンザリしてしまった。

ユアンとセドゥは相性も良く、好感度の高いカップルだが、ドレマスの“恋愛脳”がそんな大人の演技にそぐわないのである。

『ホンモノの気持ち』17・米
監督 ドレイク・ドレマス
出演 ユアン・マクレガー、レア・セドゥ、ラシダ・ジョーンズ、テオ・ジェームズ

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