長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ペルリンプスと秘密の森』

2024-01-15 | 映画レビュー(へ)
 2013年の傑作アニメ『父を探して』でアカデミー長編アニメーション賞にノミネートされたブラジルの鬼才アレ・アブレウ監督待望の新作。太陽の王国から来た少年クラエと、月の王国からやってきたブルーオ。彼らは巨人の侵攻に脅かされる大森林で、この世のバランスを司ると言われる謎の力“ペルリンプス”を求めて冒険を繰り広げる。

 生まれて間もない男の子の目線から、世界の美しさと残酷さを台詞なしで描いた前作から一転、アブレウは作風をガラリと変え、言葉も明確なストーリーラインも擁してより揺るぎなく、現在(いま)を生きる子どもたちにメッセージを宛てている。根底にあるのはブラジルの自然破壊と右傾化に対する強い憤りだ。少年時代という“季節”の終焉と、熱いテーマ(終盤は『めぐりあい宇宙』のような展開に!)、そしてアンドレ・ホソイとオ・グリーボの神秘的かつ祝祭的なスコアに強く心揺さぶられる傑作である。


『ペルリンプスと秘密の森』22・ブラジル
監督 アレ・アブレウ
出演 ロレンゾ・タランテーリ、ジウリア・ベニッチ、ステーニオ・ガルシア

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