長内那由多のMovie Note

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『ウーナ 13歳の欲動』

2019-08-12 | 映画レビュー(う)
時代の変化のスピードを感じる。原作戯曲は2005年、その映画化となる本作の公開は2016年。2019年の今見ると、ほとんど化石のような価値観の映画だ。ルーニー・マーラ、ベン・メンデルソーン、リズ・アーメッドら実力派俳優が揃ったが、今となってはその出演意図を察する事も難しい。

ウーナがレイと再会する。親子ほど歳の離れた2人はウーナが13歳の時、性的関係にあった。2人は互いに恋愛関係であると信じていたが、レイは逮捕されて社会的な制裁を受ける事となり、ウーナはその後も同じ家に住んで地域から好奇の目で見続けられる人生を送った。

性的虐待によって心を壊されたウーナをルーニー・マーラはガラスのような繊細さで演じ、実に痛ましい。虐待がもたらす傷は永遠であり、出口のない苦しみである。だが、映画はウーナにもレイにも主観を置いておらず、大人による未成年への性的搾取を何と恋愛として描いている。レイが劇中で断罪される事もない。原作はデヴィッド・ハロワー、監督はベネディクト・アンドリュース。これでは男性目線のポルノと断じられてもやむを得ないだろう。

同テーマを扱った作品としてはジェニファー・フォックス監督の傑作『ジェニーの記憶』がある。これを見てぜひともマインドをリセットして頂きたい。ウーナとレイの関係が決してロマンスではないとわかるハズだ。


『ウーナ 13歳の欲動』16・米、英、加
監督 ベネディクト・アンドリュース
出演 ルーニー・マーラ、ベン・メンデルソーン、リズ・アーメッド、トビアス・メンジーズ
 

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