長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ロッキー・ザ・ファイナル』

2019-02-27 | 映画レビュー(ろ)

前作から16年の時を経て製作されたまさかの続編。失意と落胆のうちに終了したシリーズの後、スタローンは『クリフハンガー』を最後にヒットが出ず齢60歳、キャリアがジリ貧状態にあった中での監督、主演作だった。

恋女房エイドリアンには先立たれ、“有名人の息子”の肩書を背負った息子とは疎遠になり、今は小さなイタリアンレストランで客に武勇伝を聞かせるだけの日々を送るロッキー。過去の栄光だけで惰性的に生きる彼の胸の内には、まだくすぶり続ける何かがあった。このままで終わりたくない。自分はファイターだ。どんな形であれ、闘い続けるのが人生だ!

遅すぎる中年の危機か?いや、人の心はいつまでも燃える事ができるという熱いメッセージは後に『エクスペンダブルズ』を結成し、再び“燃える”スタローンの当時の心境だったのかも知れない。荒廃したフィラデルフィアを撮らえるくすんだカメラは愚直なスタローン演出を古風な味わいへと変え、第1作の魅力を蘇らせる事に成功している。そしてビル・コンティのテーマ曲をバックに映画は僕たちが期待していた感動をもたらしてくれるのだ。

 思いがけない有終の美として批評家からも歓迎され、スマッシュヒットを記録した本作。新たな伝説『クリード』が始まるのはこの9年後の事である。


『ロッキー・ザ・ファイナル』06・米
監督、出演 シルヴェスター・スタローン
出演バート・ヤング、ジェラルディン・ヒューズ、アントニオ・ターバー、マイロ・ビンティミリア
 

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