気まぐれ猫の徒然の日々

気楽に、時々思いついたことなどを書きつづっていきたいと思います・・・。
諸般の事情で絶賛引きこもり中。

ツルネ ~風舞高校弓道部~

2022-04-22 21:54:48 | その他

ツルネ ~風舞高校弓道部~ を見てる。

ツルネとは弦音と書き、矢を射った時に弦が発する音のことだ。
これは弓の重さ (弓の重量では無く、その弓を引くのに必要な力の事で、kgで現す) や種類 (竹弓かファイバー弓か) で違うし、離れ (矢を放つ時の動作) の上手い下手によっても変わる。
弓の重さが重くなるほど金属音に近くなるし、竹弓よりファイバー弓の方が硬い音がする。
因みに、竹弓とファイバー弓は使う弦も違っていて、基本的に竹弓には麻製の弦を使い、ファイバー弓にはケブラー製の弦を使う。
ケブラー弦の方が丈夫で切れにくいのだが、丈夫すぎて竹弓には向かない。
(麻弦が適当なところで切れる事で、弓の反りが戻る効果があり、これが竹弓を長持ちさせる為には重要なのだ)
ツルネではこの音の差がある程度表現されていて、聞いた感じ女子の弓の音が大体13~14kg位で、男子の弦音が大体16~17kg位の音。
大体高校生の平均位の重さの弓の弦音だね。
マサさんの弦音はちゃんと竹弓の音だと思う。
重さは多分15~16kg位かな。

その他の描写も結構色々細かくて、せいやが部活の時に眼鏡を外しているのは弦で眼鏡をはじいてしまうから。
洋弓と違い、和弓は頭の後ろまで弓を引き絞るので、そのまま手を離すと弦は耳を直撃してしまう。
そこで、弓手 (ゆんで、弓を持つ左手の事) の手の皮をぞうきんを絞るように巻き込み、弓自体にひねりを与え、弦が頭の外側を回るようにしているのだ。
(これを "手の内" と呼び、「手の内を明かす」という言葉の語源になっている)
とは言うものの、弦はそう大きく回るわけではないので、眼鏡をかけていると弦ではじいてしまうのだ。
また、この手の内が上手く出来ないと、矢はとんでもなく右に飛んで行ってしまう。

立ち位置から的場まで28mの距離で直径36cmの大きさ (霞的) の的を狙うのだが、これが中々難しい。
先ほどの手の内もそうだし、引き絞る際に馬手 (弓を持ったまま馬に乗る際に馬の手綱を持つ方の手、右手の事) の手首に力が入ると矢飛びが悪くなるし、矢を離すことに意識が行き過ぎると "緩み" と呼ばれる離す瞬間に手を戻してしまうクセが出やすくなり、狙ったところに飛ばなくなる。
で、一度変な癖が付いてしまうとなっかなか直らない。
それを防止する為、弓を初めて最初の1ヶ月は "胴作り" と言う、立ち方の練習 (上半身のブレを無くす為の土台作り) を繰り返し、次の1ヶ月では何も持たずに射形の練習を繰り返し、更にその次の1ヶ月でゴムを持って負荷をかけた状態で射形の練習を繰り返すのだ。
当然その間には走り込みやら筋トレやらもこなしていく。
つまり、4月に入部して毎日毎日キツく地味でつまらない練習を繰り返して、やっと弓を持てるようになるのは7月に入ってから。
まあ、この期間に部をやめて行くヤツは多いね。

そこまで来てやっと道具を購入し、的前に立つことになる。
但し、この時点で購入するのは矢 (矢の長さは体格によって変わるので、個人持ちで調整して貰う。甲矢と乙矢、各二本の四本がワンセット) と弽 (ゆがけ、馬手に付けるプロテクターみたいな物) とその内側に付ける綿の手袋みたいな下がけ、後は弦位かな?
弓は大概学校の備品を使い、形が定まった後に希望者のみが購入する。
人によっては弓手に押手弽 (おしてがけ、ちょんがけとも言う) を使う人も居る。
これは弓を引く際、手の内で一番負担が掛かる親指内側の付け根を保護する為の物で、皮膚が弱い人はここがズルッと剥けちゃうんだ、それも何回も・・・。
まあ、普通の人でも1・2回は必ず剥けるんだけどね。



で、ここからはツルネを見ていて感じた違和感。

先ず、今の高校って袴をはいての練習が普通なのかな?
我々の頃は、県大会までは学生ズボンとトレーナーでの立射だったけどなぁ。
袴をはいての座射は全国大会やインターハイだけだったけど。

それから、早気って確かに直りにくいし良しとはされないんだけど、当たらなくなるわけじゃ無いんだよね。
打起しで頭上まで弓と矢を持ちあげて引き絞っていく過程でも矢は地面と水平に保ちます。
で、そこから直線的に引き絞るわけでは無く、馬手は大きく円を描くように引分けて (引き絞って) 行くので、会に入った (矢が口元まで来た) 時には十分に引き絞れている状態なのだ。
そこで保持出来ずにすぐに離してしまうのを早気と言うんだけど、きちんと射形を保って、ちゃんとした離れが出来ていればその状態でも当たるんだ。
なので、良くは言われないけど、さほど問題にはならないんだな。
流鏑馬なんかでもそうなんだけど、実戦での射手ってじっくり狙ってる暇なんか無くって皆早気だし、それでも当ててナンボだし・・・。
ウチの部で大三 (弓と矢を頭上に打起した後弓手を前に出した、まだ引き絞っても居ない状態) で離してしまったヤツに「早気にも程がある!」って突っ込んだ瞬間、パンって的に当たる音がして大爆笑したことがある位、早気でも当たるんだよ。
まあ、ウチの部が皆重い弓を使っていたせいでもあるんだけどね。(普通の男子高校生は15~17kg位の弓なんだけど、ウチは皆20kg以上の弓を引いていた。おかげで弦音は "キンッ" て感じのほぼ金属音。)

ま、実際早気が問題になるのは昇段試験位じゃないかなぁ。
昇段試験では当たりもそうなんだけど、射形や矢飛びも見られるからね。
初段でも一手二本の矢の内一本は当てないとダメだし、後の一本は外すしても的のすぐ横、それも上か左側、射形も五段以上の審査員五人で審査して、三人以上がOKを出さないと通らない。
ウチの年では男女合わせて20人が受けて通ったのは一人だけだったし・・・。
あ、筆記試験もあったっけ。
今は更に厳しくなって、級から順番に取っていかないと段は取れなくなってるそうな。
ま、和弓は腕が無いと当たらない。
その点、アーチェリーは当たったなぁ。
先輩が持ち込んだ物を使わせて貰ったんだけど、初めて使って28m離れた的場に置いたチップスターの蓋の中に矢が集まるんだからすごいもんだよ。

まあ、そんなこんなで楽しんで見させて貰っている。
劇場版はどうしようかなぁ。

コメント
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