ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「一汁一菜でよいという提案」土井善晴著

2022-10-29 17:51:44 | 

入院中に栄養士さんの栄養指導があって、食事の栄養バランスが大事だと言われました。

たしかに入院中の病院食でコレステロールも中性脂肪も体重さえ下がったのだから、

食事がいかに大事かということは痛感しました。

でも、一人暮らしだと毎日料理をするのも億劫で、食材も残るしで、コンビニやスーパーのお弁当という日が多くなってきました。

そんな時に、この本を読んだらもう目からウロコ。

「一汁一菜でよいという提案」土井善晴著(新潮文庫)

著者は有名な料理研究家で、やはり料理研究家の土井勝氏のご子息です。

初版は2016年なので(2021年に文庫化)すでにご存じの方も多いかと思いますが、私は初めて読みました。

この本は単なる料理本ではありません。

本の冒頭にはこう書いてあります。

「この本は、お料理を作るのがたいへんと感じている人に読んでほしいのです。」

何しろ、料理研究家なのに、家庭料理は一汁一菜でよい、

ごはん、味噌汁、お漬物、

この三点セットでよいというのですから。
(ただし、お味噌汁は具沢山)

料理本というより、思想書といえばいいか。

日本には「ハレ」と「ケ」という概念があって、日常の食事は「ケ」なので味噌汁とご飯でよい、

ご馳走は「ハレ」の日に食べればよい、

と言い切っているのです。

毎日の料理には時間をかけなくてもよい、ただし愛情をかけよ、日々をていねいに一生懸命生きよ、というのです。

主婦たちの間で救世主のように言われているのも当然です。

主婦ばかりでなく、私のような高齢の一人暮らしの人間にとっても、救世主のような本です!

毎日の料理に疲れはてている主婦、あるいは今日は何を作ろうかと悩んでいる主婦の人たち、

「おいしいもの」を作らなくてはと強迫観念的にかられている女性たちに、

ぜひ、一読をお勧めします!

それだけでなく、日本人が古来より持ち続けている知恵のありかや、その道筋はどこから来たのかにまで言及されていて、読み応えのある本です。

写真も多数入っており、読みやすい本でもあります。

ちなみに土井善晴氏のYouTube動画を貼り付けておきます。この他にもたくさんあります。

これを読んで、久しぶりに「ハレ」と「ケ」という言葉を思い出しました。

日本人が育んできた食文化の奥深さを、改めて思い知らされた気がします。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする