今年最初に見た映画は
「アビエイター」(マーティン・スコセッシ監督 2004年)
少し前の映画ですが、ハワード・ヒューズの生涯を描いた作品です。レオナルド・ディカプリオ主演。
ハワード・ヒューズはアメリカの著名な大富豪で、飛行機会社を所有し、また映画好きでも知られています。
彼は19歳で孤児になるも、父親が残した莫大な遺産を使って映画製作を始めます。ハリウッドでは無名だったものの大成功をおさめます。それが、
「地獄の天使」(ハワード・ヒューズ監督 1930年)
第一次世界大戦のパイロットたちを描いた映画で、たくさんの複葉機が空を舞う姿はまるでトンボの群れのようです。
彼はこの映画を撮るために、84機の複葉機を購入、24台のカメラを回し、3年の年月と莫大な資金を投入して完成させました。
映画は成功しますが、投入した資金を回収するほどではなかったとのこと。
次に彼は飛行機業界乗り出し、1935年にヒューズ・エアクラフト社を設立。
1937年には自らの操縦で、NY-LA間(アメリカ大陸横断)を7時間29分25秒で飛行するという記録を樹立しました。
また、1938年には、91時間で世界一周という最速飛行記録を樹立しています。
1946年にはアメリカ軍の偵察機としてXF-11を開発。
XF-11は中央胴体を持つ双胴の単葉機で、美しいフォルムをしていますが、性能やコスト面ではイマイチで、わずか2機しか製造されなかったそうです。映画に登場するXF-11はとても美しく描かれています。
しかしこのXF-11の試験飛行でヒューズは民家に墜落、大怪我を負いかろうじて一命をとりとめますが、それでも飛行機開発をあきらめようとはしない。
飛行機に情熱を傾けた男たちというのは、きまって猪突猛進し諦めることを知らない。
だからこそ、飛行機の発展はめざましく、戦争がそれに追い打ちをかけて、ますます飛行機開発競争に拍車がかかったのでしょう。
この後、1947年にH-4ハーキュリーズという世界最大の航空機を開発。全長67m、高さ24メートル、翼の長さが97mという化け物のような飛行機です。
誰もが、こんなバカでかい飛行機が空を飛ぶのかと疑っていましたが、ハーキュリーズは水上から飛び立ちます。
しかし、試験飛行をしたものの実用化には至らず、お蔵入りになった飛行機なのだとか。
ハワード・ヒューズは1939年にWTA(ワールド・トランス航空)を買収し、大型旅客機でNY-パリ間の直行便を開設し、大西洋横断路線や世界一周路線などを開設します。
映画後半ではパンナムとの買収合戦や裁判沙汰も描かれ、また強迫性神経症に悩まされた晩年が描かれています。
キャサリーン・ヘップバーンやエヴァ・ガードナーなど名だたる女優とのスキャンダルもあり、実に波乱万丈の人生だったようです。
しかしこの映画、2時間45分もの長尺の上、詳しい説明がないので、ハワード・ヒューズになじみのない日本人(私)は途中で飽きて投げ出しそうになりました。
それでも、前半の複葉機が空いっぱいに舞う様子や昔の単葉機が登場するシーンは圧巻です。
飛行機好きなら前半だけ見るのがいいかも。
最後まで見てみて、こういう傑出した(クレイジーな)人物たちが世界の歴史を動かしているのだなあと思いました。
キャサリン・ヘップバーン(ケイト・ブランシェット)と複葉機で夜に遊覧飛行するシーンはいい。
私も複葉機に乗ってみたいなあ・・
1903年にライト兄弟によって開発された飛行機は、こうして、すぐに戦争の道具となり、やがては宇宙ロケットの開発にもつながるわけですが、
やはり初期の複葉機や単純な小型プロペラ機がいいなあと思います。
あれ以上進化させる必要はなかったのでは、とさえ思います。
世界中を旅行できるようになったのはジェット機のおかげですが、ジェット機があっても世界中旅行できるのはごく限られた人たちだけ。
何より戦争の道具として使われ、多くの人命が奪われています。
そう考えると、人間が空を飛ぶ必要があるのか、なんて思ったりもします。小さな飛行機は好きなんだけどね。
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