寝転んで空を見る

山高きを厭わず 海深きを厭わない

2011夏の大縦走~立山から上高地へ~ (9th Day)

2011年10月04日 | 2011北アルプスの旅

8月6日、何時もの様に夜明け前に起床。

のんびり朝食を取って荷物をまとめる。

テントの外に出ると白い雲が辺りを包み、地面は濡れていた。

今朝の天気は、曇り。

 

ザックを背負い、この日のスタート。

南岳からキレットの鞍部へと続く急坂の入り口で、ヘルメットを被った50~60代の女性に話しかけられた。

キレットを行くのか?経験があるのか?と聞かれたのでキレットを行く事と何度か経験がある事を伝えた。

すると『一緒に行って欲しい』と、本気なのか冗談なのか定かでは無いがそう言われた。

こうして、50~60代だろう女性二人に、少し年齢が上?の男性一人の計3人パーティーと共にキレットを行く事になった。

 

南岳から北穂へと続く『大キレット』の一般平均コースタイムは以下。

『南岳』→1:20→『長谷川ピーク』→2:10→『北穂高小屋』

計3時間30分となっている。

 

南岳から下り鞍部手前の鉄梯子の手前でストックをしまった。

此処からはストックは必要無い。

梯子を下って鞍部に到着すると『先頭を行って欲しい』と男性に言われたので先導する事に。

しかし、皆さんのペースが解らず気が付くと皆さんを置いてきぼりにして、一人長谷川ピークに到着。

Img_0517

ここで先を行く男性3人女性1人(20代)に追いついたところ、『ガイドさんですか?』と話しかけられた。

『え?』っと笑ってしまったが、彼ら曰く『凄いスピードで来たから』そう思ったそうだ。

(それプラス、明らかに年齢層が違う人達と行動してるのを見たのだろう)

Img_0519 長谷川ピークを飛騨側に下る先行の4人

彼ら4人も初めてのキレットだそうで、『怖い怖い』と言いながらこのナイフリッジを飛騨側に下りて行った。

俺はこの三角木馬の様なナイフリッジにまたがり(笑)後から来る3人を待つ事にした。

ここでもう一人ソロの男性(30代か)が、パーティーに加わった。

この方も初の大キレットだそうで、心細かったらしい。

 

総勢5人で長谷川ピークを越え、その先のザレた登りの下で待機していた所(北穂側から人が来たので)俺の左隣で斜面に張り付いていた女性のヘルメットを落石が直撃するアクシデントがあった。(最初に話しかけてきた女性)

幸い石が小さかったので大事に至らなかった。(俺の左ウエストハーネスにも当った)

去年も同じ場所でレンガ大の落石に見舞われたので、注意していた処だった・・・危なかった。

下から登って来る人が居る場合、下りの人は上で待つべきだろう。

 

ここで我々一行に、初キレットで中学生の息子さんとそのお母さん、60代の男性1人と女性2りの3人組みが加わり、総勢10人のパーティーとなった。

ガスで視界も悪く雨も降り出した事もあり、みんな心細いのだろう。

こうして俺が9人を先導する事に。

本当にガイドの様になってしまった・・・・(笑)。

 

この頃からキレットは雨模様、岩が濡れているので此処からは気を使った。

年配者が多いのでペース配分を考え、落石の危険が有る場所では間隔を空けて一人ずつ登ったり。

そうこうしてキレット最後の難所とも言える『飛騨泣き』へ到着。

Img_0522

足元の切れ落ちた非常に高度感のあるここを登ると、雑誌等で良く『飛騨泣き』と紹介されているステップのある鎖場へ。

Img_0523 飛騨泣きのステップと鎖

上写真の2つの場所は高度感があり(左右が切れ落ちている)、『怖い場所』だが『難しい場所』では無い。(しかし、落ちたら良くて大ケガ)

こうした場所より、ここ大キレットで危ないのは『落石』であると、俺自身は思っている。

 

さて、『飛騨泣き』を越えた我々一向には、最後の『北穂小屋』への直登が待っているだけだった。

そこも問題無く登り(落石の危険がある)『北穂小屋』へ到着。

俺の直ぐ後ろについて来た女性(ヘルメットの)が『やったー!』と言った後、右手を差し出してきたので・・・

ガッチリ握手(笑)

残りの8人も無事キレットを通過する事が出来た。

高齢者が何人か居たが、コースタイム3時間半を3時間で通過で来た事は、結果的に良いペースだったのだろう。

Img_0524 北穂小屋

残念ながら今回も雨の為に、北穂小屋から『大キレット』や『槍ヶ岳』を眺める事は出来ずじまい。

Img_0525 北穂小屋のテラス

このテラスで御礼にと、暖かいコーヒーとパンを頂いた。

昨日槍ヶ岳山荘で購入のマフィンも、このテラスで食べた。(ボロボロだったけど、美味かった)

その後、共にキレットを通過した記念にと写真に応じて、皆さんと別れた。

 

本来俺はこの日、ここ北穂から涸沢岳を通過して奥穂のテンバへ、そして翌日は奥穂→ジャンダルムの心算だった。

しかし天候がこの後更に悪化するとの情報を得て、残念だが涸沢へと下る事にした。

去年と同じ展開・・・残念だ。

 

こうして、小屋脇の階段を登って直ぐの『北穂高岳3106m』の山頂へ向かった。

Img_0526

山頂で2人組みの山ガールさんにシャッターを頼まれたので、2枚目の撮影時に

『面白いポーズで!』と、リクエストしたところ可愛らしいポーズをとった2人に、ちらが笑顔にさせられてしまった。

こんな雨の中でも楽しんでいる彼女達は、俺の心も楽しくさせてくれる。

 

北穂山頂を通過して、天候の悪化に追い付かれない為に猛スピードで涸沢へ下る。

Img_0527 涸沢へ

『涸沢カール』に到着して間を空けずテント設営を開始。

しかし、その直後から雨はカールに響く雷鳴と共に土砂降りへと変わった。

かじかんだ指で張り綱を結び、何とか設営完了。

冷えた体を温め様とテントの中で『チーズリゾット』を調理していた時に、それは起こった。

なんと、『リゾット』をテントの中にぶちまけてしまったのだ・・・。

おまけにリゾットを片付けている時にバーナーを倒してしまい、熱を持っていた五徳がテントのグランドシート(床面)と側面に穴を開けてしまった!(涙)。

 

これでは明日奥穂での野営時に雨が降った場合(まず降る!)3000m以上ある野営地で浸水したら最悪。

テンションガタ落ちである。

この旅での奥穂での野営とジャンダルムは諦める事にした。

 

失意とテントの中、時間を過ごしていると18時前、嘘の様に雷と雨が止んだ。

Img_0530

この時間まで涸沢ヒュッテのテラスで雨宿りし、テントを張らずに居れば、雨に濡れなかったし、テントに穴が開く事も無かった・・・

なんて、思ったりし無い!

去年はそうやって、雨脚が弱まるのを待っていたら雷雨になったのだから(笑)。

 

気を取り直して『涸沢ヒュッテ』の売店へ向かい、名物の『おでんセット(日本酒)』を堪能。

その後テントで夕食にパスタと売店で購入のハーフワイン(白)で夕食。

そして寝袋の中へ。 

寝袋の中で、共にキレットを渡った中学生とその母親(40代前半?)2人の事を考えていた。

父親とでは無く、山の経験が少なそうな母と思春期の息子が北アルプスを旅している。

聞きはしなかったが、その背景にある物は察する事ができた。

色んな人が色々な想いで山に来るのだと、改めて感じ思った。

そんな事を考えながら、19時から20時に就寝。

 

さて、今回の山旅(山頂を踏む)は、ここで終わり。

この後、奥上高地・上高地でのキャンプ、浜松でのDewのライブへと向う寄り道編へとつづくきます。

 


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