8月2日、夜明け1時間前に起床。
夜半から降り出した雨は夜明けまで降っていたが、食事を済ませてテントから出ると止んでいた。
テントをザックに押し込み『太郎平小屋』へ向かって歩き出す。
テンバから少し登って木道へ出れば『太郎平小屋』まですぐだ。
『太郎平小屋』は、なだらかな稜線の上に建っている。
6時過ぎに『太郎平小屋』へ到着。今後の天気を確認する為に玄関へ入る。
すると『愛知のお姉さん』達に又々再会。
『御姉さん達は』今日、折立から下山されるので、別れを告げた。
その時、ハーフ?の女性と目が合い、すれ違った。
綺麗な女性だったので(素人じゃ無いと)『ピンッ!』と来た! 笑)
もう一度その女性の方へ目を向けると、その女性の横には・・・良く雑誌で目にする『舞魅さん』の姿と男性カメラマンらしき人を確認。
玄関前で宿泊客20~30人と、楽しそうにラジオ体操をしていた。
小学生の頃の夏休みを思い出す光景だった(俺はサボってたけどね 笑)
せっかくモデルさん2人に遭遇したのだから写真でも撮らしてもらえば良かったと、後になって後悔。
しかし後日、山小屋を写した写真を確認すると、それらしき人が写っていた・・・。
恐らく玄関前に居るのが雑誌取材班だろうと思う。
皆さんがラジオ体操をしている間、山小屋玄関内で天気予報をチェック。
今日の天気は、曇り時々晴れ午後から雨の予報。
ついでに山小屋の売店で牛乳を購入した後、今日のルートを思案。
山小屋の前に人が居なくなっても、『雲ノ平』か『黒部五郎岳』のどちらへ行くか答えを出せないで居た。
今日の天気を鑑みて、展望が魅力の『黒部五郎』か日本最後の秘境『雲ノ平』へ向うか?
『黒部五郎の展望』と『日本最後の秘境・・・』のフレーズ、どちらも魅力。
取り合えず分岐まで悩みながら歩いていると、『雲ノ平』へ向かう下りの木道200~300m先を、先程のモデルさん達が歩いているのが見えた。
『こりゃ~こっちへ行けって、御告げだろう!』
そう声に出して、女神様が導く『雲ノ平』へ向かう事に決定した(笑)!
と、言う事で本日の一般平均コースタイムは以下
『薬師峠キャンプ場2294m』→0:20→『太郎平小屋』→1:15→『左俣出合』→1:00→『薬師沢小屋』→3:20→『雲ノ平山荘』→
0:25→『雲ノ平キャンプ場』
合計6時間20分の道のり。
『雲ノ平』を目指して木道を下って行くと、先を行く山の女神様達に追いついた。
『雲ノ平』か『高天原の温泉』へでも行くのだろう。
(話しを聞きたい所だが取材の邪魔になるかもって事と、皆さんすごくゆっくり歩いて居たので先を行かせてもらった)
道を譲って頂いたので、挨拶をして先を急ぐ。
美女に出会った事で浮かれたせいなのか、濡れた木道で何度かコケてしまったが・・・
『このエピソードだけで、この旅を歩き通せる!』そう呟く単純な自分に笑ってしまった。
ルンルン♪気分で木道を下って行った。
『薬師沢小屋』までの道は歩きやすく、周囲の草木も綺麗で疲れを感じる事は無かった。
この欧州や北米の様な針葉樹の森と、足元の草花を眺めながら休憩。
先を行く男性に追いついた時、後からモデルさんが来る事を教えたり(笑)
道行く人との会話も楽しみつつ、8時40分『薬師沢小屋』に到着。
黒部源流と薬師沢の合流点に建つこの小屋の近くに『カぺッケヶ原』と言う河童伝説の地がある。
黒部の水と辺りの自然を眼にして、人の踏み込まなかった昔を思えば『居たとしても不思議じゃ無い』そう思える。
『薬師沢小屋』の前で牛乳を飲み行動食を食べて、力を蓄える。(この時は、カシューナッツを食べた)
何故なら、この吊り橋を渡ると『雲ノ平』まで樹林帯の急坂を2時間登る事に成るからだ。
ぐらんぐらん揺れる吊り橋をワイヤーにつかまらず、楽しんで渡り(真似しないように 笑)
そして、その急登へ向かう。
苔と水で滑る石と木の根の道をひたすら登って行くこの道、しかも樹林帯の為に風が通らず暑い。
1時間位登った所で休息を取り、ズレ落ちるズボンをたくし上げていると4人の男性が(40~50代だろうか?)登って来た。
『お先にどうぞ』そう言って道を譲ると最後尾を歩く男性が『いやぁぁ、後ろから追われるのはもうやだぁ!』『どうぞ先へ先へ!』と言われる(笑)。
(実際、登山道で後ろから人が来ると、煽られる様で嫌だと感じる人は多い。逆に、追い抜くと張り合って必死に付いて来ようとする人も稀に居たりする 笑)
じゃあ・・・と、先に行かせてもらおうと思ったが4人のうち2人は先に進んでいて、前を行く2人と後ろの2人に挟まれる形で歩き出した。
自然と5人が一列に並ぶ事になり、話しながらこの登りを行く事に成った。
この4人の方達は岡山の人達で、折立から入山して『雲ノ平』『鷲羽岳』等を縦走する予定だそうだ。(下山は打保だったか新穂高?忘れてしまった)
良くこのメンバーで山を登られるらしく、北アルプスにも何度も来られている事を伺った。
道中、この方達との会話のおかげで急な登りの辛さを忘れ、楽しんで登る事が出来た。
岡山の食べ物の話しを聞き、太郎小屋で見かけたモデルさんの話をした。(山の話はしたっけ? 笑)
岡山の方達は雲ノ平山荘に泊まるそうなので、『そのモデルさん達と同宿に成るかも』と話したり・・・。
『普通の女性と違う?』と聞かれ『違いますねぇ~』と答えたり。
やっぱり男同士、美しい女性の話は、疲れを忘れさせてくれる。
そんなこんなで楽しく登って居ると、傾斜の緩い木道に出た。
『これでこの急登は終わりかな?』なんて話しながら歩いていると、行く手から一人の女性が来たので、岡山の方達の御一人が『登りは、ここで終わりですか?』と聞く。
すると、その女性『いやいや、まだ此処は地獄の入り口ですよ・・・』と言うので5人絶句してしまった・・・。
しかし何の事は無い、ここで登りは終わって後は歩きやすい木道の道に成っていた。
あの女性こそ、あそこから続く下りで『地獄を見た』のでは無いだろうか?(笑)
そこから少し木道を行くと、ベンチとテーブルのある少し開けた場所に出た。
そこが『アラスカ庭園』と呼ばれる場所だった。
ここで少しの休憩を取る。
北北東の方角へ目を向けると、雲の切れ間に昨日登った『薬師岳2926m』
西に目を向ければ、今朝立ち寄った『太郎平小屋』が遠い稜線の上にちょこんと建っていた。
行動食のドライトマトとパインを食べた後、平坦な木道の道を『雲ノ平山荘』の建つ『雲ノ平』へ向かい歩き出した。
12時過ぎに去年新築された『雲ノ平山荘』へ到着。
山荘でテント設営の手続きをして、岡山の方達4人に別れを告げた。
ここからテンバまでは、木道を25分の道のり。
すこし高くなった雷岩付近を超えて下った所、祖父岳の麓にテンバがある。
テンバに到着して、木道すぐ脇の水捌けの良さそうな場所にテントを設営。
設営料500円、水は0円、トイレはチップ制100円(写真赤い屋根の白い建物がトイレ)
テントの中で昼食を取った後、寛いでいると聞いた事のある声が・・・。
外を見ると岡山の方達が『水場』の方へ木道を歩いて行った。
何処へ向かったのだろうか?スイス庭園かな?
この『祖父岳』からの火山灰が『雲ノ平』を生み出した訳だ。(御爺ちゃんが生んだ?)
小説を読んだりのんびりした後、16時を過ぎた頃から雲ノ平を散策。
湿った風が吹き出し雨が降りそうなので、木道を走って山荘の方へ向かった。
山荘の近くで花の写真を撮っていると、初老の女性に『珍しい花ですか?』と話しかけられた。
花の名前なんて全然知らない事を告げ、幾つかの花の名前を教えて頂いた。
実はこの女性、テンバの方から長い距離を走ってくる俺を見て驚いていたとの事だ。
標高が2500m程度あるこの地をサンダルで走ってたからね。
ちょっぴり空気の薄さを少し感じた・・・・。
こんなアホは、中々見かけないだろう(苦笑)
名峰に囲まれ高山植物の豊富な台地、女性に人気があるのも頷ける。日本最後の秘境『雲ノ平』。
散策を終えてテントに帰ると雨がパラパラと落ちてきた。
だんだん天気も夏山モードになって来たらしい。
夕食を取って18時頃就寝、楽しい山旅5日目を終えた。
翌日は『雲ノ平』から『鷲羽岳2924.2m』を登り『双六キャンプ場』へ向かいます。
追記
この日遭遇した『舞魅さん』達の記事は、『ランドネ2011年10月号NO.20』に掲載されているそうです。
今現在、ランドネHPにも雲ノ平とそのモデルさん2人の写真がトップに載ってる様です。
つづく
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます