透水の 『俳句ワールド』

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石田波郷・「波郷句自解」(二十二)(二十三)       高橋透水

2014年09月06日 | 俳句・短歌・評論・俳句誌・俳句の歴史

冬黝き槇電線をふりかぶり     波郷

無情の句、日頃の主情的俳句に飽き飽
きするような虚しい日、無情が心に適
ふ。然しなまじひの主情を圧倒する無
意識が迫る。この句がそれほどの力を
持つか否かは別だが――

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ジヤズ寒しそれをきゝ麺麭を焼かせをり    波郷

長い俳句。然し大した字余りではない、
中八に過ぎぬ。「それをきゝ」が叙法
上の特異点。が、内容は至つて平俗な
市井人の一些事である。「寒し」はジ
ヤズを指してゐるにではない


「波郷句自解―無用のことながら―」(有)梁塵社 より

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