透水の 『俳句ワールド』

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石田波郷・「波郷句自解」(三十)(三十一)       高橋透水

2014年09月26日 | 俳句・短歌・評論・俳句誌・俳句の歴史
兄妹の相睦みけり彼岸過       波郷

十五年春。作者は殆ど市井無頼毎晩遅く兄妹語合ふこともなかつた。お彼岸
が来たが東京のアパート暮しで何にもせぬ。然し兄妹久々に共に過し、彼岸
過ぎてもしばらく相睦み合ふのであつた


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 蛞蝓急ぎ出てゆく人ばかり    波郷

駒場の朝。緑の中を勤人が続々と出てゆく。そこらの籬根になめくぢりが道
をつけてあゆむ。別に「蛞蝓若き妻子を遺せし」の句があるが、同じ朝の作
である


「波郷句自解―無用のことながら―」(有)梁塵社 より

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