介護施設の音楽訪問 まだ皆さんが揃わないうちにキーボードなど準備を終える
音出しを兼ねて幾つかの曲を弾いているうちに ボツボツと集まり出す
車椅子をスタッフに押されて 最前列に来る方たちは とても嬉しそうだ
今日は特別席だねとスタッフと会話している
そして高齢の女性たちが数名 口を揃えて言う
私たちね 先生のファンなのよ 会うのがとても楽しみなのよ
そばにいる男性2名も みんなファンだよと言ってくれる
私は単純だから素直に喜ぶ
嬉しいですね 私もここに来るのが楽しみなんですよ
皆さんに会って 大きな声で歌うのを聴いて 笑顔をいっぱい見るのが楽しみ
先週行ったばかりだから 皆さんも 親近感が増しているのだろう
始まるまで 好きな歌を演奏しましょう 何か良い曲ありますか?
何でも好きだけれど 裕次郎さんの曲も良いわ
では と赤本なら1000曲も入っているから その中から楽譜を探す
恋の町札幌 赤いハンカチ 俺は待ってるぜ 夜霧よ今夜は有難う
こんな曲を弾いていると 眼をつぶって聴いていたり 知っている部分を歌う
何だか ナイトクラブの雰囲気ね と笑う
集まり出した他の方たちも 笑顔で聴いている
1カ月に一度だと楽しみは倍加されるが もっと短ければ親しさが違うようだ
いつもの歌声より 心なしか皆さん声が大きくなって笑顔が多い
私はのトーク解説も ここでは弾んで 皆さんを笑わせる
下町の太陽 覚えていますか 映画になったのですよ
それも この施設のすぐ近く スカイツリーのおひざ元が舞台だった
押上駅に接して 資生堂の工場がありましたね
そこに働く女工さんがモデル 主役が倍賞千恵子さんでした
相手役は この近くの町工場で油で汚れた機械工場の工員 勝呂誉さんだったかな
この二人の恋の物語で この近辺がロケされましたよ
そう 私も実は油まみれの作業衣の工員だったのですよ
思いも寄らないでしょう 皆さんから見ればお金持ちのお坊ちゃんに見えるでしょう?
そう問うと 皆さん一斉に 見えない 見えない と笑いながら否定する
やっぱり駄目か 昔はお金持ちのお坊ちゃんには見えないんだね
私は やはり機械工場の工員が似合っていますね
こう言うと 皆さんが そうそうと相槌を入れて頷く
こんなふうに明るい歌の時間が過ぎて行く
終わりになって スタッフに車椅子を押されて別れを告げると皆さん寂しそうだ
少しでも 楽しい癒しの時間が 心に残ってくれたら私は嬉しいし 幸せを感じる
今日も介護施設へ行く
元気と笑顔を届けに・・・
こんなことが出来る日々を感謝して 充実した人生を歩む
最後までお読みくださいまして有難うございました m(_ _)m