ハーモニカで影を慕いて 施設の静かな歌声

幾つか行く施設の中で　一番　元気な人が多かった
車椅子といえど　表情も明るく　それなりに歌声も聞えていた
しかし　昨日の施設　先月辺り　大幅に入所者が変わっていた

当然　のびたさんとの歌の時間は変わらねど　声の大きさが違う
施設によって　認知症の症状の程度によって　歌の内容など考慮している
また　組み換えをして様子を見ることにしている

曲目も歌謡曲を幾分減らして　童謡唱歌を多くする
リズムは若干遅めにして　はっきり刻む
飾りの音符は少なくする　これが基本のようになる

お久し振りね　元気でいたの？
ここでも何人かの方が私に挨拶する
そうだね　会いたかったよと言うと　嬉しそうな笑みを浮かべる

歌の合間に　しばらくぶりにハーモニカを演奏した
この場合　曲を演奏しながら　細かくお一人づつの表情や動きを見る
全体の方と眼が会うように　何回も眼で挨拶する

この場合　皆さんの記憶の糸を引き出す効果も見る
歌詞は見ないで　想い出しながら歌う
普通はメロディが浮かんでも　歌詞は曖昧になるものだ

私でも暗譜で歌うとなると　自信が無い
それでも　永い間　心で歌ってきた曲は　深く脳に刻み込まれている
童謡唱歌は　そんな意味では　心地良く忘れないものである

思い出すことは　大切な要素でもある
その曲を歌った時代の背景　数々の想い出のシーンがある
これを　どこかで引き出せたら　もしかしたら次のことを思い出すだろう

影を慕いて　私たちの時代には多くある曲の中で　名曲である
古賀政男さんのデビュー曲でもあり　苦悩の背景から生まれ出た
静かに　多くの方が歌い出した

記憶を辿りながら歌っているが　確りとメロディにも合っている
一番の歌詞は　完璧に多くの方が歌えた
私は感銘と感動を覚えた

歌の時間としては　まだ　全体が揃わず　声も小さい
この曲に限っては　かなりの方が歌えている
早い時期に　暖かな雰囲気に包まれるだろう


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