日本公文教育研究会(にほんくもんきょういくけんきゅうかい)は、大阪府大阪市に本部を置く学習塾をフランチャイズ展開している株式会社である。1958年に、大阪数学研究会として設立した。
沿革
高校の数学教師であった公文公(くもん とおる)が始めた学習指導法を「公文式」という。この公文式学習法をフランチャイズ展開しているのが公文教育研究会である。この方式が小学生を中心に広く受け入れられ、現在は日本だけでなく、南北アメリカ大陸、ヨーロッパ、東南アジア、韓国、香港、上海、アフリカ、オーストラリアなど世界中に教室を展開している。
教室数は、国内に約18,200教室、海外に約8,000教室。生徒数は、国内150万人、海外210万人(ともに2004年3月)。
フランチャイズ方式を展開して以来急激に教室数を伸ばし、日本では全国の人口密集地の津々浦々に教室が開かれ現在は過密状態にある。主に自治会室やフランチャイズオーナーの自宅、貸し教室、空き部屋などで開かれており、1小学校区に数教室あるところが多いため通塾は便利である。
生徒のほとんどが小学生で、教科は算数・数学、国語、英語を教える教室が多いが、中にはフランス語、ドイツ語、日本語(外国人向け)、英語速読、書写を教える教室もまれにある。2004年より新たに学習療法と脳ウェルネス学習の展開も始められた。海外教室では、各国語化された算数・数学教材と母国語教材を使った指導が行われている。
公文式の学習方法
特徴
週2回程度の通塾。個人別の自学自習プリントを配布し、学年にかかわらずその生徒のその時の実力に応じた学習をする無学年式学習を特徴とする。そのため伸びる生徒はどんどん先の学習に進め、できない生徒は学年を下げた内容を繰り返し練習することができる。
教材は、公文公・前会長が自分の子供のために作りはじめた計算プリントが元になっていて、本人の実力に合わせてどこからでも始められる算数教材は、特に学校の授業についていけなくなっている子供にとって、大きな救いとなりえた。学力をチェックしてどこでつまづいているか割り出し、その少し前の楽にできる箇所から再学習が可能となっている。算数・数学は文章題はほとんどと言っていいほどなく、計算が主体である。
その後、読解力と読書力養成(算数で言う文章題にも対応)を主眼とする国語や英語(外国語)の教材も開発されている。特に英語に関しては、プリント学習のみではどうしてもカバーできない分野(リスニングなど)が出てきてしまうので、それに対応するためにCDやリピーターカードなども使用している。
プリント1枚毎に採点され、全部できたら(訂正箇所を全部直したら)100点(満点)。このシステムにより、「次も100点取れるようにがんばろう」と生徒のやる気をアップさせているという。
欠点
しかし、基本的にプリントを使用した自学自習形式であるため講師に直接指導される機会は少なく、生徒数の少ない教室では、講師は採点者が兼ねている。経営的に採算の取れている教室では採点に追われるためほとんど指導ができない。また学校の授業とも全く連動していないため、公文で勉強したことが学校の授業にすぐ反映されることは少なく、即効性はあまり期待できない。教室では、生徒一人である程度できる内容のプリントをさせ、多くの宿題を出し自宅で演習定着させる方法をとっているため、教室でも自宅でも自発的に行う子供にとってはよいが、その他の子供はプリントが進まず自宅では親の手助けを必要とする。また宿題プリントがこなしきれず、完全に理解していない場合、学校の授業からどんどん引き離されることもある。教室の開いている時間に自由に来て自由に帰るので通塾には便利だが、あまりやる気のない生徒はほとんど何もしないまま帰ってしまうということもある。
日常の学習
各生徒の学力に応じたプリントの配布
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解説を見ながら各自問題を解く
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採点者のところへ持っていき採点してもらう
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やり直しをして、すべて正解できたら次の段階のプリントをもらう
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解説を見ながら各自問題を解く
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宿題プリントをもらう
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自宅で問題を解く
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次の回に教室で問題を採点してもらう
↓
(繰り返し)
このことから、宿題をこなさないと先に進まず学習効果が著しく減じてしまう。宿題をこなすためには家庭の協力が不可欠となり、そのことが負担になるか否かが公文式学習の成否を分ける。
宿題を別とすれば、このような学習方法は、米国の心理学者で行動分析の創始者であるB. F. スキナーが提唱したプログラム学習によく似ている。公文公がこれをどこまで自覚的に取り入れたかは不明である。ほかに参考としている学習方法は、石井勲式国語学習(漢字カード)、バイオリンの鈴木メソッド、ソニー創業者井深大の3秒英語などである。かつて公文式内部の研究大会にて講師をしてもらい、その後教材や学習指導に織り込んだものである。
幼児教育
教室によっては未就園児も受け入れている。 公文式では一時期「幼児方程式」と称して、算数学習が進めば幼児が方程式まで解けるようになると宣伝し、公文会長の著書『新「公文式算数のひみつ」』などでもその有効性を主張していた。しかし、誰もが方程式まで解けるようになると誤解した保護者が多量のプリントをこなすよう子供を追い詰めるなど、行き過ぎた早期教育の弊害が指摘され、また保坂展人の著書などで批判されたためか、現在ではこの言葉を宣伝に使うことはなくなっている。現在は教材の進度を基準としたランキングを作成して、進度上位者を表彰している。
障害児教育
プリントはスモールステップで進み、繰り返しも容易なので、障害児の教育にも有効だと公式ホームページでは説明されている。ただし、健常児と比較した場合、家族や指導者の負荷は大きく、教材の効果というよりも、関係者の熱意に支えられているといえよう。
老齢者学習
公文式のプリント学習を認知症予防のために行う公文式の学習方法。公文式は子供だけというイメージがあるが、生涯にわたって学びが出来るようになっている。
アメリカ・サンディエゴの友達の子供達が「公文式教室」に通っていると聞き、アメリカでも普及している事を知り、ビックリした。うちの子供3人とも「公文式」に通った経験がある。